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アップデートパッチや拡張パッケージによって追加データリリースが実装され、ゲームバランスが変化したり、新しいコンテンツやエリアが増えるのが魅力のオンラインRPGだが、EQ2には無料のアップデートパッチと有償の拡張パッケージ以外に、有償ダウンロードという独自の販売形態を用意している。それが「アドベンチャーパック」である。 アドベンチャーパックはダウンロード形式で販売される中規模の拡張データパックで、マップ、シナリオ、コンテンツなどが含まれる。EQ2日本語版では、10月20日にアドベンチャーパック第1弾「スプリットポゥ・サガ」、11月17日に第2弾「ブラッドライン クロニクル」が発売、さらに12月15日にはEQ2初の拡張パック「デザート オブ フレイム」が発売される。合計3タイトルの新たな拡張データが、毎月1本リリースされるというハイペースな状態が続くのである。 まず今回お届けするのは、伝説にうたわれるノールが眠る地「分かたれしスプリットポゥ」を冒険できるアドベンチャーパック「スプリットポゥ・サガ」。前半ではスプリットポゥ・サガのコンテンツの中身を紹介し、後半では実際にシャドウナイトとウィザードの2キャラクタを使ってスプリットポゥで実装された新エリアの模様をお伝えする。
スプリットポゥのエリアは大きく4つに分かれている。最初に足を運ぶのは、「分かたれしスプリットポゥ:闇への侵入」と呼ばれる小規模のエリアで、ここであるアイテムを手に入れることでクエストが進行。サンダリングステップの別の場所にある本当の「分かたれしスプリットポゥ」に入ることができるようになる。その本当の「分かたれしスプリットポゥ」の奥底にあるのが、ノールの集落でもある「スプリットポゥのねぐら」である。さらにねぐらの先には「ドラウン・カヴァーン」と呼ばれる最深部のエリアが続いている。大きなエリアはこの4つだ。 「闇への侵入」、「分かたれしスプリットポゥ」、「ドラウン・カヴァーン」はインスタント(プライベート)エリアになっており、グループ関係などを結んでいないプレーヤーとは同じエリアに入ることはできない。ソロでインスタンスに入れば、自分以外のプレーヤーのいないエリアとなるのである。グループを組んでいる場合はグループメンバー全員が同じインスタンスに入る。
スプリットポゥ関連の全てのエリア・コンテンツ内では、モンスターのレベルが可変式になっている。つまり、プレーヤーキャラクタのレベルが35であるならば、敵のレベルは35前後に調整される。グループの場合はグループメンバーの中で一番レベルが高いプレーヤーが基準となる。可変するレベル帯はレベル20から現在のキャップである50までに対応するため、EQ2に慣れたプレーヤーなら誰でも楽しめるという幅の広い拡張内容になっている。経験値目的のグループプレイ時にも、メンバー全員がポゥを導入済みならば、他のプレーヤーがいない、バランスのよい狩場として使えるだろう。 スプリットポゥのねぐらはインスタンスではなく、共有のタウンエリアになっており、逆にインスタンスは作成されないし、内部では戦闘も存在しない。ケイノスやフリーポートのような都市的な位置づけだ。ここにはソロ用、グループ用、レイド用のインスタンスコンテンツが複数用意されており、ねぐら内の雰囲気こそ薄暗い洞窟ではあるが、プレイスタンスに応じて様々なアトラクションに挑戦できるアミューズメントパークのような場所だ。それでは、スプリットポゥのねぐらで楽しめるコンテンツをソロプレイ用から順に紹介していこう。 ● ソロ用コンテンツ ・ハークレイブの試練 スプリットポゥ族のノールに語り継がれる伝説の英雄「ハークレイブ」の話を語り部から聞き、ハークレイブの聖櫃を探すというクエストを受けることでプレイが可能なソロ用コンテンツ。怒りの力で襲い掛かるキノコ人間たちをなぎ倒したハークレイブの力がプレーヤーにも宿る!? 普段は体験できないような常識はずれの戦闘が楽しめる爽快なコンテンツだ。ハークレイブの試練は本稿後編で詳しく紹介している。
・隠れ家 いたずら好きのノールから受けられる「Flitchの悪巧み」というクエストを取得することでプレイ可能になるコンテンツ。クエストの内容は、あるノールのたまり場に置かれている物資を壊してしまおうというもので、物資の破壊には蒸留酒がたっぷり詰まった樽を爆弾のように使用する。クエストの難易度はインビジ系の呪文やアーツを所持しているかで大きく異なるが、爆弾を上手く使うことを要求されるという普段とは異なるパズル要素を楽しめる。こちらのコンテンツも本稿後編で詳しく紹介しているのでそちらをご覧頂きたい。
・闘技場(ソロ用) 次々に現れる敵を倒し、勝利数に応じて賞品をもらうことができるコンテンツ。登場する敵はノールたちの戦闘訓練用のペットから、ノールの二人組み、さらにドワーフ・ダークエルフ・ハーフリングの3人組までもが登場する。対するプレーヤーはあくまでソロなので、後半の手ごわい敵には戦法を組み立てる必要があるだろう。ただしあくまで登場する敵は固定のため、プレーヤーのクラスによっては難易度の印象が異なるだろう。どうしても勝てない場合は、装備を見直してみたり、呪文やアーツのランクを上げてみたり、さらにポーションを使用するなどの工夫が必要だろう。
● グループ用コンテンツ ・地虫の巣 スプリット・ポゥのノールたちを脅かすRock Crawlerの駆除をするというクエストを受けてプレイするグループ用コンテンツ。ノールの話によると、地虫がこれ以上増えて、ノールたちのねぐらの暮らしを脅かすのならば、危険を覚悟で地上に出なければならなくなるということだ。ノールを助けるために地虫を退治するこのコンテンツは、スプリット・ポゥで楽しめる中でもEQ2のスタンダードな冒険に近い内容となっている。地虫を倒し奥深くへと進んだその先にいるのは!?
・闇にひとり 壊れて正常に動作しているのかも定かではない転送装置から入ることができるのが、この「闇にひとり」のエリアだ。グループでこのコンテンツに進入すると、メンバーはバラバラの場所に飛ばされてしまう。はぐれた仲間と合流するのが最初の目的となるというわけだ。合流後は進入時に発生したクエストに従いエリアの奥に進むこととなる。
・ほら穴の外郭 スプリット・ポゥの最深部のエリア「ドラウン・カヴァーン」を冒険するもので、こちらは個別のコンテンツというよりも「分かたれしスプリットポゥ」のような広いグループ用のインスタンスエリアだ。前作EQでのスプリットポゥにも存在していた地底湖もドラウン・カヴァーン内に存在している。他ではあまり見ることができない水棲のノールたちが待ち受けるほか、ここで受けられるクエストも複数存在している。500年もの年月隔絶されていたスプリットポゥの最深部に待ち受けるものとはいったいどんなものだろうか。
・闘技場(グループ用) ソロ用の闘技場よりも強力なヒロイックの敵が戦闘相手として登場する闘技場。次々に登場する敵に多く勝利することで豪華な賞品がもらえると言う点はソロ用の闘技場と同様だが、より多くの敵を相手にしたり、敵によっては闘技場全体が真っ暗になったりと演出も面白い。グループメンバーのレベルをメンターなりで調節しないと賞品がもらえないこともあるので注意。
・アンヴィルポゥのほら穴
こちらはレイド用エピックコンテンツだ。エリア内に入るにはなにかしらの条件が必要ということで、残念ながら筆者はまだエリアに入ることもできていないのが実状だ。スプリットポゥの紹介サイトのイラストにもあるような、ノールの王のような存在が待ち受けているのだろうか? 挑戦するには多くの人数が必要ということもあり、やはりギルド単位での挑戦が現実的だろう。この後に紹介するが、スプリットポゥのねぐらに一瞬でワープできるアイテムも存在するので、それさえあれば手軽にチャレンジできるレイド用コンテンツの第1候補になるはず。ぜひとも機会を見て挑戦頂きたい。 正攻法で敵を倒しながら「分かたれしスプリットポゥ」を進んで「ねぐら」を目指すと、結構な時間がかかってしまう。そこでぜひとも早期に入手したいところなのが「青く光るシャード」というアイテムだ。これは装備したうえで使用すると一瞬で「ねぐら」にワープすることができるという帰還アイテム。使用制限などもないため、ソロ・グループ・レイドと様々なコンテンツが用意されている「ねぐら」をより気軽に楽しむために欠かせないアイテムだ。 気になる入手方法は、ずばりソロ用コンテンツである「ハークレイブの試練」と「隠れ家」のクエスト完了と、「闘技場(ソロ用)」の制覇だ。このコンテンツ3つをクリアすると、クエスト達成の表示が現われ、帰還アイテムを入手することができるのである。 アイテムの購入や修理ができるマーチャントもいる「ねぐら」から、移動時間ほとんどなしで実質的にプレイを開始できるのが嬉しい。その点は帰還アイテムを入手することでよりストレートに感じられるはずだ。例えば、少し経験値とドロップアイテムをソロプレイで稼いでみようと思ったときでも、ケイノスやフリーポートから移動して適性な狩場と敵を探すだけでも結構時間を取られるものだが、このワープアイテムさえあれば、いつでも適性レベルの敵を相手に、すぐ経験値稼ぎができるわけだ。これは大きい。
スプリット・ポゥのねぐらでは、ほとんどのコンテンツを開始する前にねぐら内でクエストを取得する必要がある。クエストの取得には特別な条件などはほとんどなく、通常のNPCと同様に会話可能なノールと話して事情を伺えばクエストを取得できる。スプリットポゥのノールと話してみると、予想外に彼らなりの文化的な生活を営んでいることが感じられて面白い。EQ2の世界に存在する種族はいずれも、好戦的・平和的の軸は異なっているものの、個別に独立した考え方を持っている。スプリットポゥで登場するノールは隔絶された世界に住んでいただけに、地上の世界のノールたちとはまた営みや思想がまた一味違うのだ。 さて、そんなねぐら内での娯楽のひとつに、ノールの語り部が語る物語を聞くというものがある。1段高いところに立つ語り部と、その下で物語りが始まるのをいまかいまかと待っている好奇心旺盛なノールたちが周囲を囲んでいる一角がある。その場に近づいてみると、ギャラリーであるノールたちからは「静かにしてくれよ! 話が聞こえないじゃないか!」と怒られてしまう。実はこの「静かにしてくれよ! 」という言葉が、他のクエストとは少々異なる「ハークレイブの試練」取得のポイントであり、ヒントでもあるのだ。
早速ハークレイブの試練の転送装置からハークレイブが祭られている神殿に進入。神殿に侵入すると、すぐ左手にたいまつが置かれているのが見える。神殿への転送装置に続く道の近くにいて向こうから話しかけてくるノールの「ここではたいまつと少しの勇気が必要だ」という言葉が思い出される。このたいまつはハークレイブの試練攻略の大事なキーアイテムだ。入手しておこう。 神殿内部を巡回しているノールを倒しつつ、火の消えてしまった火鉢に先ほど手に入れたたいまつで火を灯していく。飛び越えられない崖に板を動かして橋をかけ、登れない段差に木箱の階段を作りつつ先に進むと、全ての火鉢に火を点すことができた。すると、ハークレイブが今も中で眠っていると思われる聖櫃が光り輝きだしたではないか! 荒れ果て、火は消え、キノコ人間たちが侵入してきているこの神殿に、火を点しながら棺のもとを訪れたプレーヤーになにかを語りかけてくるかのようだ。 棺を調べた瞬間、すさまじいエフェクトがほとばしる! 怒りの力で常軌を逸した力を発揮し数多くの外敵をなぎ倒したノールの英雄、ハークレイブの魂が降臨する。あまりの出来事に膝をつくプレーヤーキャラクタ。落ち着く間もなく、突如ゴースト状のノールたちに襲われる。敵の強さ表示はプレーヤーと同レベル帯のヒロイック。つまり、普段ならソロでは太刀打ちできないグループ用の敵だ。それらが複数襲い掛かってきたのである。
死ぬのを覚悟で逃げ出すべきか!?とも思うものの、どうも普段とは感触が違う。こちらのHPバーが敵からの強烈な一撃を次々に喰らっても、ほんの少しずつしか減らないのである。おや? と思い戦ってみる。HPは無尽蔵にあるかのように敵の攻撃に耐えているし、呪文やアーツを次々に繰り出すもののパワーもほとんど減らない。どうしたことかと思いつつも、グループ用の敵をひとりで殲滅することができてしまうのだ。 それもそのはず。自分のステータスを確認してみると、ハークレイブの魂が宿ったときから、HPとパワーの最大値が普段の10倍近くに上がっていたのだ。ハークレイブが今なお語られる冒険の際に発揮した怒りの力が宿っているのである。ハークレイブが祭られている神殿に侵入してきた全ての敵をなぎ倒せと言わんばかりにプレーヤーに力を与えたのである。 振り返るとこれまで進んできた神殿内には、どこにいたのかアンデッドのノールやゴーストのノールが大量にひしめいている。ハークレイブの冒険譚そのままに敵をなぎ倒していこう。普段なら絶対に倒せない敵をなぎ倒していく様は爽快だ。ただし、あまり無茶は禁物。1グループ単位で敵と戦う分には問題ないが、クラスにもよるものの2グループを同時に相手するような無茶をするとやられてしまう。このハークレイブの一時ステータスアップで最も強力にパワーアップするのはメイジ系のクラスだろう。なにしろ絶大な攻撃力を誇る呪文や範囲魔法を持っているクラスだけに、HP & パワー面の不安が無くなれば無敵の様相となる。反対に、単体の敵を引き付ける攻撃に耐えるという特徴を持つファイター系のクラスは、ハークレイブの魂を得たあとでも多少慎重に進む必要があるだろう。 ハークレイブの神殿の奥に待ち受ける、巨大な脅威については画像だけに留めて詳細を伏せておこう。このクエスト完了に必要なのは「たいまつと、ほんの少しの勇気」だ。
トーテムには様々な効果の魔法が込められており、その中にはインビジの効果がかかる「カメレオンのトーテム」というアイテムもある。使用回数が定められている消耗品のアイテムなので、気軽に使うのは少々ためらうかもしれないが、インビジ状態で進めば、「ねぐら」まで一度の戦闘を行なうこともなく進むことが可能だ。帰還アイテム取得前に手っ取り早く「ねぐら」に行くのならばこの上なく便利なアイテムだ。 さて、「隠れ家」は、いたずら好きのノールから「隠れ家の物資を壊してしまえ! 」と依頼される、一見かわいらしいお話のクエストのようにも感じるが、実際には隠れ家のエリア内では好戦的なノールが襲い掛かってくるし、倒されれば死亡もする。ジョークのさじ加減がノールと私たちでは異なっているのだろう。 この隠れ家のエリア内では物資が詰まっている長方形の木箱を10個破壊するのが目的だ。この木箱を破壊するには、蒸留酒が詰まっているため良く燃えるという「樽」を爆弾のように使い、木箱に引火させる必要があるのだ。木箱の周りには好戦的なノールが常に2・3匹配置されているし、周囲を巡回しているノールもいる。同時に襲い掛かられたら苦しい戦いになってしまう。 このコンテンツでは、攻略法が2通りに分けられる。ひとつは、インビジ系の呪文を使用して姿を隠し、ノールに襲われないようにこっそりと物資だけを爆発に巻き込むというものだ。爆発の威力は敵に近すぎると彼らをも巻き込んでしまう。爆発に巻き込まれてダメージを負ったノールはプレーヤーに襲い掛かってきてしまうのだ。 もうひとつが、この爆発の威力を生かし、敵を爆風に巻き込み大ダメージを与えつつ、楽に戦闘に勝利して安全を確保するというものだ。爆弾を置いて敵を爆発に巻き込んで倒すというと、「ボンバーマン」を彷彿とさせるが、実にそれに近い楽しさを持っている。物資の周りを守っているノールたちはもちろん、だんだんと爆弾に近づいてきている巡回のノールをも上手く爆発に巻き込めたときはなかなか気持ちいい。爆弾の効果的な使い方がキーポイントになるパズル的コンテンツだ。 ハークレイブの試練やこの隠れ家に関してもそうなのだが、敵を倒した際に得られる経験値や、ドロップアイテムは他のエリア同様に取得することができる。隠れ家で言うと、爆弾の爆発で敵のHPを半分近く減らして戦闘を行なっても、経験値やアイテムはなんら変わることなく得られるため、その点においても嬉しいコンテンツだ。また、クエストはいずれも何度でもリピート可能だ。
スプリットポゥを初体験して以来、私は「コンテンツがたくさん詰まったアミューズメントやテーマパークみたいな場所だ」と感じており、それは今も変わらない。通常のEQ2本体で楽しめる冒険とはまた異なった楽しさを持つコンテンツが用意されており、それでいてスタンダードな冒険に近いものもしっかりと押さえられている。中でも堅実ゆえに地味な内容になりがちなソロプレイに対しても、一風変わった遊びができるコンテンツがあるのは嬉しいところだ。945円という低価格でこれらのコンテンツが楽しめるのも高評価のポイントだろう。ただし、全体的に難易度は歯ごたえがあるので「全部クリアできなきゃ満足できない」という思考でプレイすると結構苦労するかもしれない。それでは、また次回お会いしましょう。
□スクウェア・エニックスのホームページ (2005年11月10日) [Reported by 山村智美/Pomm]
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