★PCゲームレビュー★
限界をさらに超えた戦場描写に驚愕!
信頼できる仲間と共に激戦をくぐり抜けよ!
「Call of Duty 2」 |
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- ジャンル:アクションシューティング
- 開発元:Infinity Word
- 発売元:ラッセル
- 価格:オープンプライス(実売価格6,300円前後)
- 対応OS:Windows 2000/XP
- 発売日:12月2日(発売中)
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「Call of Duty」は、戦場の空気感を再現したフィールドと、作り込まれたウェポンの数々によってミリタリーファンの心をつかみつつ、映画からインスパイアされたスクリプトによる演出によって一般FPSプレーヤーでも満足できるストーリー性を持ったアクションシューティングとして名高い。
その完成度の高さは、米国のAcademy of Interactive Arts and SciencesがGame of The Yearに選んだほどのもので、筆者の中でもミリタリーFPSのメインタイトルとして、FPSを知らないゲーマーにも無条件で勧められるとして位置づけている。そんな前作から約2年、「Call of Duty 2」(以下、CoD2)はどのような進化を遂げているのか、本レビューにて明らかにしていきたい。
■ 驚異的な空気感を持った新グラフィックエンジンによって描かれる戦場
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Infinity WardのCTO(Chief Technical Officer) Jason West氏。今作には大きな自信を持っているようで、どんな質問にも的確に迷いなく答えてくれた
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CoD2をひととおりクリアしてみて筆者に強烈なインパクトを与えたのが、前作と比較して明らかに変わったゲーム内の空気感だ。ゲームにおける空気感は、「Half-Life 2」においてSourceエンジンが描き出したものがこれまでのゲームでは最高のものだが、本作の空気感はそれを凌いでいると断言できる。今年の東京ゲームショウにおいて、CoD2を開発したInfinity WardのCTO(Chief Technical Officer) Jason West氏に話を聞くチャンスがあったので、一部引用してみる。
GameWatch: 今回新しいグラフィックスエンジンを投入されたと聞きました。たとえばキャラクタや建物に関しては、スペキュラーマップやバンプマップを使って表現していると聞いています。今回のエンジンで特徴的な部分があったら教えてください。
Jason氏: キャラクタに関してはノーマルマップで描画を行なっています。むしろ注目して欲しいのはスペキュラーマップに関してで、本作のグラフィックエンジンの「Zフェザー」というシステムで、特に気に入っている部分です。これはパーティクルの粒子ひとつひとつに丸みを与えるシステムで、パーティクルのピクセルがキャラクタの視点から見て重なりあったときに、その被写界深度に応じて周囲のピクセル描画をぼやかしていくというものです。これによって「Call of Duty」で重視している爆煙を始めとした煙の処理が本物のように描写できました。これはぜひ見て欲しい部分ですね。
ほかには建物の輪郭から光が漏れる「グロウエフェクト」と言った処理や、蜃気楼を再現できるような画面描写も入れています。また、天気に関しても雨や雪、雷(雷の光)、影に関してもダイナミックライティングを使用して、多光源状況下で影が自然に描画されるように心がけています。
ここで言われている「Zフェザー」が、ゲーム世界にどのような影響を及ぼしているのかについてはゲーム画面を見てもらった方が早い。ゲーム画面全体に漂う空気感を感じ取ってもらいたい。
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雪のぼかし
単独のパーティクルにZフェザーを掛けたわかりやすい例が、この雪だろう。現実世界で目にする雪と同じように雪のひとつひとつがただの球体ではなく、ボヤッとした輪郭を持っている
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スモークグレネード
スモークグレネードを建物に対して炊いたところ。煙の濃い中心部分は輪郭がぼかされ、煙の向こうに何があるのかまったくわからないが、上部に行くに連れて建物の輪郭が見えてくる
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建物内での煙
建物近くでスモークを炊いて建物の中になだれ込むと、煙が部屋の中まで流れ込んでいる。薄いので輪郭をぼやかすほどではないが、煙が漂っている建物内全体にもやが掛かっている
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水煙
陸からの砲撃などによって立ち上がる水しぶき。その後水煙となり、プレーヤーの視界をぼやけさせる。自分の周囲が海であり、上陸艇に乗って敵陣地へ向かっているのだという実感をプレーヤーに与える
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雪煙
塹壕を飛び越すようにドイツ軍の戦車が通過。キャタピラによって巻き上げられた雪が戦車の駆動部分にまとわりつき、その輪郭を見事にぼやかしている
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雨の中
激しく降る雨が視界を狭める。物陰や建物の中からこちらをうかがう敵の姿がわかりづらくなる。敵に先制されないようにいつも以上に気を配る必要があるだろう
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■ '41年のソ連から'1945年のドイツまで、欧州各地を巡る戦い
冒頭でも触れたが、CoDシリーズの魅力はスクリプトによって演出されるストーリー性を持ったシングルプレイモードにある。本作でもこれまでのシリーズの魅力を踏襲し、アメリカ・イギリス・ソ連の3カ国のキャンペーンミッションを収録。'41年の独ソ戦から'45年の連合軍のライン川渡河作戦まで、第二次世界大戦の欧州東西戦線およびアフリカ戦線の4年間を描いている。
これまでシングルプレイモードは国別にミッションが独立し、順番にクリアしていくスタイルだったが、本作ではすべてのミッションが時系列上に並んでおり、順番はプレーヤーが選ぶことができる。たとえば、'41年のソ連軍ミッション「The Winter War」をクリアすると、ソ連軍のミッション「Not One Step Backwards!」と英軍の「The Battle of El Alamein」の2種類のミッションがアンロックされる。
プレーヤーはそのままソ連軍ミッションを選んでいってもいいし、同時代のイギリス軍ミッションを体験してもいい。ミッション自体はどれも単独で完結しているので、先にAミッションからやったから、Bミッションに影響してゲーム進行が楽になると言うことはないので、純粋に好みで選んでもいい。
・ソ連ミッション
ドイツ軍のバルバロッサ作戦後のモスクワ近郊から始まり、独ソ戦最大の市街戦の舞台として名高いスターリングラードへの戦いへと向かうことになる。ゲームで一番最初に遊ぶミッションと言うことで、最初のミッションはトレーニングミッションとなっている。トレーニングミッションでは、銃の撃ち方から立ち→しゃがみ→伏せの状況別の使い方、スモークグレネードの使い方など、ゲームを進める上で必要なことを一通り学ぶことができる。
その後戦場はスターリングラードへ移るのだが、本ミッションのプレーヤーの名前はヴァシリ、スターリングラードとヴァシリと来れば当然スナイパーミッションだ。とは言うものの出てくる敵を片っ端からモシンナガンライフルで打ち倒していくだけでない。ドイツ軍が立てこもる建物の制圧戦闘や逆に押し寄せるドイツ軍から建物を保持する防御戦闘、そして市街地における対戦車戦闘など、ミッションの目的は多彩だ。
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最初のミッションはトレーニングミッション。わかりやすく解説されているので、CoDシリーズが初めてという方でも問題ないだろう
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映画「スターリングラード」でも見られた、工業パイプの中を伝って移動し、ドイツ軍に見つかってしまった! というシーンもある
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いくら分厚い扉の奥にドイツ兵が立てこもって出てこないからといって、建物に丸ごと発破を掛けて倒壊させるという発想に驚く
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スターリングラードのシティホールに立てこもったプレーヤー達に、襲いかかるドイツ軍の波。MG42やパンツァーファウストを持った敵から優先的に狙撃していこう
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・イギリスミッション
モントゴメリー将軍率いる連合軍が、砂漠の狐として恐れられたロンメル将軍率いるアフリカ軍団を破ったエルアラメインの戦いからスタート。夜間の敵駐留地破壊工作から始まり、CoDシリーズの密かな楽しみでもある、戦車戦を楽しむことができる。今回登場するのはクルセイダー巡航戦車で、そのスピード感を活かした戦闘を楽しむことができる。
戦車戦が終わるとプレーヤーはロンメル軍団による大逆襲を受け、砂漠の街Matmataに追いつめられる。特に町中で逆襲を受けた場合の攻撃の激しさは尋常ではなく、四方八方からドイツ軍が湧いてくる。本ミッションでは、敵を倒すことよりもまず生き残ることが重要と言えるだろう。
北アフリカでの戦闘が終わればゲームの流れはいったんアメリカ軍に移り、その後プレーヤー達はノルマンディ上陸作戦最大の目的地、カーン市へ向かって進撃するミッションとなる。
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ロンメル軍の物資集積所に夜襲を掛ける。赤いドラム缶は燃料が詰まっているので、一発ライフルで撃ち抜いてやるだけで、周囲の敵兵を巻き込んで爆発する
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Matmataの街を行軍中、敵のトラックに進路をふさがれて挟撃を受ける。遮蔽物の少ない細長い路地で敵を待ち伏せするなど、いかにもロンメル軍団の戦いだ
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クルセイダー巡航戦車の群れが一気にIII号戦車に襲いかかる。ドイツ軍の戦車に比べて格段に足が速いので、背後を取って砲弾を撃ち込んでやろう
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雨が降る中での戦闘となるカーンへの進撃。町中の至る所からドイツ兵が攻撃してくるので、敵に極力先制させないよう攻めたいところだ
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・アメリカミッション
アメリカが参加した中でも最大規模の作戦がノルマンディ上陸作戦だ。本作のアメリカミッションでは、オマハビーチとユタビーチを射程に入れる要塞砲が設置されたホック岬に対して上陸作戦を敢行することになる。しかし、本作でのノルマンディは岸壁を上るまでがメインとして描かれておらず、むしろ岸壁を上ってからの塹壕戦闘とトーチカ潰しがメインとなる。
そして、海岸周辺の施設を制圧し終わったら、次は内陸部にある“Hill 400”と呼ばれる要塞の制圧と保持の任務へ移る。アメリカミッションの戦闘はとにかく激しく、パワフルな戦闘が展開される。ドイツ軍は岸壁上に上ってきたプレーヤー達に向かって対空砲を水平射してきたり、MG42による激しい弾幕、そして切り札であるティーガー戦車の登場など、歩兵を中心とした連合軍に対して圧倒的な火力で防戦を展開してくる。
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当然ノルマンディと言えば上陸作戦。水しぶきが飛び交う上陸艇を飛び出し、岸壁に打ち込まれたロープを上ってがけの上に。塹壕に飛び込めば、そこは数メートルの距離を挟んで打ち合う激しい塹壕戦の中だ
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激しいノルマンディが終わっても、堅固なHill 400がプレーヤーの前に立ちはだかる。トーチカからはMG42の弾幕が降り注ぎ、ドイツ兵の激しい抵抗がプレーヤーに襲いかかる。隠し部屋のスナイパーライフルを探したいところだ
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ほとんど遮蔽物の無い中、スナイパーライフルを使って敵の迫撃砲を沈黙させなければならない。しかし、同時に接近してくるドイツ兵もいるので、どちらも相手にしなくてはならない
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■ 体力ゲージが無くなったことで、“生き残るための勘”がさらに重要に
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ゲーム中被弾すると画面が真っ赤になる。この状態で隠れればセーフなのだが、戦闘状況によってはすぐに隠れられないことも。常に遮蔽物を意識してゲームを進める必要がある
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本作では、ゲーム一般においてポピュラーなシステムである“体力の数値化”が廃止された。敵から攻撃を受け被弾すると画面が赤くなり、プレーヤーに物陰に隠れるように周囲の兵が促してくる。そこで、敵の弾から隠れられる物陰に身を潜めていると、だんだんと体力が回復するのだ。
しかし、これで死ににくくなったわけではない。難易度設定にも寄るが、むしろ死にやすくなったと言える。当たり所にも寄るが、四方八方から敵が現われてプレーヤーを狙ってくる本作では、“物陰に隠れろ”状態になっても物陰に隠れるまでに立て続けに弾を喰らって一気に死んでしまうことも珍しくない。
ただ、このいつ死んでもおかしくないシステムによって、プレーヤーは自分が死ぬまでどのくらいの攻撃に耐えられるかという目算が立てられない。そのため、プレーヤーは常に戦場で生き残るための勘を働かせれることをゲームに強制される。物陰には敵がいないか、敵が隠れてるところは全部潰したか、無茶な突っ込みはさけて迂回路を探すべきか、そういった事を常に考えることになるのだ。
また、このゲームシステムのおかげで、プレーヤーは敵の弾幕の中に飛び込んで強引に突破というこれまでのゲームスタイルが取りにくいのだ。なぜなら弾幕の中に飛び込んだとして、敵の攻撃が数発連続で当たればプレーヤーは死んでしまう。弾幕の中を歩き回るなど、まさしく「自殺行為」だからだ。敵の攻撃が激しく、遮蔽物もない膠着状態を打破するために、スモークグレネードを効果的に使う必要がある。敵の視界がスモークでふさがれている限り、敵はあまり射撃してこないので、突入がかなり楽になる。
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スモークを炊くと、わずか数メートル先すら見えなくなる。スモークを炊いたからといってむやみに突っ込むと、スモークの中で接近遭遇して大混戦になるので注意
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■ マップ内での自由度も大きく、戦闘の雰囲気も極上、最高のミリタリーFPSに仕上がった
戦場の空気感の表現や映画的な戦闘の演出などに定評があるCoDシリーズだが、それは本作でも変わらず進化している。たとえば本作では、戦闘の状況にあわせて味方AIが「Jerrys left flank!(ドイツ軍が左手側面から突撃してきた!)」とか、「Taylor! move arround left!(テイラー軍曹! 左から回り込め!)」と声をかけてくる。各種戦争映画を見た上でCoDシリーズを遊ぶと、毎回不満に思うのが周囲の兵士が無口すぎるという点だ。しかし、このプレーヤーに対する指示が四方八方から飛んでくるシステムが実装されたことでこの不満は解消された。
しかし、こういった演出に一役買ってきたスクリプト重視のゲームデザインは、一方で「マップが一本道でゲームを遊ばされている気になる」という批判も受けてきた。おまけに、これまではスクリプトでゲームを制御している関係上、「A地点までプレーヤーが移動したらB地点から敵を出現させる」といったことがしばしばゲーム内で見られ、敵の出現地点と出現方向を覚えてしまえばプレーヤーが敵の先手を取って、ゲーム難易度を大幅に下げることも可能だったのだ。
しかし、こういった批判に対して本作では、スクリプトによる制御を否定せず、プレーヤー側の自由度を高め、AIを強化するアプローチを採用している。マップ面ではルート選択の自由を大きく取れるように作っている。そして、敵キャラクタのAIを強化し、戦闘に対してマップ内を自由に移動してプレーヤーに襲い掛かるようにしたのだ。このAI強化のおかげで、味方に正面を受け持たせておいたまま、自分は側面から回り込んで敵を倒すといった戦術が可能になった。
プレーヤーは、マップ構造をよく理解し、状況と目標を把握した上で最適かつ被害の少ないルートを選んで進撃していくという“頭を使ったプレイ”を要求される。また本作ではスクリプト式のゲームでよく見られた敵の無限リスパウンというのは確認できなかった。敵が際限なく湧いてくるように思える建物も、陣地を確保して根気よく一人ずつ確実に倒していけば、最後には敵がいなくなる。
建物に対する突入は、建物の中で“待つ”ことができる迎撃側が圧倒的に有利だ。本作でもそれは踏襲されており、敵がいっぱいいるのが確認されているのに、強引に建物に押し入ればあっという間に四方八方から蜂の巣にされてしまう。建物の中に大量の敵がいることがわかれば、味方を活用してひとりずつ確実につぶしつつ、その一方で、素早く建物の裏側に回って飛び出てくる敵を迎撃するという戦術が有効だ。
全体的に見て本作のできはどうか? と聞かれたら筆者は間違いなく「買いだ」と答える。マルチプレイに目新しさがないという不満はあるものの、シングルプレイの出来はそれを補って余りあるものがある。ただひとつ残念なことと言えば、日本語化されていないことだ。ゲーム中プレーヤーに向けられるとっさの指示に対して的確に反応するために、日本語字幕が欲しいという人も多いだろう。コナミから発売されるXbox 360版は日本語化されているので、ぜひPC版でも日本語化を実現して欲しいものだ。
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一応設定されたルートはあるが、それを通ると敵に遭遇する率は高くなる。ホック岬の上で、指示された塹壕を進んだらいきなり4~5人のドイツ兵から集中射撃を受けてしまった
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敵が寄ってくるのがわかりやすいのが街制圧のミッションだ。隣の建物が襲撃されたとわかると、向かいの建物から敵兵がドンドン湧いてくる
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(C) 2005 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks of Activision Publishing, Inc. All rights reserved. This product contains software technology licensed from Id Software ("Id Technology"). Id Technology (C) 1999-2005 Id Software, Inc. (C) 2005, Discovery Communications, Inc. Military Channel, logo and Go Behind the Lines are trademarks of Discovery Communications, Inc., used under license. All rights reserved. www.discovery.com. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners. Marketed and distributed in Japan by Russell.
【Call of Duty 2】
- CPU:Pentium 4 1.4Hz またはAthlon XP1700+ 以上
- メモリ:256MB以上(1GB以上推奨)
- HDD:4GB以上
- ビデオメモリ:64MB以上
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□「Call of Duty 2」のホームページ
http://www.w-russell.jp/cod2/cod2.html
□関連情報
【11月16日】ラッセル、米ActivisionのPCタイトルを今冬に3本発売
「The Movies」、「Call of Duty 2」、「GUN」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050930/demo0930.htm
【9月30日】本日到着! DEMO & PATCH
「Call of Duty 2」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050930/demo0930.htm
【5月22日】E3 ACTIVISIONブースレポート
QUAKE×2、CALL OF DUTY×2、今年もACTIVISIONはFPS三昧
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050522/actv.htm
(2005年12月5日)
[Reported by Tyokuta]
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