発売元 Activision
米Activisionの人気シリーズ最新作「Call of Duty 2」のPlayable Demo。同作は、東京ゲームショウのマイクロソフトブースにおいて、Xbox 360版が出展され、完成度の高さを実感させてくれたばかり。PC版に関しては残念ながら見ることはできなかったが、実は先にリリースされるのはPC版のほうで、Xbox 360版が最速でもハードの発売日である11月22日以降になるのに対し、PC版は10月下旬にも出荷が開始される見込みとなっている。前作同様、引き続きPC版には力を入れていくということだろう。Demoの内容は、ミリタリーアクションの定番を再確認させられる貫禄で、安心して楽しめる。難易度も柔軟に対応しており、幅広い層にお勧めできる。
「Call of Duty」は、第二次世界大戦の連合軍の活躍を描いたアクションシューティング。同じ素材を扱う「Medal of Honor」と比べると、「Medal of Honor」がプレーヤーの力量に強く依存したヒロイックなゲームデザインなのに対し、「Call of Duty」は実直に部隊における一兵士にフォーカスしているという視点の違いが指摘できる。
どちらにも一長一短があるが、戦争の凄惨さ、迫力といったものは「Call of Duty」が得意中の得意とするところで、突出して独軍のマシンガンに蜂の巣にされる兵士の死は止められないし、退却するドイツ兵の背に向けて銃撃する場面などもある。こうした苦みのある演出も含めてのトータルでのリアリティの積み上げが「Call of Duty」シリーズの魅力といえるだろう。
シリーズ最新作「Call of Duty 2」では、新たに自社開発の「COD2」エンジンを採用し、ハイクオリティのバンプマップやブルーム表現などを取り入れ、リアリティの追求に磨きをかけている。中でも陰影の表現が見事で、各オブジェクトに確かな重量感と存在感をもたらしている。その一方で、Xbox 360水準のグラフィックスを実現しているため、ずいぶん“重い”ゲームになっているのも事実だ。
ただ、PC版ではDirectX 7互換モードというものを実装しており、これをオンにすることによって、グラフィックスを「Call of Duty: United Offensive」レベルの水準に落としてゲームをプレイすることができる。つまり、前作が快適に動くPCがあれば、「Call of Duty 2」も楽しめるというわけだ。このモードの実装は同作で大きく評価したいところである。
また、シリーズを通じて得意としているパーティクルエフェクトも格段に進化しており、煙に関しては、爆発エネルギーによる煙の運動、時間の経過による質の変容、そして煙そのものの厚みといった部分まで見事に再現している。その素晴らしさは、Demoのプロローグシーンでも確認することができるだろう。
さて、Demoでは、北アフリカにおけるイギリス軍シナリオを1ステージプレイできる。史実で言うと、ロンメル率いる独アフリカ軍団対モンゴメリー率いるイギリス第8軍の最終決戦である第2次エル・アラメイン攻防戦、ではなく、その後に展開された英軍による掃討戦にあたる。すでに独軍の主力軍は撤退しており、プレーヤーらの部隊に与えられた使命は、エル・ダバに籠もる独軍部隊の掃討と、同地の制圧になる。
ゲームは、高い防壁で囲まれた地中海沿岸の都市エル・ダバに、ジープや戦車に輸送されて入城するシーンから始まる。一帯は砂漠地帯になっており、周囲には英軍の物資、車両が配置されている。上空では英軍機と独軍機が激しい空中戦を展開しており、英軍機がエル・ダバに対してトドメの爆撃を行なっている。兵士にも危機感はなく、このまま無血入城できそうな、そんな雰囲気すら感じさせるシーンだ。
しかし、そううまくいくはずがないのがゲームの宿命であり、直後、予想通りに部隊は爆撃を受け、先頭の車両は兵員ごと爆破されてしまう。プレーヤーらの部隊は大混乱の中、エル・ダバへの入城を果たし、死にものぐるいのドイツ兵と激しい銃撃戦を展開することになる。
敵の銃撃は熾烈で、正面から向かっては勝ち目はない。自然、戦況は膠着状態に陥る。そこで迂回戦術を採り、側面、背面から攻撃し、部隊を攻勢に転じさせるのがプレーヤーに課せられた役目。これを模索するのが、同シリーズの醍醐味といえる。
野戦ではなく局地的な市街戦だけに、スモークグレネードや手榴弾の使い道も多く、有効活用することで、より速やかに進軍することができる。史実が掃討戦だけに、シナリオの難易度もそれ相応、まずは小手調べといった印象だが、演出の規模の大きさ、そのこだわりようは期待以上の出来映えで、もっともっと先を見てみたくなる。システム的な目新しさはないが、そつのない内容で安心してプレイできた。ぜひ一度体験して貰いたいDemoだ。
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