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★Xboxゲームレビュー★

移植度は完璧! 完全リベンジを果たしたオムニバスタイトル
「テクモクラシックアーケード」

  • ジャンル:アーケードオムニバス
  • 発売元:テクモ株式会社
  • 価格:3,990円
  • プラットフォーム:Xbox
  • 発売日:発売中(10月27日発売)



 かつてテクモがアーケードゲームとして発売した11種類の作品を集めたオムニバスソフト。往年の名作である「スターフォース」や「アルゴスの戦士」をはじめ、「プレアデス」、「スイマー」などビデオゲーム草創期の貴重な作品も収録されている。

 今回この記事を作成するにあたり、昨年11月にPS2用ソフトとして発売された同内容のオムニバスソフト、「テクモヒットパレード」の出来と比較しながら数々の検証を行なっている。かつて筆者が担当した「テクモヒットパレード」のレビュー記事においては不満に思えた点をいろいろと厳しく指摘させていただいたが、今回取り上げる「テクモクラシックアーケード」は、Team Ninjaが移植を手がけていること、プラットフォームが異なることなど違いがあるものの、以前と同様に移植の出来や操作性、演出などが充実しているかどうかという視点で書かせていただいた。

※参考1:「テクモクラシックアーケード」収録タイトル(※括弧内はアーケード版発売年)

・プレアデス('81年)
・スイマー('82年)
・SENJO('83年)
・スターフォース('84年)
・ボンジャック('84年)
・ピンボールアクション('85年)
・テクモカップ('85年)
・ソロモンの鍵('85年)
・テクモボウル('86年)
・アルゴスの戦士('86年)
・雷牙('91年)

※参考2:PS2版「テクモヒットパレード」収録タイトル

・プレアデス('81年)
・SENJO('83年)
・スターフォース('84年)
・ボンジャック('84年)
・ピンボールアクション('85年)
・テクモカップ('85年)
・ソロモンの鍵('85年)


■ 移植の出来は文句なし。「テクモヒットパレード」で気になった部分もすっかり解消!

 初めに誰しもが気になるであろう、各タイトルの移植再現度から検証していくことにしよう。

 筆者はまず「テクモヒットパレード」にも収録されていた、「プレアデス」、「SENJO(センジョー)」、「スターフォース」、「ボンジャック」、「テクモカップ」、「ピンボールアクション」、「ソロモンの鍵」の各タイトルから試してみたが、どの作品もアーケード版と比べてまったく遜色のない出来で文句のつけようがなかった。唯一、「テクモカップ」だけはオリジナル版がトラックボールで操作するゲームであったため、パッドで操作することに違和感を覚える人もいるかと思われるが、オールドファンには人気のタイトルであるだけにやはりラインナップからは外せないところだろう。

 そして、「テクモヒットパレード」において筆者が再現度に少なからず不満を覚えた「スターフォース」、「ボンジャック」の両タイトルについては、以前の記事で指摘した操作レスポンスの拙さをはじめとするマイナスポイントをすっかり解消し、快適に遊べるようになっていたのが何より嬉しかった。とりわけ「テクモヒットパレード」版の「ボンジャック」においてはプレー中にBGMがまったくなく、なんとも寂しいゲームになってしまっていたが、今回はファミリーコンピュータ版の「マイティボンジャック」で使用されたものが流れるようになっていた。また十字キー、およびアナログスティックのどちらで操作しても違和感がないようにきちんと調整がされていた。

 そのほか、「テクモヒットパレード」には収録されていなかった「スイマー」、「テクモボウル」、「アルゴスの戦士」、「雷牙」の各タイトルとも移植の出来、および操作性についてもなんの問題もなく、再現度は極めて高い。往年のテクモファンを自称するプレーヤーからも、この完成度であればまず不満は出てこないであろう。

どの作品も移植の出来はまったくのノープロブレム。懐かしの作品を心ゆくまでタップリと堪能できる。
「テクモヒットパレード」では気になった操作レスポンスも見事に解決、主人公のキャラクタを自由自在に動かせる!


■ 初心者からエキスパートまで、プレーヤーが気持ちよく遊べる配慮も手抜かりなし!

 移植再現度以外に筆者が「テクモヒットパレード」で不満だったのは、かつてゲームセンターで親しんだオールドファンが当時の懐かしさを実感、堪能できるような演出および機能が不十分に思えたことであった。
 特にインストカードを見ることができる「ギャラリーモード」では、そこに書いてある文字をまったく読むことができないという信じがたいマイナスポイントが存在し、ひどくがっかりしたのを今でも鮮明に記憶している。しかし、本作品ではズーム機能が強化されたことにより、どのタイトルのインストカードも拡大表示にすればきちんと文字を読むことができるようになっている。

 ゲーム選択画面においては、各タイトルごとに簡単なゲーム内容を紹介する字幕が表示され、さらに操作方法をボタンを押すだけですぐ確認できるようになっていたのもこれまた嬉しい。本作品に収録されたタイトルの中で、筆者は唯一「テクモボウル」のみオリジナル版をプレーした記憶がすっかり消え失せていたが、これらの機能のおかげですぐにゲーム内容を把握することができ、数回プレーしただけで容易に要領をつかむことができた。これは初心者にとってもたいへんありがたい機能だろう。

 唯一気になったのは、どのゲームを選んでも余白の部分にPCB(基板)をイメージした背景画が表示されることだ。ここは筆者としては、昔のテーブル型筐体の写真をキャプチャーしたグラフィックを表示したり、また「テクモカップ」や「テクモボウル」であれば、両作品に使われた専用筐体のデザインをそのまま再現してくれたほうが嬉しかった。些細なことではあるが、往時のゲームセンターの風景を彷彿とさせる世界観を演出する工夫がもっとあってもよかったのではないかと思われる。

 それからゲームの演出とは直接関係ないが、「ピンボールアクション」のパドルを操作するボタンが(初期状態で)パッドの裏側にある左右のトリガースイッチに割り当てられていたことも特筆しておきたい。これなら初心者でも簡単にプレーできるし、しかもオリジナル版以上に爽快感が高くなったのではないかとさえ思えるほど、筆者は楽しくプレーすることができたのだ。
 また、どの場面においてもデータのロード時間がひじょうに速く、待ち時間によるストレスをまったく感じさせないところも高く評価しておきたい。

ズーム機能が付いてインストカードもバッチリ読めるようになり、ゲームセレクト時に表示される紹介文も親切だ。しかし、背景が変わらないのはちょっと寂しいかも……。


■ 気になる“目玉ソフト”解説。爽快感の高いテクモ往年の名作は必見!

 本作品に収録された11タイトルの中でも、テクモファンにとって目玉となるのはやはり「アルゴスの戦士」、「雷牙」の2タイトルになるのではないだろうか。移植の出来については前述の通りまったく問題がないので、ここでは両作品をご存知でない方に筆者なりに見どころを紹介させていただくことにする。

 「アルゴスの戦士」は、武器であるヨーヨーを振り回して不気味な敵を倒しまくるというゲームで、爽快感がすこぶる高い。地上にいる敵をジャンプして踏みつけたり、空中の敵に飛び乗ることができるというアイディアも実にユニークな作品だ。
 また、このゲームには「スターフォース」と同様に多くの隠しボーナスが入る裏技が存在する。早速筆者はひと通り試してみたが、すべてバッチリ再現されていた。詳しいやり方についての説明は省かせていただくが、これらの技を探し出すのもこの作品の醍醐味のひとつだ。それにしても、今プレーしても本当に面白い!

 「雷牙」においては、自機がいつでも前後に反転する機能(「スピンタン・マニューブ」という)が付いているのが大きな特徴。この機能を利用して、画面の左右から飛来する敵をいかに倒すかを考えてプレーするところに本作品の楽しさがある。
 全般的に難易度がそれほど高くはなく、近年発売されたシューティングゲームに比べれば断然とっつきやすい(当たり前か?)。またパワーアップする際も、アイテムを持った敵を数発撃つだけで簡単に回収することができるのも実に親切だ。「ホーミング」や「ショットガン」など数々の武器が登場するが、どれを使用しても爽快感がひじょうに高い。本作品を知らない人やシューティングに苦手意識がある人にもぜひ遊んでいただきたい、筆者おすすめの作品だ。BGMの出来も出色である。

当時話題になった「アルゴスの戦士」の隠しボーナスもきちんと再現。ある所には100万点ボーナスが入る裏技もあるので探してみよう!
反転機能を利用した戦略性の高さと手頃な難易度設定が嬉しい「雷牙」。シューティングゲームの初心者にもオススメ!


■ お手頃価格で11種類のゲームが遊び放題。これはお買い得!

 古い作品を移植するにあたり最もキモとなる移植の出来栄えはもちろん、初心者にもきちんと配慮した各種機能がきちんとプラスされている点は特に高く評価できる。遊びたいゲームのタイトルを変えるたびにいちいちマニュアルを読み返さなくても、画面上に表示される内容を見ただけでほぼルールを把握できるのでとにかくとっつきがいい。

 アーケードゲームファンを自称する人であれば、「スターフォース」をはじめとする作品がモニターの縦置きに対応していない点などに不満が残る人も少なからず存在すると思われる。しかし、前述したように移植の出来が良く、なおかつ11タイトルが遊べて3,990円というお手頃価格で購入できるコストパフォーマンスの良さを考慮すれば、十分に納得のいく作品に仕上がっていると言えるだろう。

 そして末筆になり恐縮だが、「テクモヒットパレード」において不満に思われた部分をことごとく解消し、再び同内容の作品を世に送り出した開発スタッフの方々には深く敬意を表したい。時代ごとに主流となるプラットフォーム機は変われども、古き良き作品を末永く次世代に伝えるよう今後もぜひ努めていただきたい。

(C)TECMO,LTD.2005

□テクモのホームページ
http://www.tecmo.co.jp
□「テクモクラシックアーケード」のページ
http://www.tecmo.co.jp/product/tca/index.htm
□関連情報
【2005年01月17日】PS2ゲームレビュー「テクモヒットパレード」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050117/thp.htm

(2005年12月2日)

[Reported by 鴫原 盛之]



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