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スクウェア・エニックスの連結における中間決算は、売上高270億9,100万円、経常利益が27億3,000万円、純利益が22億200万円となっている。タイトーは売上高414億8,600万円、経常利益が7億7,900万円、純利益が33億8,300万円の損失となっている。 スクウェア・エニックスにおいては、「毎回の反省材料だが、下期にビッグタイトルが重なる傾向がある(和田洋一代表取締役社長)」としているとおり、今回も上期に爆発的なメガヒットタイトルが出なかったことから、ゲーム事業は営業利益で8億4,200万円の損失となっている。和田氏は「市場環境が非常に厳しく上期ではついに赤字となったが、通期では何とか大丈夫」と語った。 オンラインゲームも昨年同期の経常利益の32億5,200万円から、26億3,100万円に減少している。しかし、この点については「昨年は上期に追加ディスクを発売しているため数字上は高かった。勢い自体は変わっていない。今年はプラットフォームが一つ増えXbox 360でもサービスが開始されるため、ユーザーが増えることに期待している」と和田氏は説明した。 一方、タイトーが業務用アミューズメント機器関連の低迷が指摘されたが、西垣保男代表取締役社長は「下期にはカードゲームの『ダイノキングバトル CARD GAME』があり、3月には『Half-Life II』を予定しており、大きく伸びると期待している」と説明。現在、「ダイノキングバトル CARD GAME」においてセガから特許を侵害したとして販売等の中止を求める仮処分申請が出ている点について不安視する質問には、「事前に十分検証して製作しているので、(セガの仮処分申請については)意外に思っている。司法の場で論議していきたい」とし、和田氏も「キチンと話していけば、ちゃんと着地できると思う」とコメントした。 直近の話題では、下期に「ファイナルファンタジーXII」、「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」、「キングダム ハーツII」といったビッグタイトルが並ぶが、「キングダム ハーツII」の受注状態について「強気で見ているが、ほぼ予想通りでそれに沿った数値」とコメント。和田氏は続けて「非常に素晴らしい出来で、プレイステーション 2で最高傑作。でも、ゲームマーケットが弱わり販売店の資金回転が落ちていて、初回発注にたくさんつぎ込んでいいのかどうかは(販売店側にとって)問題だろう。(販売本数の予想については)はしゃがずに行きたい」と慎重な見方を示した。 一方で、「『キングダム ハーツII』が好調であれば、『ファイナルファンタジーXII』の発売日を来期にずらすといった経営判断はあるのか」という問いに対しては、「一度発売できるとして発売日を提示したら、経営数値は重要視するがそれとは別問題で、ユーザーとの話になる。発売日は守ります」ときっぱり。また、開発が遅れているのではとする質問にも「発売日を発表しているので、その時には遊んでもらえると思う」と改めてコメントした。 海外市場については、「Electronic ArtsやActivisionに比べて十分なパワーではない。全然弱いまま」としながらも、「ドラゴンクエストVIII」の前評判が高い点を挙げ、「社内的には背伸びした数値を目標としている。いきなりミリオンは無理だと思うが頑張って欲しい」と期待を寄せた。ちなみに海外版はかなりアレンジを施しているといい、メニューのアイコンによる表示の導入や、ボイスを入れたりしているという。海外市場については「キングダム ハーツII」についても期待がかかっているが、「3月に間に合うと思う(和田氏)」としており、今期中に発売される公算を示した。 今後の話題として、スクウェア・エニックスとタイトーの事業戦略については「先月話し始めたばかり」とし、詳しい事業計画など「どのセグメントをどうするか」といった具体的な点については明らかにされなかった。すでに持株会社を設立したいとする意向は示している和田氏だが、「現状はタイトーはスクウェア・エニックスの完全子会社となっているが、タイトーとスクウェア・エニックスはいっしょにしません」とコメント。「セグメントごとに統廃合を行なうというのもいいとは思わない」と続けた。持ち株会社にスクウェア・エニックスとタイトーが並列でぶら下がる図を示し、「むしろくっつかない事が正しいのではないかとも思う。持ち株会社を作ってスクウェア・エニックスが3つに分かれるとかいうほうが現実的かもしれない」と発言した。今後の激動期を見据え、新しい切り口で事業再編を行ないたいという同氏の考え方といえるだろう。 人件費などの削減についても和田氏は「コストの発生は人や設備投資ではなく、仕事の課程で発生する」とし、「これまで人を削ったのは映画スタジオを閉鎖したときだけで、それ以外は常に人を増やして拡大してきた」と持論を展開した。 次世代機について、経営として各プラットフォームにどのように開発資源を割り振るのかという質問には、「現在、プレイステーション 2で行なっている開発方法をプレイステーション 3に持ち込めば、ハイビジョンになった時点で解像度があがる訳だから開発費は高騰する。だから次世代機のどの機能を使うかが問題となってくる。たとえば、AIを賢くするとか、グラフィックスは変わらないけど変わって見えるであるとか、マップをある程度自動生成するなど。これまでと同じ作り方をしていたら期間も費用もかかる」と問題点を指摘。 その上で、「ゲームデザインは10年ごとに変わってきた。これまでのグラフィックを高度化する方法ではないデザインが求められる」とし、「では、スクウェア・エニックスができているのかと言えば、ここの試行錯誤ができていない」とまだ先乗りは長いとコメント。「各プラットフォームの何を使うのか、クロスプラットフォームにすることで何が生まれるのか。だから、各プラットフォームごとにどうこうではなく、組み合わせが重要」と、改めて、これまでのリスク分散型のクロスプラットフォームとは違う方向から、ゲーム製作過程を見つめ直そうとしているようだ。
最後に今後のM & Aについて、同氏のコンテンツ、サービスなどの事業の方向性が、これまでのゲームメーカーの方向性とは若干違う方向を目指していることから「まったくゲームとは関係のないと思われる会社との話が浮上することもあると思うが、事業の方向性を見据えた上で進めていく」とし、今後も提携などの話が出てくる事を示した。 □スクウェア・エニックスのホームページ http://www.square-enix.com/jp/ □決算リリース http://www.square-enix.com/jp/ir/j/data/financial/download/20051118_sqex.pdf □タイトーのホームページ http://www.taito.co.jp/ □決算リリース(PDF) http://www.taito.co.jp/ir/ir_library/tanshin/pdf/tanshin_20051118.pdf □関連情報 【8月22日】スクウェア・エニックス、タイトー共同記者会見 和田氏「どちらが親会社化だとか子会社とかではない」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050822/sqex_t.htm 【8月22日】スクウェア・エニックス、タイトー株式の公開買い付け開始 タイトーを完全子会社化へ http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050822/se_tai.htm 【9月22日】スクウェア・エニックス、タイトー株式の公開買付を完了 9月28日付でタイトーの連結子会社化を予定 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050922/sqex.htm (2005年11月18日) [Reported by 船津稔]
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