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【連載第39回】ゲームライフに役立つグッズをレポート
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PSP用の周辺機器として大容量メモリーとバッテリーが登場 その性能に迫る! |
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
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先日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEJ)から1GBのメモリースティック PRO デュオ「PSP-MP1G」と、電池容量が約20%増したバッテリーパック「PSP-280」が同時に発売された。これまでPSP用の周辺機器として販売されていたのは32MBのメモリースティック デュオ「PSP-M32」のみで、SCEJから大容量のメモリースティック PRO デュオが登場したのは「PSP-MP1G」が初となる。そこで今回のゲームグッズ研究所は、「PSP-MP1G」の気になる転送速度と「PSP-280」のバッテリー性能についてレポート。
また、大容量のメモリースティック PRO デュオを購入すると、ついついPSPの動画再生機能を活用したくなってしまうもの。後半では動画の視聴に役立つPSP用ケース「シアターエクスペリエンス」の使い心地もお伝えしていくので合わせてチェックして頂きたい。
● 新型メモリースティック PRO デュオと大容量バッテリーの性能は?
・メモリースティック PRO デュオ「PSP-MP1G」
メーカー:ソニー・コンピュータエンタテインメント
価格:9,975円
容量:1GB (ユーザー容量 約940MB)
・バッテリーパック「PSP-280」
メーカー:ソニー・コンピュータエンタテインメント
価格:5,565円
電池容量:2,200mAh
「PSP-MP1G」は、1GBの容量を持つメモリースティック PRO デュオだ。1GBのメモリースティック PRO デュオというと、最近までは13,000円程度で販売されていたのだが、「PSP-MP1G」では9,975円と一気に3,000円ほど安くなったため手頃感が出てきているという状況だ。今までは「PSP バリュー・パック」に付属していた32MBの「PSP-M32」を使っていたけど、これを機に購入してみようかな? と迷っている方もいるのではないだろうか。
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写真左がメモリースティック PRO デュオ「PSP-MP1G」、右がバッテリーパック「PSP-280」。形状に変化は無いが、文字がゴールドに |
バッテリーパック「PSP-280」の電池容量は、PSPの標準バッテリー「PSP-110」よりも約20%多い2,200mhA。内蔵バッテリーを「PSP-280」に変更することで、バッテリー駆動によるゲームプレイ時間を延ばすことができる。当然「PSP-280」のほうが価格は高くなるが、「PSP-110」との差は525円となっている。
それでは早速、メモリースティック PRO デュオ「PSP-MP1G」の転送速度からチェックしてみよう。このテストでは、USB2.0に対応したパソコンとPSPをUSBケーブルで接続し、ハードディスクやフラッシュメモリーの転送速度を計測することができる「FDBENCH Ver1.01」を利用した。
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左から「PSP-M32」、「MSX-M512S」、「MSX-M1GS」、「PSP-MP1G」となっている |
また、比較対象として32MBのメモリースティック デュオ「PSP-M32」、512MBのメモリースティック PRO デュオ「MSX-M512S」、1GBのメモリースティック PRO デュオ「MSX-M1GS」の転送速度も計測。「MSX-M1GS」についてはこのほど生産終了となり、その後継として「MSX-M1GST」が販売され始めているが、今回は入手することができなかったため計測を見送らせていただいた。
「FDBENCH」による計測結果は以下のとおり。なお、各数値の単位は「KB/s」となっており、数値が高いほど転送速度が速いということになる。
表:FDBENCH計測結果 |
| PSP-M32 | MSX-M512S | MSX-M1GS | PSP-MP1G |
ReadWrite | 2351 | 4557 | 3073 | 4684 |
Read | 3830 | 6356 | 5325 | 6420 |
Write | 1103 | 4068 | 1430 | 4680 |
Randam Read | 3832 | 6485 | 5240 | 6424 |
Randam Write | 641 | 1321 | 296 | 1211 |
Copy | 274 | 1495 | 450 | 1181 |
2K | 9 | 17 | 3 | 11 |
32K | 152 | 281 | 53 | 176 |
256k | 817 | 1740 | 422 | 1198 |
Variable | 120 | 3941 | 1323 | 3340 |
この結果から、「PSP-MP1G」は「PSP-M32」よりも、全てのテストにおいて高速に動作していることがわかる。特に、書き込みテストでは4倍以上の差が発生した。また、「PSP-MP1G」と同じ容量である「MSX-M1GS」と比較してみると、単純な書き込み処理において3倍以上、ランダムな書き込み処理では4倍以上高速になっている。
一方、「MSX-M512S」との比較では、「PSP-MP1G」のほうが若干上回った程度の差にとどまった。ただし、データの書き込み、読み込み、削除を繰り返す「Copy」テストでは、「MSX-M512S」のほうが3割ほど高速なようだ。このように、型番によって転送速度が異なっているわけだが、この差がゲームのセーブ時間にどれだけ影響するのか? というのも気になるところ。
そこで、バンダイの「ガンダムバトルタクティクス」を使って、セーブにかかる時間を測定してみることにした。それぞれ3回ずつ測定し、その平均時間を算出する。その結果、「PSP-M32」は5.2秒、「MSX-M512S」は3.5秒、「MSX-M1GS」は8.4秒、そして「PSP-MP1G」は3.6秒となった。これは、先ほど行なったFDBENCHの結果とおおよそ一致しており、「PSP-MP1G」と「MSX-M512S」はほぼ同等だが、「PSP-M32」よりもセーブ時間が短くなっている。ただ、「MSX-M1GS」については「セーブ時間を短縮したい」という目的で利用するには少々向いていないようだ。
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バッテリーカバーは簡単に外すことができる。標準バッテリーを取り出し、バッテリーパック「PSP-280」を装着 |
次に、バッテリーパック「PSP-280」のバッテリー駆動時間をチェックしてみよう。テストに使用したのはナムコから発売されている「リッジレーサーズ」。PSPの画面の明るさを最大に、音量を中に設定し、BGMと共に2台の車が疾走する「AVプレイヤー」モードで測定した。その結果、PSP標準のバッテリーでは約4時間13分のところで電源が切れたのだが、「PSP-280」では約5時間24分も動作させることができた。動作時間にして22%ほど延びており、バッテリーの容量差が素直にあらわれたようだ。
バッテリー駆動時間を延ばすだけなら、当研究所でもいくつかレポートした外部バッテリーを使えばいいんじゃない? と思われるかもしれないが、大きな外部バッテリーを接続するのはちょっと……という人もいるだろう。
例えば、テレビの映像を無線LANで飛ばす「ロケーションフリー ベースステーション」(詳細はBroadBand Watchのレビューを参考にして頂きたい) と「ロケーションフリープレイヤー」を利用してテレビを視聴する場合、「PSP-280」を使ってみたところ、PSPの標準バッテリーでは約3時間20分だった視聴時間を、約4時間8分まで延ばすことができた(ワイヤレスLAN省電力モードOFFの場合)。「ロケーションフリープレイヤー」を活用している方にとっては心強い味方になってくれるハズだ。
さて、実際に大容量のメモリースティック Pro デュオやバッテリーパックを手にいれると、PSPで動画を楽しむ機会が増えるかもしれない。そうなると、PSP用のスタンドや外部スピーカーが欲しくなってくることだろう。そこで、最後に動画閲覧に便利なPSP用ケース「シアターエクスペリエンス」をご紹介しておきたい。
※【11月16日】お詫びと訂正……当初の記述では「PSPはワイヤレス通信中の充電をサポートしていない。そのため、連続してワイヤレス通信対戦をプレイするときや、「インターネットブラウザ」、「ロケーションフリープレイヤー」を長時間利用するときは、外部バッテリーや充電器を頼ることができないのである。」としていましたが、誤りでした。実際には、ワイヤレス通信中でも外部電源に切り替わるため、外部バッテリーやACアダプタによるプレイが可能です。お詫びして関連する記述部分を訂正させていただきます。
● 外出先でも気軽にポータブルシアター! PSP用多機能ケース「シアターエクスペリエンス」
・シアターエクスペリエンス
メーカー:NYKO
販売元:MSY
価格:10,290円
重量:約564g
Hi-Fiスピーカー搭載
リチウムイオン電池内蔵
「シアターエクスペリエンス」はシステムスタンド、Hi-Fiスピーカー、バッテリーを内蔵した高機能なPSP用アルミニウム製ケースだ。本製品は海外メーカーのNYKOが開発したゲームグッズだが、M-S-Yが国内で販売することになり、11月下旬出荷予定分の注文を受け付けているところだ。
それではまず、「シアターエクスペリエンス」の外観から見ていこう。ケースの外装はアルミニウムで覆われているため、耐久性は非常に高そうだ。また、前面はアルマイト加工が施されており、高級感のあるデザインとなっている。ケースの内部はネオプレイン(合成ゴム)素材を採用し、PSP本体に傷が付きにくくなっている。
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ケース表面は高級感あふれるアルマイト仕上げ。ケースの裏には滑り止め効果が高い大きなゴム足が取り付けられている |
本体左側には2つのヘッドホン端子を装備。そのうちのひとつは、ヘッドホンとスピーカーを同時に利用できるタイプとなっている。また、音声入力端子も備えているため、PSPだけでなくポータブルオーディオプレイヤーなどを接続することも可能だ。
「シアターエクスペリエンス」に内蔵されたリチウムイオンバッテリーを充電したい場合は、本体右側の「DC IN端子」にPSP用のACアダプターを挿し込めばOK。充電中は緑のランプが点灯し、充電が完了すると点灯から点滅に変化する。取扱説明書によると、フル充電までにかかる時間は約3時間となっている。
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本体左側に設けられた2つのヘッドホン端子と1つの音声入力端子 |
本体右側にはDC IN端子とDC OUT端子に加え、バッテリーの状況を確認するためのランプを備える |
PSPを「シアターエクスペリエンス」に設置するときは、スタンド部の左右に取り付けた扉状の支えを開き、イヤホン端子とDC端子に合わせてPSPを差し込む。設置した状態ではアナログパッドを操作することが難しくなるため、基本的には動画鑑賞に特化したケースと考えたほうがよい。しかしながら、DC OUT端子と音声入力端子に付属のケーブルを挿し込みPSPを接続すれば、「シアターエクスペリエンス」のスピーカーとバッテリーを使ってゲームをプレイすることもできるのだ。
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付属の音声ケーブルとDCケーブルを利用すれば、「シアターエクスペリエンス」のスピーカーとバッテリーを使ってゲームをプレイすることもできる |
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PSPを設置した状態で電源のON/OFF、UMDスロットの開閉が可能 |
付属のケーブルで「シアターエクスペリエンス」とPSPを接続してゲームを楽しむ |
次に、「シアターエクスペリエンス」のバッテリーで、どれだけの時間PSPを動作させることができるのかテストしてみよう。このテストでは、先ほどと同様に「リッジレーサーズ」の「AVプレイヤー」を使用する。PSPの画面の明るさは4段階中の3段目、音量を中に設定し、PSPの内蔵バッテリーは残量0%にしておく。また、「シアターエクスペリエンス」のスピーカーは使用していない。その結果、約6時間23分動作させることができた。この動作時間はバッテリーパック「PSP-280」を利用した時よりも1時間ほど長い。外部バッテリーとしての性能もバツグンだ。
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詳しい仕様は不明だが、スピーカーの直径は約32mmとなっている |
さて、最後は気になるスピーカーの具合をチェック。「シアターエクスペリエンス」には、自らのバッテリーで動作するアンプが内蔵されており、左スピーカーのサイドに用意された「AMP」スイッチをONにすることでスピーカーから音が出力されるようになっている。乾電池を用意する必要が無いというのは嬉しいポイントだ。音量調整機能は搭載されていないため、音量の調整はPSPで行なうことになる。
音のチェックには「リッジレーサーズ」のサウンドトラックを使用した。このサウンドトラックに収録されている曲は、高音から低音までを満遍なく織り交ぜたテクノ調の曲が多く、特に低音が弱いPSPの内蔵スピーカーとの比較には丁度良いという感じだ。
はじめに、塩をまいた薄いプラスチック板をスピーカーから5mm程度離れた位置に当てて、塩の動き具合で低音と音量の比較をチェックするというテストを行なってみた。まずはPSPの音量を最大にし、下部にあるスピーカー用の穴へプラスチックの板を当てて約5分の曲を再生してみたが、塩はビクともしない。
次に、PSPを「シアターエクスペリエンス」へ接続して同様のテストを行なってみたところ、プラスチック板の上にある塩は、「ズンズンズン!」という低音のリズムに合わせて小刻み踊りだした。さらに塩が1cmほどジャンプするといった場面も見られ、 曲の再生が終わった頃には塩の山はすっかり崩れてしまった。
この結果からもわかるとおり、「シアターエクスペリエンス」ではPSPの内蔵スピーカーのように低音が抜けてしまうようなことはなく。ウーファを搭載していないスピーカーシステムにしては低音もそこそこ出ているという感じだ。もちろん、音量に関しては雲泥の差がある。「シアターエクスペリエンス」で最大音量にすると、近所迷惑になるのではないかというほどの音が響きわたる。ただし、音割れが時折みられたので80%程度に抑えておくべきであろう。
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PSPの内蔵スピーカーでは塩の山は崩れない。「シアターエクスペリエンス」の場合はご覧のとおり |
高音域については少々歪み気味という印象。たまにキンキンと耳に響くことがあり、大音量で長時間聴いていると少し疲れてしまうかもしれない。また、若干音がこもっているように感じたのだが、その原因のひとつとして、PSPの背面にスピーカーが位置しているということが考えられる。試しにPSPを倒してみたところ、少しだけ音が鮮明になったのだ。動画を視聴する時にはムリな話だが、音楽を聴くときはPSPを倒しておくのも良いだろう。
さらに良い音で動画を楽しみたいのであれば、本連載第33回の後半でレポートした、プリンストンのスピーカースタンド「PSP-MSSH」をオススメしたい。外部バッテリーやケースとしての機能は無いが、ステレオスピーカーに加えてサブウーファも備えているため、当然のことだが低音の響きは「シアターエクスペリエンス」を大きく上回る。また、高音域もしっかり伸びており、低音域から高音域までバランスの良い音を聴くことができる。
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写真左がスピーカースタンド「PSP-MSSH」、右が「シアターエクスペリエンス」だ |
「PSP-MSSH」は「シアターエクスペリエンス」に比べて横幅が広いものの、重量は約430gと約136g軽い |
サブウーファで比較するのは酷だが、「シアターエクスペリエンス」と同条件で“塩”テストを実施。塩がこぼれ落ちるほどの力強い低音を楽しめる |
「シアターエクスペリエンス」では耳に疲れを感じることがあったが、「PSP-MSSH」は迫力が感じられる強い音作りとなっているにもかかわらず、全体的に“やわらかい”という印象。大音量で聴いても耳が疲れることは無く、音質だけを重視するのであれば「PSP-MSSH」を選ぶのがベストだ。持ち運びの利便性とセッティングの容易さ、そしてバッテリー駆動時間を延長したいというのであれば、「シアターエクスペリエンス」をチョイスして頂きたい!
● PSPのゲームや機能、サービスを思い存分楽しむためのグッズ!
これから年末にかけて、数多くのPSP用ソフトが発売される。「今は32MBのメモリースティック デュオしか持ってないし、セーブデータやダウンロードコンテンツのやりくりが大変になりそうだなぁ~」と思っていた方にとっては、「PSP-MP1G」の登場はベストタイミングかもしれない。また、セーブ時間が短縮されるため、ゲームプレイも若干快適になるハズだ。
さらに、記録容量が増えれば音楽や動画ファイルを存分に詰め込むことが可能になるわけで、PSPの使い道がさらに広がり、利用頻度も高まるかもしれない。と同時に、バッテリーの消費量も増えてくることだろう。しかしながらその問題も、バッテリーパック「PSP-280」を利用することで、緩和させることができる。「PSP-MP1G」と「PSP-280」が同時に発売された意味が少しわかったような気がした研究所員であった。
メモリースティック PRO デュオの転送速度に関しては、従来から販売されている512MBの「MSX-M512S」と今回発売された1GBの「PSP-MP1G」はそれほど差は無かった。現在、「MSX-M512S」の価格は家電量販店で6,980円程度となっており、「PSP-MP1G」よりも3,000円ほど安く購入することができる。なるべくコストをかけずにセーブ時間の短縮だけを図りたいというのであれば、「MSX-M512S」を購入するのもアリだろう。
ただし、動画配信サービスを思い存分利用したいというのであれば、1GBの「PSP-MP1G」をオススメしておきたい。現在ソニーコミュニケーションネットワークが運営している「Portable TV」では、PSPで視聴することができる2時間程度の映画を配信されているのだが、ファイルサイズが512MBを優に超えている。今後、PSPに対応した動画配信サービスがいくつか登場する予定となっており、コンテンツによっては512MB以上のファイルをPSPへダウンロードする必要がでてくるかもしれない。もちろん、30分程度の動画であれば512MBでも十分だし、ビットレートを調整してサイズを抑えたファイルも合わせて用意される可能性もあるので一概には言えないが、懐に余裕があるなら「PSP-MP1G」を選んでおいたほうが安心かな? と感じた次第である。
当研究所では、みなさんに取り上げてほしいネタなどを随時募集する。ドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部) → game-watch@impress.co.jp ←
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□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.playstation.jp/
□NYKOのホームページ (英語)
http://www.nyko.com/
(2005年11月8日)
[Reported by ゲーム環境向上委員会]
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