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ガンホーとジー・モード、資本提携に関する共同戦略説明会を開催
両社コンテンツを対象にしたゲームポータルビジネスを共同展開

7月25日開催

会場:帝国ホテル

 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と株式会社ジー・モードは、7月25日都内ホテルで、両社の資本提携に関する共同戦略説明会を開催した。発表会には、ガンホー代表取締役社長森下一喜氏、ジー・モード代表取締役社長宮地武氏、ガンホー代表取締役会長孫泰三氏、ジーモード代表取締役副社長石原義彦氏の4名が出席。10月を目標に設立が予定されている合弁会社の事業内容について概要説明を行なった。

参加者は投資会社やアナリストが中心だった
左からガンホー森下社長、同孫会長、ジーモード宮路社長、石原副社長
業務提携後の抱負を語ったガンホー森下社長。収益機会と収益率の向上を目的としていることを強調
ジーモードの宮路氏は、ゲームの枠を超えたマルチプラットフォーム展開を構想しているようだ
 本日の説明会の内容は、7月21日に発表された合弁会社の設立を前提とした両社間の業務提携を、投資家やアナリストに対して説明し、質疑応答を受けるというもので、具体的な事業計画や、ゲームを中心としたコンテンツの内容などは明らかにされなかった。

 今回の両社間の業務提携の内容をかいつまんで紹介すると、ジー・モードが7月21日に実施した第三者割当増資の全株(22,467株)をガンホーが引き受け、発行済み株式総数の19.9%を占める筆頭株主となり、共同事業を実施するための提携委員会を設立。主要共同事業の一環として両社が共同出資する合弁会社を10月末を目処に設立する、というもの。

 合弁会社の事業内容については、インターネット上の総合エンターテインメントポータルサイト、いわゆるゲームポータルの運営と、携帯電話やPCを主対象としたゲームコンテンツの新規開発などを挙げている。すでにガンホーとジー・モード宮地武氏の実兄である宮地洋一氏が代表取締役社長を務めるゲームアーツとはすでに提携関係にあり、今回の業務提携により、3社の間で強力なトライアングルが成立したことになる。

 説明会では、まず最初にガンホー森下氏が登壇し、両社の共同戦略の目的について紹介した。森下氏は、両社のこれまでの取り組みを簡単に紹介した後、「オンラインゲームナンバーワンカンパニーのガンホーと、携帯コンテンツナンバーワンカンパニーのジー・モードが提携することは、M&Aとして理想的なタイアップである」と自画自賛したあと、「オンラインゲームとケータイゲームの融合により、両社の企業価値を高め、新たな価値を提供できる」と業務提携のメリットを強調した。

 ガンホーとしては、合弁会社設立を機に、ワンソースマルチユース戦略を積極的に推し進め、共に100万人を超える顧客を持つメーカー同士がタッグを組むことで、会員母数の極大化と顧客単価の向上を狙い、安定した収益基盤の確立を目指していく。

 森下氏はモデルケースとして、「ラグナロクモバイル」を取り上げ、携帯コンテンツで稼いだお金を、PC向けMMORPG「ラグナロクオンライン」に転送して利用できるという例を紹介。ただ、説明会に参加していたアナリスト、投資家は、実際のゲームを知らないためか、理解度はいまひとつだったようだ。我々ゲームメディアとしても、チャネルの増大が即顧客単価の向上や収益の安定化に結びつくかというと懐疑的にならざるを得ない。いずれにしても、やはり具体的なビジネスプランの発表が先だろう。

 合弁会社については、主要事業のひとつであるゲームポータル運営を取り上げ、両社が目指すゲームポータルのあり方の一例として、「Stay Time」を最大の価値判断基準にするという。つまり、ページビューやユニークユーザー数ではなく、滞在時間の長さこそが、収益機会の向上に結びつくという考え方である。

 合弁会社が運営するゲームポータルは、単にゲームコンテンツが軒を連ねるポータルサイトではなく、将来的にはさまざまなエンターテインメント企業との提携や買収をテコに、インターネットを介した強大なメディアになることを最大の目標に掲げている。

 森下氏に続いて壇上に上がった宮路氏は、「すべてのネットワークデバイスでデジタルエンターテインメントを提供していく」と抱負を述べ、今回の業務提携により、コンテンツの提供先を、携帯のみに留めず、PCやTVにも広めていくという壮大なプランを紹介。

 合弁会社の設立については、携帯コンテンツが、電車での移動時や待ち合わせの時間など、すきまの時間に楽しめるエンターテインメントという特性を紹介。宮地氏によれば、拘束時間の長いオンラインゲームと、すきまエンターテインメントの携帯ゲームを同一ポータル内で取り扱うことにより、「もっとゲームが楽しめるようになる」という。PCプラットフォームと携帯プラットフォームの雄がタッグを組むことにより、どのようなエンターテインメントが創造されるのかが注目されるところである。

 今回の発表で個人的に印象に残ったのは、両社の合弁会社に関する微妙な温度差である。ゲームポータルスタート後の、既存サイトの取り扱いについて、ガンホーは“併存”、ジー・モードは“統合”としている。対象プラットフォームについても、ガンホーはPC、携帯、家庭用ゲーム機といったゲームプラットフォームにこだわっていたのに対し、ジー・モードは、TV、iPod、HDDレコーダーなどなど、確定事項ではないとはいえ、ゲームプラットフォーム以外のデバイスにまで関心を示している。

 これは、ガンホーの業務がオンラインゲームの運営開発、つまり純粋なゲームメーカーであるのに対し、ジー・モードは多種多様な携帯コンテンツを取りまとめて各キャリアへ配信していくコンテンツプロバイダーという立脚点の違いから出たものと見られる。離合集散が進むゲーム業界において、今回の両社の業務提携が、オンラインゲーム市場にどのような変化をもたらすのか、大いに注目されるところだ。

合弁会社の事業概要と今後のビジョンを示したスライド。宮路氏によれば、ゲームポータル事業における携帯コンテンツ配信は、キャリアの規制に依存しない“勝手サイト”的な展開もあり得るとのこと

□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.jp//
□ジー・モードのホームページ
http://www.g-mode.co.jp/
□関連情報
【2005年1月20日】ガンホー代表取締役社長森下一喜氏特別インタビュー
2005年以降の新しい事業戦略を語る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050120/gungho.htm

(2005年7月25日)

[Reported by 中村聖司]



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