★PCゲームレビュー★
最新作は司令官にもなれる究極の戦争ゲーム
意欲的な新システムはチームバトルを加速するか?
バトルフィールド 2 |
|
|
多くのPCゲームファンが待ち望んでいたアクションシューティング「BATTLEFIELD 2」がついにリリースされた。7月7日が日本版の公式な発売日だったが、それより前の早い段階で並行輸入版をゲットした人も多いようだ。「バトルフィールド2」を手にして、寝食を惜しんでプレイし続けている人もさぞかし多いだろう。筆者もその1人だったりする。というわけで今回はこの「バトルフィールド2」のレビューをお届けしたい。
■ 「バトルフィールド1942」シリーズから何が変わったか?
本作の元祖である「バトルフィールド1942」は、誰もが認めるチームベース・コンバットアクションの傑作。歩兵あり、戦車あり、戦闘機、ヘリなどもプレーヤーが操作できるという、いわゆる「マルチフォーム・FPS」の先駆けだ。「バトルフィールド1942」が登場した2001年当時は、チームベースのFPSアクションゲームといえば皆が同じ兵士として戦うものが主流で、プレーヤーが操る兵器として戦車でも爆撃機でもなんでも使えてしまうという自由度の高い「戦争ごっこ」ぶりには驚嘆させられたものだ。旗で示される場所の占拠、という基本のゲームルールも非常にゲームデザインにマッチしていて、手軽でありながら奥深いゲームプレイを実現していた。
そういうわけで「バトルフィールド」シリーズは、アクションファンの大きな支持を集め、一気にPCゲーム界のメインストリームの1ジャンルを形成した。最初の「バトルフィールド1942」が発売された後、いくつかの拡張パックや「バトルフィールド:ベトナム」などの続編もリリースされてきたが、それらはいわばマイナーチェンジ。本流の、根本から作り直された真の続編がこの「バトルフィールド2」というわけだ。それだけに、「バトルフィールド」シリーズを体験したPCゲームファンから長らく熱いまなざしを注がれてきたタイトルである。
|
|
オープニングムービーはすべてゲーム内のシーンで構成されている。兵器のディティールがすばらしい
|
・舞台は現代へ
本作の舞台は前作から一気に60年以上を時代を飛び越えて現代戦となった。正確には近未来の設定なのだが、登場する兵器は米軍の「M1A2エイブラムス」やロシアの「T-90」など、現代の世界の軍隊で実際に使われている兵器がモデルとなっている。当然ながら戦闘機もジェット機となり、前作のレシプロ機とは比べ物にならない速度で飛び回るため、空のゲーム性も劇的に変化している。当然、戦車や戦闘機だけではなく、ホバークラフトやジープも含めた30種類以上の乗り物が操作可能だ。
これにともなって、戦場も現在進行形で「熱い」地域である中東、そして中国が採用されている。プレーヤーが操作可能な陣営はアメリカ軍、中東連合(MEC)、人民軍。太平洋戦争を舞台のひとつとしていた前作と異なり、日本軍(自衛隊)が完全に蚊帳の外になってしまったのは、個人的にはちょっとだけ寂しいところだ。
・部隊と司令官システム
本作ではまったく新しい要素である「部隊」と「司令官」の両システムが導入された。これはチームベースのプレイを大きく促進し、従来のFPSとはまったく違う遊び方を実現するシステムだ。ゲームに参加できる最大プレーヤー数は64人だが、この中でプレーヤーはゲーム中に最大6人の部隊を組むことができる。「司令官」の役となったプレーヤーは部隊を戦術単位として指揮し、命令を与え、物資を支援し、時には砲撃支援まで行なうという重大な役割を担う。
司令官はストラテジーゲームのような見下ろし型の「神の視点」を持っていて、マップ上のすべての味方の位置や敵の位置を知ることができる。これをもとに、司令官は奪取すべき旗の地点を指定したり、敵の集中する地点に砲撃を加えたりしてチーム全体を統率・支援していくわけだ。各部隊のプレーヤーは、司令官の命令をヒントにして戦闘を行なっていく。
これらのシステムが実現したことで、戦場に立って敵を直接倒すのではなく、物憂いオフィスにいて、ボタンひとつで大勢の運命を決する、そんなプレイが可能になったわけだ。これは本作の最大の特徴と呼んでいいかもしれない。
・刷新されたゲームエンジン
スクリーンショットを見ていただければ説明するまでもないが、本作のゲームエンジンは完全に新しいものとなっている。まずグラフィックスだが、キャラクタモデルのディティールはもちろん、戦車や戦闘機などの兵器類も非常に高品質の3Dモデルで再現されている。戦場となるフィールドのグラフィックスも文句なしの出来だ。
また物理エンジンも格段に強化された。物理エンジンというと、爆風で吹き飛ばされる兵士のリアルな動きに目が行きがちだが、それ以上に遮蔽物の処理が格段に向上しているようだ。つまり、薄い木の壁であればライフル弾は貫通し、隠れていてもダメージを受けるし、また、コンクリートの壁などはライフル弾を防ぐが、戦車砲は防げず、壁の裏にいても爆風でダメージをうけるといった按配だ。これは前作の戦い方とはまた違った方策を要求する重要なポイントである。
必要スペックも大変なことになっている。まず、本作の動作には、公式には「256MB以上のビデオメモリを搭載したビデオカードが必要」となっている。一応、128MBのビデオメモリでも動作することはするのだが、起動時に警告が表示され、ゲームに入ると、ときどきテクスチャが抜けたりする現象が起こる。また本作はWindows 2000以前のOSでは動作保障がない。一応動くのだが、最初のゲーム起動時にサポート外である旨が表示される。これが今後のパッチなどで改善されるか、あるいはまったく動かなくなることもありえるのか、わからないが、まだWindows 2000やそれ以前のOSを使っている方は、本作を機にWindows XP以降のOSに移行してしまうのも一計かもしれない。
|
|
|
ローディング画面でマップの概要を確認できる |
空陸入り乱れて戦う内容は継承されている
|
基本的な画面要素も継承されている。前作経験者なら迷うことはないだろう
|
|
|
|
前作に比べて都市内部のフィールドが多く、接近戦がよく発生する |
兵器もそうだが、マップの質感、ディティールも見事
|
ショートカットキーにより、簡単な内容の通信を即座に行なえる
|
|
|
|
各陣地にある「旗」を占拠する基本ルールは健在 |
新しい「司令官モード」では見下ろし視点で作戦を遂行する
|
「司令官」モードの視点では、全体の戦況を把握することができる
|
■ 基本ルールは旧作を踏襲。現代兵器の織り成す戦場は今まで以上に過酷?
|
64人マップは非常に広大。乗り物の活用がより重要になった
|
|
障害物の多い直線的な地域では支援兵の軽機関銃が非常に役立つ。画面は弾幕を張っているシーンだ
|
・チームの勝利条件は「陣地」と「チケット」
さて、本作の基本的なルールは旧作と同様、ゲームに参加したプレーヤーは2つのチーム(たとえば米軍VS中東連合軍)に別れ、それぞれがマップ内に配置されている陣地(に関連付けられた「旗」)を占拠しあうことでゲームが進行していく。
双方のチームには「チケット」と呼ばれるチーム全体で共有するポイントが割り振られており、参加している各プレーヤーは、陣地から再出撃するたびにこの「チケット」を1ポイント消費する。つまり、敵に倒されたり、自爆したりして死亡すると、1ポイントのチケットがチームポイントから差し引かれるわけである。
各チームには初期状態でマップやサーバーの設定によって100~300ポイント程度のチケットが割り振られ、戦闘が継続するうちに磨り減っていき、先にチケットがゼロとなったチームが敗北する。また、半数以上の陣地を占領されてしまったチームのポイントが自動的に磨り減っていくルールや、すべての陣地を失うと即敗北となるルールが採用されているマップもあるが、とにかくプレーヤーの目標は「なるべく多くの敵を倒し、できるだけたくさん陣地を占領して維持すること」と考えればよいだろう。
基本的なルールは以上だが、このあたりは前作とまったく変わったところはない。それだけ完成されたシステムということだろう。この点に筆者も文句なしである。
・スケーラブルな設計になったマップシステム
そして本作では最大プレーヤー数が64人となり、最大32人が主流だった前作に比べてマップの大きさがスケールアップしている。
本作のマップに関しての最大の特徴といえば、なんといってもゲームに参加するプレーヤーの人数に応じて、マップの戦闘範囲を変更できる点だろう。各マップは、本来は64人でプレイするための広大なフィールドと、6~10個の陣地からなっているが、それ以下の人数でプレイするときにマップが広すぎて閑散としたゲームにならないよう、サーバーの設定に応じて、64人用のフィールド範囲、それより少し狭い32人用の範囲、さらに狭い16人用の範囲が選ばれるようになっている。
これにより、おおむねサーバー内の人数に応じたフィールドの広さでプレイできるため、まったく敵に遭えないような過疎状態とか、はたまた隠れる場所もないほど敵味方であふれているような過密状態を強いられることは少なくなった。この設定は基本的にサーバー管理者が行なうので、極端な話、64人サーバーでありながら16人用のフィールド範囲を強制することもできてしまうが、そのあたりは良識におまかせしたいところだ。
・現代戦になっても基本的なゲームプレイは継承、しかし新しいクラスも!
本作を見てまず目を引くのが現代戦をモデルにした兵器の数々だろう。本作では実在の3つの地域をモデルにした兵器群が登場する。まずアメリカ軍、そして中東連合軍、中国人民解放軍である。
この3つの陣営は、当然皆異なる装備を持っているが、その性能はおおむね同じになるよう作られているようだ。
たとえば突撃兵の装備を見てみると、アメリカ軍はM-16、中東連合軍はAK-47の改良型であるAk-101、人民解放軍は同じくAK47のライセンス生産版である56型アサルトライフルといった按配。M-16は現実のものと同様にフルオート射撃はなく、3点バーストかセミオートの選択となる。Ak47系はフルオートとセミオートの選択制。双方とも威力や精度に大きな違いはなく、アクションゲームとしてうまくバランス調整されている印象だ。また、双方ともに突撃兵の共通装備としてグレネードランチャーを装備しており、その威力や使い勝手はほぼ同じと見ていいだろう。
戦車や装甲車、戦闘機、ヘリコプターなども同様で、各陣営ごとに主力戦車、兵員輸送/支援装甲車、ジープ、バギー、戦闘ヘリ、輸送ヘリ、ジェット戦闘機、ジェット攻撃機といった構成が用意されている。ただし細部の違いは存在するため、慣れない陣営をプレイするときは新鮮な体験をすることもあるだろう。すべての戦車や装甲車、戦闘機などはそれぞれ異なった操縦席グラフィックスを持つため、その違いを楽しむのもまた味わいがあるものだ。
歩兵のクラスも前作をほぼ踏襲するものだが、かつて偵察兵だったものは「狙撃兵」となり、実際の任務を正確に反映するクラス名となった。また、まったく新しいクラスとして「特殊兵」が導入された。各クラスは装備で異なるほか、本作で導入された移動方法「ダッシュ」(体力が続く限り高速に走る)を使える時間が違うなどの性格付けがある。
本作で使えるクラスは以下の7つ。
●特殊兵
前作にはなかった性格のクラス。サイレンサーつきの小口径ライフルを装備した特殊部隊の隊員で、軽装であるため長時間ダッシュすることができる。特殊装備としてリモコン起動のC4爆弾を持っており、敵地深くに潜入して罠を仕掛けたり、敵司令官の機能を提供しているレーダーや砲台の破壊ミッションをおこなう。
●突撃兵
グレネードランチャーつきのアサルトライフルを装備した、正面戦闘の主力。近距離~中距離の対歩兵戦闘はこのクラスが最強。グレネードランチャーをうまく使えば軽装甲の車両も破壊できるし、密集した敵歩兵をまとめて倒すこともできる。どんな状況でも使えるクラスである。
●狙撃兵
前作では偵察兵と呼ばれていたが、本作ではスナイパー任務に特化した。主装備はスナイパーライフルで、その名のとおり遠距離から敵歩兵を狙撃することを主任務とする。本作ではスナイパーライフルの威力がそれほど高くないので、毎度「一撃必殺」とはいかないが、うまい位置取りを決めることができればキル数トップも十分射程内にあるクラスだ。キャンプポイントを守るために対人地雷を携行する。よくイモムシなどといわれるが、気にしない。
●援護兵
分隊支援火気(軽機関銃)を装備した兵で、中距離からの弾幕を張り、敵の活動を阻害することを主任務とする。M249やRPK-74といった本来は非常に強力な軽機関銃を使うので一見するとパンチ力もありそうだが、本作では攻撃力がかなり抑え目。ただし100発以上もリロードなしに射撃を続けられる弾幕の威力は兵力密集地で真価を発揮する。重要ポイントとして、他のプレーヤーや車両に弾薬を補給できるのはこのクラスのみだ。
●工兵
ほとんど護身用に装備しているようなショットガンと、対車両の地雷、そして何でも直すスパナを装備。本作では車両に工兵が乗っていると、近くにいる別の車両が自動的に修理されるようになったので、戦車や装甲車がグループ単位で密集行動をおこなうことで非常に粘り強く戦えるようになった。車両だけでなく、司令官用の設備を修復することも工兵の大事な任務だ。
●衛生兵
衛生兵はアサルトライフルを装備し、グレネードランチャーこそないものの、対歩兵戦闘では突撃兵に次ぐ能力を持つ。というのも、衛生兵は前線でダメージを受けた味方に応急処置を施し、倒れた味方を蘇生することが主任務なので、前線に出張って戦うことが必要になるからだ。蘇生は前作にない特徴で、銃弾で倒されて負傷した味方を一瞬で全快させることができる。しかし爆撃や砲撃で吹き飛んだ味方は即「死亡状態」となり蘇生できない。
●対戦車兵
前作同様、敵装甲車両を破壊することが主任務。装備は護身用のサブマシンガンと、対戦車ミサイルとなっている。本作の対戦車ミサイルはなんと手動誘導が可能で、しっかり狙えばかなりの遠距離からでも命中させることができる。しかしあまり極端な動きはしてくれないので、移動目標に対してはある程度の先読みは必要だ。対戦車ミサイルの携行弾数は6発で、2発でたいていの敵車両は破壊できるため、うまく立ち回れば2~3両は相手にできる。
・歩兵火気の攻撃力は抑え目。頭を狙え!グレネードランチャーで吹っ飛ばせ!
本作をプレイすると、歩兵のライフル類やサブマシンガンの類の攻撃力がかなり控えめなことに気がつく。突撃兵の装備するアサルトライフルでも、敵の胴体に当てる限り、5、6発は撃ち込まないと倒せない。このあたり「Counter-Strike」など他のミリタリーFPSとは違ったバランスになっているので、多少の違和感を感じる方もいるかもしれない。しかし、きちんと頭に当てていけば1、2発でしとめることができる。ライフルを使うとき、敵が近距離でない場合はセミオート射撃でしっかり頭を狙っていくことが戦闘効率を上げる基本になるだろう。もちろん、接近戦ではフルオート射撃で弾幕をぶつけるほうが効果的なので、状況に応じて切り替えていこう。
スナイパーライフルも同様で、胴体に命中させる限りは何発も必要になるので頭を狙いたいところだが、遠距離で、しかもちょこまかと動き回る敵の頭部だけに命中させるのは至難の業。むしろ胴に確実に当てて、敵の体力を削ることに主眼を置いたほうがよいかもしれない。
銃の攻撃力が控えめなかわりに、歩兵戦で非常に使いでがあるのが突撃兵のグレネードランチャーだ。他のクラスが装備する手榴弾よりは直接の攻撃力は下がるが、グレネードが近距離~中距離ではかなり直進性のある弾道を描くため非常に当てやすい。ほぼ直撃させることができれば一撃で倒すことができるし、爆風もある程度はあるので、曲がり角や障害物の裏など、敵が密集している地点にうまく命中させれば、2~3人をいっぺんに吹き飛ばすことも可能だ。慣れれば中程度以上の距離でもかなり正確に当てていくことができる。
さらに、銃で倒した敵は「負傷」状態となるため、近くに衛生兵がいると蘇生させられてしまう点も大きい。敵歩兵の集団を相手にしていて、物陰に衛生兵が隠れていてこそこそと倒れた兵士の蘇生を繰り返すようなとき、同じ敵を連続して3回も5回も射殺するはめに陥ることがよくある。そんなときはグレネードで吹っ飛ばして、一気に「死亡」状態にさせてしまえば完了だ。
また、グレネードランチャーはジープやバギー程度の車両なら一撃で破壊できるので、戦車や装甲車以外を相手にするなら非常に心強い。慣れてくると、突撃兵をプレイするときのキル数は、半わかそれ以上がグレネードランチャーによるスコアになるほどだ。
・戦車と装甲車は集団行動で真価を発揮する
戦車の主砲は敵装甲車両に対して最強の武器であるほか、敵の歩兵を吹っ飛ばす使い方でも非常に強力だ。銃撃と違い、砲撃で倒した敵は蘇生できないため、敵兵力を確実に削り取る手段として戦車の価値がさらに向上している印象がある。戦車だけでなく、装甲車の主砲も敵歩兵を倒しまくるのに好都合だ。装甲車の主砲は連射が利く上に、ちゃんと直撃させれば歩兵はほとんど一撃で倒せる。
しかし対戦車兵の持つ対戦車ミサイルが誘導可能になったため、ちょっとした隙に直撃をうけて大破する機会も増えた。前作では歩兵の持つ対戦車ロケットなんてものは多少動けば避けられたものだが、今回はそうもいかない。対戦車兵から3秒以上狙われたら、確実に食らうと考えるべきだろう。さらに、戦車の主砲の旋回速度がわりと抑え目になっているので、死角が生まれやすい。したがって、複数の車両でチームを組んで、死角を作らないように戦線を押し上げていくような戦術がきわめて重要となった。また、車両に工兵が乗っていれば、近隣にいる車両が自動的に修理されるシステムつきなので、なおさら集団行動が必要だ。単独で行動するときは、なるべく遠距離からチクチク戦うようにするべきだろう。
・ジェット戦闘機の爆撃は強烈。ほとんど天災
本作では航空機がついにジェット化したわけだが、当然速度が速い。モーレツに速い。フィールド全体を横断するのに5~10秒もあれば事足りる。前作のレシプロ戦闘機なら、対空兵器で狙いをつけて撃墜するくらいの余裕はあったものだが……。地面から空を眺めていると、なにやら爆音ととおもに霧のかなたからギューンとやってきて、狙いをつけるまもなく爆弾を落とし、気がついたらもう見えないくらいの印象だ。陣地周辺に対空ミサイルの固定台座があり、これで一応迎撃することはできるものの、かなり運がよくないと撃墜は不可能。対空ミサイルは対ヘリ装備と考えるべきだろう。
当然、戦闘機を操縦している側のプレーヤーも、はっきり言えば、個別の車両や歩兵に狙いをつけるヒマなんてない。フィールド上空を一回通過する間に、敵がたくさんいる場所と地形のアタリをつけて、はるかかなたで旋回して再度その上空を飛び、爆弾を投下して飛び去る、の繰り返しとなる。その分、戦闘機の持つ爆弾は相当な威力。密集した装甲車両の2、3台程度ならいっぺんに吹き飛ばしてしまうこともある。戦闘機側にはちゃんと狙う暇もなく、爆撃される側も避ける暇なんてないので、やられる側としては、これはもう天災みたいなモノとしてあきらめるしかない。しかし、上手な戦闘機乗りは装甲車両をピンポイントで攻撃できるので大変な脅威でもあるわけで……難しいところだ。
|
|
|
グレネードランチャーを活用してうまく立ち回れば、一度に複数の敵を相手にしてもなんとかなる |
激しい銃撃戦の末、できあがった敵の死体の山
|
軽車両を迎撃するにもグレネードランチャーが活用できる。これはちょうど直撃させたところ。直後に爆発
|
|
|
|
陣地の近くにはたいていこのような固定砲座がある。戦車を破壊できるものもあれば、対空専用のものも |
これは対空用の固定砲座の視点。ヘリに対してミサイルをロックオン
|
そして撃墜。歩兵の携帯火気ではヘリを相手するのは難しいので、活用したい
|
|
|
|
装甲車の主砲は、基本的に歩兵狩りに使用する。戦車相手だと分が悪い |
車両は基本的にまとまって行動したほうがよい。工兵がいるならなおさら。かっこいいという特典も!
|
スナイパーは位置取りがよいと、このように一方的に攻撃できる
|
■ チームプレイが大幅に進化したシステム。司令官モードで知的に楽しむ!
|
指揮官モードの「スキャン」コマンドを実行。赤い点が敵。短時間だがすべて把握できる
|
本作の最大の特徴は、なんといっても「部隊」と「司令官」システムだ。陣営内のプレーヤーがいくつかの小隊にわかれて集団行動をとるシステムは「Joint Operations」などでも存在したが、本作ではそういった部隊システムの上位に、全体を指揮する立場である「司令官」が存在し、しかも、他のプレーヤーとはまったく違う視点でプレイできるものになっている点が出色である。
まず「部隊」のシステム。ゲーム中、プレーヤーは任意に部隊を創設したり、参加することができる。ひとつの部隊は最大6名で、これがアルファ、ブラボー、デルタ、チャーリーといった名前で分けられ、部隊に参加したプレーヤーには同じ部隊のプレーヤーがミニマップアイコン上で色分け表示されるので識別が可能となる。筆者がプレイした経験では、64人サーバで32対32程度の状態になっているとき、常に3~4個の部隊が活動していることが多かった。部隊長は部隊員に攻撃や防御指示を出すことができ、これもまたミニマップ上に表示されるので、部隊単位の協調プレイが非常にしやすくなっている。
そして司令官だ。司令官には陣営で1人だけ就任することができる。基本はマップ開始時の立候補で、複数の司令官候補が立候補した場合は、階級の高い者が優先されるという仕組み。司令官は戦場を上空から見下ろした神の視点を持ち、敵味方の配置を正確に知ることができ、かつ、支援物資を好きな地点に投下し、さらに支援砲撃を行なうことができる。プレーヤーの1人として、泥にまみれて戦う一般兵とはまったく違う役割を演ずるのである。
司令官になったプレーヤーは、デフォルトでは「Capslock」キーで司令官画面を呼び出せる。この画面は戦場を上空から見下ろした視点のストラテジーゲームのような画面で、司令官はここですべての味方の位置を見ることができる。司令官はこの画面で以下の特殊アクションを実行できる。
●スキャン
戦場全体を走査し、その時点の敵兵の位置をすべて表示する。表示は一定時間でフェードアウトする。フィールド上のレーダー施設が生きている必要がある。
●砲撃支援
任意の地点に曲射砲による砲撃を加える。着弾までには発令から十数秒かかる。フィールド上の砲台施設が生きている必要がある。
●範囲偵察
任意の地点を中心に円形の範囲を一定時間索敵する。索敵された情報はすべてのプレーヤーのミニマップ画面上で共有される。フィールド上のUAVトレーラーが生きている必要がある。
●物資投下
任意の地点に補給物資を投下する。物資に兵が近づくと、衛生兵の治療・工兵の修理・支援兵の弾薬補給と同じ効果がある。これは敵も利用できるので注意が必要。
またこの画面は、編成されている各部隊に対して指揮命令を出すインターフェイスにもなっている。司令官は画面左の部隊リストから任意の部隊を選び、マップ上の地点を指定して、攻撃・防御・移動・偵察などの命令を出すことができる。命令を受けたプレーヤーがそれに従うか否かは自由意志に任されるが、戦場全体の状況を把握しているのは司令官だし、ともかく勝手に行動するよりは指示に従ってみて、そこから何か意義を見出すことでプレイに奥行きも出ることだろう。
司令官の基本的な仕事は、マップ全体に散らばる敵味方の兵力をよく把握し、攻撃や防御が必要な適切な地点に味方の部隊を誘導し、支援することだ。「スキャン」によって、すべての敵の配置を一時的にでも知ることができるのは司令官だけなので、これは各部隊長といえども絶対に不可能な仕事といえる。
また司令官は、物資を投下することで戦線に補給を供給することができる。フィールド上に落下した物資は、そばにいる兵士や車両に対して弾薬の補給のほか、治療や修理の効果を継続的に与えるので、戦線ちかくに配置してやると部隊が有利に戦えるようになるし、無駄な消耗をいくらかでも抑えることができる。
しかしなんといっても、司令官をやっていて最高に爽快なのは砲撃。これにつきる。開けた地形なら、砲撃地点の半径十数メートルの範囲にいる歩兵は完全に吹っ飛ぶ。うまく敵の密集地点に砲撃することができれば、一回の砲撃で10人以上の敵兵を戦闘不能にすることも可能だ。思わずガッツポーズをとりたくなる瞬間である。
まあ、こういった司令官プレーヤーのルーチンは、まず戦場全体をスキャンし、敵の集中しているポイントがあれば範囲偵察を行ない、その上で、攻撃あるいは防御かを各部隊に指示し、同時に、敵の密集地点に対して砲撃を加える。味方の要請があれば物資投下を行なう。このようになるだろう。
司令官が行なう各特殊アクションは、フィールド上に配置されている各施設がバックボーンになっている。砲台やレーダーやUAVトレーラーだが、これらの施設は各陣営の本陣近くに配されているものの、特殊兵の持つC4爆弾で破壊が可能で、つまり標的となる。これを破壊されてしまうと、砲撃ができなくなったり、戦場スキャンができなくなったりと司令官たる能力が殺がれてしまうので、ときどき本陣近くの状況も把握するように努めたい。また、破壊されても工兵で修理が可能なので、司令官自ら工兵をやり、適宜自分で修理するという自給自足体制を基本にするとよいだろう。あるいは一般兵をプレイするとき、敵の砲撃があまりにきつかったりするなら、特殊兵になって敵施設を破壊しにいくと非常にチームのために役立つだろう。
筆者はとにかくこの司令官モードにはまってしまい、ついつい時間を忘れてプレイしてしまった。味方がある程度陣地を取り、スコア的には勝っているというとき、さらに攻勢に出て止めをさすか、それとも防衛に徹してポイント勝ちを狙うか。この大局的な判断ができるのは、唯一司令官だけなのである。敵兵を打ち倒すだけでなく、チーム全体をコントロールし、戦略的に勝利を目指していくプレイ、という解説にワクワク感を感じる人ならば、間違いなくハマるものだと断言する。1チーム1人しかプレイできないのが残念なほどである。
|
|
|
範囲偵察を指定すると、このように敵アイコンが表示される。密集しているところに砲撃要請を…… |
……と、このように一網打尽。爽快な瞬間だ
|
このように敵が分散した状況では、なかなか打つ手を決めることができない。難しいところだ
|
|
|
|
レーダーサイト。これが破壊されると「スキャン」機能が使用不可となる |
UAVトレーラー。これが破壊されると範囲偵察が不可能になる
|
砲台。砲撃要請を出すとドッカンドッカン砲撃を始める。C4で破壊可能
|
■ 新しいユーザーインターフェイスとプレーヤーランキング機能に物申す
|
問題のサーバーブラウザ。信じられないほど重いので、「JP」を検索ワードにして絞り込みをするなどの一工夫が必要だ
|
といったわけで、本作のゲームプレイ全体を紹介したわけだが、ここでユーザーインターフェイスにも触れておこう。ゲーム内のスコア表示や、プレーヤー部隊の創設・参加、あるいは司令官モードといった部分のユーザーインターフェイスは非常によくできている。これは筆者も満足しているのだが……。
・サーバーブラウザは改良の余地あり!
マルチプレイをするときには、外部の汎用サーバーブラウザを使用しない場合、ゲーム内に実装されているサーバーブラウザを使ってサーバーを検索、選択する必要がある。だが、このゲーム内サーバーブラウザが非常に重いのである。まず、マルチプレイ画面を選択して、サーバーブラウザを開くとサーバーの検索が始まるのだが、この瞬間に数秒止まる。つぎに、サーバー一覧が表示された後、適当なサーバーを選ぶためにスクロールさせようとすると、そのたびにまた数秒止まる、サーバーの詳細を見るためにクリックすると、また数秒止まる、といった按配。これはストレスがたまる。
さらに、低Pingで快適にプレイできるサーバーを探すためにPing順でソートすると、まだPingが測定されていないサーバーがすべてPing=0として表示されているため、実際のPingと関係なく、未測定のサーバーが上位に並べられる。このため、国内の快適なサーバーを探すために繰り返しスクロールするという作業が必要になり……、1クリックするたびに数秒とまる。初心者プレーヤーはこの段階であきらめてしまうかもしれない……と危惧するほどだ。
というわけで、本作のゲーム内サーバーブラウザをまともに使おうとすると大変なストレスを受けることになるので、ここでひとつTipsを紹介しておきたい。国内のサーバーを検索するときは、Pingでソートせずに、サーバー名を入れる欄に「JP」と入れてEnterを押す。こうすると、サーバー名に「JP」がつくものだけがリストされるので、国内のユーザーが立てている快適なサーバーがおおむね表示されるという寸法だ。とりあえず筆者は、この小技を使うことである程度快適にプレイすることができるようになった。
・普及の兆しくらいは見えてほしい、階級/ランキング機能
|
「BFHQ」画面。ここには個人スコアが集計される、はずなのだが、ランクサーバーが皆無のためほぼ何もない状態。トホホ……
|
また、本作では「BFHQ」ネットワーク機能により、全世界規模でのプレーヤーランキングシステムが実現されている。これにともなって、プレーヤーには「階級」の概念が導入され、ゲーム内で達成した功績によりスコアが与えられ、それに応じて階級が上昇していき、特殊武器の解除や、司令官になるときの優先度が与えられるようになっている。
これがまたクセモノで、階級を上げるためのスコアを稼ぐためには、「ランクサーバー」と呼ばれる、スコアリング機能を持ったサーバ上でプレイする必要があるのだが、一般のサーバ管理者がランクサーバーを運営するためには、エレクトロニック・アーツに月々の料金を支払う必要がある(!)のである。一般のサーバー管理者は、ただでさえサーバーマシンや回線維持のために個人的な出費をしているわけで、そこにさらに課金があるとなると、一歩引いてしまうのも無理はない。
このため、いまのところ日本国内には一般のサーバー管理者が提供するランクサーバーは存在しないようだ。国内ではエレクトロニック・アーツ・ジャパンが公式のランクサーバーをひとつ運営していることが確認できたが、プレイヤー数最大16人という少なめの設定になっており、64人規模のゲームに慣れた一般プレイヤーにとって魅力が薄い点は否めない。こういったわけで現在のところ、日本に住む「バトルフィールド2」プレイヤーにとっては、本作の特徴のひとつである階級やランキングの機能は、いまひとつ魅力のあるものになっていない印象を受けた。階級上昇やランキングのシステムは長くプレイしていくための大きな原動力になりうる機能だけに、より利用しやすい環境作りを期待したいところだ。
といった難点もいくつか挙げてみたが、ゲームの本質部分を見れば、本作はPCゲーム界のメインストリームを走る最新作として申し分のないできのゲームだ。ぱっと見では、ただのグラフィックがきれいな「バトルフィールド」という印象を受ける人も多いだろうけれど、やりこんでいくほどに、「部隊」システムや「司令官」システムによる有機的なチームプレイの要素が、非常に新鮮で楽しいものだと感じるようになるだろう。高い動作環境に耐える最新のPCを持っているなら、「とりあえず、やっとけ!」といいたい、そんなタイトルである。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
メリハリの効いた美しいグラフィックス。それだけに要求スペックも決して低くないが、ぜひすべてのPCゲームファンにプレイして貰いたい作品だ
|
(C) 2005 Digital Illusions CE AB. All rights reserved. Battlefield 2 is a trademark of Digital Illusions CE AB. Electronic Arts, EA, EA GAMES and the EA GAMES logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners. EA GAMES is an Electronic Arts brand.
【BATTLEFIELD 2】
- CPU:Pentium 4 1.7GHz以上(Pentium 4 2.4GHz以上を推奨)
- メモリ:512MB以上(1GB以上を推奨)
- HDD:2.3GB以上
- ビデオカード:VRAM 128MB以上(256MB以上を推奨)
|
□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□「BATTLEFIELD 2」のページ
http://www.japan.ea.com/battlefield/battlefield2/
□関連情報
【6月1日】PCゲームファーストインプレッション「BATTLEFIELD 2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050601/bf2.htm
【1月6日】EA、100人以上の対戦に対応したシリーズ最新作
WIN「バトルフィールド2」3月24日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050106/bf2.htm
【2004年5月16日】Electronic Artsブース特別レポート
現代戦を描いた新世代の“BattleField”
「BattleField 2」がクローズドで登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040516/bf2.htm
【2004年4月26日】エレクトロニック・アーツ、現代の戦場を舞台にした
ミリタリー3DアクションWIN「バトルフィールド2」を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040426/bf2.htm
(2005年7月11日)
[Reported by kaf@ukeru.jp]
Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします
ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp
Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|