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「エミル・クロニクル・オンライン」デモプレイレポート
世界観、クエスト、着せ替えなどECOの魅力に迫る!

今夏クローズドβテスト開始予定

年内正式サービス開始予定



 「エミル・クロニクル・オンライン」(以下、ECO)の説明はコンテンツ開発部マネージャー 岩田 容賢氏とマーケティング部第2企画グループマネージャー 小島 幸博氏によって行なわれた。今回のバージョンの完成度は80%。フィールドを動きまわり、モンスターのいるダンジョンなどを移動できる他、スキルやマリオネットなどのシステムも実装されている。現在はさまざまな要素のバランス調整や、低解像度への対応作業を行なっている。

 今後のスケジュールとしては、クローズドβテストの情報を近いスケジュールで発表。その後にオープンβに移行し、年末までには正式サービスを開始する予定だ。クローズドβテストは少人数のものではなく、「負荷テストを行なうくらいの人数を募集する」とのこと。クローズドβテストでは基本的なゲームの要素や、プレーヤーのレベルの上昇率といった要素を確認する。小島氏は、「ECOは今までのように韓国でスタートしていたゲームではなく、1から作ったもので、すべての要素を検討しながら作っていきたい。ユーザーと一緒に粘土細工のようにこねていきたいですね」と語った。

 クローズドβテストで基本システムを確認した後、オープンβテストでECOならではの要素を盛り込み、テストしていく。また、ガンホーは様々なイベントでもECOをアピールしていく予定で、東京キャラクターショー、コミックマーケット、東京ゲームショウなどに出展していく。現在のところ、ECOの課金システムは未定である。アイテム課金、月額課金という考え方は今後の要素で見えてきそうである。


■キャラクタ、世界観の根底にある“暖かさ”をゲーム全体で表現している作品

 最初に見せていただいたのはキャラクタ選択画面。歯車のようにも、風車のようにも見える丸い舞台に男女3人のキャラクタの姿が確認できた。岩田氏は男の子を選択。キャラクタモデルは頭が大きくかわいらしい。テクスチャやポリゴンモデルは緻密さよりも、特徴的な部分を柔らかなタッチで書き出したという印象を持った。ピンとたった頭の毛や、大きな目など羽々キロ氏のテイストをきちんと再現していたおり、感心させられた。ちょこんとした小さな鼻もきちんとポリゴンモデルで再現されていて、細かい陰影で確認できる。頭身そのものはイラストより少し上に作られていた。

他の種族からエミルの民と呼ばれる人間族の男の子。羽々キロ氏のデザインがきちんと再現されている
タイタニアと呼ばれる天使族の女の子。少しだけ宙に浮いている。羽根は常に羽ばたいており、影もそれに合わせて動く
大陸最大の自由交易都市アクロポリスシティー。世界中の全ての商品がこの都市に集められ、世界中に運ばれていく。巨大な中央の柱や、完全な円形を描く壁などSF的な建造物を持った都市である
 ログインすると工場の倉庫を思わせる金属質の床をもつフィールドに。前方には二人の天使(タイタニア)のキャラクタがいる。テスト用のステータス調整などをするためのキャラクタとのことだが、フリルのついたかわいい服や、魔法使いのようなステッキなど装備品へのこだわりが確認できた。天使達は羽根を羽ばたかせてほんのちょっと地上から浮いている。二人のうち一人は足首にリボンを巻いていて、リボンの端は地上すれすれまでたれている。浮いていなくては引きずってしまう、天使ならではの装備品だ。

 岩田氏はキャラクタを操作して建物の外へ。マップは光のサークルでつながっており、ここに入ることで移動する。移動した先は大きな街の一角、大陸の中央にあるアクロポリスシティーである。灰色の石畳に、卵形のような丸い建物。光を放つ街灯があったり、街の標識がステンドグラスだったりと、中世を意識して組み上げているというよりも、19世紀のヨーロッパのテイストにSF色を取り入れたような世界観を感じた。

 右上にミニマップが表示され、拡大もできる。この街は大陸中央に位置するアクロポリスシティー。クローズドβで実装される一番大きな街で、他には小さな村がいくつかあるという。ゲームの中で首都となり、多くのプレーヤーが集まるところだ。街には真っ黒な建物もあり、そこには太った怪しげな司祭らしき人もいた。

 街の外のフィールドには緑の草原があって、そこに蛇のようなモンスターや、大きな芋虫のようなモンスターがいた。序盤での経験値稼ぎとして相手になるモンスターだろう。芋虫型のモンスター、クロウラーはアゲハチョウの幼虫を太らせた感じで、表面の模様が細かく描き込まれていた。

 続いてはダンジョン。キャラクタの周りに赤茶けた地面が見えるが、画面端は闇に包まれている。フィールドとうって変わってモンスターは攻撃的で、コウモリ型のモンスターは近づいてきてかまいたちのような攻撃を加えてきた。敵の数も多く、キャラクタは同時に数匹のモンスターに襲われていた。

 キャラクタはダンジョンでは群がってくるモンスターを蹴散らしながら進んでいく。モンスターのやられモーションの中には凝ったものもいて、ツボ型モンスターなどは粉々に砕ける。やられるとアイテムを落とす敵も多く、骨やフライドチキンといったものも確認できた。

 キャラクタが移動するモーションは手足を大きくふる元気なものだが、移動スピードは少し遅く感じた。キャラクタとモンスターの動きは連動して作られているので、簡単にモンスターが振りきられてしまったり、逆にすぐに回り込まれてしまうということがないようにバランスを考えているところだ。

 ユニークなのが天使族のキャラクタで、羽根をゆるやかに羽ばたかせ、移動の時も足を使わずスライドするように移動していく。現在のところ人間、悪魔、天使の3種族ともに歩行速度は共通で、悪魔は小さな羽根を持っているが人間と同じように走って移動する。天使族は常に浮いているだけに他のキャラクタと比べても違ったどこか神秘的な雰囲気もあって、小島氏は「天使、人気でそうですね」とニヤリ。

 筆者はデモプレイを見て、本作がきちんとイメージイラストを3Dグラフィックスで表現していることに感心させられた。羽々キロ氏のキャラクタの服装や髪型といった部分だけではなく、世界観をデザインしたというスタッフのテイストもきちんと活かされているのだ。ただ細かく書き込むのではなく、独特の暖かさを持たせたグラフィックスは、この作品その物の雰囲気をきちんと表しているな、と思った。女性や子供からも人気を集めそうだ。

人間族の女の子。スカートのフリルや、髪型の細かさに注目して欲しい。髪型などは複数から選択できるようになる 悪魔族(ドミニオン)の男女。天使と同じように羽根を持つが、こちらは地上を歩く。どことなく生意気そうな雰囲気がある
天使族の男の子。天使の羽根は青白く光を放っている 商人との会話。店の中も細かく作りこまれているのがわかる 羽々キロ氏のキャラクタイラスト。服装や髪の毛まで3Dモデルに反映されているのがわかる


■韓国産MMORPGをベースにした親しみやすいゲームデザイン

 移動やキャラクタのターゲットもマウスだけで行なえる。「ラグナロクオンライン」をはじめとした韓国産MMORPGと親和性の高いシステムで、MMORPG経験者はすぐにプレイを覚えられるだろう。

ECOのかわいいキャラクタは戦闘画面でもほのぼのとした雰囲気を持っている。どんなジョブがあり、スキルがあるのか楽しみである
 ゲームの展開も経験者にはわかりやすいものになる。最初はフィールドでノンアクティブなモンスターを狩り、強くなったらダンジョンで自分から攻撃してくるアクティブモンスターと戦いを繰り広げていく。初心者向けのチュートリアルも実装する予定なので、誰でもすぐにゲームを楽しめそうだ。こういった一連の流れは韓国産MMORPGでは定番といえるほど取りいれられている流れである。

 ダンジョンのデモプレイではキャラクタの周りにわらわらと敵が集まり、それをがんがんやっつけていく展開となった。戦士系のキャラクタは防御力にものをいわせ、ばったばったと敵を倒していくことになるだろう。岩田氏によるとモンスターのAIは特に「リンク」に特徴をもたせている、どういった条件で、どこまでリンクするかといったポイントに本作ならではのアイデアを詰め込んでいく。

 ECOのキャラクタはレベル制で表現されており、キャラクタレベルの他、ジョブレベルがある。ジョブをいろいろ変えてすすめていくゲームというよりも、キャラクタはひとつのジョブにつき、それを極めていくイメージだ。最終的には「上位職業」への転職も可能になるようだ。

 スキルには、物理的なダメージを与える以外、能力値を一時的に上げるもの、座って回復する以外、瞑想のような休憩スキル、他にも戦闘の幅を広げるようなスキルが用意されている。ヘイト値も設定されていて、敵を挑発するスキルもある。今回詳細が不明なのは、未だジョブシステムが明らかになっていないからである。職業に深く関係する「ギルドシステム」とともに、気になる要素である

 パーティーの最大人数は現在調整中だという。ソロプレイでも楽しめるようなバランスになっており、「ファイナルファンタジーXI」や「エバークエスト」シリーズなどのゲームの様に必要なジョブを決め、パーティーを組まないとどこにも行けないというバランスにはならないようだ。このパーティーシステムにもユニークな試みをしていくつもりだという。

 ECOの操作系は他のゲームをプレイした人にもなじみやすいようにオーソドックスなものを目指していく。現在はマウスを使った韓国産MMORPGのシステムを採用しているが、欧米型のキーボードを併用した操作系でも遊べるように検討中である。

クローラー。アゲハの幼虫を思わせるカラフルな模様と触覚がある ドラッキー。暗い洞窟に潜み、刃物のように鋭い羽で攻撃する デス。その名の通り、死に神のようなモンスターで鎌を持って回転しながら攻撃してくる
プルル。初期フィールドに生息していて、ゼリーのようにぷるぷる震えるモンスター アーチン。全身にトゲをはやし、ゴロゴロと転がりながら移動する アルカナ。「不思議の国のアリス」に出てきそうなトランプの兵隊
ベア。強力な爪を持つ熊型のモンスター フライフィッシュ。空中を泳ぐように飛ぶ魚型モンスター ローキー。大きなしっぽと額にキズをもつ狐のようなモンスター
モンスターのイラスト。世界観をデザインするスタッフをはじめ女性スタッフを多く起用していることが、ECOに柔らかな雰囲気をもたらしている


■徐々に重要な意味を持ってくるアクロポリスシティーを治める4つの騎士団

鉱山国家「アイアンサウス」4つの国家のひとつで、大陸の全ての鉄を生産している。これらの国家は、βテストではまだ実装されない
 ゲーム序盤にはチュートリアルが用意され、さらにクエストを進めることで序盤の世界観を紹介するようなクエストが導入される。プレーヤーはチュートリアルを経て小さな村に降り立つ。天使族、悪魔族、人間のそれぞれでスタート地点は異なる。冒険を続けることで皆はこの世界の首都であるアクロポリスシティーに集うようになる。シティーのダウンタウンには酒場があり、冒険者はここからクエストをもらうことができる。

 ゲームの進行にはアクロポリスシティーを囲んで存在する4つの国が大きく関わってくる。4つの国はそれぞれアクロポリスシティーに騎士団を出していて、騎士団はそれぞれはちょっと仲が悪かったりする。騎士団に入ることで後に実装される国元の情報が得られたりと、世界に対する知識が深まるようになっている。現在は、大きな流れていくストーリーに巻き込まれていくよりも、少しずつ世界に対する知識が深まっていくようなストーリーラインを考えている。

 プレーヤーはそれぞれの騎士団に入ることができ、初期からちょっとしたメリットがあるという。しかし、他の騎士団に入ったプレーヤーとの関係がどうなるかなど、まだ考える部分を残している。騎士団に入らずにプレイを続けることもできるし、ちょっとしたデメリットを覚悟すれば騎士団をやめることもできる。いくつかの騎士団に入ってみて、どの騎士団が自分に合っているかを考えることも可能だ。

 シナリオ要素はβテストで煮詰めていく。発表会で紹介された先史文明の遺産“キカイ”はECOの大きなストーリーに関わってくるため、テスト中はまだ秘密になっているという。

炭鉱が都市化した「モーグ」。世界的に資源の需要が高まる中で発言力を強め、近年独立を宣言した 農業国家「ファーイースト」古くから穀倉地帯として世界の食料事情を支えてきた 魔法王国「ノーザン」魔法系ギルドの総本山がある。不死と言われている女王ウェルデガルドの統治が数百年続いているとされる


■スカートのフリルにまで制作者の心遣いが感じられる多彩な装備アイテム

金属製の鎧や、恐ろしい破壊力を感じさせる斧、ネコミミに、日傘……「何でもあり」の世界観が本作の大きな魅力だ
頭を抱えたり、寝っ転がったり、キャラクタのエモーションコマンドはかなりのものが用意されそうだ
 ECOの大きなセールスポイントとして紹介された着せ替え人形のような楽しさを持つという装備システム。本作では頭や胴体だけではなく、靴と靴下が別々だったりとスロットも多く用意されている。

 武器は剣や盾や槍、鎧も金属製のものなどがあり、帽子なども用意されている。女の子用の服装は特に細かい。さまざまな上着やスカート、学校の制服のようなもの、長さの違うソックスなど非常に多彩なものが用意されていた。眼鏡やニーソックスといったファンタジー的な要素から多少はずれるものも確認できた。

 武器のモーションはそれぞれ違うものが用意されていて、棍棒や剣は振り下ろす形だが、槍型の武器は両手に持って腰を落として突く。また、うなづくといった“エモーションコマンド”があり、男女や種族で変わるいろいろな仕草が用意されている。

 アイテムは装備することでどんな効果があるのか、という質問に対して岩田氏は、「僕もそういう質問を女性スタッフにしてみたんだけど、『たくさんのアイテムは効果とか実用性だとかそれだけじゃないの』といわれましたよ」とのこと。コスプレ要素も大きいようだ。オシャレという要素とともに、「ネタ」的な装備アイテムも多く用意されている。

 今回見せてもらったアイテムはまさに「何でもあり」で、ユニークなものが多かった。お気に入りの格好を思う存分追求できそうだ。

  トータルコーディネートで利点が生まれるセットアイテムも用意されているようだ。実利的な装備と、街の中でのオシャレ装備を使い分けるプレーヤーも多そうである。多くの人が集まる場所ではファッションチェックも面白そうだ。


■みんなで熊になってダンジョン攻略? キャラクタが変身するマリオネットシステム

熊やブリキのロボットに乗りうつることができるマリオネットシステム。集団で変身して行進したりするだけでも楽しそうだ
 今回のデモプレイではキャラクタが熊に変身する様子だけ紹介されたマリオネットシステム。男の子のキャラクタが魔法使いの帽子をかぶった3頭身の熊のぬいぐるみに変身、短い手足を一生懸命に振って敵を攻撃していた。かわいい外見とは裏腹に攻撃はパワフルで、どんどん敵を蹴散らしていく。剣を振っていた男の子と戦いの感じが一変したのが面白かった。熊の姿は発表会でも紹介されていたので、わがままを言えば他のマリオネットの姿も見たかったところだ。

 マリオネットシステムは正確にはキャラクタが所持しているマリオネットに「乗りうつる」システム。熊のぬいぐるみの他、手足を持った魚やブリキのロボットなどが発表会で紹介されていた。マリオネットに乗りうつることでログアウト時にプレーヤーの命令を実行するという能力を持っていることがアナウンスされている。テスト開始時には5種類以上のマリオネットが用意される予定だ。

 今回、乗りうつることでマリオネットの「属性」を身につけられることが明らかになった。能力値も変化するので乗りうつる前より下がってしまう恐れもあるが、属性を考えて敵に当たれば戦いがだいぶ有利になる。みんなで熊になってダンジョンへ! とか、水の中に潜るためにみんなで魚に!と言った状況も考えられるだろう。また、「ネタ」に使っても面白い。外見を変えることで普段とちょっと違うキャラクタをロールプレイするのも楽しそうだ。

 気をつけたいのがマリオネットには耐久力が設定されている点だ。マリオネットは使えば使うほどくたびれてしまう。ここにもバランスは調整中であるが、長く使うためには大事に扱ってやる必要がありそうである。

(C) 2005 BROCCOLI/GungHo Online Entertainment,Inc./HEADLOCK Inc.

□ブロッコリーのホームページ
http://www.broccoli.co.jp/
□ガンホーのホームページ
http://www.gungho.jp/
□ヘッドロックのホームページ
http://www.headlock.co.jp/
□「エミル・クロニクル・オンライン」のページ
http://www.econline.jp/
□関連情報
【6月8日】トリオ・ECO、「エミル・クロニクル・オンライン」
アイディアを募集する「みんなで作ろうキャンペーン」を開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050608/eco.htm
【6月8日】「エミル・クロニクル・オンライン」詳細レポート
ゲームシステム、世界観、スクリーンショットを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050421/eco2.htm
【4月21日】トリオ・ECO、「エミルクロニクルオンライン」を正式発表
“萌え”を強く意識した新基軸満載のファンタジーMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050421/econline.htm

(2005年6月15日)

[Reported by 勝田哲也]


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