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スクウェア・エニックス、2005年3月期決算説明会を開催
和田洋一氏「順調に過去最高益を更新できました」

5月24日 発表

 株式会社スクウェア・エニックスは、2005年3月期の決算を発表するとともに、都内でアナリストや記者団に向けた決算説明会を実施した。同社の2005年3月期の決算実績は、売上高が738億6,400万円、営業利益が264億3,800万円、純利益が149億3,200万円と過去最高益を記録した。

 コンシューマのパッケージソフトに関しては、日本国内で630万本を記録。内訳としては、PS2「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」が361万本、GBA「キングダムハーツ チェイン オブ メモリーズ」が36万本、PS2「ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー in いただきストリート Special」が38万本、PS2「ラジアータ ストーリーズ」が29万本、GBA「ファイナルファンタジーI・IIアドバンス」が29万本といったところが主な販売本数となっている。ゲーム事業の売上高は419億4,400万円で前期比10.4%増となる。

 海外での販売本数が落ちているがこれについて発表を行なった和田洋一代表取締役社長は「あまりかっこいい話ではないが、日本で開発し販売し海外で発売するので、1年おきに売れる売れないと販売比率が変動する (日本で開発し、次の年にローカライズして海外に販売するため) 」と説明。

 オンラインゲームについては予定通りの伸びで、あまり大きなトピックはないが、「ファイナルファンタジー XI」の運営が軌道に乗っていることから、営業利益率は36%と伸び続ける傾向がある。これは次のタイトルが出てくるまで続くだろうという。このほかにもモバイル・コンテンツ事業、出版事業とも順調な伸びを記録している。

 来年度の見通しについて和田氏は「次世代機への切り替え時期でもあるし、相当厳しく見ておく必要がある」と、「ファイナルファンタジーXII」、「キングダムハーツII」、海外では「ドラゴンクエストVIII」などビッグタイトルが予定されている割には慎重な見方を示した。

 和田氏は「2002年の合併時から言っているが、2005年、2006年は相当の統廃合が行なわれる。産業構造の変化の中で、どのポジションに着くかで、このあと5年から10年の主要な (市場での) プレーヤーが決まる。そのポジションの争奪戦となるだろう」と語り、業界再編の動きが続くと語った。

 そこに向けていち早く合併を行なったスクウェア・エニックスだったが、今後の動きについては「海外はどうか……などいくつかリストアップしているところ」とコメント。しかし海外については「これからは国際分業となるのではないか。ある部品は中国で、エンジンはこちらの国でといったふうに。だから現地化は考えているが、 (海外のスタジオに作ってもらい販売といったことは) 考えていない。ただ、クロスプラットフォームのミドルウェアだけは自社内で行なわなければならないので、UIEvolutionの買収は行なった」とその戦略の流れを説明した。

 このほか目立った発言としては「オンラインゲーム」について。和田社長は「他社タイトルなのであまり言いたくないが……」と前置きをした上で、「ヒットしている『World of Warcraft』がちょっと違う広がり方をしている。また、Xbox 360はXbox Liveを全面的にフィーチャしている。ネットワークゲームはこれまではコアゲーマーだけだったが、これでオンラインゲームへのネガティブなイメージを払拭されるかもしれない。2006年からはメジャーなマーケットになるかもしれない」と、マーケットの拡大の手応えをつかんでいるような発言だった。

 さらに和田社長は次世代機についてもコメントした。「 (次世代機について) 誰がディストリビュータとしての機能を主として持つのか。コンソールメーカーがいわゆるISPのようなところもとるのか、それとも、そこは解放してしまって違うところでとるのか、彼らがどのような収益モデルを組むかでゲームを作っている側のパブリッシャーとの利益の配分が変わってきます。そういう意味では、我々がどういうタイトルを出すかと言うよりも、このモデルをプラットフォームフォルダがどう決めるのかが最も重要です。今回のE3では次世代機が発表されましたが、ネットワーク市場に関してはあんまり言ってないんです。ネットワーク市場は大切なんですが、それによってどのようなモデルになるのかがきわめて重要。それがわからないとですね、お客さんがお金を落としても、それを誰と誰がどういう風にシェアするかわからないわけです。ここがここ1年での大きな検討要因になります」とゲームパブリッシャー側の立場としての次世代機のみかたを示した。

先週米国で開催されたE3 2005からずっと表舞台に立ち続けている和田洋一代表取締役社長 質問に答えていった和田洋一氏と松田洋祐取締役執行役員 (写真右) 2005年3月期の連結決算実績。和田洋一氏は「ほぼ予定通り、順調に過去最高益を更新できました」とコメントした
2005年3月期の国別ゲームソフト販売本数。日本は630万本だが、このなかで「ドラゴンクエストVIII」が361万本と半数以上を占めている 2006年3月期の事業計画。和田氏は「次世代機への切り替えで厳しい時期」と慎重な味方を崩さなかった 一方ゲームソフトの販売本数は、大作が下期に連発される公算が大きいためかなり強気な本数設定となっている


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□2005(平成17)年3月期決算短信 (PDF形式)
http://www.square-enix.com/jp/ir/j/data/financial/download/tanshin_050524.pdf
□関連情報
【2004年11月19日】スクウェア・エニックス、2005年3月期中間決算説明会
「ドラゴンクエストVIII」をベースに多方面へ展開か?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041119/se.htm

(2005年5月24日)

[Reported by 船津稔]


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