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スクウェア・エニックス、2005年3月期中間決算説明会 |
スクウェア・エニックスの和田洋一代表取締役社長は「今回の数値はいい結果だが、(2005年3月期決算の) あくまでも通過点」と前置きをして各種決算内容の説明を行なった。今回の中間決算で特徴的なのは、ゲーム事業に対してオンラインゲーム事業、出版事業が非常に好調だった点が挙げられる。事業別セグメントでは、ゲーム事業の経常利益が15億4,900万円であるのに対してオンラインゲーム事業は32億5,200万円となっている。これはゲーム事業の利益率が19.1%であるのに対して、オンラインゲーム事業が42.3%と、かなり高いことが原因となっている。
和田氏によると、オンラインゲーム事業は前年同期比で増益となっており、ゲーム事業の有力タイトルが下期偏重であるとはいえ、しっかりと成長過程に入っているとしている。オンラインゲームのパッケージと課金における売上の比率は1:3で、同社の考えるほぼ理想型に近づいてきたという。また、同社の考えるオンラインゲーム事業における固定費は、サーバーや人員だけでなく、運営のために投入する追加シナリオやイベント、マップ等の開発費用も含めて考えており、そういったものを含めると約7割以上となるという。これを課金ですべてまかなうのが目標で、ほぼ達成されつつあるという。
このほかでは、「再来年くらいにプラットフォームの代替わりがあると思うので、設備投資が増えると思います。そこで何をするかがポイント」とし、設備投資が3割から4割増しとなることを明らかにした。向こう3~4年の間は投資先行型となり、すでに次の仕込みに入っているという。それに合わせる形で現在1,501人の従業員数を倍増させたい考えだという。和田氏は「海外の人員が圧倒的に足りないし、国内の開発人員も強化していく」と語っている。
直近の話題では、販売本数が公開されている。上半期で最も販売本数が多かったのが「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」のリピートで、34万本となっている。ついで「ファイナルファンタジーI・II アドバンス」の28万本。以下、「ファイナルファンタジーXI プロマシアの呪縛」の25万本 (PS2/PC、オールインパック含む) 、「鋼の錬金術師2 赤いエリクシルの悪魔」の16万本、「ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険3 アドバンス ~不思議のダンジョン ~」の14万本と続いている。
2005年3月期のゲームソフト販売本数は日本で660万本を予定。ただし、「ドラゴンクエストVIII」の具体的な販売本数については触れなかった。ただ、現在の受注数については「『ドラゴンクエストVII』の時と比べてちょっといい。前回よりちょっと感触がイイかな」と和田氏はコメントしている。
「ドラゴンクエストVIII」に関しては、さらに突っ込んだ質問にも答えた。それは価格設定についてで、「価格が9,240円というのは高いのではないか? 価格決定のプロセスについて教えて欲しい」との質問に「価格については相当議論しました。最終的には、まぁ、この値段でいこうという話になった」とコメント。さらに「あくまでも一般論として……」と何度も断わりながら「これまでのゲーム業界は新しいプラットフォームが登場したら、古いプラットフォームを完全に駆逐していた。ところがプレイステーションとプレイステーション 2は市場として並存している。商品サイクルが長くなったと言うことは、今後、何度も価格を引き下げることになるだろう……」とし、そういった先を見越した価格設定であることを匂わせた。
また、「ドラゴンクエスト」シリーズの次回作については明言しなかったが、「ドラゴンクエストはゲームがシリーズ化され、キャラクタを使ったゲームが制作され、アニメをやり、コミックをやりと幅を広げてきた。それが『ドラゴンクエストVIII』で集約され、またスタートとなる」とし、「ドラゴンクエストVIII」を起点に、再度多方面への展開を図っていくことを明らかにした。さらには「『ドラゴンクエスト』は日本だけと言われるが、同じように日本だけと思っていた『スターオーシャン』が欧米で売れている。これをきっかけに海外展開も図りたい」と海外での売上を強化していきたい意向だ。
最後に「ファイナルファンタジーXII」について今期中の発売があるかどうかについては、日本での発売タイトルを読み上げる中で「今のところ『ファイナルファンタジーXII』は入っていないですね。ユーザーに (発売日を提示し) 出すといった作品は、業績云々は関係なく発売するが、それ以外のタイトルについてはギリギリまで作り込んでいく」とコメントし、「『ファイナルファンタジー』レベルの作品になれば、広報活動を立ち上げるのに半年くらいはかかかる。それを考えてもらえれば……」ということで、ほぼ今期中の発売はないと思われる。
(2004年11月19日)
[Reported by 船津稔]
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