|
会場:Grand Ballroom Hollywood & Highland Complex
次世代機のRevolution、携帯機の「Game Boy Micro」とDSのWiFiサービスと、E3での話題が盛りだくさんの任天堂。その影に隠れてしまう形になってしまっているが、現行機種であるニンテンドーゲームキューブでも多数のラインナップを揃えてきている。その中でも大黒柱と呼べるタイトルが、「ゼルダの伝説」シリーズの最新作となる、「THE LEGEND OF ZELDA: Twilight Princess」だ。
カンファレンスではトレーラームービーが流されるとともに、来場者にこのムービーを収めたDS用カードが配布された。さらに、その後行なわれたラウンドテーブル(合同記者会見)では、宮本茂氏、青沼英二氏、近藤浩治氏の3人が登壇し、ゲームの世界観や見所などを詳しく解説した。
■ 現在の開発状況
これに合わせて宮本氏も、青沼氏の手が届かないプロデューサー業務をサポートするという形で携わっているという。近藤氏はサウンドプロデューサーを務める。 今回は前作「ゼルダの伝説 風のタクト」のコミカルな映像とは違い、リアルな映像表現を採用している。青沼氏によれば、「『風のタクト』は、プレーヤーの映像の好みが分かれた。それで今回はリアルな映像を採用したという一面もあるが、一番の理由は大人のリンクを作りたかったから。『風のタクト』の映像で大人のリンクを作っても不恰好になってしまう」といった理由があるのだそうだ。 そして現在の「Twilight Princess」について宮本氏は、「グラフィックスはリアルに作れるようになったが、触ったときのリアリティとは別物だし、まだその部分が弱い。人のやらないことをやっていくのが我々のスタイルなので、これからももっと発見があると思う」と、まだまだ作りこむ必要を感じていることを明かした。
その上で発売時期については、「年末までに間に合うように頑張る」と青沼氏が答えた。ただ今回は、E3会場にプレイアブル出展されることになっているので、宮本氏もある程度は納得のいくものができつつある、ということなのだろう。
■ リンクが狼に変身! 異世界「トワイライト」の存在
本作の舞台となるのは、「時のオカリナ」の数十年後の世界。リンクも他の作品とは異なる、新しいキャラクタになる。最初、リンクはハイラルではないとある村にいるが、幼馴染の女の子と自分を慕っている子供が怪物にさらわれたことで、彼女たちを助け出す冒険に出ることになる。ところが突如として、真っ暗闇な壁のようなものが行く手を遮り、そこから伸びた手に捕まって引き込まれてしまう。 この闇の世界が「トワイライト」と呼ばれる別世界。ハイラルはこの「トワイライト」に変えられており、その中に漂う魔力のため、人は人の姿を保てない。このため「トワイライト」では、リンクは狼の姿に変えられてしまう。 「トワイライト」に変えられたハイラルには、世界を変えていくポータル(入り口)が存在する。リンクはこのポータルを使えるようになり、「トワイライト」と外の世界を行き来できる。 狼になったリンクは、もちろん剣を振ることはできず、異なるアクションをとる。また狼の姿になると、人間では見えないものが見えたり、動物と話せたりといった能力が得られる。これをうまく使って謎解きをしていく場所も用意されているという。
また「トワイライト」では、元からこの世界にいる「ミドナ」という人物と出会う。彼女には何らかの目的があり、リンクと協力することになる。ムービーには、狼になったリンクが彼女を背に乗せ、謎のモンスターと戦うシーンも収録されている。
■ 馬とブーメランにこだわったゲームシステム
会場で見られたデモプレイでは、かなりの広さがある平原で馬に乗って騎馬戦を演じるシーンや、細い橋の上でイノシシにまたがったモンスターと一騎打ちするシーンなど、馬に乗りながら戦うシーンもいくつか見られた。またリンクが狼になって「ミドナ」を背負うという点など、今回は騎乗する動物に注目したシステムが用意されているようだ。これについても、「これからまだまだ面白い要素を加えていきたい」と話していた。 アクションの面では、剣で切り払って倒した敵に飛び掛り、剣で突き刺して倒すというシーンも見られた。剣による基本的なアクションにも、多彩な動きが用意されているという。 アクションで特に注目したいのが、ブーメランの役割。今回見られたのは「疾風のブーメラン」という風の能力を持ったブーメランだったが、竜巻を起こして爆弾を運んだり、風でファンを回して仕掛けを動かしたりといった新しいアクションが加えられていた。ほかにも複数の敵を同時にロックオンすると竜巻が曲がっていったり、また何もないところにロックオンできたりと、とにかく多数の仕掛けが用意されているようだ。
ブーメランと馬については、「『ゼルダ』の世界に欠かせないもの」と宮本氏も言っている。そういった意味では、「Twilight Princess」はより「ゼルダ」らしさを追求した作品であるといえるかもしれない。
■ シリーズ初のオーケストラサウンド トレーラームービーのBGMには、おなじみの「ゼルダ」のテーマがオーケストラアレンジされたものが使われている。近藤氏によると、シリーズでオーケストラ録音を使用したのは今回が初めてだという。編曲は大島ミチルさんで、ゲームファンの大島さんは喜んで引き受けてくれたそうだ。 ゲームで使用される楽曲について近藤氏は、「壮大な雰囲気や情感豊かな雰囲気を出したいところでは、部分部分でオーケストラも使っていきたい」と話している。そこで横から青沼氏が「予算次第ですけどね」とお笑いネタを付け加えると、宮本氏が「予算は大丈夫、任せてください」と心強いコメントが飛び出した。
オーケストラサウンドが増えるかどうかはさておき、サウンドでは今回もドルビープロロジック2に対応し、5.1チャンネルサラウンドでゲームが楽しめるという。こちらも大いに期待できそうだ。
ラウンドテーブルの最後に宮本氏は、「『ゼルダ』は、自分がその世界にいるような気分にさせることがテーマ。今回はさらに進んで、主人公になった気分になって、自分が格好いいと思えるものにしたい」と話した。
今回の映像を見て、話を聞いている限りでは、もう十分すぎるほどの完成度が感じられる。しかし、まだ年末の発売を目指しながら、さらに作りこんでいくという。いったいどんなゲームが仕上がるのか、もはや想像もつかないが、ひとまずはまもなく開催されるE3での試遊レポートにご期待いただきたい。
(C)Nintendo
□任天堂のホームページ (2005年5月18日) [Reported by 石田賀津男]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|