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★PS2ゲームレビュー★

ひたすらボコって壊す過激ファイトが身上!!
「バックヤードレスリング2」

  • ジャンル:アクションゲーム
  • 発売元:アイドス株式会社
  • 価格:6,090円
  • プラットフォーム:PS2
  • 発売日:発売中(4月7日)



■ 「バックヤードレスリング」の衝撃、再び!

 さてさて、御用とお急ぎでない方はお立ち会い! そもそも「バックヤードレスリング」とは……などと始めると「オマエ以前のレビューでも同じこと言ってたじゃねぇか」と100パーセント突っ込まれること請け合いにつき、詳細は前作「バックヤードレスリング」レビューの冒頭部分をご覧いただきたい。

 念のため簡単にまとめておくと、「バックヤードレスリング(BackYard Wrestling:BYW)」は、アメリカの子供やマニアたちがやりはじめた“プロレスごっこ”を元ネタに、米カリフォルニア州のBackYard Wrestlingが本格的なエンターテインメントプログラムの運営を始めたもの。

 素人の過激なパフォーマンスから始まったムーブメントは、やがてインディー系レスラー、美女などのタレントが投入され次第に本格化し、現在ではケーブルTVを中心に大勢のファンを獲得。日本でも、昨年は前作の発売とともにマッドマン・ポンドを中心とするバックヤードレスラーたちが来日。大日本プロレスのレスラーと互角に渡り合うハードコアなファイトを展開して、インディー系のプロレスファンを中心に強烈なインパクトを残したのは記憶に新しいところ。

 今現在もマッドマン・ポンド、Mドッグ20など複数のバックヤードレスラーが大日本プロレスのツアーにレギュラー参戦中で、各地で素晴らしいファイトを披露。そうした両社の良好な関係から、本作には大日本プロレス所属のデスマッチファイター「伊藤竜二」選手が登場する。このあたりは、アクションゲームファン、海外プロレスファンだけでなく、日本のプロレスファンにもぜひ一度触れていただきたいところだ。

相変わらず無茶なシーンが詰め込まれているオープニングムービーや特典映像。アメリカに住んでいるプロレス好きな妖精さんは、マニアの耳に吹き込む呪文が一味違う模様。はじめて「W☆ING」や「FMW」を見たときは「よぅやるわー」と戦慄したものだが、バックヤードレスリングは別の意味で身体が震える。ブルロープがぶつかって「ホラ、今! ココに当たったんだって!!」などと会場で驚喜していた子供時代も遠い記憶の彼方。今じゃ蛍光灯の破裂音や血飛沫が……
大日本プロレスが誇る気鋭のデスマッチファイター、伊藤竜二選手。キャラクタとして使えるのはもちろん、特典映像も収録されている。大日本プロレス公式サイトから伊藤選手のblogがリンクされているので、気になる人は要チェック!



■ リファインされた操作系 ~前作を上回る多彩なアクションを実現~

システムは前作を踏襲。誰でもすぐプレイできる
 操作系は、ほぼ前作を踏襲したシンプルなスタイル。ただし、一部システムの変更にあわせて使用するボタンが増えている。スタンディング状態では、方向キーまたは左スティックがレスラーの移動、□がパンチ、×がキック、○がつかみ、△が凶器を拾う、R1ボタンがダッシュ、L1ボタンがピンフォール、R2ボタンがガードにそれぞれ対応。

 特殊アクションでは、R1ボタンと□または×同時押しでガードブレイク、相手の打撃に合わせてL1とR1同時押しでアタックカウンター、ダウンしている敵の近くで□または×でダウン攻撃、R1と○同時押しでグラウンドサブミッション、ダッシュ中に□または×ボタンでダッシュ攻撃などがある。

 パンチとキックは、連打することで“コンビネーション攻撃”が繰り出せる。キャラクタごとに内容が異なるほか、ボタンを押す順番で派生する技が変化するなど、バリエーション豊かな内容に進化。レスラーによっては特定のコンビネーションでスローモーションエフェクトが入るなど特殊な演出が楽しめる。特別強力というわけではないが、状況に応じて使いわければプレイに変化がつけられるはずだ。

 ○のつかみからは、ボタンと方向キーの組み合わせでアタックスロー(□ボタン:4種類)、スラム(×ボタン:4種類)、サブミッション(○ボタン:上下と左右2種類)、特定の場所に相手を投げつけるアイリッシュウィップもしくはインパイロ・メンタルスロー(△ボタン)などが使いわけられる。このとき、後述の“ターボメーター”がMAXであれば、□と×同時押しで強烈なダメージを与える必殺技“ハードコア・アタック”が発動する。

 今作では、こうしたつかみ状態からL2、R2ボタンを押すことで“ポジションチェンジ”が可能。ポジションチェンジを行なうと左右脇、そこからさらに背面のつかみに移行することができ、正面からつかんだ状態とは異なるアタックスロー、スラム、サブミッションが繰り出せる。対戦プレイではリバーサル(返し技)に対するフェイントとして有効。一緒にプレイするライバルがいるときは、CPU戦で練習しておくといいだろう。

 屋根の上など、高所を使った戦いも「BYW」の特徴。自分が相手より高い場所にいるときは、□または×で豪快なジャンプアタックが敢行できるほか、ふたりとも高所にいる状態で屋根の端っこなど特定の部分で□または×ボタンを押すと“レッジスロー”に早変わり。派手なアクションとともに強烈な一撃がお見舞いできる。

 凶器攻撃は、スタート直後からステージ上に落ちているものだけではなく、アイリッシュウィップなどで破壊したオブジェクトが使えたりする。ステージによっては意外な場所から凶器が出現するので、気になるオブジェクトがあったら迷わず△ボタンで投げつけてみよう。

打撃、投げともにバリエーションが増えて多彩なプレイが楽しめるようになったのは好印象。「BYW」の魅力は微塵も損なわれていない



■ リバーサルの変更とターボメーターの追加で攻防が白熱化

あちこちに凶器が潜む危険なステージ構成が特徴
 ステージ構成や戦い方は、ほぼ前作を踏襲している。日本人が一般的にイメージする“プロレスゲーム”と異なり、箱庭タイプのフィールドを駆け回る3D格闘アクションに近いシステムで、リングなどという安全(?)な場所はなく、凶器が散在する危険なフィールドが戦いの舞台。初めてプレイする人は面食らうかもしれないが、これが「BYW」のスタイルなのだ。

 ステージに仕込まれたギミックは、前作を上回るバリエーション豊かなものになっているのが印象的。前作もかなりブッ飛んでいたが、今作は“より細かく作りこまれている”といった感じ。インパクトの面では前作のほうが上かな? という気もするが、そのぶんアクションやカメラアングルなどの演出が強化されている。とにもかくにも“壊れるものが増えた”のは好印象で、オフィスなどは試合の開始前後で様相が一変してしまうほど。このあたり、「BYW」ならではのハチャメチャな感覚がよく表現されていると感心してしまう。

ギミックを利用すれば戦いが有利に展開する。ダメージもさることながら、やられているグラフィックがまたエグイ
整然としたオフィス。最初は綺麗だが、試合開始以降は散々な状況に……


 攻防は、仕様が変更された“リバーサル”と、新たに追加された“ターボメーター”でさらに白熱化している。リバーサルは、相手につかまれたときに返し技で反撃するシステム。前作では、つかみから投げられるとき、地面から引き起こされるときにキャラクタが一瞬だけ”点滅”したときにジャストタイミングで方向キーと□or×or○ボタンを押すというものだったが、今作では相手がつかみから攻撃をしかけてきたとき、アタックスローなら□、スラムな×、サブミッションなら○、アイリッシュ・ウィップなら△を入力すればいい。前作のようにジャストタイミングである必要はなく、ボタン連打でもOK。読みがあっていれば、ボタン連打で確実に抜けられる。前作がタイミング重視なら、今作は“読み重視”になったわけだ。

 ターボメーターは、体力メーターの下にある赤いゲージ。時間の経過や攻撃で増えていき、R1ボタンを押すなど特定のアクションを実行することで減少する。

    【ターボメーターを使用するアクション】

  • ダッシュ (R1+方向キー)
  • ダッシュ攻撃 (ダッシュ中にR1+□or×)
  • グラウンドサブミッション (倒れた相手の近くでR1+○)
  • ガードブレイク (R1+□or×)
  • アタックカウンター (打撃に対してタイミングよくR1+L1)
  • メーターエスケープ (つかまれた状態でR1+L1)
 ダッシュ、ダッシュ攻撃、グラウンドサブミッションは、R1ボタンを併用するため必然的にターボメーターを消費する。ダッシュの消費量は意外と激しいため、頻繁に使うとアッという間にガス欠を起こしかねない点に要注意。

 ガードブレイクは、相手のガードを無効化する攻撃。攻撃が繰り出されるまでに一定のスキが生じるが、ヒットしたときのダメージが強烈。ヒットすれば確実に気絶させられるうえ、もし相手がガードしていなければケタ違いのダメージを与えられる。成否に関わらず、ターボメーターを半分ほど消費するのが難点。ガードを固めているCPUキャラにはもちろん、対人戦では打撃と投げによるゆさぶりから突然狙うといい。

 アタックカウンターは、相手が打撃を繰り出してきたときに、タイミングよくR1とL1を同時押しする。タイミングはかなりシビアだが、打撃を完全に無効化して反撃できるのは大きい。成功したときのターボメーターの消費量は約1/4程度につき、失敗を恐れずガンガン使っていきたい。ただし、あまり頻繁に狙うとつかまれてジ・エンド。凶器攻撃に対しても有効で、タイミングを身体で覚えて確実にモノにしておきたいテクニックだ。

 メーターエスケープは、相手につかまれた状態でR1とL1を同時押し。リバーサルと異なり、コレひとつでアタックスロー、スラム、サブミッション、アイリッシュ・ウィップのすべてを返せるのが最大のメリット。ただし、成功時のメーター消費量は約3/4と大きく、連続で使うことはできない。よって、瀕死の状態でつかまれたときなど“最期の切り札”として使うのが望ましい。

 ゲーム展開がスピーディなこともあり、打撃、つかみ、ガード、ターボメーターをからめた展開はとても熱い。CPUロジックも、これをふまえて打撃ばかり使ってくるタイプにはガードできっちり守りを固めてくるなど、なかなか侮れない。タイミング重視だった前作に比べて入力が容易になったリバーサルなど、今作は間口が広くなった点でアクションゲームに不慣れな人でも十二分に楽しめる内容になっている。「こういうのは好きなんだけど、洋ゲーだからムズイんでしょ?」と尻込みしていた人などには、特にオススメしたい。ローカライズは、音声をのぞき全編に手が加えられている。本場の雰囲気を、ぞんぶんに堪能していただきたい。

リバーサルがタイミングから読みを重視したシステムに変更されたことで、誰でも奥深い攻防が堪能できるようになった。新たに追加されたターボメーターが、攻防をさらにヒートアップさせてくれる



■ 進化したキャラクタエディット機能 ~キャリアモードで熱く戦え!~

やりこみがいのあるキャリアモード
 ゲームモードは、本作のメインである「キャリアモード」のほか、CPUや友だちとすぐに対戦できる「エキシビジョン」、特典映像やゲーム映像が閲覧できる「メディアルーム」、ゲームの設定などを変更する「オプション」が用意されている。

 メインモードの「キャリアモード」は、イースタン、ウェスタン、ノーザンといった3つの地区で開催されるトーナメントを制覇して、後に開催されるメインイベント“ゼア・ゴーズ・ザ・ネイバーフッド”優勝を目指すというもの。ファーストプレイではオリジナルバックヤードレスラーをエディットすることになるが、クリア後は実在のバックヤードレスラーが使えるようになる。

 トーナメントに参加するためには、各ステージごとに設定された“ミッション”をクリアする必要がある。ミッションの内容は「3分以内に敵を倒せ」、「敵を30回ダウンさせろ」、「ガードを使わずに戦え」など多岐にわたり、ステージが進むごとに難易度が上昇する。ただし、ミッションによってはクリアと同時にポーズをかけてゲームを終了し、すぐに次のミッションにチャレンジすることが可能になっているため、それほど手間がかかるものではない。ただし、アクションゲームが苦手な人はテクニカルなミッションに苦戦するかもしれない。

 試合では、勝つごとに賞金が手に入る。この賞金は、メニュー内にある「ショップ」でエディット用パーツや特典映像の購入に使える。金額は、試合の内容によって変化。最初のうちは、しょっぱい試合しかできず「えっ、勝ったのにコレしか賞金くれないの!?」と驚くかもしれないが、メインイベントで優勝する頃にはお金が余りまくるため、それほど神経質になる必要はないはずだ。

「BYW」のお約束「セクシーな特典映像」もキャリアモード内のショップで購入する必要がある。バックヤードレスラーよりもベイブたちの特典映像のほうが高額なのは……まぁ仕方ないか(!?)


 レスラーエディットは、前作とは比べ物にならないほど進化している。ボディ(男4種類、女2種類)、フェイス(男女6種類)、ヘアー(男女7種類)は、すべて皮膚の色から細かく指定可能。コスチュームは上半身、下半身、靴の3種類に大別されており、アクセサリーは頭部、顔、上半身、下半身にそれぞれ装着可能。タトゥーやTシャツのロゴを作ったり編集することもできる。

 スタンディング打撃などの基本動作が、デフォルトのキャラクタから一式そのままコピーされる方式なのは、ちょっと残念。そのかわり、つかみから派生する技、ダッシュ攻撃、ダウン攻撃、勝利ポーズ、ハードコア・アタックは、個別に選択できるようになっている。最近は眼球の色から眉毛に至る細部までエディット可能なゲームが増えているため、プレーヤーによっては正直もの足りない印象を覚える人がいてもおかしくないが、筆者的には、とっつきやすさ、手っ取り早さの点を評価したい。項目自体は決して多くないが、シンプルな手順で、正統派からキワモノまで、実に多彩なキャラクタを生み出すことができるからだ。

パワーアップしたエディット機能。項目はシンプルだが、簡単な操作でバリエーション豊かなレスラーが作れる



■ 正統進化した続編。プロレスファンはもちろん、3Dアクションが好きな人に!

 本作をオススメするうえで最大のネックは“前作のスタイルが完全に踏襲されている”点だろう。前作のレビューでも指摘しているが、日本におけるプロレスゲームのステレオタイプは、団体、レスラーのカラーや特色、さらには技の攻防、受けといった流れが再現されているものを指す。ミクスチャー的にプレイできるものもあるが、これまでにリリースされたプロレスゲームは、アプローチの違いはあっても、目指す方向性やベクトルみたいなもの……言い換えれば“プロレスゲームの最大公約数”的な要素をどこかに感じさせるものが大半を占めていたからだ。

 その点、箱庭フィールドを駆け回り常にスピーディな攻防が行なわれる「BYW」は、一般的な3Dアクションゲームに近いシステム。その主眼は“プロレス”ではなく、「BYW」をモチーフにした3Dアクションとしての“プレイアビリティ”にあるといえる。このあたりをプレーヤーがどう捉えるかで、評価には極端な差が生じるのではないだろうか。

 筆者個人としては(前作もそうだが)良くできた3Dアクションとして、きちんと評価できる内容に仕上げられていると思う。「プロレスゲームとは、こうでなくてはならない!」といった頑固なポリシーでもない限りは、実在するバックヤードレスラーを知らなくても楽しめるクオリティ。プロレスっぽい展開だって、プレーヤーが意識すれば再現可能。それだけのポテンシャルを内包しているゲームのだ。

 ただひとつ惜しいのは(これまた前作同様に)ロード時間が長いこと。キャラクタやオブジェクトのモデリングが向上した点を考えると「かなり頑張った」といえるのだが、それでも試合開始まで約20秒~30秒、試合終了からメニュー出現まで約15秒というのは、国内発売されているタイトルのなかでも長い部類に入るのではないか。ゲーム自体が良くできているだけに、この点は非常に惜しい。海外でXbox版がリリースされている点を考えると、マルチプラットフォームタイトルにありがちな弱点ではあるのだが……プレーヤーの立場としては1秒でも短いほうがいいに決まっている。次回作があるのなら、ぜひとも改善していただきたいところだ。


Backyard Wrestling 2: There Goes The Neighborhood (C)2005 Eidos. Developed by Paradox Development. Published by Eidos KK.Backyard Wrestling and the Backyard Wrestling logo are trademarks of Backyard Wrestling, Inc. Paradox and the Paradox logo are trademarks of Paradox Development. Eidos and the Eidos logos are trademarks of the Eidos Group of Companies. All rights reserved. This product is not associated in any way with Atari, Inc., Humongous Entertainment and their Backyard Sports family of games.

□アイドスのホームページ
http://www.eidos.co.jp/
□「バックヤードレスリング2」のページ
http://www2.eidos.co.jp/byw2/index.html
□関連情報
【3月8日】アイドス、超過激プロレスゲームの第2弾が登場。PS2「バックヤードレスリング2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050308/byw.htm
【2004年4月26日】PS2ゲームレビュー「バックヤードレスリング」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040426/byw.htm

(2005年5月6日)

[Reported by 豊臣和孝]


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