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■ ローリスクで報酬品のみならず経験値も得られる「ENMクエスト」
ENMクエストがBCNMと最も大きく異なるのが、挑戦時にオーブ(印章)といった特別な権利を必要としない点である。そして、仮にBF内で敗退しても経験値は失われない。しかもその一方で、BFでの戦闘に勝利すると、従来のBCNMと同様レアアイテムのみならず、経験値までもを得られるのだ。つまりBCNMと比べて、プレーヤーに課せられたリスクが極端に低いのである。 その代わりENMクエストを行なうには、いくつかの制限が設けられている。まず、ENMクエストを行なうエリアに対応した挑戦権を、メンバー全員が入手しておかなければならない(“だいじなもの”扱い)。そして、一度BFに侵入した時点でこの挑戦権は消失し、再挑戦まで現実時間で5日を要するのだ。つまりENMクエストのBF戦は、たとえ勝っても負けても一度限りの挑戦となる。例えば参加者全員がオーブを持ち寄って6連戦といった、現在のBCNMにおける定番的なスタイルも行なえないわけである。 挑戦権となる「だいじなもの」の入手方法には、NPCとの会話で即座に得られるタイプと、簡単なクエストを遂行するタイプの2種類がある。大まかに考えるとENMクエストはこの2種類に大別でき、前者が初級者用で、後者が上級者用といえるだろう。これらの点を踏まえると、現在導入されているENMクエストには以下の種類がある。
※本稿ではBFの前のエリア名で表記 例:「プロミヴォン=ホラ」→実際には「ホラの塔」 NPCとの会話のみでENMクエストの挑戦権を得られるタイプは、手順としては従来のミッション用BFやBCNMと大差はない。しかしクエストを必要とするタイプは、エリアによって進行手順がそれぞれ違っている。例えば“ソ・ジヤ”と“ムバルポロス新市街”で必要な挑戦権を得るには、特定のモンスターからドロップするキーアイテムの確保が必要となる。またアットワ地溝の場合は、プロマシアミッション第3章と同様、エリア東部にそびえ立つ高台を登らねばならない。 それらの中でもっとも手強いのが、“ウルガラン山脈”のENMクエストの挑戦権である。ここではエリアの最深部から、雪山のすべり台を降りねばならない。すべり台の途中にある横穴へ入り込むためには慎重な操作を要し、万が一の失敗時はエリアの最初からやり直しとなる。そのためFF XI上級者にとってもかなり難しく、この場所では悲喜こもごものエピソードが日々生み出されているのだ。このようにENMクエストは、挑戦権を得るための難易度によって幾つかのランクがあり、それに応じて報酬品のグレードも異なっている。 そしてBFに辿り着いたら、いよいよNMとの戦闘が始まる。ENMクエストはミッションと直接の関連性がないため、同じBFでも出現する敵は異なる。どのENMクエストのBFで挑戦する敵も、他では見られないユニークな特殊能力を持ち合わせており、イベント戦を存分に満喫できるだろう。たとえ負けても経験値を失わないため、「リレイズ」を駆使する等、失敗を恐れずに思いきり戦おう。
■ ENMクエストでのレベル上げを初めとした新たなプレイスタイルが可能に ENMクエストの概要としては以上である。次に、ENMクエストの導入によって、FF XIプレーヤーにどのような影響を与えたかを説明しよう。 まず最初に注目してもらいたいのが、BCNMと違い、成功時にアイテム報酬に加えて、経験値も得られるという点である。例えば“プロミヴォン=ホラ”を舞台とするENMクエストは、成功時に得られる経験値が3,000とかなり多い。これは同エリアの挑戦時に制限を受けるレベル30に当てはめると、次のレベルアップに要する取得経験値量の半分を上回る。つまりレベル30のキャラクタは、ENMクエストを2回クリアすれば、ただそれだけでレベルが上がってしまうのだ。 しかもENMクエストのBFで挑戦する敵は、従来のミッションよりも幾分弱めとなっている。大まかな目安としては、どのENMクエストも従来のBCNMと同程度の難易度といってよい。そのためパーティ内のジョブ構成は、例えばミッション時のような“戦士/忍者”や狩人を数多く揃えたガチガチのスタイルでなくとも、比較的挑戦しやすい。実際にENMクエストの遂行に要する時間としては、もっとも簡単なプロミヴォンの場合は、手練れのチームであれば1カ所あたり1時間前後にまで短縮できるだろう。 同じ場所でのENMクエストは連続して行なえないものの、例えば“プロミヴォン=ホラ・デム・メア”の3カ所を順番に回れば、3時間で経験値9,000を得ることも不可能ではない。つまり、従来のようなレベル上げ目的としたパーティ以外でも、キャラクタの成長が可能なのである。これは週末にまとまった時間をプレイするような、学生や社会人といった人にはとても助かるはずだ。 しかも、プロミヴォンに代表されるレベル制限が設けられたエリアは、キャラクタの強さに関係なく難易度が一定に保たれる点も忘れてはならない。ENMクエストの導入によって、例えばリンクシェル内でレベル差が生じた友達同士でも、レベル上げを目的とした冒険を一緒に行なえるのである。これらの点だけでも、ENMクエストがいかに画期的なシステムであることかがおわかり頂けるだろう。 また、キャラクタをレベルアップさせられるにもかかわらず、必ずしも最高ランクの装備品の確保が必要ではないのも嬉しい。例えばサポートジョブの育成時は、レベル30の装備品があれば、ENMクエストを繰り返すことで37まで十分に上げることができる。もちろん、「イレース」といった高額魔法も早急には必要とはしない。FF XIは、レベルに応じたジョブ別の装備品を準備するのに手間が掛かるが、レベル30用を一式揃えておけば複数のジョブでも活動しやすいだろう。 次に成功時に得られる報酬品だが、これもかなりの価値がある。特に先述の上級者向けENMクエストでは、時として100万ギルを越える合成素材品等も得られるのだ。一度の挑戦で得られる報酬額の体感としては、幅はあるもののBCNMと比べて決して引けを取らない。元来、オーブ(印章)の入手には長時間が掛かっていたことを踏まえると、ENMクエストはとても優れた金策手段といってよい。
もっとも、同じ場所のENMクエストは連続して行なえないため、一回分の報酬品を参加者全員で分配することになる。よって、全体としては極端にバブリーな印象は受けない。ちなみに報酬品の数は1~3前後で、これの分配方法を主催者が明確にしておくことを忘れずに。なお、競売やバザーを用いて販売した後に、ギルを分配する場合は、相場価格が定まっていないため処分に日数を要することもある。これはどちらかというと、リンクシェル等の知人同士で挑戦する際に適した分配方法といえよう。
■ プロマシアミッションの予行練習用としてENMクエストは最適!
そしてENMクエストをバックアップするのが、これまで地道に行なわれてきたミッションの仕様変更である。例えばプロマシアミッションの導入段階では、BFでの戦闘後はエリア外に強制排出されていたが、現在は入口に戻る選択肢も用意されている。例えば難易度の低い“プロミヴォン=ホラ”のENMクエストを行なった後、立て続けに「プロマシアミッション第一章・ホラの塔」を行なうことも可能だ。また、BFでの戦闘を抜きにしたエリア内の移動だけでも、一度ENMクエストをこなしておけば、来るべきミッションを確実に行ないやすくなる。 まだミッションをクリアしていない人は、ENMクエストをクリアすることで「この調子ならミッションも案外行けるんじゃない?」という好感触を得られるだろう。この効果は既にプレーヤー間に反映されており、ミッションに関心を持つ人は次第に増えてきている。実装直後の難易度設定があまりにも極端だったため、今まで敬遠していたユーザーも多かったようだが、プロマシアミッションに対するイメージアップの効果は非常に大きいと思う。 ミッションのゲームバランス面で一定のフォローがされた以上、後は我々コミュニティ側の問題である。読者の周囲に、未だにプロマシアミッションにトラウマを抱えている人はいないだろうか? そうしたユーザーにとって、ENMクエストはまたとないきっかけとなるはずだ。そしてゆくゆくは、様々なENMクエストに挑戦したいがために、プロマシアミッションを進めるという相乗効果に結びつくことも期待したい。
ENMクエストはFF XIの初級者から上級者まであらゆる層に適しているが、特に社会人等の週末プレーヤーにとって、プレイスタイルの幅が広がった点が特筆に値する。今後は6人よりも少ない編成でのENMクエストも導入して欲しい所だが、その程度の要望は制作側も百も承知だろう。今はBCNMを越える可能性を秘めた、新たな戦闘コンテンツの登場を存分に歓迎したい。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2005年4月1日) [Reported by 川崎政一郎]
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