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【連載第9回】ゲームライフに役立つグッズをレポート

サラウンドで音の情報量を増やせばゲーム攻略に役立つ?


当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。



 ゲームグッズ研究所員には、携帯電話の着メロから何気ない鼻歌までゲームミュージック一色に染まっており、ゲームミュージックを語り始めると夜が明けてしまうほどのゲームミュージックファンが多く集まっている。そこまで好きでなくとも、例えば「マリオ」を思い浮かべれば、同時に「スーパーマリオブラザーズ」のメロディが頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか? 映像と音はゲームを印象づける大切な要素といえるだろう。

 前回のゲームグッズ研究所では、映像ケーブルを取り扱い、小額の投資でも標準の環境よりも美しい映像でゲームをプレイできる例をお伝えした。今回は、映像に並ぶ重要なポイントである「音」にスポットライトを当ててみよう。サウンド環境を改善することにより、さらにゲームが盛り上げるばかりでなく、プレイ感覚にも影響があった。その様子を紹介していきたい。

● 音質を変える「ステレオケーブル」と「光ケーブル」

 さて、PC環境を自分で構築されている方や、オーディオビジュアルに多少のこだわりがある方には常識というのもおこがましい話から今回は研究所の記事をスタートさせていただこう。

 読者の方々は、ゲーム機から出力される音声ケーブルには「アナログ出力」と「デジタル出力」の2種類があることはご存じだろうか?

AV、オーディオ機器に多く使用されている「ピンプラグ」の端子である。赤が右チャンネル、白が左チャンネルの音声を出力する
 「アナログ出力」とは、文字通り、音声信号をアナログで送出するもの。わかりやすい例では、ゲーム機にも付属している白、赤の2つのステレオケーブルを使用する音声出力のことを指す。紅白が目印になっている2本のケーブルは赤が右チャンネルの音声信号、白が左チャンネルの音声信号を出力するようにできている。

 この2本のケーブルをステレオ入力対応機器と接続すると、左右の独立した音声が出力され、スピーカーからは立体感のある音が聞こえるのだ。プレイステーション 2(以下PS2)やXboxなどのゲーム機には、黄色、白、赤の音声/映像ケーブルが標準で同梱されており、ゲーム機を買ってきてからすぐにテレビと接続することができる。そのため、ステレオケーブルでの出力でゲームを楽しんでいる方が多いのではないだろうか。

 一方の「デジタル出力」とは光ケーブルを使用する音声出力のことで、「S/PDIF(Sony Philips Digital Interface Format)」と呼ばれるデジタル信号の音声データを送受信する規格を使用する。接続方法は、PS2本体背面やXboxの「コンポーネントAVパック」または「拡張AVパック」にある角形の光端子と、光端子を搭載したオーディオ機器とを光ケーブル1本で接続するだけでOK。この光ケーブルを「ドルビーデジタル」対応のオーディオ機器に接続し、同じくドルビーデジタルに対応したゲームやDVDを再生すると、簡単に立体感あふれる5chサラウンドを構築することができる。

 読者の皆様は、家電量販店のAVコーナーで「ドドドド……ゴォォォーーッ!」と凄い音を出しているホームシアターセットが設置されているのを見たことがあるだろうか。デジタル出力を使用すれば、アナログ出力では構築しづらい“あの”ホームシアター環境を作ることができるのである。

音声信号をデジタルで入出力するための「光ケーブル」である。使用されているファイバー導体の先端を直接指で触らないように注意する 「DIGITAL OUT(OPTICAL)」の文字が見えるだろうか。これがPS2の本体裏側にある光端子である。この端子に光ケーブルを接続するだけで音声はデジタル出力される Xbox本体には光端子が無く、光出力を使用する場合には「コンポーネントAVパック」か「拡張AVパック」が必要だ。画像は「コンポーネントAV」パックで、光端子はステレオ音声端子の隣にある

 しかし、この光端子は全てのゲーム機が搭載しているわけではない。前述した通り、光ケーブルを接続する端子はPS2とXbox(拡張AVパック等使用の場合)にはあるものの、ニンテンドーゲームキューブ(以下GC)には搭載されていないのだ。

● まずは「ドルビープロロジックII」に対応したオーディオ機器を入手しよう

 アナログ出力とデジタル出力を比べてみると大迫力のサラウンド環境を構築できる分、デジタル出力に興味が行ってしまうところではあるが、実はアナログ出力にはデジタル出力に勝るとも劣らない“秘密兵器”とも言える音響技術がある。それが「ドルビープロロジックII(以下プロロジックII)」なのだ。

 「プロロジックII」はステレオの2ch(左・右)音声を5.1ch(左、右、センター、左リア、右リア、サブウーファー)サラウンドに拡張して再生する技術で、使用すればドルビーデジタルに匹敵する包囲感のあるサラウンドが楽しめる。使用するケーブルはステレオケーブルを使用するため、新たに音声ケーブルを購入する必要はない。

 ……とはいうものの、当研究所としては実際に使用してみないことには「プロロジックIIは凄いよ~。お薦めするよ~。」などとは言えない。と言うわけで、早速「プロロジックII」の実力を体験するため、対応したオーディオ機器を入手することにした。

筆者が想像していたよりも小さくて軽かったPanasonicの「RP-WH5000」である。ヘッドホンを立てかけると同時に充電することができる
 「プロロジックII」は本格的なAVアンプから小型で安価なホームシアターセットまで多くの機器が対応している。今回は対応機器の中でも置き場所にも困らず、スピーカーの配線にも困らないサラウンドヘッドホンのPanasonic「RP-WH5000」という製品をチョイスした。

 このサラウンドヘッドホンはコードレスヘッドホンとトランスミッター部(赤外線送信部)、電源ケーブルの3点だけでサラウンド環境を作り出している。ゲーム機とサラウンドヘッドホンの接続は、トランスミッター部の背面にあるステレオ端子、もしくは光端子にケーブルを接続するだけで完了。

 購入価格は25,800円とやや高価だが、ゲームを遊ぶ以外にも音楽鑑賞からTVやDVDの鑑賞時まで幅広く活用できることを考慮すると、納得のいく価格と感じられるのではないだろうか。またヘッドホンなので他人に騒音の迷惑をかけることなく、好みの音量を楽しめるのも評価すべき良い点と言えるだろう。

ワイヤレスタイプなので、ケーブルを気にせず自由なスタイルで音楽を楽しめる。音量調節をする場合はヘッドホンの側面にあるつまみを使う 光デジタル入力が1系統、ピンジャックのアナログ入力が1系統搭載されいる。入力部はシンプルなため、初心者でもケーブルの接続に困ることは少ないだろう トランスミッター部の側面にあるマークを見ると、この製品はドルビープロロジックIIに対応していることがわかる

「プロロジックII」に対応しているソフトのパッケージには「DOLBY PRO LOGIC II」のマークが印刷されている。マークが無い場合でも、「プロロジックII」対応機器ではステレオ音源はちゃんと楽しめるので安心してほしい
 使用するサラウンドヘッドホンが決定したので、次は体験するゲームソフトが「プロロジックII」に対応しているか見てみよう。ソフトが「プロロジックII」に対応しているかどうかは、ソフトのパッケージに「プロロジックII」のマークが印刷されているか否かでわかる。

 対応しているソフトをいくつかピックアップすると、PS2では「グランツーリスモ4」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)や「デビル メイ クライ 3」(カプコン)、「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」(ナムコ)などの主に最近発売されたタイトルが対応している。GCでは「マリオテニスGC」(任天堂)や「ゴールデンアイ ダークエージェント」(Electronic Arts)、「ニード・フォー・スピード:アンダーグラウンド2」(Electronic Arts)などが「プロロジックII」対応ソフトだ。ちなみにXboxの場合、ほとんどのソフトが「プロロジックII」ではなく「ドルビーデジタル」に対応している。

 「プロロジックII」に対応しているゲームソフトの中で、今回使用するゲームはPS2「METAL GEAR SOLID 3」(コナミ)、GC「バイオハザード4」(カプコン)の2本をチョイスしてみた。どちらもゲームをプレイしていく中で音が重要なポイントになっているため、サウンド環境が変わればさらに面白くなると考えたからである。

● 「ここまで凄いとは……」PS2とGCのゲームで「ドルビープロロジックII」を体験する!

・[PS2で試す]

 まずはPS2で「プロロジックII」を体験してみることにする。ゲームによってはオプション設定に「プロロジックII」のON/OFF設定が存在する場合もあるので、忘れずにオプション画面をチェックしよう。

「METAL GEAR SOLID 3」のオプション画面には「プロロジックII」のON/OFFを変更する項目がある。デフォルトの状態で「プロロジックII」はONになっているので変更する必要はない PS2に搭載されているDVD再生機能のオーディオ設定にも、光デジタル出力、ドルビーデジタル、DTSのON/OFFを切り替える項目がある

 準備が整ったところで早速ゲームを開始しよう。ゲームを開始してすぐ、筆者はドルビー「プロロジックII」の迫力に度肝を抜かれてしまった。「METAL GEAR SOLID 3」はゲームを始めると戦闘機に乗ったイベントシーンからスタートするのだが、上空での風の音や物音がステレオでプレイした場合と比べて迫力があり「豪華」なのだ!! 加えてヘッドホンを使用しているため、周りに騒音を出すことなく豪華な音を大音量で楽しめるのは非常に嬉しい。

 続いてワニが大量にいる場所で、自分のキャラクタをぐるっと360度回転させてみる。すると、ワニが腹を引きずって歩く音や鳥が羽ばたく音、風で木が揺れる音などの環境音もキャラクタに合わせて回転するのだ。なるほど、イベントシーンで聞いた迫力のある音の他に臨場感のある音もしっかり演出できるという訳。

 ゲーム中で特にサラウンド効果の恩恵を受けられるシーンは敵に発見された時である。プレーヤーが敵に発見されると警告音が鳴りだし、どこからともなく敵の増援部隊がやってくる。そんな場合は草むらに隠れたり敵がいない方向へ逃げればいいのだが、キャラクタを見下ろす視点で操作するので、画面外から現れる敵を察知することは難しい。しかし「プロロジックII」の環境では、どの方向から敵が来るかが映像ではなく、「耳で聞いて判断する」ことができるのだ!! 実際に、逃げ込んだ1本道でどの方向から増援部隊がやってくるのかを聞き取り、ピンチを切り抜けた場面に幾度となく遭遇した。

 このように「METAL GEAR SOLID 3」での「プロロジックII」効果は、ゲームをプレイする上で非常に大きく、プレーヤーを追ってくる足音などからは緊迫する“臨場感”を感じることができた。

ワニの動く音や敵の足音などを聞き分け、音から得る情報を頼りにゲームを進めていくと、ステレオ出力では味わえなかったような臨場感を感じることができるだろう
(C)1987 2004 Konami Computer Entertainment Japan
(C) Sony Computer Entertainment Inc.

・[GCで試す]

 次はGCで「プロロジックII」の効果を試してみる。PS2のソフトと同様に、GCのゲームにおいてもオプション設定で「プロロジックII」のON/OFF設定が存在する場合があるので、使用前はオプション画面をチェックしよう。

「バイオハザード4」のオプションにある“AUDIO SETUP”にも「プロロジックII」で出力する項目がある。デフォルトの状態で「プロロジックII」が有効になっているため、変更する必要はない
 「バイオハザード4」をプレイし始めてすぐに、音の違いを感じることができた。ステレオ音声に比べて、素人の耳で聞いても「プロロジックII」は明らかにクリアな音になったことがわかる。BGMや拳銃の発砲音などの“音のキレ”がステレオより格段にいい。さらにプレイしていくと、草木が揺れる音、床がきしむ音、動物の鳴き声など、十分味わうことができなかった環境音の“音の方向”が感じられるようになっているではないか! もちろん、クリアで奥行きのある音は「ウウゥゥーアアァァー」とうなりながら襲ってくる敵にも適用されるため、プレイしていて非常に怖い。背後でうなり声を上げられたときには、思わず体がビクッと動いてしまったほど。

 このクリアな音のおかげで、敵と戦闘になった際に流れる緊迫したBGMの中であっても、敵の足音や声などの必要な情報を聞き分けることができる。チェーンソーを持った凶暴な敵がどこからか迫って来ても、「ドッドッドッドッ……」というチェーンソーのエンジン音さえ聞き分けられれば逃げ切ることもできるのだ。

 「プロロジックII」を使用することで、ホラーゲームの醍醐味である恐怖感は大幅にアップする。テストを担当した研究所員は、その手のゲームは怖いので苦手であった。しかし、「プロロジックII」の迫力ある音声で遊んでみると、ホラー映画を見ているような感覚で、怖いけど途中で止められない状態になってきたのである。やはりホラーゲームを気持ちよく遊ぶポイントも音にあるのだろう。

クリアな音声はゲーム中の恐怖感を倍増させる。耳元で敵のうなり声が聞こえた時には、プレーヤーのすぐそばに敵が潜んでいることだろう
(C) CAPCOM CO.,LTD. 2005 ALL RIGHTS RESERVED.

 サラウンドヘッドホンでプレイしていると、ステレオヘッドホンを使用した場合と音の差がどう現れるのかが気になってきた。ステレオヘッドホンは左右のチャンネルが分かれているので、立体感のある音声でプレイすることは可能である。早速ステレオヘッドホンに取替え、先ほどと同じ2本のゲームで試してみることにした。

 「METAL GEAR SOLID 3」では、敵に見つかり増援部隊がやってくる際に、プレーヤーは敵の足音に注意しなければならない。ステレオであるため左右の足音はわかるものの、それが近くにいるのか遠くにいるのか、という距離感が把握しにくい。また見通しの悪いところで複数の足音が聞こえると、逃げようにもどの方向に敵が存在しているかがわからず、動くに動けない状況になってしまう。

 「バイオハザード4」では、「プロロジックII」に比べ音のクリアさが若干足りないように感じられた。ホラーゲームにおいて音はプレーヤーのドキドキ感を上げるための重要なポイントであるため、せっかくならクリアな音声で沢山怖がらせてほしいところだ。

 結果はステレオヘッドホンに比べてサラウンドヘッドホンの方が、音から得る情報と臨場感が段違いに違うことが感じられた。やはり「プロロジックII」の効果は大きいようである。

● “ドルビープロロジックII”で音の情報量がUP! これを使わないなんて勿体ないッ!!

 実際に「プロロジックII」対応のサラウンドヘッドホンを使用するまでは、「ステレオの音声にちょっと毛が生えた程度のものかな?」とあまく考えていたテスターでさえ、「いい音が出るのだから「プロロジックII」で聴いておかなければ損だ!!」と感じるぐらい「プロロジックII」は音を盛り上げてくれた。

 今回使用した「プロロジックII」対応のサラウンドヘッドホンや、ホームシアターセットを購入するとなると、ゲームにかける出費としてはいくぶん高いものになってしまう。しかし「プロロジックII」対応のオーディオ機器に出費した分、ゲームサウンドが今よりもさらに豪華になるだけではなく、ゲームのプレイ感に影響が出るという事実は見逃せない。本稿で「プロロジックII」に興味を持たれた方は、是非とも家電量販店等で実際に「プロロジックII」の効果を感じていただきたいが、実際にゲーム機を接続してみるとわかる「戦略的効果」はぜひとも環境を作り上げて体感してもらいたい。

 また、これからサラウンドヘッドホンやホームシアターセットの購入を検討している方がいれば、購入する製品が「ドルビープロロジックII」に対応しているかどうかを一度確認することをおすすめする。


●ゲームグッズフラッシュ!(まだ仮称) ――パワーサポート「PSPシリコーンジャケットset」を入手!

 先日発売されたパワーサポートの「PSPシリコーンジャケットset」のサンプルを当研究所で入手した。この製品は、PSPの液晶画面以外をシリコン製のカバーでスッポリと覆い、本体を傷から守る事ができる。カーソルやボタン(L・Rボタンを除く)も保護することが可能な上に、ジャケットを装着したままでもゲームがプレイできるという優れモノだ。本体に被せるシリコンジャケットの他に、アナログパッド用のシリコン製カバーと液晶画面を傷から守る保護フィルターがセットになっている。これらすべてを装着することで、ほぼ完全な傷対策を行なうことができるというふれこみの製品だ。

 今回は、とり急ぎシリコンジャケット自体のレポートをお届けしよう。ざっと見たところ、非常によくできている、と感じさせる作り。さっとPSPに装着してみたが、そのフィット感はピッタリの一言。スピーカー部、電源/無線LANスイッチ部、そして上方には穴が開いているのだが、その位置も恐ろしいほどに正確であり、操作のジャマにならないことは想像に難くない。シンプルに見えるPSPの外観だが、微妙なアールや大小の突起物などで実は複雑な形状をしている。それを保護するためのカバーということで、相当な工作精度が要求されると思われるが、思わずうなってしまうほどの作り。

 さらに、PSPに直接触れるジャケット内側だが、これも丁寧に仕上げられており、すべすべした仕上げになっている。本体を保護するカバーの内側が本体を傷つけては本末転倒というものだが、この製品の仕上げ精度はかなりのものといえそうだ。

 装着後の使い心地や保護フィルターの具合などの詳細は、後日あらためて当コーナーにてお伝えする予定なのでお楽しみに。


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□Panasonicのホームページ
http://panasonic.jp/
□コナミのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□パワーサポートのホームページ
http://www.pawasapo.co.jp/

(2005年3月3日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]


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