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【連載第8回】ゲームライフに役立つグッズをレポート
みなさんは、ゲーム機とテレビを接続するための“接続ケーブル”にこだわった事はあるだろうか? 様々な映像端子が搭載されているテレビを新調した場合でも、それまでに使用していた黄色の映像端子と赤と白の音声端子で構成されている標準的な「コンポジットビデオ端子ケーブル」をそのまま流用している、なんていうことがあるかもしれない。しかし、プレイステーション 2(以下PS2)、ニンテンドーゲームキューブ(以下GC)、Xboxでは、コンポジット端子ケーブルの他に、Sビデオ端子ケーブル、コンポーネントビデオ端子ケーブル、D端子ケーブルが用意されており、これらを使ってテレビと接続することで、ワンランク上の綺麗な映像でゲームを楽しむことができるのだ。 とはいえ、実際にどのくらい変わるのかを想像するのは難しく、なかなか新しいケーブルを購入するところまでは辿り着かないかもしれない。もし、現在接続している接続方式よりも高画質な接続端子が存在しているのに、活かしておらず眠っている状態だ、という方がいれば、今回のレポートをぜひ活用して頂きたいと思う。画質が向上すれば、快適でより素晴らしいゲームライフを体験できるだけでなく、眼にも優しいというわけだ。 今回は、PS2、GC、Xboxを、コンポジットビデオ端子ケーブル、Sビデオ端子ケーブル、コンポーネントビデオ端子ケーブル、D端子ケーブルという、4種類のケーブルで本体とテレビを接続し、画質の違いを比較していく。利用したケーブルはすべてオフィシャルの製品だ。テストに利用するソフトは、PS2は「グランツーリスモ4(GT4)」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)、GCは「バイオハザード4」(カプコン)、Xboxは「HALO 2」(マイクロソフト)を選んだ。
●Sビデオ端子ケーブルでクッキリ画質 まず、標準的な「コンポジットビデオ端子ケーブル」だが、輝度信号(明るさの情報)と色信号を1つに合わせて伝送しているため、2つの信号が互いに干渉してしまい、映像がぼやけたり、色が滲んでしまったりと、画質が劣化してしまう作りになっている。一方、「Sビデオ端子ケーブル」では輝度信号と色信号を分離して伝送しているため、信号の干渉が無くなりクッキリとした映像を再現できるのだ。
それでは、コンポジットビデオ端子、Sビデオ端子によってどれだけ画質が変わるのだろうか? 実際の画面写真を交えながら解説していこう。
こうしてコンポジットビデオ端子とSビデオ端子を使用した映像を並べてみると、PS2とGCの場合、コンポジットビデオ端子による接続では画面全体が少しボケ気味になっていることが分かる。2D部分、特に細かい文字を表示している部分での違いは大きい。RPGのタイトルなどをプレイすると、ケーブルによる差、快適さの違いを体感できるはずだ。また、Sビデオ端子では色のにじみ等の発色に関しても若干改善されている。Sビデオ端子を搭載しているテレビを使っているのであれば、迷わずSビデオ端子ケーブルを使って欲しいところである。
●コンポーネントビデオ端子ケーブルとD端子ケーブルのポイントは“プログレッシブ” Sビデオ端子ケーブルよりも、さらに快適な環境を目指すのであれば「コンポーネントビデオ端子ケーブル」か「D端子ケーブル」を使用することになる。コンポーネントビデオ端子とD端子は、コネクタの形状が違うだけで映像の伝送方式は変わらないので、テレビに搭載されている端子にあわせてケーブルをチョイスすれば同様のクオリティを得ることができる。 このふたつのケーブルでは、Sビデオ端子ケーブルで行なわれていた輝度信号と色信号の分離だけではなく、さらに色信号を2つに分離することにより発色の再現度を向上させている。また、1秒間に60枚の画像を表示する「プログレッシブ方式」に対応しており、1秒間に30枚の画像を表示する「インターレース方式」を利用しているコンポジットビデオ端子やSビデオ端子に比べて画面のちらつきが格段に少なくなっている。単純に言ってしまえば1秒間に2倍の映像情報が映し出されるわけで、この滑らかさの違いは非常に大きい。それに加えて、表示する映像自体の解像度を、より高めて表示することも可能だ。
ゲームタイトルのパッケージや説明書を見ると、「480p対応」、「1080i対応」、「D2対応」といった記述を見かけることがある。これらはコンポーネントビデオ端子、D端子での信号フォーマットを表しており、例えば「480p」の場合、コンポジットビデオ端子やSビデオ端子と同じ解像度で、プログレッシブに対応しているということになる。「1080i」であれば、解像度が高い映像をインターレースで表示するといった具合だ。また、「D2対応」とは480pに対応しているということと同じである。 かいつまんで言ってしまうと、コンポーネントビデオ端子もしくはD端子が搭載されているテレビに、それぞれの端子用のケーブルでゲーム機本体と接続をすれば、ソフトとテレビが対応している最適なフォーマットで表示が行なわれる、ということだ。なお、各フォーマット方式の違いについては下記の表を参考にして頂きたい。
それでは、コンポーネントビデオ端子、D端子のフォーマットによる画質の違いを見てみよう。480iで表示した場合、画面の鮮明度はSビデオ端子とあまり変わらないと感じた。ただし、色のにじみがほとんど無くなっており、色信号を2つに分離しているコンポーネントビデオ端子ケーブル特有の効果が発揮されているようだ。480i出力はすべてのゲームタイトルが対応しているので、コンポーネント端子やD端子を搭載しているテレビを使っているのであれば、コンポーネントビデオ端子ケーブルやD端子ケーブルを積極的に使っていきたいところである。ただし、2004年7月以降出荷分のGCには「デジタルAV出力ポート」が搭載されていないため、コンポーネントビデオ端子ケーブルやD端子ケーブルを使うことはできないので注意して頂きたい。
前述した通り、480pではプログレッシブ表示となるためちらつきのない映像でプレイすることができるのだが、画面写真からはお伝えすることができないのが残念だ。少し古いタイトルになってしまうのだが、アーケードゲームタイトルの「バーチャファイター」は1秒間に30枚の画像表示、次作である「バーチャファイター2」では1秒間に60枚の画像表示を行なっていた。2倍の描画がなされることの差は、ゲームをプレイするうえでかなり大きい違いであることを体感して頂けるはずだ。 また、480pの画質に関しては、GT4で若干の違いを確認することができた。画面写真左下の赤いメーターに注目してみると、480iに比べて480pでは色のにじみが完全に無くなっていることが分かる。また、地面やアスファルトのテクスチャがよりはっきりと表現されているようにも感じた。 PS2のタイトルではGT4のみが対応している1080iの場合は、画面写真から効果を見つけるのは難しいかもしれない。プレイした時の感覚では、解像度が上がり映像がシャープになったことがすぐに分かった。今までとはランクの違う解像感に驚くばかりだが、映像が鮮明になったためテクスチャのディザが目立つようになってしまった感もある。実はテストで利用したテレビで1080iを表示したのは今回が初めて。このような解像度の高い映像に馴れていないこともあるのか、インターレース表示だからなのか定かではないが、このテレビでは画面のギラギラ感に少し目が疲れてしまった。プレイのしやすさでは、480pが自分に合っていたようだ。 GT4をプレイしていたところ、480pの効果をはっきりと確認できるシーンを見つけることができた。GT4は処理が追いつかなくなった時に画面がブレてしまい、映像が見づらくなってしまうことがある。しかし、プログレッシブに対応した480pでプレイした場合は、処理落ちが発生したときでも映像がブレる事はなく常に滑らかだ。やや特殊なケースではあるが、480p以上に対応したテレビでGT4を楽しんでいるのであれば、是非コンポーネントビデオ端子ケーブルかD端子ビデオ端子ケーブルを使ってみて欲しい。
●純正ケーブル以外にも目を向けてみよう これまでは純正のケーブルを使って画質の比較を行なってきたが、サードパーティーからも多くのケーブルが発売されている。これらは、ケーブルに工夫を加え高画質化を図ったり、価格を安く抑えたりするなど特徴は様々だ。今回は、高画質化と価格の安さという両方の特徴を備えたPS2用のSビデオ端子ケーブル、フジワークの「技 S端子ケーブル」をチョイスし、純正のSビデオ端子ケーブルと比較してみることにした。
「技 S端子ケーブル」は、2重シールド構造の極太ケーブルで外部ノイズを低減する、大型フェライトコアでノイズをカットする、端子の金メッキ処理で電動効率をアップするという画質を向上させる工夫が施されている。価格が安いというのは無条件に嬉しいことだが、気になるのはやはり画質。早速GT4の画面写真を用いて画質の差を比較してみた。
画質に関しては、ハッキリとした違いを確認することはできず、純正のSビデオ端子ケーブルと「技 S端子ケーブル」に大きな差は無いと感じた。金メッキ加工に関しては、長期間利用した場合に汚れや錆びが付きにくいという効果がもっとも大きいと思われるので、現段階で評価することはできない。画質以外の話になるが、「技 S端子ケーブル」は音声端子と映像端子の形状が工夫されているためケーブルの着脱が容易だったということを付け加えておこう。画質の向上は体感できないかもしれないが、付加価値があり価格が安いとなると、「技 S端子ケーブル」を選択する価値は十分にあると言えるだろう。
●少ない投資で大きく改善。Sビデオ端子ケーブルパワーに改めて感心 コンポジットビデオ端子ケーブルとSビデオ端子ケーブルで、画質の差が顕著に出た結果となった今回の「ゲーム環境を向上しよう~映像編~」。 もしSビデオ端子を備えているテレビに、コンポジットビデオ端子ケーブルを使ってゲーム機を接続しているのであれば、少なくともSビデオ端子ケーブルに変更することをオススメしたい。お使いのテレビや画面のサイズによって変化の度合いが違うかもしれないが、「2,000円程度の投資でここまで変わるのか! 」という驚きを体験できるはずだ。 さらに綺麗な映像でプレイしたいというのであれば、コンポーネントビデオ端子ケーブルがD端子ケーブルを選ぶことになるのだが、PS2の場合、480p以上に対応タイトルは30本程度であり、ほとんどのタイトルでは480iの画質でプレイすることになるかもしれない。ただし、50,000番以降の型番のPS2に搭載されたDVDプレーヤーはDVDビデオのプログレッシブ出力に対応している。PS2でDVDビデオを見ている方なら接続方式の違いを体感できる機会も増えることだろう。 GCとXboxの場合は、ほとんどのタイトルが480p出力に対応しているためコンポーネントビデオ端子ケーブルやD端子ケーブルを利用した方が賢明だ。まずはお使いのテレビの背面を覗いて、どの接続方法に対応しているのか確認してみてほしい。次回は、視覚の環境の次は聴覚! というわけで、音声面の環境を向上していく予定だ。
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「グランツーリスモ4」
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ (2005年2月24日) [Reported by ゲーム環境向上委員会]
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