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「テイルズウィーバー」開発者インタビュー
独自の進化を続けるMMORPGのこれからの展開は?

12月3日収録

 日本での正式サービス開始より3ヶ月を迎えるネクソンジャパンのMMORPG「テイルズウィーバー」。今回、初のファンイベントに参加するため来日した韓国の開発者にインタビューを行なった。

 インタビューに応じて頂いたのは、韓国Nexonのテイルズウィーバー開発室長のシン・ドンウォン氏、以下、韓国Softmaxのテイルズウィーバー開発室、マップパート パート長ユン・ソクウォン氏、ストーリーパート パート長キム・ジヨン氏、メインイラストレーターホ・グンホァ氏、リードキャラクタデザイナーキム・セフン氏の5人。

 「テイルズウィーバー」はMMORPGでありながら、日本のRPGに強い影響を受けている作品である。プレーヤーは8人のキャラクタからひとりを選び、戦いやアイテムのアップグレード、生産などをしていくだけではなく、キャラクタごとのさまざまなイベントに直面し、物語を追っていくことになる。展開する物語はキャラクタの過去や運命、そして世界に関係する秘密までつながっていき、非常に奥深い。

 多彩で奥深いストーリーを体験させるために、本作は独特のアップデートを行なっている。2、3ヶ月に一度のペースで新しいストーリーが体験できる“チャプター”が追加されるのだ。プレーヤー達はレベルアップに励み、仲間達とのコミュニケーションを楽しみながら、キャラクタの新しいストーリーを待ち望むという独特のプレイスタイルを楽しんでいる。

 また、他のゲームでの攻城戦にあたる「要塞戦」といったPvP要素や、ペットシステムなど、ゲームのシステムも新しいものが導入され、ストーリーだけではなく、MMORPGとしてもどんどん完成度を上げてきている。今回のインタビューではこの独自の進化を遂げる「テイルズウィーバー」の今後の展開を中心にお話を伺った。


■「テイルズウィーバー」の現状、そして未来は?

お話を伺った開発スタッフ。左より、ユン・ソクウォン氏、キム・セフン氏、ホ・グンホァ氏、シン・ドンウォン氏、キム・ジヨン氏、
ネクソンのテイルズウィーバー開発室長のシン・ドンウォン氏
ソフトマックス、テイルズウィーバー開発室ストーリーパート パート長キム・ジヨン氏
編集部: インタビューの前にひとつ素朴な疑問があるのですが、日本ではクリエイターというとある程度年輩の方が多いのですが、見たところかなりお若いようです。開発者が若いという状況は、韓国では一般的な傾向なのですか?

シン氏: 私たちは若い方ですね。私が30代である以外は、みんな20代です。韓国の開発者の中で若いチームだと思っています。

編集部: 若いメンバーでチームを編成するというのは、今年Nexonに若いCEOが誕生したことと関連してるのでしょうか? 

シン氏: 若いメンバーを集めるという傾向もあります。関連していないとは言えないでしょうね。

編集部: それではまず最初に、「テイルズウィーバー」の韓国での状況を教えてください。

シン氏: オープンβから有料化をするとユーザーは減ってしまうのですが、現在はそこからまたユーザーが増えているという状況ですね。週末の同時接続者数が1万人、平日で6,000~8,000人くらいですね。この数字には満足はしていません。βサービス中にもう少し準備をしておければという思いもありますが、現在ユーザー数は増加傾向にあります。努力をしていけば人気をもっともっと得られるという感触も持っています。目標としては、一日の同時接続者数を15,000人まで持っていきたいですね。

編集部: 「テイルズウィーバー」は日本では12月からチャプター8が導入されるとのことですが、韓国の現在の状況を教えてください。

シン氏: 韓国はスケジュール的には日本より1カ月ほど先行しています。「テイルズウィーバー」は中国や台湾でもサービスしていますが、それらは日本よりもさらに遅れてバージョンアップされていますね。日本と韓国は差がない方です。韓国ではチャプター8はすでに実装されており、2005年の2月にはチャプター9が導入される予定です。

編集部: チャプターは全部でいくつくらい用意されるのでしょうか?

キム・ジヨン氏: 「エピソード1」は13のチャプターで構成される予定です。その後「エピソード2」へと物語は移っていきます。

編集部: 「エピソード2」の開発もスタートしているのですか?

キム・ジヨン氏: 現在決まっているのは方向性だけですね。まだ実際的な部分は着手していません。

編集部: 難しい質問ですが、「エピソード1」の終わり方というのは、どういったものになるのでしょうか? たとえば、「エピソード2」へストーリーが移行されるような、完全につながりを提示した終わり方になるのでしょうか?

キム・ジヨンさん: 詳しくはお話しできませんが、物語は続いていくことがちゃんと分かるような終わり方にしたいですね。

編集部: 「エピソード2」になると、マップは一新されるのですか?

シン氏: 現在ストーリーは「アノマラド大陸」の南部で話が展開していたのですが、今後、中部、そして北の方へ舞台は広がっていきます。中部に砂漠や村がある、といった大まかな設定はもう決まっていますが、細かいところはまだこれからです。

編集部: 「エピソード2」の開始はどのくらいになりそうですか?

シン氏: 「エピソード1」の最後となるチャプター13の実装が2005年の10月を予定していますから、それ以降ですね。2005年の12月にはスタートできればと考えています。

編集部:新しいキャラクタなどは今後増えるのでしょうか?

シン氏:「エピソード1」ではもう増えないですね。2の構想はまだ決まっていません。


■日本からの要望に対する韓国スタッフの回答

ソフトマックス、テイルズウィーバー開発室メインイラストレーター、ホ・グンホァ氏
ソフトマックス、テイルズウィーバー開発室リードキャラクタデザイナー、キム・セフン氏
ソフトマックス、テイルズウィーバー開発室マップパート パート長ユン・ソクウォン氏
編集部: 日本では今年の9月から正式サービスがスタートしました。日本での手応えはどのように感じていますか?

シン氏: 日本の状況を詳しく知らされてはいないのですが、βテストからの移行の時期に韓国とは違ってユーザーがあまり減らなかった状況は満足しています。

編集部: これから日本に向けてのオリジナル要素は考えていますか?

シン氏: 日本だけでなく、中国や台湾からさまざまな要望をいただいていますが、「日本だけ」の展開、オリジナルアイテムやエピソードなどは考えていません。

 日本のユーザーからは猫のペットの「アコ」に関してのアイデアを非常に多くいただきました。中国のアイデアからはこのペットををさらに発展させた形で「パンダ」のペットが生まれました。どちらのアイデアも、その国だけにしたくなかったため、すべての国で実装していきます。

編集部: ペット以外で日本からはどのような要望が寄せられましたか?

シン氏:ゲームの中で、「フリンの夢」というクエストがあるんですが、これはいただいたアイデアの中で非常にユニークだったものを実現したものです。ゼリッピなどゲーム内で一番弱いモンスターがその夢の中では一番強いモンスターになっています。普段でてくるアイテムもそのクエストの中ではまったく違う機能を持つ。非常に不思議な世界になっています。

編集部: 日本、韓国、台湾、中国ではプレイスタイルもかなり違いそうですね。

シン氏: 各国でプレイスタイルはちょっと違いますね。中国のプレーヤーはPvPやPKを好む部分があり、それに関する要望が多い。日本のプレーヤーはコミュニティーを楽しんでいますね。たとえば「何かをマップ内に隠して、それを探し出すイベントがほしい」、などそういった要望もあります。韓国のユーザーはレベルアップのためのプレイをひたすら行なうプレーヤーが多いです。


■「テイルズウィーバー」のPvP要素“要塞戦”とは?

編集部: 8月から導入された“要塞戦”とはどういったものなのでしょうか?

シン氏: プレーヤーたちは要塞を取り合うことになります。その要塞では、所有したクラブ(ギルド)だけで楽しめる要素があります。クラブ内でのコミュニティーが楽しめる場所になっています。

編集部: 入手するためにはどのようにすればよいのでしょうか?

シン氏: 要塞を入手するためには、その要塞を守る特別なモンスターを倒し、さらにその要塞を所有しているクラブと戦わなくてはなりません。要塞戦はまず挑むクラブが、所有しているクラブに対して戦いの申し込みを行なう。その後結界を張っている石を破壊するために戦わなくてはなりません。4つある結界石をすべて破壊できれば、そのクラブのものになります。ただし、戦いには制限時間があり、戦いは時間内に行なわなくてはなりません。

編集部: 要塞戦という大規模なPvPシステムは、ストーリーに重きを置いた「テイルズウィーバー」の世界観とは少しズレているようにも思えるのですが?

シン氏: PvPも入れてほしいという要望に応えて入れられた要素です。要塞戦は非常に限定された場所で行なうもので、きちんとしたルール上で行なわれる戦いなので、世界観をそれほど壊すものではないという考えを持っています。

 要塞戦は中国や台湾から声が挙がる前に、私たちの方から取り入れたものですが、反応は大きかったですね。中国、台湾のユーザーからは戦う時間を増やしてほしいなど、要塞戦に関する要望が多く寄せられています。また、要塞を増やしてほしいという声も多いですね。

編集部: 現在要塞はいくつあるのでしょうか?

シン氏: 韓国では2つ、日本ももうすぐ2つになります。2つくらいだと強いクラブが独占してしまう可能性もあるので、最終的には4つにしたいですね。ユーザーの反応を見た上で、さらに増やすかもしれません。

編集部: 要塞を手に入れた場合のメリットを教えてください。

シン氏: まず、要塞を自分たちのものにしたということはステイタスになります。要塞の中の商人からアイテムが入手できます。所属クラブ員は要塞を手に入れた証としてちょっときれいでかわいい指輪を入手できるのも自慢の種ですね。

 さらにクラブ員たちは「秘密庭園」にいくことができるようになります。ここには世界各地のモンスターがいて、彼らを倒すことで、普段は世界中を飛び回らなくては集められない生産用アイテムを非常に楽に入手することができるようになります。かなり強いモンスターもいて、クラブメンバーのいいイベントになるのではないでしょうか?


■新しく導入される生産系スキル

編集部: 2005年から“釣り”や“採集”、“農業”といった生産系スキルが導入されるとのことですが、どういったものになるのでしょうか?

シン氏: 「ライセンススキル」というものが導入されまして、どんなキャラクタでもこれらのスキルをとることで多彩な“ミニゲーム”を楽しめます。釣りでは、さまざまなものが釣れるようになり、ゲーム大会なども可能になるでしょう。農業はペットシステムと連動しているもので、植物の種を入手してそれを育てることができるようになります。

 スキルを持っていることで、敵モンスターを倒すことで特別なアイテムが入手できます。真珠など貴重なアイテムが手に入るほか、敵に状態異常を引き起こすようなアイテムを作ることなど、アイテムやスキルを組み合わせてさまざまなことができるようになります。現在用意している生産系スキルは5種類ですが、今後増やすことも考えています。

編集部: プレーヤーによっては生産専門のプレイも可能になりますか?

シン氏: 生産をしユーザー間での取引を重視するという、経済的な興味を持つプレーヤーは、現在でも多く存在しています。スキルの導入によって、よりそれらの取引が活発になってくると思います。


■より充実していくコミュニティーシステム

編集部: 生産スキル以外の今後の構想を教えていただけますか?

シン氏: コミュニティー機能をより充実していきます。プレーヤー間でピア・ツー・ピアなどでMP3のファイルをやりとりしたり、画像をアップできればと思っています。ゲーム内でスクリーンショットを交換したり、公開したりしたいですね。また、Blogのようなプレーヤー専用のホームページが作れるようにしたいです。これらはあくまで、ゲーム内で完結するシステムにしたいです。

 それから、「ウルティマオンライン」の“ハウジングシステム”に近いもので、自分が割り当てられた空間を自由にカスタマイズして、他のプレーヤーに公開できるような持ち家システムも構想中です。

集部: 「ウルティマオンライン」のように空き地に家を建てるというわけではなく、「ファイナルファンタジー XI」のモグハウスのようにあらかじめすべてのプレーヤーに割り当てる形のものですか?

シン氏: そう考えて頂いていいと思います。


■各担当者からのメッセージ

編集部: 最後に各担当者からの日本のファンに注目してほしいところなどがあったらお教えください。

キム・ジヨン氏: チャプター8から、キャラクタの会話の内容や、葛藤など、より深いところに踏み込んでいきます。そこに注目してほしいですね。

シン氏: ミニゲームは、1人で遊ぶだけではなく、イベントなどを行なっていく予定です。是非積極的に参加してください。

ホ氏 : マップに開発者のイニシャルがあったり、お墓に開発者の名前があったりと、さまざまなところにちょっとした遊びを仕掛けています。開発者たちのいたずら心を楽しんでください。イラストはテイルズウィーバーならではの雰囲気を出すために努力しています。そこを感じ取ってもらえるとうれしいですね。

キム・セフン氏: 他のゲームでは見られない個性的なモンスターを楽しんでください。各モンスターの特徴には気を配りました。モンスターの動きや性格に注目してほしいですね。

ユン氏: 物語は今後中部アノマラド大陸まで広がっていきます。新しい地域、新しい町、これらを細かい部分までチェックしてみてください。さまざまな設定をそこから感じていただければうれしいです。

編集部:ありがとうございました。

□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「テイルズウィーバー」のページ
http://gameweb.nexon.co.jp/talesweaver/
□関連情報
【9月10日】ネクソンジャパン、MMORPG「テイルズウィーバー」、
新エピソード「チャプター6」を含むアップデートを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040910/tales.htm
【9月2日】ネクソンジャパン、「テイルズウィーバー」2サーバーを新設
正式サービスは9月21日開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040902/tales.htm
【8月24日】ネクソンジャパン、MMORPG「テイルズウィーバー」に
“要塞争奪戦”を導入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040824/tales.htm
【7月29日】ネクソンジャパン、「テイルズウィーバー」にチャプター5を導入
日本独自のプライベートダンジョンを追加
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040729/tales.htm
【4月9日】ネクソン、MMORPG「テイルズウィーバー」サーバー増設
経験値・アイテム2倍キャンペーンも実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040409/nexon.htm
【4月8日】PCゲームレビュー「テイルズウィーバー」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040408/tai.htm

(2004年12月6日)

[Reported by 勝田哲也 Interviewed by 中村聖司]


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