【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

★PCゲームレビュー★

ストーリーとキャラクタを重視した韓国産MMORPG
「テイルズウィーバー」
  • ジャンル:MMORPG
  • 発売元:ネクソンジャパン
  • 価格:未定
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:未定(オープンβテスト中)



■壮大なストーリーが展開するMMORPG

一番人の多い街・ナルビク。ピンクのドレスを着て座り込んでいるのは「売り子」である。多くのキャラクタがユニークな姿をして闊歩する。コミカルな世界観を持った作品である
 2月25日より、オープンβテストを開始した韓国産のMMORPG「テイルズウィーバー」。可愛らしく、かつ精密に描かれた2D世界の中で、直感的でスピーディーな戦闘が楽しめるゲームとなっている。

 本作の最大の特徴は、「ストーリー」にある。プレーヤーは、自分の分身として8人のキャラクタから一人を選び、ストーリーを体験していく。各キャラクタには深いバックストーリーと、世界に関わっていくような壮大な展開が用意されている。

 8人のキャラクタにはティチエルとミラ、ルシアンとボリスといった具合に「ペア」が設定されている。ペアのキャラクタは他のキャラクタ以上にストーリーで密接な関わりを持っている。

 キャラクタを選ぶのに、ホームページで発表されているキャラクタの設定や、容姿の好みで選択するのもいいが、それぞれのオープニングシーンを見てから選ぶのも良いだろう。渋そうなマキシミンが、コロコロ表情を変えたり、シリアスなストーリーのシベリンが「お姉ちゃん大好き」な軽い男だったりと、オープニングを見ることでずいぶん印象が変わる場合も多いからだ。

 筆者はプレーヤーキャラクタとして槍の使い手である「シベリン・ウー」でプレイしてみた。記憶を失っていて、自分の胸に傷を付けた「黒衣の剣士」を探し求めるというストーリーだ。シベリンのパートナーは、ナヤトレイ。彼女の危機を救った事で一緒に旅をしている。黒衣の剣士はシベリンが唯一覚えている、失われた記憶への手がかりなのだ。

 シナリオの展開は、決められた場所に行くとイベントが展開するという「フラグ」方式となっている。シナリオを体験しているキャラクタは頭の上にアイコンがあらわれ他の人から見ると、停止しているようにしか見えない。知らずに建物に迷い込むと、アイコンがついているキャラクタがたくさん立っていて、びっくりさせられることもある。

 ストーリーは「エピソード」と、「チャプター」というものがあり、複数のチャプターで、ひとつのエピソードが構成される。3月28日にようやくチャプター2が公開されたばかりだ。開発スタッフによれば、まだまだエピソード1の序盤に過ぎないとのこと。

 筆者は、チャプター2の中番前までゲームを進めてみた。チャプター1は、いわゆる「お使いクエスト」が中心で、もうちょっと「ストーリーを進めている感触」が、欲しいと思っていたのだが、2ではイベントでの戦闘や、シベリンの秘密、さらにナヤトレイの運命も関わってきて、一段キャラクタへのストーリーの練り込みが深くなっている印象を受けた。

 チャプター2をクリアしたプレーヤーの話によると、レベルが25あれば何とかなるとのこと。本作はレベルが上がりやすいゲームで、気合いを入れてやり込めば、レベル1から2週間かからない程度でレベル25に到達できる。

 ところで、ストーリーを体験できるのが本作のウリだが、けしてそれだけのゲームではない。ひとつのキャラクタをやりこむ要素ももちろんだが、他のキャラクタをプレイするという楽しさもある。ストーリーは、意外な部分でつながっていたり、共通の黒幕を匂わせる演出もある。

 現在、筆者はナヤトレイのストーリーにかなり興味をもっている。シベリンの相棒としてずっと一緒のはずなのに、オープニングですら、シベリンの知らないところで活躍しているのである。秘密をかかえた二人の関係は、両者の視点で俯瞰することで、より一層深まってくる。

 本作はひとつのアカウントで6人のキャラクタを作成することができる。複数のキャラクタを同時進行でストーリーを進めていくという、比較的MMORPGでは新しい楽しみかたも可能なのである。

【スクリーンショット】
キャラクタ作成画面。8人のうちひとりを選択する。各キャラクタには3つのタイプがあり、自由度は高い。 オープニングシーン。各キャラクタの個性的なストーリーが展開する。シベリンは、記憶の手がかりである、自分を傷つけた黒衣の剣士を追うことに チュートリアル。非常に丁寧にゲームの基本の操作を教えてくれる。
さまざまなキャラクタに関わっていく凸凹コンビ「ほおひげ団」。典型的なわかりやすい悪役である シベリンのストーリーはナヤトレイと共に展開する。ナヤトレイのプレーヤーに親近感を覚えてしまうことになるだろう 渋い探偵であるマキシミンだが、最も多くの顔の変化を見せてくれる。一本の剣が彼を運命に巻き込む



■コミカルなグラフィックで描き出された世界

 筆者は一番人の多い「アノマラド」というサーバーでプレイしたのだが、最初に広がった光景に驚かされた。画面中に広がる、人人人……。もっともこれは、後日大部分はプレーヤーが雇った「売り子」であることがわかるのだが。それとは別に、プレイをしているキャラクタの外見に驚かされたのである。メガネをつけたり、頭に旗をつけたりというアクセサリー、さらに多彩な服の色、髪の色、さまざまな外見を持つキャラクタがいる。

 選択できるキャラクタの外見が決まっているということで、同じようなキャラクタがぎっしりひしめいてるだけかもしれない、という筆者の想像は良い意味で裏切られた。アクセサリーの多くはサングラスやマスク、さらにはアフロヘアなど、ユニークなものが多く、「本格ファンタジー」とは、明らかに違う方向性である。ライトノベルズ系ファンタジー的世界観、といったところだろうか。かわいらしいキャラクタにマッチしたさまざまな「小道具」が用意されているのである。

 フィールドは街などの戦闘のない「安全地帯」と、モンスターのいる地域、さらにPVPが可能になる「PKゾーン」がある。各地域でモンスターの強さはかっちりわかれており、安全に他の場所を探索するにはレベル12くらいの強さが必要になるだろう。

 各街や、いくつかのフィールドには「ワープゾーン」が設置されている。あらかじめ登録しておくことで、無料で行き来が可能になる。さまざまな場所を訪れて登録しておけば、イベントを進めるのが非常に楽になる。強くなってから登録していくのが一般的だが、レベルが低いうちはモンスターにやられてもペナルティーがないため、あらかじめ登録してしまう人もいるという。

 プレーヤーが集中するナルビク、民族的なテントの立ち並ぶカウルなど、各街はよく特徴が出ていて、NPCたちはフリーのクエストを依頼してくることもあり、レベル上げだけではなく、観光も楽しい。また、モンスターによってはアイテムを確実に落とす奴や、出現数が違うため、同じような強さでも“モンスターのうまみ”が違う場合がある。レベルが上がり、行動圏が増えてくるに従い、「おいしい」狩り場を見つけることができるだろう。

【スクリーンショット】
たこの形をした帽子をかぶったナヤトレイ。どんな破天荒な格好をしても受け入れてしまう、懐が深いゲームである ネイティブアメリカンや、南米のような装飾が施されたテント。呪術師のような雰囲気もあるカウルの街 建物の中の書き込みも非常に細かい。武器屋などには、定価より値引きをした商品を置いた個人商店も目に付く
NPCとの会話でイベントが発生する。時間制限付きの選択を迫られることも。難易度はさまざまである ナルビクにある銀行。アイテムを預けられる場所はとても少ないため、ここはいつも混雑している 木の中にある街ライディア。ハーブティーを飲ませてくれる喫茶店などがある。各街ならではの建物探索も楽しい
各街をつなぐワープポイントはフィールドにも設置されている。これを利用することで、狩り場に素早く移動できる 炭坑の街クラド。チャプターを進行させるには各街をまわる必要がある。クラドはちょっと閑散とした田舎っぽい街だ 個人商店のアイテム。アクセサリの他、クエストに必要なアイテムなど、多くのものが売買されている



■個性的なシステム

 キャラクタの成長はレベルによる能力値の上昇と、経験値を消費してスキルを上げることになる。スキルはすべて最初からメニューに見えており、初心者はどんなスキルを上げて良いか、迷ってしまうかもしれない。まずは右クリックで行う攻撃のスキルと、左クリックで使う特殊攻撃のスキルを、ひとつずつ集中してあげるのが得策だろう。

 レベルが6を越えると、キャラクタはコンボが使えるようになる。さらに11、16、26と、攻撃回数が増えてくる。この時初めて、他の打撃系を上げて行くといいだろう。各技には命中率や攻撃範囲の特性があるほか、コンボの「かっこよさ」で選ぶのも良いかもしれない。コンボは3種類が登録でき、1体の敵を攻撃するとき、複数の敵に囲まれたとき、など状況に合わせて技を組み込んでおくと効率的に戦える。

 目移りしてしまうスキルの量だが、戦闘で経験を積むことで、必要なスキルが体感できるゲームバランスになっているため、焦る必要はない。レベル15くらいで、必要なスキルを改めて考え、副次的なスキルに手を伸ばす、といった感じになるだろう。

 「テイルズウィーバー」は非常に戦闘、特に肉弾戦に特化しているゲームである印象を受けた。また、パーティープレイよりも、シングルプレイを重視しているというのがゲーム序盤の感想である。これはキャラクタの能力でも顕著で、「相手の体力を回復する」というスキルを持ったキャラクタが8人の中で、ティチエルしかいないのだ。

 こういったキャラクタバランスにパーティーシステムはちゃんと対応していて、敵を倒すと公平に経験値が分散される方式の他に、ボーナス方式というシステムが採用されていて、敵を倒すとシングルプレイで入る経験値と、微量ながらメンバーに経験値が入る「ボーナス」がつく。このため、パーティーメンバーが一定の範囲内で、てんでバラバラに敵を狩り、ボーナスでシングルプレイ以上の経験値を得るという事が可能になっている。戦闘補助のキャラクタが少ないゲームならではのアイデアだろう。

 フィールドでの戦闘は、次々にPOPする敵を矢継ぎ早に倒していくというオーソドックスな内容。敵をターゲットした状態で、左クリックし続けなくてはならないため、パーティー間でも会話をしている余裕がほとんどない。しかし、バランスをとるためか体力の回復は遅めで、長時間の休憩タイムが必要になる。このとき回復を行ってくれるティチエルがいれば、大助かりだ。

 パーティープレイはキャラクタが成長し、個性が出てくることで重要になってくる。特にティチエルはどこでも引っ張りだことなる。そのため、セカンドキャラクタでティチエルを選択するプレーヤーも多い。また、チャプターの最後に待ち受ける「ボスモンスター」を倒すには、パーティーが有利である。冒険を続けることで信頼できる仲間と関係を深くしていくというMMORPGならではの要素は、本作でも健在である。

 「生産」要素もユニークだ。本作の場合、キャラクタは生産スキルを持たない。レシピに従って、アイテムをあつめ、ショップで「合成」することで行う。個人商店で売買したり、自分で作ることでキャラクタに個性的な外見を与えるのに、合成は必須。合成に必要なアイテムは数が多く、手に入る難易度もバラバラのため、アイテム収集にもある程度のレベルが必要になる。中級者の楽しみ、といったところだろうか。

【スクリーンショット】
クリック連打で敵を攻撃。戦闘はとてもスピーディー。つぎつぎと敵を倒す爽快感がある コンボを設定する。命中率など、効率も大事だが、かっこよさにも気を配りたい 雨や雪、夜など、フィールドはさまざまに変化する。デメリットばかりなのがちょっと残念
回復の時間は、体感的にちょっと長め。安全地帯で、おしゃべりをするにはちょうど良い時間かも パーティープレイ。メンバーの状態を見るウインドーはちょっと大きめで、すこし画面が見にくく感じた ティチエルのワイドヒール。パーティーメンバー以外も回復してくれる。「補助役」を満喫できるキャラクタだ
レシピに従って合成。シベリンの髪の色をグレイに変えてくれる染料を作成中 敵を倒して得られる武器は、売っている武器より上等な場合も。他のキャラクタの武器を入手した場合は、取引で モンスターのデザインはかわいらしいものも多い。ワイルドキャットなどは、思わず攻撃を躊躇してしまいそうだ



■充実したコミュニティー

 ボスモンスターは強力とはいえ、チャプター1のゼリーキングはレベル20程度なので、ひたすらレベルを上げていけば、一人で倒すことも可能だ。本作はともすればシングルプレイに終始してしまう可能性もある。だからこそであるのだろうか? 「テイルズウィーバー」は非常に充実したコミュニティーシステムを持っている。

 代表的なものがパーティーシステム。リーダーがパーティーを解散させない限り、ログアウトしてもその繋がりは継続され、チャットで連絡を取り合えばいつでも連絡ができる。気のあった友人を見つければ、フレンド登録をしておけば、「メッセンジャー」で相手のログオン状況が確認でき、個人的なメッセージも送信できる。

 また、「/si メッセージ」というコマンドで、頭の上に吹き出しを出しておくことが可能になる。パーティー募集などのノーマルなメッセージから、思わず声をかけてしまいたくなるユニークなメッセージを出しているプレーヤーもいる。筆者はゼリーキングを倒すため、このメッセージに、さらに掲示板で仲間を募集していたプレーヤーに声をかけ、4人の即席のパーティーを結成して敵に挑んだ。

 知らない人に声をかけて募集するのが苦手なプレーヤーには、「クラブ」という、ギルドシステムにあたるものも用意されている。クラブメンバー募集を吹き出しとして出しているプレーヤーも多く、いいクラブにはいることができれば他のクラブ員にフォローをしてもらうことができるだろう。

【スクリーンショット】
集めたメンバーでゼリーキングに挑戦。パーティープレイが必要となる大きなイベントだ 倒した記念にポーズ。こういった体験ができるのも、パーティープレイならでは 個性の出る頭の上のメッセージ。ユニークなものも多く、見ているだけでも楽しい
チャプター2でおこる戦闘イベント。はまってしまう怖さがあったが、何とかクリア かけっこイベント。チェックポイントを通過して、時間以内に規定数を周回する。いつでも楽しめる対戦要素がほしかったところ チャプター2のボスを倒すと入手できるカメの甲羅。レベルの高いキャラクタは簡単に入手できるため、導入後すぐにメジャーなアイテムに

 ちょっとネタバレになってしまうが、チャプター2ではシナリオの中に戦闘イベントも入っていて、レベルが低いままイベントを進めると「ハマってしまう」恐怖感がある。防御力が低かったため、一度目の戦闘に敗れてしまい、そのまま再び戦闘イベントが始まり、抜けられなかったときは本気で恐かった。

 回復アイテムを豊富に持っていたからなんとか切り抜けたものの、何度も負けて回復アイテムがつきたら……と、考えると、レベルアップの必要性を強く強く感じてしまった。すくなくともレベル20を越えるまではチャプター2に挑戦しない方がいいかもしれない。救済措置はあると思うが、レベルを上げておけば安心だ。

 チャプター2で追加されると発表されている「かけっこ」と、「パズル」のふたつのミニゲームだが、これはシナリオ中のイベントのひとつで、いつでも気軽に遊べたという性質のものではなかった。これはこれでおもしろいのだが、これらとは別にいつでも友人達と楽しめるものがほしいと感じた。

 現在はオープンβテスト中ということもあり、「これから」を期待させるゲームである。チャプターはまだ2が導入されたばかりだが、多彩なアイテムや、アクセサリー、さらには上級者向けのフィールドなども用意されており、現在でもやり込み要素は豊富。上級者にも応える懐を備えているゲームである。

 ストーリーの追加は韓国を追う形になるのだが、日本オリジナルの展開も用意されているとのこと。現在公式ページでは日本だけのBGMが公開されている。これは第一弾に過ぎず、これからも多彩な展開を構想中だという。無料期間中に、この世界を訪れてみてはいかがだろうか?

Copyright 1999-2003 NEXON Corporation and NEXON Japan Co.,Ltd.. All Rights Reserved.


【テイルズウィーバー】
  • CPU:400MHz以上のクロック速度(800MHz以上推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD:インストール時:1.5GB以上の空き容量
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上を推奨


□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「テイルズウィーバー」のホームページ
http://www.nexon.co.jp/talesweaver/
□関連情報
【3月26日】ネクソン、「テイルズウィーバー」チャプター2を3月29日に導入
日本オリジナルのオープニングBGMを先行公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040326/nexon.htm
【2月27日】「テイルズウィーバー」運営チームインタビュー
ストーリーと緻密なビジュアルで魅せる2DMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040227/talesin.htm
【2月20日】ネクソン、「テイルズウィーバー」のオープンβテストを2月25日より開始。同時接続30,000人をサポートした大規模なオープンテスト
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040220/tales.htm

(2004年4月8日)

[Reported by 勝田哲也]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.