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★PCゲームレビュー★
■壮大なストーリーが展開するMMORPG
本作の最大の特徴は、「ストーリー」にある。プレーヤーは、自分の分身として8人のキャラクタから一人を選び、ストーリーを体験していく。各キャラクタには深いバックストーリーと、世界に関わっていくような壮大な展開が用意されている。 8人のキャラクタにはティチエルとミラ、ルシアンとボリスといった具合に「ペア」が設定されている。ペアのキャラクタは他のキャラクタ以上にストーリーで密接な関わりを持っている。 キャラクタを選ぶのに、ホームページで発表されているキャラクタの設定や、容姿の好みで選択するのもいいが、それぞれのオープニングシーンを見てから選ぶのも良いだろう。渋そうなマキシミンが、コロコロ表情を変えたり、シリアスなストーリーのシベリンが「お姉ちゃん大好き」な軽い男だったりと、オープニングを見ることでずいぶん印象が変わる場合も多いからだ。 筆者はプレーヤーキャラクタとして槍の使い手である「シベリン・ウー」でプレイしてみた。記憶を失っていて、自分の胸に傷を付けた「黒衣の剣士」を探し求めるというストーリーだ。シベリンのパートナーは、ナヤトレイ。彼女の危機を救った事で一緒に旅をしている。黒衣の剣士はシベリンが唯一覚えている、失われた記憶への手がかりなのだ。 シナリオの展開は、決められた場所に行くとイベントが展開するという「フラグ」方式となっている。シナリオを体験しているキャラクタは頭の上にアイコンがあらわれ他の人から見ると、停止しているようにしか見えない。知らずに建物に迷い込むと、アイコンがついているキャラクタがたくさん立っていて、びっくりさせられることもある。 ストーリーは「エピソード」と、「チャプター」というものがあり、複数のチャプターで、ひとつのエピソードが構成される。3月28日にようやくチャプター2が公開されたばかりだ。開発スタッフによれば、まだまだエピソード1の序盤に過ぎないとのこと。 筆者は、チャプター2の中番前までゲームを進めてみた。チャプター1は、いわゆる「お使いクエスト」が中心で、もうちょっと「ストーリーを進めている感触」が、欲しいと思っていたのだが、2ではイベントでの戦闘や、シベリンの秘密、さらにナヤトレイの運命も関わってきて、一段キャラクタへのストーリーの練り込みが深くなっている印象を受けた。 チャプター2をクリアしたプレーヤーの話によると、レベルが25あれば何とかなるとのこと。本作はレベルが上がりやすいゲームで、気合いを入れてやり込めば、レベル1から2週間かからない程度でレベル25に到達できる。 ところで、ストーリーを体験できるのが本作のウリだが、けしてそれだけのゲームではない。ひとつのキャラクタをやりこむ要素ももちろんだが、他のキャラクタをプレイするという楽しさもある。ストーリーは、意外な部分でつながっていたり、共通の黒幕を匂わせる演出もある。
現在、筆者はナヤトレイのストーリーにかなり興味をもっている。シベリンの相棒としてずっと一緒のはずなのに、オープニングですら、シベリンの知らないところで活躍しているのである。秘密をかかえた二人の関係は、両者の視点で俯瞰することで、より一層深まってくる。 ■コミカルなグラフィックで描き出された世界 筆者は一番人の多い「アノマラド」というサーバーでプレイしたのだが、最初に広がった光景に驚かされた。画面中に広がる、人人人……。もっともこれは、後日大部分はプレーヤーが雇った「売り子」であることがわかるのだが。それとは別に、プレイをしているキャラクタの外見に驚かされたのである。メガネをつけたり、頭に旗をつけたりというアクセサリー、さらに多彩な服の色、髪の色、さまざまな外見を持つキャラクタがいる。 選択できるキャラクタの外見が決まっているということで、同じようなキャラクタがぎっしりひしめいてるだけかもしれない、という筆者の想像は良い意味で裏切られた。アクセサリーの多くはサングラスやマスク、さらにはアフロヘアなど、ユニークなものが多く、「本格ファンタジー」とは、明らかに違う方向性である。ライトノベルズ系ファンタジー的世界観、といったところだろうか。かわいらしいキャラクタにマッチしたさまざまな「小道具」が用意されているのである。 フィールドは街などの戦闘のない「安全地帯」と、モンスターのいる地域、さらにPVPが可能になる「PKゾーン」がある。各地域でモンスターの強さはかっちりわかれており、安全に他の場所を探索するにはレベル12くらいの強さが必要になるだろう。 各街や、いくつかのフィールドには「ワープゾーン」が設置されている。あらかじめ登録しておくことで、無料で行き来が可能になる。さまざまな場所を訪れて登録しておけば、イベントを進めるのが非常に楽になる。強くなってから登録していくのが一般的だが、レベルが低いうちはモンスターにやられてもペナルティーがないため、あらかじめ登録してしまう人もいるという。 プレーヤーが集中するナルビク、民族的なテントの立ち並ぶカウルなど、各街はよく特徴が出ていて、NPCたちはフリーのクエストを依頼してくることもあり、レベル上げだけではなく、観光も楽しい。また、モンスターによってはアイテムを確実に落とす奴や、出現数が違うため、同じような強さでも“モンスターのうまみ”が違う場合がある。レベルが上がり、行動圏が増えてくるに従い、「おいしい」狩り場を見つけることができるだろう。
■個性的なシステム キャラクタの成長はレベルによる能力値の上昇と、経験値を消費してスキルを上げることになる。スキルはすべて最初からメニューに見えており、初心者はどんなスキルを上げて良いか、迷ってしまうかもしれない。まずは右クリックで行う攻撃のスキルと、左クリックで使う特殊攻撃のスキルを、ひとつずつ集中してあげるのが得策だろう。 レベルが6を越えると、キャラクタはコンボが使えるようになる。さらに11、16、26と、攻撃回数が増えてくる。この時初めて、他の打撃系を上げて行くといいだろう。各技には命中率や攻撃範囲の特性があるほか、コンボの「かっこよさ」で選ぶのも良いかもしれない。コンボは3種類が登録でき、1体の敵を攻撃するとき、複数の敵に囲まれたとき、など状況に合わせて技を組み込んでおくと効率的に戦える。 目移りしてしまうスキルの量だが、戦闘で経験を積むことで、必要なスキルが体感できるゲームバランスになっているため、焦る必要はない。レベル15くらいで、必要なスキルを改めて考え、副次的なスキルに手を伸ばす、といった感じになるだろう。 「テイルズウィーバー」は非常に戦闘、特に肉弾戦に特化しているゲームである印象を受けた。また、パーティープレイよりも、シングルプレイを重視しているというのがゲーム序盤の感想である。これはキャラクタの能力でも顕著で、「相手の体力を回復する」というスキルを持ったキャラクタが8人の中で、ティチエルしかいないのだ。 こういったキャラクタバランスにパーティーシステムはちゃんと対応していて、敵を倒すと公平に経験値が分散される方式の他に、ボーナス方式というシステムが採用されていて、敵を倒すとシングルプレイで入る経験値と、微量ながらメンバーに経験値が入る「ボーナス」がつく。このため、パーティーメンバーが一定の範囲内で、てんでバラバラに敵を狩り、ボーナスでシングルプレイ以上の経験値を得るという事が可能になっている。戦闘補助のキャラクタが少ないゲームならではのアイデアだろう。 フィールドでの戦闘は、次々にPOPする敵を矢継ぎ早に倒していくというオーソドックスな内容。敵をターゲットした状態で、左クリックし続けなくてはならないため、パーティー間でも会話をしている余裕がほとんどない。しかし、バランスをとるためか体力の回復は遅めで、長時間の休憩タイムが必要になる。このとき回復を行ってくれるティチエルがいれば、大助かりだ。 パーティープレイはキャラクタが成長し、個性が出てくることで重要になってくる。特にティチエルはどこでも引っ張りだことなる。そのため、セカンドキャラクタでティチエルを選択するプレーヤーも多い。また、チャプターの最後に待ち受ける「ボスモンスター」を倒すには、パーティーが有利である。冒険を続けることで信頼できる仲間と関係を深くしていくというMMORPGならではの要素は、本作でも健在である。 「生産」要素もユニークだ。本作の場合、キャラクタは生産スキルを持たない。レシピに従って、アイテムをあつめ、ショップで「合成」することで行う。個人商店で売買したり、自分で作ることでキャラクタに個性的な外見を与えるのに、合成は必須。合成に必要なアイテムは数が多く、手に入る難易度もバラバラのため、アイテム収集にもある程度のレベルが必要になる。中級者の楽しみ、といったところだろうか。
■充実したコミュニティー ボスモンスターは強力とはいえ、チャプター1のゼリーキングはレベル20程度なので、ひたすらレベルを上げていけば、一人で倒すことも可能だ。本作はともすればシングルプレイに終始してしまう可能性もある。だからこそであるのだろうか? 「テイルズウィーバー」は非常に充実したコミュニティーシステムを持っている。 代表的なものがパーティーシステム。リーダーがパーティーを解散させない限り、ログアウトしてもその繋がりは継続され、チャットで連絡を取り合えばいつでも連絡ができる。気のあった友人を見つければ、フレンド登録をしておけば、「メッセンジャー」で相手のログオン状況が確認でき、個人的なメッセージも送信できる。 また、「/si メッセージ」というコマンドで、頭の上に吹き出しを出しておくことが可能になる。パーティー募集などのノーマルなメッセージから、思わず声をかけてしまいたくなるユニークなメッセージを出しているプレーヤーもいる。筆者はゼリーキングを倒すため、このメッセージに、さらに掲示板で仲間を募集していたプレーヤーに声をかけ、4人の即席のパーティーを結成して敵に挑んだ。 知らない人に声をかけて募集するのが苦手なプレーヤーには、「クラブ」という、ギルドシステムにあたるものも用意されている。クラブメンバー募集を吹き出しとして出しているプレーヤーも多く、いいクラブにはいることができれば他のクラブ員にフォローをしてもらうことができるだろう。 ちょっとネタバレになってしまうが、チャプター2ではシナリオの中に戦闘イベントも入っていて、レベルが低いままイベントを進めると「ハマってしまう」恐怖感がある。防御力が低かったため、一度目の戦闘に敗れてしまい、そのまま再び戦闘イベントが始まり、抜けられなかったときは本気で恐かった。 回復アイテムを豊富に持っていたからなんとか切り抜けたものの、何度も負けて回復アイテムがつきたら……と、考えると、レベルアップの必要性を強く強く感じてしまった。すくなくともレベル20を越えるまではチャプター2に挑戦しない方がいいかもしれない。救済措置はあると思うが、レベルを上げておけば安心だ。 チャプター2で追加されると発表されている「かけっこ」と、「パズル」のふたつのミニゲームだが、これはシナリオ中のイベントのひとつで、いつでも気軽に遊べたという性質のものではなかった。これはこれでおもしろいのだが、これらとは別にいつでも友人達と楽しめるものがほしいと感じた。 現在はオープンβテスト中ということもあり、「これから」を期待させるゲームである。チャプターはまだ2が導入されたばかりだが、多彩なアイテムや、アクセサリー、さらには上級者向けのフィールドなども用意されており、現在でもやり込み要素は豊富。上級者にも応える懐を備えているゲームである。 ストーリーの追加は韓国を追う形になるのだが、日本オリジナルの展開も用意されているとのこと。現在公式ページでは日本だけのBGMが公開されている。これは第一弾に過ぎず、これからも多彩な展開を構想中だという。無料期間中に、この世界を訪れてみてはいかがだろうか? Copyright 1999-2003 NEXON Corporation and NEXON Japan Co.,Ltd.. All Rights Reserved.
□ネクソンジャパンのホームページ
(2004年4月8日) [Reported by 勝田哲也]
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