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Korea Amuse World Game Expo現地レポート

Korea Amuse World Game Expo 2004開催
「ラグナロク II」、「World of Warcraft」など大作MMO続々

会期:11月25日~28日(現地時間)

会場:韓国総合展示場(COEX)

 韓国最大規模のゲームショウKorea Amuse World Game Expo 2004 (KAMEX) が、ソウル市江南区の韓国総合展示場(COEX)にて開幕した。今年も前年どおり、全日一般公開とし、初日の25日は、業界関係者や報道関係者だけでなく、学業の一環として参観に訪れている学生や、一般来場者の姿が目立った。KAMEXは本日より28日までの4日間、開催される。


■ 開催10回目を数えたKAMEX。単独開催は今年が最後に

開会のテープカット後にイベント紹介を行なうKAMMA会長Jung-Ryool Kim氏。ご存じGravityの会長である
授業の一環としてKAMEX参観に訪れた学生たち。高校生や専門学校生のみならず、小中学生も含まれている
ケーブルテレビMBC Gamesが主催のゲーム大会も開催。種目はもちろん「Starcraft」
 KAMEXは、韓国ゲーム産業を国内外に広くアピールする唯一の展示会として、'95年からスタートし、今年で開催10回目を迎えた。もともと筐体型のアーケードゲームの展示会としてスタートし、徐々に韓国オンラインゲームを国内外に強くアピールする目的の展示会に変貌していったのはよく知られている話である。

 ところが昨年は、韓国大手のNCSoftやNEXONが出展を見送るなど、業界全体の足並みが乱れはじめ、MicrosoftやSCEKといった新規参入組を迎えつつも、ショウ全体としては縮小傾向となった。この背景にはさまざまな原因が指摘できるが、最大の要因は、年々縮小傾向にあるアーケードゲーム業界が、現在韓国で主流のゲーム産業となっているオンラインゲームを中心としたコンピューターゲーム市場を囲い込むという歪んだ構図にある。

 そこで来年からは、オンラインゲーム産業を牽引する韓国ゲーム産業開発院(日本ではGame Infinityの名で知られている)が新たに主催となり、あらゆるゲーム産業を含めたゲーム展示会「Game Expo Korea」に移行することが決定している。これは、KAMEXやアーケードゲーム専門の展示会であるKOPAを統合するだけでなく、韓国ゲーム産業開発院が、E3やECTS、そして東京ゲームショウ等で展開してきた韓国ゲームベンチャーの新規タイトルの展示までも含め、文字通り韓国ゲーム産業のすべてが見られる展示会になる模様だ。東京ゲームショウやECTSの例を見るまでもなく、その道のりは平坦ではないように思われるが、エンドユーザーからすれば非常にありがたい動きだろう。

 今年の出展メーカーは、大手では、毎年KAMEXを“主戦場”として、活発なユーザー向けおよびプレス向けイベントを行なってきているGravityをはじめ、韓国最大手のゲームポータルHan Gameを擁するNHN(Next Human Network)、大型MMORPG「World of Warcraft」を自社展開するBlizzard Entertainment、セガと共同制作している「Shenmue Online」を初出展したJCEntertainment。東京ゲームショウでセガが正式取り扱いを発表した大型MMORPG「RF Online」を展開するCCRなど。昨年初出展したMicrosoftとSCEKは、残念ながら今年は出展を見送っていた。

 個別のブースレポートは、別稿にて紹介することにして、以下ではKAMEX 2004全体の傾向を紹介していきたい。


■ オンラインゲーム市場は、非RPG型のMMOが盛況

KAMEX初参加のBlizzard Entertainment Korea。イベント用の大型トレーラーを利用し、試遊台15台を設置。常時大にぎわいだった
Gravityは今年もステージイベント中心のブース構成。「ラグナロクオンライン」と「ローズオンライン」の2枚看板を大プッシュしていた
ユニークな出展スタイルという点で技ありだったのがJCEの「Shenmue Online」。ブース内に中国人街を設置。ついつい何度も入ってしまう
 今年のKAMEXもやはりオンラインゲームが盛況だった。しかし、新しい変化も見られた。

 今回多く注目を集めていたのは、「World of Warcraft」を自社展開するBlizzard Entertainment Koreaブース。出展タイトルを「World of Warcraft」のみに絞り、15台の試遊台とイベントで、多くの注目を集めていた。韓国では、欧米とほぼ同時期のタイミングでフルローカライズしてリリースという海外タイトルとして前例のないスピード展開で、海外タイトルとしては初の成功が期待されている。

 現在韓国ではオープンβテストの真っ最中で、同時接続者数10万人超を記録。この数字は、Ncsoftの2大タイトル「Lineage」、「Lineage II」に次ぐ3番手のポジションというからその人気の凄さがわかる。同作の人気を底支えしているのは、HanbitSoft急成長の原動力となった「Starcraft」、「Warcraft」シリーズの大ヒットによるBlizzardファンの存在にあることは間違いないが、βテストの人気ぶり、Blizzardの力の入れよう、日本以上に海外参入が難しいといわれる韓国オンラインゲーム市場での欧米同時展開など、あらゆる点で異色であり、韓国オンラインゲーム市場の台風の目になるのは間違いなさそうだ。

 一方、KAMEXの顔であるGravityは、数年前からその存在が噂されていた「ラグナロク II」を正式発表。出展内容は短いリアルタイム映像のみに留まったが、韓国プレスを中心に多くの報道陣が駆けつけ、注目度の高さを伺わせた。また、昨年正式発表した成人向けMMORPG「Requiem」も、初のリアルタイム映像を公開。リリース時期は共に2005年予定としている。詳しい内容についてはブースレポートでお伝えするつもりだ。

 さて、それ以外では、現在主流のMMORPGとは明らかに毛色の異なる非RPG型のMMOが続々と出展されていたのが特徴的だった。NHNは、大規模なブースの全面を使ってオンラインゴルフゲーム「Exciting Golf」を出展。セガとの「Shenmue Online」の共同制作で一躍日本でも名を知られるようになったJCEntertainmentも、3on3のストリートバスケをモチーフにしたオンラインゲーム「Freestyle」を出展。

 また、韓国でMMORPG「A3」を展開するAni-parkは、ホバーボード(「バックトゥーザフューチャー2」のマーティーが乗ってたホバーするスケートボードを想像するとわかりやすい)をモチーフに、レース要素とクエスト制RPGの要素をミックスさせた「Hoverboard ASDF」を出展するなど、テクノロジーにこだわらずアイデアで勝負するオンラインゲームが増えていたのは収穫だった。日本でもこれらのタイトルがプレイできる日が来るかもしれない。

【非RPG型MMOタイトル】
非RPG型のMMOタイトルは、まだジャンル的には知名度が低いため、いずれもユニークな出展の仕方でゲームタイトルをアピールしていた。

【RF Online】
出展スタイルで今回もっとも奇抜だったのがCCRのMMORPG「RF Online」。ブースを会場の3カ所に分散させ、各所で勢力ごとのロボットを設置。肝心のゲームの出展はイメージ映像のみという一風変わった出展スタイルだった。ブースのつくりも、コンパニオンの衣装も違うため、一見同じ会社のブースとは思えない。そこがミソらしい


■ アーケード業界は、オンラインゲームとの融合に注目

Rhoceoの「King Race Online」。大型モニタがなければPC房(ネットカフェ)とまったく変わらない光景。現在専用店舗が増えているというが、今後の動向が注目される
韓国は時間単位でボードゲームを遊べる専用のカフェがちょっとした流行になっている。ボードゲームの老舗Paperiyagiブースの人気ぶりがその流行を証明している
 年々縮小傾向にあったアーケードゲーム関連製品は、大手オンラインゲームメーカーやコンソールメーカーの出展見合わせなどもあって、出展エリアを拡大していた。韓国におけるアーケードゲーム市場は、気軽にPCゲームが楽しめるPC房の誕生以後は、シェアを落とし続けており、国内の景気の悪さもあって、ソウル市内でも閉店する店が後を絶たないという。

 それに変わって、ここ1年で急成長しているのが、既存のPCハードウェアを使ったプライズ系のLANエンターテインメントだという。その次期主力コンテンツとして、今年のKAMEXでも人気を博していたのがRhoceoの「King Race Online」である。

 ゲーム内容は、フル3Dの競馬シミュレーションゲームで、ハードウェアはWindowsベースのPCのみで完結している。実際の競馬レースをシミュレートするサーバーを店舗内に設置し、ユーザーはPCクライアントを利用。PCベースで、1店舗に1つのゲームのみで運営という点では、ナムコがLEDZONEで試験運営している「Counter-Strike: Neo」の発想に近い印象だ。

 「King Race Online」の場合は、現金でポイントを購入して店内のサーバーにログインし、マウスとキーボードを使って、勝ち馬を予想し、勝てばその掛け率に応じてポイントが増えるという仕組みだ。

 これだけなら日本でも多くの大型筐体を使った競馬シミュレーションゲームと変わらないのだが、このPCを使ったアミューズメントの強みは、複数台のPCの導入だけで気軽に開業できるという気安さに加えて、ためたポイントを商品券等の現物と交換できる賭博性の高さにある。

 韓国の風営法に相当するものがどういう内容になっているのかは不明だが、現在韓国では既存のアミューズメントスポットを、そっくり入れ替えてこの手の施設でリニューアルオープンする店が増えているという。いずれにしても既存のオンラインゲーム市場のテクノロジーをうまく活かした新しいアミューズメントコンテンツと言えそうだ。

【アーケードゲーム】
今年のアーケードゲームは、通常のビデオゲーム筐体や体感機は減少傾向で、その代わりに大人向けの筐体が増えていた。写真は左から順にダーツゲームマシン、ルーレットマシン、スロットマシン

【Chupa Party】
プライズ系では、Hyun Systemの「Chupa Party」。チュッパ・チャップス専用のプライズ機で、4輪駆動のマシンを遠隔操作して、アメを掴むというもの。縦横無尽に走り回り、アメを踏み越えて、小型のクレーンでアメを放り挙げるという、ハイパワーの車の挙動がおもしろい

□KAMEXのホームページ
http://www.kamex.or.kr/
□関連情報
【2003年11月21日】Korea Amuse World Game Expo 2003が開催
バラエティに富んだユーザー密着型のショウに変貌
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031121/kamex_01.htm
【2002年12月13日】「KAMEX2002」が開幕 続々と登場するPC向けMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021213/kamex2.htm

(2004年11日25日)

[Reported by 中村聖司]


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