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ROの世界選手権「Ragnarok World Championship」が閉幕
第1回大会は台湾/香港とマレーシアが上位を独占

7月18日開催

会場:COEX太平洋館

 17日からソウルにて開催されている「ラグナロクオンライン」をモチーフにした世界選手権大会「Ragnarok World Championship」が、本日、全行程を終え、1,800ギルドの頂点に立つギルドが決定した。第1回RWCチャンピオンの栄冠を手にしたのは台湾/香港のUnforseeable(予選2位)。決勝戦も含め、全戦全勝パーフェクトという圧倒的な強さで優勝を決めた。一方、残る日本代表の321Colors(予選2位)は、初戦の2回戦で北米のXGMR(予選2位)に破れ、初勝利を上げることは叶わなかった。

試合中の321Colors。本文で触れたトラブルによりいきなりウィザードが撃破され、逆にこちらはストームガストで固められてしまっている
運営側に猛抗議するガンホーの岩田氏。ゲームマスターのマネージャーを務めているだけあって、理路整然と運営の非を訴えていた
再試合の準備を進める321Colors。ショートカットの登録だけはクライアントに保存されるため、その場で調整しなければならない
 大会2日目となる18日は、Bリーグの試合と3位決定戦、そして決勝戦が行なわれた。Bリーグの試合は、台湾やマレーシアといった有力チームが順調に駒を進める中、優勝候補の筆頭に挙げられていた韓国のANGEL(予選1位)が、初戦で中国(予選1位)に破れるなど波乱含みのスタートとなった。

 上位入賞が期待される日本代表の321Colorsは5試合目に登場。対戦相手はシードの隣の1回戦を勝ち上がってきた北米のXGMR(予選2位)。昨日破れたもうひとつの代表ギルドGuardian-Chevalierや日本プレスが見守る中、すでに1時間近く押し気味のスケジュールということもあって、慌ただしく試合がスタートした。

 が、日本側の準備が整ったことを確認しないまま見切りスタートしてしまったため、ショートカットすら未登録の321Colorsは惨敗。試合を後ろから見守っていた選手サポート担当のガンホー岩田氏が運営側に猛抗議し、長時間の協議の後、最終的にはKim会長の裁決で再試合となった。

 結果的に321Colorsは、運営期間の長さ、ユーザー数からいっても遙かに格下の北米ギルドに破れてしまったわけだが、試合がスタートした時点で明確な意思表示を怠った321Colorsにも責任はあるものの、世界レベルの大会で、ましてや本戦トーナメント中に、選手の準備を確認しないまま試合を始めるという初歩的なミスを犯した運営側の責任はあまりにも重い。

 Bリーグの決勝(RWC準決勝)は、台湾/香港代表のUnforseeableとマレーシア/シンガポール代表のTENGTITLEの戦いとなった。試合は台湾/香港代表Unforseeableが圧倒的な戦いぶりでBリーグを制覇した。どれほど圧倒的だったかというとガンホー廣瀬氏(「ラグナロクオンライン」制作プロデューサー)が「今(1試合目)のはマレーシアはお金使い切ってアイテム持ってなかったんじゃないですかね。そうとしか考えられない」というコメントでもわかる。

 時間にしてわずか3分あまりで9人を全滅。展開としては開始数十秒で相手ウィザードを撃破し、味方ウィザードのストームガストで敵を凍らせつつ、ひとりずつ敵をボックス状態にして倒していくというもの。RWCのセオリーどおりといっていいが、ストームガストやブラックスミスのハンマーフォールを初めとした無数のビジュアルエフェクトが乱舞する中、ターゲットを決めてからボックス状態に入るまでのスピードが驚異的だ。

 そうと気づいてバラバラに駆けつけるのではなく、全員がほぼ同時のタイミングで同じ敵を包囲に掛かる。また、キークラスのひとつであるプリーストは常にストームガストを連打するウィザードに寄り添うような位置に付け、まさに盤石の体制。準決勝ながら、両者の技術差はまさに“圧倒的”としか表現のしようのない内容だった。世界の壁はやはり厚かったというのが正直な感想である。

【321Colors】
再試合終了後、日本のプレスに対して再試合となった理由を説明する岩田氏。右側にいるのは制作プロデューサーの廣瀬氏。中央は敗戦の弁を述べる321Colorsのギルドマスター。最後にぽろりと出た「アクシデントで動揺しちゃって、すいません言い訳です(笑)」が本音のところだろう

【Bリーグ決勝】
Bリーグ決勝戦の模様。圧倒的な強さで勝利を決めたUnforseeableは、10分の試合時間を終えずに敵を全滅させ、余った時間で中央で集まってポーズを取ったりなど、余裕たっぷりの戦いだった

3位4位決定戦よそに、決勝戦マップを見ながら作戦を練るAリーグ代表の台湾The Gates of Hell。平均年齢10台という若いチームだ
韓国MBCでのライブ中継。決勝戦に韓国勢が出場できなかったのはともかくまさか2ギルドとも初戦敗退するとは想像してなかっただろう
気が付くとメインステージの後方は、コスプレさんたちの憩いの場と化していた。中央の女性は、プリーストの上位職ハイプリーストのコスプレ。転生する気まんまんなのだろう
VIP席では各国のパブリッシャーの代表が列座し、決勝戦を観戦。中央にいるのがガンホー代表取締役社長森下氏
 本大会結びの一番であるRWC決勝戦は、台湾/香港勢同士の対決となった。韓国の来場者は基本的に自国のギルドにしか興味を示さない傾向があるため、決勝戦の観客は少ないかと思ったら、客席は思いの外、立ち見も含めてぎっしり埋まった。やはりハイレベルな戦いには興味があるのだろう。

 両ギルドとも台湾のため、どちらも積極的に応援するわけにもいかず、結果、手持ちぶさたな風で、客席で選手達が準備する様子を眺めていたSoft-Worldの謝明娟氏(「仙境伝説」宣伝課課長)に「台湾は強いですねえ」と話を持ちかけてみたところ、「そうでもありません。マレーシアも強かった。どちらが勝ってもおかしくなかった」と満面の笑みで答えてくれた。

 彼女の余裕の笑みには訳がある。本大会のベスト8に残った国を挙げると、台湾/香港2ギルド、マレーシア/シンガポール2ギルド、中国2ギルド、日本1ギルド、北米1ギルドとなる。このうち、日本と北米を除く6ギルドは、実はすべてSoft-Worldがサービスを展開している地域なのだ。ベスト8の時点でSoft-Worldはほぼ優勝を手にしていたことになる。

 また、ベスト4の時点でSoft-World勢が独占する結果となるが、これにも裏事情がある。実はRWCは昨年第1回が開催される予定になっていたのだ。しかし、周知のようにSARSが東アジア地域に蔓延したため、アジアの国々を主体としたRWCは開催を見送らざるを得なかったわけである。

 ところが、Soft-World勢は、RWCの存在および開催予定を1年前の時点で全サービス地域に告知したため、ユーザー側もそのつもりでたっぷり準備に取り組むことができたわけである。一方、日本を含む他のサービス地域では、パブリッシャーレベルではRWCの開催を知っていたが、発表そのものは見送ったため、ユーザーはわずか数カ月で準備をしなければならなかった。

 こうした背景を鑑みて、本大会を改めて考察すると、「日本は準々決勝で負けた」のではなく、「ベスト8の残る2枠の1枠に食い込んだ」のであり、よく敢闘したとすら言える。むしろ残念なのは、321Colorsが北米のXGMRに破れ、2枠を独占できなかったことだろう。志が低いと言われればそれまでだが、Soft-World勢の際だった戦いぶりを見ていると、1年間の差はあまりにも大きい気がする。

 その上で台湾が1位、2位を独占したのは、他の地域に比べて台湾のサービス開始時期が早かったこともそうだが、パブリッシャーの拠点国としての意地もあるだろう。いずれにしても1パブリッシャーで3地域6ギルド出場ということがプラス面での相乗効果をもたらしたのは事実だろう。日本敗戦の責をいずれかに求めるとすれば、それは選手達ではなく、RWCの存在をSoft-Worldと同時期に知りながら、その発表が与える影響の大きさを予測できなかったガンホー側にあるといえるのではないだろうか。

 と、そうしたことをつらつら考えているうちにようやく決勝戦がスタートした。両ギルドともお互いの手の内を知り尽くしているだけに、序盤は大きな動きはなく、探り合いに終始。中盤もお互い決定打に欠ける戦いが展開されたが、終盤にさしかかろうという頃に、Unforseeableが先に突破口を見つけ、得意のボックス戦術でThe Gates of Hellを圧倒。この1戦目で戦いの趨勢は確定した印象で、2戦目、3戦目ともかなり早い段階で勝負が決まった。結果、Unforseeableが台湾/香港予選で2位に甘んじた雪辱を果たし、見事RWC2004の初代チャンピオンに輝いた。

 決勝戦の後は、再び全選手が入場行進し、盛大な受賞式が執り行なわれた。ベスト8入りを果たしたGuardian-ChevalierにはKafra Popularity Awardに選ばれ、賞金1,500ドルと記念のトロフィーが贈られた。優勝したUnforseeableには優勝旗と金メダル、賞金1万ドル、副賞として天使の兜、ロードサークレットといったアイテムの目録等が手渡された。

【RWC決勝】
左が台湾代表のThe Gates of Hell(予選1位)、右も同じく台湾代表のUnforseeable(予選2位)。本大会屈指の好カードは、台湾予選時よりも数段腕を上げたUnforseeableの勝利となった

Guardian-ChevalierのKafra Popularity Award受賞を祝して記念撮影。手前がGuardian-Chevalier、奥が321Colorsのギルドメンバー
大会終了後は、ガンホー主催で選手慰労パーティーが行なわれた。各メンバーは、森下氏や廣瀬氏に対して具体的な提言を行なっていた。PvP関連の今後の発展に期待したいところだ
 最後にRWCの今後について触れておきたい。RWCは来年も開催されることが確定しており、構想ではオリンピック形式で主催国を持ち回りにすることを明らかにしている。仮にそうなれば今年優勝旗を獲得した台湾で開催される可能性が濃厚だが、会期中に運営そのもので様々な問題点が浮き彫りになっており、このまま順調にRWCが発展していくかというと疑問符を付けざるを得ない。

 たとえば、事前に選手達に告知したスケジュールを運営側が守れず、結果、選手達に無駄な精神的疲労を与えているという現実。選手に対する運営側のケアが十分ではないこと、プレスを世界中から招待しているにも関わらず、取材に対する協力体制が完備されていないこと、そしてもっとも深刻なのが、スケジュールが遅れを取り戻すために、大会ルールがころころ変わるというところだろう。

 今回もっともわかりやすい例では、準々決勝は当初の予定では3戦2勝だったはずが、1,2回戦同様、1戦1勝に変わっている。3回勝負と1回勝負では、その戦術には大きな差があるわけで、こうした重要なルールを土壇場で換えてしまう運営スタイルには唖然とするしかない。また、トラブルが発生すると、場を繋ぐために急遽ステージイベントや映像を流したりしていたが、これについても、すぐ隣にいる出場を控えている選手たちのことがまったく配慮されていない。

 大会が選手にとって有意義な場とならなければ、RWCの開催理念である「『ラグナロクオンライン』を通じた文化を超えたコミュニケーション」など生まれるはずもない。今回の運営体制では、パブリッシャー側の判断で参加をボイコットするという選択肢も現実味を帯びてくる。いずれにしても運営に関してGravityには猛省を期待したい。

 とはいえ、総予算2億円、2万人規模の参加者、ワールドワイドでの開催など、MMORPGとしてまったく前例のない規模で、世界大会を主催したことは大きく評価したい。次回、どのようなルールでRWCが開催されるのかは不明だが、2-2次職が導入されるのは間違いない。来年こそは日本ギルドが優勝の栄冠を手にすることを期待したい。

【授賞式】
入賞したギルドには3位から順に5,000ドル、7,000ドル、10,000ドルの賞金、メダルが授与された

【閉幕式】
授賞式から引き続き閉幕式が執り行われた。Unforseeableのギルドリーダーが優勝旗を振ったあとは、盛大に紙吹雪が舞い、ラストは大煙幕。日本ではなかなか見られない派手な演出だ

(C) 2004 Gravity Corp. & Lee Myoungjin (studio DTDS), All Rights Reserved.

□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□「Ragnarok World Championship」のページ
http://www.rochampionship.com/
□関連情報
【7月18日】韓国にて「Ragnarok World Championship」が開催
1,800ギルドの頂点を決める「ラグナロクオンライン」世界大会
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040718/rwc_01.htm
【6月29日】「Ragnarok World Championship 2004」日本代表決定戦レポート
Freyaサーバーの「Guardian-Chevalier」が見事に優勝を手に
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040629/ragrwc.htm

(2004年7月19日)

[Reported by 中村聖司]


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