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前年度準優勝者が優勝するジンクスが成立!? |
前回大会に比べると少なめだが、熱心のファンが集結しておおいに盛り上がる大会となった |
決勝大会に駒を進めたのは、全国14エリアの激戦を勝ち抜いてきた総勢24人。第3回ということもあり大会常連となった有名プレーヤーの名前もチラホラ見受けられるなか、会場内でもっとも注目を集めたのは、東京エリア決勝大会の準優勝者、若干11歳という大会最年少の「トウカイテイオー」氏。解説によれば、「トウカイテイオー」氏はエリア大会の時点で“正丸伝説”ともいうべきインパクトをギャラリーに残していたという。それは、2回戦から準決勝までを、すべて“正丸峠”で勝ち抜いてきたというもので、くじ引きジャンケンのときでさえ、勝っても“シート”を選ばずに“コース抽選”を選択するという徹底ぶり。
いくら得意コースとはいえ、抽選だけに外れる可能性のほうが高い。本大会では、くじ引きジャンケンで勝った場合、確実にメリットが得られる“シート”を選ぶのがセオリー。だが、「トウカイテイオー」氏はアンビリーバブルな強運で“正丸峠”または“自由選択”を引き続けたという。しかも、愛車はAT(オートマ)のカプチーノ。パワーがないため先行できないが、それを研ぎ澄まされた運転技術と執拗な追い上げで常に逆転してきたというのだから驚きだ。
「頭文字D ArcadeStage」プレーヤーの間ではすでに有名な逸話になっているようで、くじ引きジャンケンの時点でギャラリーは大盛り上がり。そんな「トウカイテイオー」氏の決勝大会1回戦の相手は、なんと前回大会の優勝者である「ユウスケ」氏。くじ引きジャンケンの結果は……なんと自由選択! 当然「トウカイテイオー」氏は“正丸峠”を選ぶ。だが、第1回準優勝、第2回優勝という輝かしい実績を持つ「ユウスケ」氏だけに、正丸峠ならコレしかないとばかりに「アルテッツァ」を選択する隙のなさ。「カプチーノ」の車体が小さいとはいえ、正丸峠の狭い道幅、「アルテッツァ」の巨大な車体サイズを考えると、そう簡単に追い抜けるとは考えられない。ましてや相手は、あの「ユウスケ」氏なのだ。
スタートから第3セクションまでは「アルテッツァ」が先行。所々で「カプチーノ」が仕掛けるも、「ユウスケ」氏の巧みなブロックがそれを許さない。抜けそうで抜けないもどかしさに一喜一憂するギャラリー。会場内の雰囲気は「トウカイテイオー」氏」寄りに感じられたが、第4セクションに突入した時点で「あぁ、さすがに勝負がついたかな」という空気になる。が、しかし……。第4セクションなかばで「トウカイテイオー」氏がワンチャンスをものにして大逆転に成功。そのままゴールに突入する「カプチーノ」の赤いボディ。この時点で「ユウスケ」氏の連覇はなくなり、「トウカイテイオー」氏はエリア大会から6連続で“正丸峠”を引き当てるという偉業を達成することになる。
解説陣も含め、会場内にいるすべての人々を戦慄させた「トウカイテイオー」氏の“引きの強さ”は、準決勝の北海道エリア代表「フクシ」氏との戦いで途切れてしまう。このときも「トウカイテイオー」氏はくじ引きジャンケンで“コース抽選”を選択したが、結果は“赤城”でコンディションは自由選択。だが、悩んだ末に“下り、雨”を選択し、車種をカプチーノではなく「RX-8」にした「トウカイテイオー」氏は、致命的なミスもなく難コースと難敵を制した。
得意の“正丸峠”以外でも戦えることを証明した「トウカイテイオー」氏。決勝戦の相手は、前回大会の準優勝者である「TEAM R・Y・Bニュート」氏だ。
昨年の13歳に引き続き、今年は11歳が台風の目に。どんどん低年齢化していったらどうしよう…… | 恒例のゲーム大会。難問ながら正解者続出の大盤振る舞い |
決勝直前、司会者から「最後のひとりになるのは、誰ですか?」の問いかけに対し「俺!」と即答する「TEAM R・Y・Bニュート」氏。“漢車(おとこぐるま)”と呼ばれるネタ車に対するこだわりもあるが、やはり今年は“優勝”に賭ける想いのほうが強いようだ。対する「トウカイテイオー」氏は、同じ問いかけにモジモジしながら「ニュートくん」と答えて会場内を爆笑の渦に巻き込む。
くじ引きジャンケンに買ったのは「トウカイテイオー」氏。ここでも迷わず「コース選択」を宣言。ざわめくギャラリーを尻目に「トウカイテイオー」氏が引き当てたのは……なんと“自由選択”の札! 驚嘆と歓声に包まれる会場内。だが、続く条件選択で引き当てたのは「上り(往路)、雨」というもの。後に解説のDEW氏がコメントした“ここで勝敗が大きく分かれた”という条件のもと、「トウカイテイオー」氏はコース選択で“正丸峠”を宣言する。
車種は、「TEAM R・Y・Bニュート」は「RX-8」、「トウカイテイオー」氏は隠し玉ともいうべき「R32」をチョイス。同程度の腕前ならミスでもない限り先行車を抜くのは至難の業といわれる“正丸峠”だけに、どちらがスタートダッシュに成功するかに注目が集まる。ギャラリーが固唾を飲んで見守るなか、歓声とともにスタートダッシュに成功したのは……「TEAM R・Y・Bニュート」氏の「RX-8」だった。
スリッピーな路面に足をとられることなく、シャープな走りを見せる「RX-8」に対し、持ち前のパワーで猛追をかける「R32」。ここぞ! という場所で内側から仕掛けるが、「TEAM R・Y・Bニュート」氏にきっちり絞られてブロックされる。応援団の熱心な声援を背に受ける「TEAM R・Y・Bニュート」氏だが、会場全体の雰囲気は、かなり「トウカイテイオー」氏に傾いているといったふう。第3セクションまでの流れが悪いせいか、追いつきかけては引き離される展開に「……あぁっ!!」、「くーっ!!」といった腹から搾り出すかのような感嘆が会場のあちこちから湧き上がる。
あと1歩、いや半歩……爪先立ちで精一杯、背を伸ばすかのごとく「RX-8」に追いすがろうとする「R32」だが、最後の一瞬で、指先をかすめるようにかわされていく。先にゴールに辿り着いたのは「TEAM R・Y・Bニュート」の「RX-8」だった。後にゲストのDEW氏は「ずーっと正丸、正丸できて、最後の最後で“雨”というところが(ポイント)。雨になると大きいクルマのほうが安定して走れる。そこで(トウカイテイオー氏は)『R32』を選んだけれども、リュートくんは少しでも(早く)前に出るために『RX-8』を選んだ。そこが勝負の分かれ目」とポイントを解説してくれた。
「頭文字D Ver.3」は、過去シリーズと違い「このクルマが、どのコースでも一番速い」といった車種的な偏りがなく、同じコースでも諸条件により一概にいえない部分が多々ある。本大会においては、こうした「頭文字D」シリーズに対する造詣の深さや理解度の差が、結果となってあらわれたのかもしれない。
解説のキャサ夫氏は、総評として「エリア予選から決勝まで携わらせてもらったけど、面白いっスねー。何回観ても面白い!」といい、さらに「過去を振り返れば、第1回目にこのおじさん(DEW氏)が優勝したんですけど、そのときは『ユウスケ』くんが準優勝。そして、2回目に『ユウスケ』くんが優勝して、準優勝が『ニュート』くん。あ、そうそう。優勝者が必ず1回戦負けしちゃうんです(笑) 今回、『ユウスケ』くんが1回戦で負けちゃったし。だから(トウカイテイオー氏が)次は優勝確定です!」とコメント。
このジンクスが本当なら「TEAM R・Y・Bニュート」氏にとって(もし開催されるなら)次回大会は鬼門となるかもしれないが、家族や友人ぐるみで「頭文字D Arcade Stage」を楽しんでいる「TEAM R・Y・Bニュート」氏につき、ジンクスなど気にすることなく、次回もきっと熱く楽しい走りを見せてくれることだろう。
レース開始前から勝負が始まるのが「頭文字D ArcadeStage」の特徴。決勝戦は、ほんのわずかな判断の違いが結果に大きく影響したといえるかもしれない |
毎度趣向を凝らした優勝商品でおなじみの本大会だが、今回は原作の舞台にちなんだ“群馬”グッズの詰め合わせ。目玉は特注のダルマで、金色で“乱入上等”などの文字入り。会場でプロデューサーの新井氏と優勝者により目入れが行なわれた。でもマジックだから風情がイマイチ…… |
優勝者と準優勝者で記念撮影。上写真・右に映っているのはお父さん。双方で面識があるらしく「ニュート」氏のお父さんは店舗予選で「トウカイテイオー」氏に負けたとか。家族で一緒にゲームが楽しめるって、いいですねぇ |
会場内にはフリープレイ設定の筐体4台、「頭文字D」グッズ入りプライズが設置されていた。本社イベントでは恒例となっているだけに、気になる人は次回をチェックしておくといいかも |
(2004年7月18日)
[Reported by 豊臣和孝]
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