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スクウェア・エニックス、2004年3月期決算説明会を開催 |
同時に代表取締役会長の福嶋康博氏が退任し、相談役名誉会長に就任する旨が発表された。また新任取締役として開発トップともいえる第2開発事業部長の河津秋敏氏が新任取締役候補としてあげられている。
プレゼンテーションを行なった和田洋一代表取締役社長には「ファイナルファンタジーXII」と「ドラゴンクエスト VIII 空と海と大地と呪われし姫君」が今期発売されるかに質問が集中。資料では今期、日本で806万本を販売する計画となっている。昨年度の販売本数が493万本となっており、単純に差し引きすると約300万本の増加を見込んでいることになる。
これについて和田社長は「そんな単純なものではない」と断わりながら、「もしでなかった場合、それをバックアップするソフトがなければならない。そのいくつかのシナリオを考え合わせた上で、この本数 (806万本) としている」と説明。「我々の大きなタイトルとして『ファイナルファンタジーXII』、『ドラゴンクエスト VIII』、『キングダムハーツII』があるが、それをどのような順番で出すかはまだ決定していない」と和田氏は語った。これに対してアナリスト側から「では今期、『ドラゴンクエスト VIII』が発売されるというシナリオもあるのか?」との質問に、かなり考え込んだ末に「あり得る」と答えた。
より現実的なシナリオと考えられるのが「ファイナルファンタジーXII」の発売だが、これについても質問が飛んだ。「開発の遅れではなく、戦略的な意味合いで発売を下期にずらしたと説明を受けたが、今期の計画を見ると下期にタイトルが集中している。ならば、『ファイナルファンタジーXII』を上期に発売した方がいいのではないか」との質問には、「確かにそうだが、すぐに上期に発売時期をずらす訳にもいかない。それに『ファイナルファンタジー』ほどの基幹タイトルになると、満足いくまで作り込んでから出さなければ、ブランドが傷つくといった恐れもある。さすがに通期の配当が出せないと言ったことになると違う問題になってくるが、上期を下期にするというのは問題ないと考えている」と答えた。
和田氏が言うように、いくつかのシナリオがあり「バックアップするソフトがある」のであれば問題は単純ではないが、額面通りに受け止めれば“期が変わることになれば業績に影響が出るので大変だ”ということになるので、そういった意味では先日発表された「『ファイナルファンタジーXII』の発売を2004年冬から2005年春をめどに調整中」というのは“今期中”で考えていると受けとることもできる。
このほかでは今期の計画として、オンラインタイトルへの先行投資的な意味合いで資金を投入するという。これは、先日E3会場で発表された「EverQueat II」の取り扱いが占める割合が大きく、「どうすれば日本で受け入れられるのかという点では我々としてもチャレンジ」としている。ただしリリース時期については「未定」とコメントした。また会員数については「現在有料課金ユーザーは五十数万人で、今期は微増だろう」と控えめな数字を提示しており、これについては「べつにネットワークゲームが下火というわけではない。現状でも利益は出しているのでそういった意味では収穫している。いつかは (大きな波が) 来ると思うが、ただ安易に会員100万人とかした場合、責任の持てない数字になる。今年の年末には欧州で『ファイナルファンタジーXI』のサービスを開始する予定で、結構来ると思うのだが、数字上は数万人が加わるだけと読んでいる」と慎重な姿勢で挑むようだ。
ネットワークゲームについては、「現在は先駆者とも言えるユーザーが遊んでいるが、これをライトユーザーに広げていかなければならない」とし、「我々は今後そういった層にも働きかけていくし、それは使命感を持っている」と続けた。ネットワークゲームのブレイク時期について和田氏の個人的な感覚としては、「本音を言えば来年終わりから再来年かなぁ」と答えた。
このほかに、「Xbox Liveへは参入しないのか?」とする質問への答えが興味深いものだった。「Xbox Liveはクローズドなシステムなので、現在も参入するつもりはない。ただ、今回発表された“XNA”の考え方は、我々の思想と非常に似ている。そういった意味では、Xbox2とか言う話ではなく、今後、“XNA”についての議論をしていかなければならない」とある意味“前向き”とも捉えることのできる発言が飛び出した。
また、ニンテンドー・ディーエスとPSPについては「ニンテンドー・ディーエスはこれまでのゲーム機の延長線上にない物なので非常に面白いものだと思う。そういった意味でローンチタイトルを投入し、その後の企画もスタートさせようとしている」と“ゲーム機”として評価。一方PSPについては「PSPならではの付加価値をどのように捉えればいいのか。ベタ移植でなければどうすればいいのか検討中だ。だが、映像端末としては非常に優れているので『FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN』についてはDVD以外にこちらでも投入すると発表させていただいた」とゲームメーカーらしい評価となった。
ちなみに出版事業が今期飛躍的に伸びている。この伸びている部分については「すべて『鋼の錬金術師』」としており、「『FF』、『DQ』だけでなく、『キングダムハーツ』、『鋼の錬金術師』と新たなるタイトルを育てることができてきた。今後も続けていきたい」とさらなる飛躍を宣言した。
(2004年5月20日)
[Reported by 船津稔]
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