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スクウェア・エニックス、E3 2004に先立ちプレス向け説明会を開催

5月10日発表(現地時間)

会場:Walt Disney Concert Hall

 株式会社スクウェア・エニックスは5月10日、E3開催に先立ちロサンゼルス市内で開催されたプレスカンファレンスで、今後の自社戦略や北米市場における重点タイトルの最新情報などを発表した。会場では和田洋一社長以下、開発プロデューサーやディレクターが次々に壇上に上がり、最新映像と共に作品を紹介。カンファレンス後には「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲によるコンサートも行なわれ、注目を集めた。

■ スクウェア・エニックスだからできる「ポリモーフィック・コンテンツ」戦略

 カンファレンス冒頭で登壇した和田洋一社長は、具体的なゲームタイトルの紹介に先立ち、現在のテレビゲームビジネスをとりまく環境と、今後の自社戦略について説明。スクウェア・エニックスだからできる「ポリモーフィック・コンテンツ」が今後の成長における鍵だと解説した。これはゲームから派生した商品群を、小説や音楽CDなど他のメディアに向けて次々に展開していくなど、1つのコンテンツから派生した商品を二次利用的に活用するのではなく、当初から1つのコンテンツを軸に複数のメディア展開を指向し、最大限の相乗効果を狙うというもの。

 こうした戦略の背景として、ネットワーク時代の到来と共に、インターネット上に巨大なエンタテイメント市場が誕生したこと。またPCやテレビゲーム機、携帯電話などの進化によって、ユーザーがいつでも、どこからでもコンテンツにアクセスできる環境が整いつつあること。これらにより従来のゲームビジネスのルールが大きく変わりつつある現状が示された。また同戦略はゲーム、出版、映像作品など複数のメディア事業を同時に展開しているスクウェア・エニックスだから可能であるという。

「ポリモーフィック・コンテンツ」戦略について語る和田洋一社長 複数のメディア展開を行なう同社だからできる戦略だろう

 実際に北米市場では「Enter The MATRIX」をはじめ、ハリウッドとゲーム業界が急接近をしており、複数のメディアにおける創造性をフルに活かした作品制作が顕著である。「ポリモーフィック・コンテンツ」自体は、本年2月に同社が行なった戦略説明会で登場した戦略だが、今回の和田社長の発言は、この戦略をワールドワイド、特に版権ビジネスで日本より一歩先を行く北米市場で、ネットワーク時代に即した新しいレベルのコンテンツビジネスを進めていく意思表明になったといえるだろう。

■ 「キングダムハーツ」の続編はマルチプラットフォーム展開

 こうした基本戦略を具体的に表現したものが今回紹介された北米向けタイトル群だといえる。中でも注目を集めたのが、2003年に発売され、ディズニーとのコラボレーションで話題を呼んだアクションRPG「キングダムハーツ」の続編、「KINGDOM HEARTS CHAIN OF MEMORIES」と「KINGDOM HEARTS II」である。両作品とも昨年9月の東京ゲームショウで発表以後、沈黙を保ってきた同タイトル。しかし今回会場でバトルシーンやイベントシーンを含む映像ムービーが多数発表されたことで、両ゲームへの期待感は一気に高まった。

カードシステムを盛り込んだ「CHAIN OF MEMORIES」の戦闘シーン 主人公のソラをはじめ、前作でおなじみのキャラクタたちが大活躍する 両ゲームの紹介を行なう、プロデューサーの橋本真司氏(左)と、ディレクター兼キャラクタデザイナーの野村哲也氏(右)が登壇

 「CHAIN OF MEMORIES」はゲームボーイアドバンス向け、「II」はプレイステーション 2向けのタイトルで、マルチプラットフォームで展開されるのは既報の通りだが、一方で今回発表されたのは、「CHAIN OF MEMORIES」が前作の終了直後から始まる純粋な続編で、失われた記憶を巡る新たな冒険が始まること。戦闘システムにも新たにカードバトルシステムが採用され、携帯ゲーム機ならではのキビキビした操作感覚が楽しめるという。また「II」では前作から1年後の物語となり、前作同様のセミ・リアルタイム的な戦闘シーンや美麗なCG映像はそのままに、さらなる新たな敵や謎が登場する。ストーリー面での両者の関連性なども期待できそうだ。「CHAIN OF MEMORIES」の北米発売は2004年秋、「II」は未定。

【KINGDOM HEARTS CHAIN OF MEMORIES】
(c) Disney. Tim Burton’s The Nightmare Before Christmas c Touchstone Pictures.
Developed by SQUARE ENIX. Characters from FINAL FANTASY video game series:
(c) 1990, 1997, 1999, 2001 Square Enix Co., Ltd. All Rights Reserved.
SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are trademarks of Square Enix Co., Ltd.
【KINGDOM HEARTS II】
(c)Disney. Tim Burton’s The Nightmare Before Christmas cTouchstone Pictures.
Developed by SQUARE ENIX. Characters from FINAL FANTASY video game series:
(c)1990, 1997, 1999, 2001. Square Enix Co., Ltd. All Rights Reserved.
SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are trademarks of Square Enix Co., Ltd.

■ 「マンガシェーダー」に期待の「MUSASHI SAMURAI LEGEND」

「MUSASHI SAMURAI LEGEND」のプロデューサー・時田氏(右)とディレクター、吉本氏(左)
 また会場初の公開となった「MUSASHI SAMURAI LEGEND」では、野村哲也氏によるメインキャラクタデザインと共に、独特のトゥーンシェーダーによるグラフィックにも新鮮な感覚を受けた。会場でプレゼンテーションを行なった時田貴司プロデューサー、吉本ディレクターによれば、「MUSASHI SAMURAI LEGEND」では従来とは異なるトゥーンシェード技法が使われており、開発スタッフではこれを「マンガシェーダー」と呼んでいるとのこと。

 また通常の3Dアクションゲームとは異なり、「敵キャラクタを攻撃した部位によって切断されるパーツ部位が異なるなど、ゲーム表現においても新しい試みを行なっている」(吉本氏談)とのことだ。

(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

■ 今E3で注目の「あの」新ハード対応も……

「BEFORE CRISIS」では、ある戦闘に他のプレーヤーが別の携帯電話経由で参加する旨の映像も流された
 会場では他に作成されたばかりの「FINAL FANTASY XII」の新作ムービーも公開。和田社長自ら「精巧な銀細工のよう」と評するなど、ハイクオリティな動画映像が披露された。また「FRONT MISSION 4」、「STAR OCEAN Till the End of Time」、「FULLMETAL ALCHEMIST」(邦題:鋼の錬金術師)の北米版映像デモと、全世界で900万本の販売を記録した人気RPG「FINAL FANTASY VII」の携帯電話向けRPG「BEFORE CRISIS FINAL FANTASY VII」、さらには映像コンテンツ「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」の映像デモも公開された。

 特に「BEFORE CRISIS」は「VII」の世界の6年前の世界が、「ADVENT CHILDREN」は2年後の世界がそれぞれ題材になるとのことで、こうした1つの世界観を軸に複数のメディア展開を行なうというのも、同社ならではの仕掛けだろう。

 さらにカンファレンスの最後に、同社は任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー・ディーエス(仮称)」についても、発売と同時に新作タイトルをリリースする旨が発表された。実際のタイトルについてはE3 2004会場でプレイアブルなバージョンが出展されるというので、追って続報をお届けしたい。

(c) Square Enix Co., Ltd. All Rights Reserved.

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□関連情報
【5月11日】スクウェア・エニックス、「Ever Quest II」の日本での取り扱いを正式発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/eq2.htm
【5月11日】スクウェア・エニックス、「武蔵伝」の続編タイトル
PS2「MUSASHI SAMURAI LEGEND」を北米で発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/musa.htm

(2004年5月11日)

[Reported by 小野憲史]


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