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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】アクションとカードバトルの融合! |
会場:Los Angeles Convention Center
■ 300種類以上のスキルを駆使して戦う格闘アクション
「ファントムダスト」のディレクター二木幸生氏。過去に「パンツァードラグーン」シリーズの監督およびデザイナーとして活躍。実際に操作しながら丁寧に説明してくれた |
「ファントムダスト」は、近未来の荒廃した地球が舞台の、超能力バトルを中心としたSFアクションゲームだ。登場するキャラクタは武闘に優れた能力を持つものばかりだが、全員が記憶喪失に陥ってしまっており、そのままの状態では何のスキルも発揮できない、という設定。そして、ゲーム中に登場するスキルが詰まったカプセルをキャプチャすることによって、そのスキルを発揮できるようになる。
ゲームに用意されているスキルは300以上あり、魔法を使ったり気功で攻撃を行なったり、強力な格闘技を繰り出せるといった、格闘系ゲームの定番スキルから、テレポーテーションなどの超能力系のスキル、敵の行動を鈍らせるスキルなどとにかく多彩だ。また、攻撃系のスキルだけでなく、防御系のスキルも豊富に用意されている。攻撃系のスキルには、ロング、ミドル、ショートという3種類の距離属性が盛り込まれている。例えば、格闘系のスキルは近距離において最大限のパワーが発揮され、魔法などの遠隔攻撃系のスキルは中距離や長距離の敵に対して有効となる。
これらスキルは、初めから全て利用できるわけではなく、ミッションをクリアすることで得られるポイントを使って買いそろえていくことになる。ゲームを進めていくうちに、プレーヤースキルが自然と上昇していくと共に、ゲーム中で利用できるスキルも増えていくことになる。
キャプチャしたスキルは、A、B、X、Yの4つのボタンに割り当てて利用する。割り当てたボタンを押すことによってそのスキルが発動するわけだ。ここで、A、B、X、Yの4つのボタンにスキルを割り当てるということからもわかるように、各キャラクタがキャプチャできるスキルは最大4種類までとなっている。これが、「ファントムダスト」の非常に重要なポイントとなっている。
4個を超えて新たなスキルをどれかのボタンにキャプチャした場合には、それまでにキャプチャしていたスキルに上書きされてしまい、以前のスキルは消えてしまう。また、格闘系のスキルは連続して利用できるものが多いようだが、一度発動してしまうとその瞬間に消えてしまうスキルも数多く存在している。しかも、スキルカプセルは、ランダムにポップする仕組みとなっている。つまり、使いたいスキルが使いたいタイミングで使えるわけではないのだ。運良く使いたいスキルがポップすれば、それをキャプチャして使えばいいが、そうではない場合が多いため、攻略時にはどのようにスキルをキャプチャしてどのように使うのか、といった戦略が非常に重要なポイントとなってくる。
例えば、敵がひるんで一瞬動けなくなるようなスキルを使った直後に、命中率の低い強力なスキルを繰り出す、といった一種のコンボのような戦略を考えている場合、攻撃のチャンスが訪れるまでに対応したスキルをキャプチャしておく必要があるわけだ。利用できるスキルが増えれば増えるほど、戦略性もどんどんと深まっていくことになる。
「ファントムダスト」には、150以上のミッションが用意されたシングルプレーヤーモードと、Xbox Liveを利用したマルチプレーヤーモードが用意される。ただし、シングルプレーヤーモードは、基本的にスキル集めと、プレーヤースキルを高めるための練習と考えていい。「ファントムダスト」のメインのゲームモードは、マルチプレーヤーモードに集約されているといっても過言ではないだろう。シングルプレーヤーモードのシナリオを進めてスキルを集め、集めたスキルを利用してマルチプレーヤーモードをプレイするという部分に、ゲームのキモとなるポイントが潜んでいる。
ゲーム中にポップするスキルカプセルは、プレーヤーが獲得しているスキルの中からランダムでポップするわけではない。あらかじめプレーヤーが作成した「アーセナル」に登録されているスキルがランダムにポップする。このアーセナルとは、カードゲームでいうところの「デッキ」のようなもの。最大30個のスキルを登録でき、登録したスキルがプレイ中のマップ上にランダムでポップすることになる。これこそが「ファントムダスト」の最大の魅力となる部分なのだ。
アーセナルに登録するスキルは、自分が集めたスキルの中から自由に登録できる。そしてここに、他の格闘アクションにはない戦略性が生まれることになる。例えば、近距離攻撃を得意としているなら、近距離攻撃を多く集めたアーセナルになるだろうし、魔法系のスキルばかりで構成して遠距離からの攻撃に終始するためのアーセナルを作ることもできる。
もちろん、スキルの組み合わせによって、同じスキルでも利用価値が大きく変化する。例えば、「消費した攻撃スキルの個数分のダメージを与える」という特殊な能力を持つスキルが存在しているが、このスキルを有効に活用するために、1回繰り出せば消えてしまう攻撃スキルをたくさん登録したアーセナルを作り、とにかくプレイ中に片っ端からスキルを消費していくようにすれば、想像もつかなかったような大ダメージを与えることが可能となる。つまり、アーセナルの内容が、プレイスタイルを大きく変えることにつながるわけだ。
そして、マルチプレーヤーモードでは、シングルプレーヤーモードで集めたスキルを登録して作った独自のアーセナルを利用してプレイできる。これが重要なポイントだ。アーセナルの構造は、プレーヤーごとに全く異なるものとなるはず。つまり、マルチプレーヤーモードで、登場キャラが同じ見た目であったとしても、対戦相手が変われば、そのプレイスタイルは全く変わってくる。このキャラならこの攻撃方法で、というような、一般的な対戦格闘でのセオリーが全く通用しないわけだ。
また、各プレーヤーは複数のアーセナルを用意できる。そのため同じプレーヤーでも、アーセナルが変わればプレイスタイルも変化する。加えて、アーセナルに登録しているとはいえ、プレイ中にポップするスキルカプセルはランダムだ。とにかく、対戦ごとに相手の攻撃パターンを読みつつ、ランダムにポップするスキルに応じて、その場その場で戦略を立てながらプレイすることになるわけだ。
二木氏は、「すでに1年以上開発を行なっていて、チーム内でも対戦プレイをやっているが、それでもプレイしていて楽しさが失われない」とコメントしたが、それはこのアーセナルというシステムがあるからこそだろう。これにより、格闘ゲームにありがちのセオリーが全くなくなることになり、常に新鮮なプレイが楽しめる。「ファントムダスト」はそういったゲームなのである。
今回実際に対戦プレイを体験してみたが、あらかじめ用意されたアーセナルを利用してのプレイだったため、「ファントムダスト」の醍醐味を深い部分まで味わえたわけではなかった。また、スキルの効力も把握できていなかったので、プレイ当初はやや戸惑ったのも事実。とはいえ、スキルの効力などがわかってくると、思ったような攻撃もできるようになり、かなり楽しめた。
基本的なプレイ感覚は、3D対戦格闘の延長線上といった感じで、オーソドックスだ。しかし、アーセナルとスキルカプセルという要素によって、単純な格闘ゲームにはない戦略性が生まれることは十分に体感できた。短時間しかプレイできなかったものの、それでも、「ファントムダスト」はかなり面白いと感じられた。自分でアーセナルの構成を考え、それに応じた戦略を練るといった作業と、そのアーセナルを持ってXbox Live経由での対戦プレイを楽しめるという部分を考えただけでも、どれだけ深く楽しめるか想像できる。
発売時期は今年の秋が予定されているが、いまから発売が待ち遠しいタイトルである。
【スクリーンショット】 | ||
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□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-jp/
□「ファントムダスト」のページ
http://www.xbox.com/ja-JP/games/phantomdust/
□関連情報
【5月11日】Electronic Entertainment Expo 2004 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/e3link.htm
【2003年10月10日】Xboxホームページにて「トゥルーファンタジー ライブオンライン」
「ファントムダスト」の映像を配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031010/xbox.htm
【2003年9月12日】マイクロソフト、すべてを破壊可能な荒廃した近未来を舞台とした
超絶超能力バトル Xbox「ファントムダスト」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030912/xbox.htm
(2004年5月15日)
[Reported by 平澤寿康]
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