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★特別インタビュー★

「とにかく、1球1球楽しんでほしい」
「熱チュー! プロ野球2004」

株式会社ナムコ 塩澤 敦氏

株式会社ナムコ所属。「熱チュー!」シリーズプロデューサーなどを手がける。



 いよいよ開幕したプロ野球。ゲームも3月25日、ナムコの「熱チュー! プロ野球2004」、コナミ株式会社の「プロ野球スピリッツ」と同日発売という、ファンにはうれしい状況となっている。今回は、4作目を数える「熱チュー!」シリーズがどう進化していったのかを中心にお話を伺った(文中敬称略)。


■ さらに駆け引きに注目してもらいたい「2004」

4作目を数える「熱チュー!」シリーズ
――まず、「2004」の開発コンセプトはどのようなものになっているのでしょうか。

塩澤 まず、「2002」を作ったころの理念に立ち戻ろう、というところからスタートしました。「プロ野球離れ」が叫ばれているなかで、「これからプロ野球はどうなっていくのか?」ということですよね。お客さんの方を向いて、「どうしていこうか」ということでこの「熱チュー!」は立ち上がったんです。そう考えた場合、我々の年代はマンガなども混在していていろいろごちゃごちゃしながらも、野球漬けの人も多くて、「野球って何?」ということも受け入れやすいと思うんですが、最近は野球も論理的に……駆け引きだとかメンタルの部分に焦点を当てて、TV番組なども制作されていますよね。

 でも、最初は「珍プレー好プレー」だったじゃないですか。当然「ファミスタ」もそういうノリでしたよね。で、それはどうだったんだろうと。もっと言えば野球選手はかつて「崇拝」の対象だったはずなのでは? といったところをもう一度大人が整理して、考えて「これが野球なんだ」ということを後進に伝えていけば、もう一度野球は発展していくのではないか? この切り口をゲームでできるのではないかと考えまして。

 それが「投打の駆け引き」ですとか、その裏の深さですよね。……緩急だとか、ある意味日本人らしい姑息な(笑)緻密な野球じゃないですか。そこがわかればたぶん……我々も漠然とはわかっていますし、野球はたぶん好きだと思いますし……。好きなら子供の世代にもわかってほしいし。それが伝わっていけば、野球が活性化して、老後の楽しみも増えると。「子供のころにお世話になった野球に、恩返しがしたい」と。野球って「こんなにすごいことをやっている」、「こんなに考えてプレイしている」、といったことを伝えていきたいと。今までの野球ゲームは、「1球の重み」が足りないんじゃないかと。弊社の「ファミスタ」もそうですが、1球1球をきちんと組み立てて投げているプロ野球と同じように、実際にやってみたいというインタラクティブな検証にはゲームがピッタリですよね。

 だから、「2002」、「2003」と作り続けて、子供の方から大人の方まで「理論」で構築する野球が少しずつ浸透してきたので、「2004」はもう少し大人の方にメインターゲットをシフトして、「ファミスタ」などを楽しんでいただいた世代の方にさらに「駆け引き」を重視して、TVのプロ野球中継などで得られた知識を活かしてしっかり遊んでもらいたい。そしてそれを押し付けるように(笑)親権を発動していただいて、本物の野球を教えていただきたい、と。我々の世代では車などもそうですが、まず本物を崇拝するところからスタートして、ゲームに行っていましたけれども、今は逆なんですよね……。  まず親御さんの世代、大人向けに操作をやりやすくしたのは、そういうことですね。まず親からしっかり「野球の仕組み、魅力を考え直しましょう」と。野球を知っていますか? これでもう一度野球の仕組みを確認していただいて、それをベースにお子さんと対戦したり、教えていただけるといいかな、と。

 CM撮影の際にも、斉藤雅樹さんにプレイしてもらいましたが、斉藤さんは普段ゲームをされないんですが、自分の思いを込めて投げていただいたところ、ちゃんと点を取られないようにバッチリ投げてましたよ。「鳥谷にはこういう配球だ」ってインハイのストレート3球を続けて押し込んで、「こういう風に押していかないといけないんだ」って打ち取ってました。ちゃんとそういうことができるようになっていますので、知っている方ほど奥深く遊んでいただけると思います。ゲームの攻略法というのは、このゲームに関しては野球の攻略なので、自分の知識を試してみる、という感覚で遊んでいただけると……基本的にボタンの役割さえ覚えてもらえれば、攻略方法は自分の知っていること、普段試合を見て文句を言っていることをそのまま試していただければ攻略できると思うので、かなり遊びやすいはずです。普段ゲームを遊ばれない斉藤さんがバッチリ抑えられていたんで、配球がしっかりしていれば点はまず取られないです。大人の方々にはそういうところから入っていただいて、子供さんと一緒に遊んでいただければと思います。

 斉藤さんはデーブさんと遊んでもらったんですが、斉藤さんには簡単ピッチングで守備、走塁はオート、デーブさんはゲームを遊ばれるので、守備をマニュアルにしてもらって対戦していただいたのですが、接戦の末に斉藤さんが勝っちゃったんですよ。配球はもう斉藤さんの老獪な……まず変化球で探りを入れて……というような感じでしたね。お子さんと遊ぶときにも、こうしたハンディキャップを設定できますので、バットをブルブル振ってくる打ち気満々なお子さんと老獪な経験で対決していただいて(笑)、プロの駆け引きをゲームしながら教えていただけると、いい子供が育つと思いますよ(笑)。相性なんかもありますから、それを素直に使ったり逆手に使ったり……弱いところからせめて行ったり、弱いところを最後に攻めたり、大人ならば考えられる攻めのバリエーションがありますよね。CPU戦でもそういった部分をうまく使っていただければ、十分勝てると思います。

コース打ちで操作が簡略化
――操作が簡単になって、より投げやすくなった印象がありましたが、安易にストライクをとりに行くとガンガン打たれちゃいますね?

塩澤 ……特にボールをうまく使うことがキーになると思います。ストライクに入ってくる変化球は打たれてしまうので、うまくボールになるように低めにコントロールしてもらえば、と思います。ボールゾーンからストライクに入ってくる変化球や、フォークを高めのボールゾーンから落としてくるような投球だと打たれてしまいます。変化球は低めが基本で、曲がるときは対角に、ということをこころがけていただければ……。CPUのピッチャーもそういう思考で投げてきます。左右別の配球パターンもしっかりと入れていますので、現実にはありえない配球はしません。逆にわかってしまえば、ある投手でこのカウントに来れば、ほぼ○○でしょう、という攻めの裏をかいて待つこともできます。実際に野球がわかっている方は、今までの経験が攻略になる、ということですね。

 とにかく、1球1球楽しんでほしいです。元プロ野球選手の方々ともお話させていただく機会が多いのですが、今までのゲームはありえないことをしてくることが往々にしてあったと。例えば、セオリーとしては左投手は左打者に対してチェンジアップはあまり投げてこないはずなんですよ。ストレートと外角に逃げるスライダーを基軸にして攻めればわざわざ投げる必要はないんで。ゲームを細かく見ている方も多いので「これはおかしい」と。こういった要素は毎年排除していっているんですよ。だから野球関係者にも是非遊んでいただきたいですよね。

 お子さんで実際に野球をプレイされている方も多くいらっしゃると思うんで、“理論から入る野球”を意識して遊んでもらうと、すごい選手が育つかもしれませんね(笑)。


■ 「熱チュー!」で育った子供たちがプロになるところまでを見ていきたい

操作が簡略化されたおかげで、アスナロも遊びやすくなった
――キャッチボールをするように、子供さんと遊んで野球理論を教えてあげられる、という感じですよね。実際に野球をプレイしている人に向いているのかもしれません。

塩澤 バッティングに関してもほぼオートにしましたから、狙い打ち……これ以外の球種は全部捨てて、このコースに投げてくる、というところまで読めれば、かなりの確率で打てるようになっているんです。今までだと高さの概念がありましたから、そこまでわかっていても、高さが合わずに打てなかったことも多かったと思うんです。捨て球と絞る球を絞っていけばいい感じに打てるようになっていると思います。

 最近は野球をしないお子さんも多いと思うんですよね。小さいお子さんもゲームから入っていけば入りやすいと思うんですよ。これをコミュニケーションツールにしていただければ、親子の関係もよりよくなるんではないかという気もしますし。逆にゲームゲームしたタイトルだと、親御さんがちょっと……っていうこともあると思いますので。親御さんもゲームを嫌わずに、一緒に遊んであげてほしいなと。野球の話題で一緒に盛り上がれると、楽しいと思いますよ。これで野球に興味を持ってもらえれば一緒にTV中継を見たり、野球場に足を運んでもらったり、楽しみが広がるじゃないですか。

 最終的には球場に足を運んでいただければ、その導入をお手伝いできれば、それが野球に対するゲームの使命なのかなと思っています。選手たちはどんなすごいことをやっているというのを少しでもわかっていただければ、TVを見ていてもわかると思いますし、実際に行ってみたいという気持ちも沸いてくると思うんですよね。こうして下を育てていかなければ、先がなくなりますから……。うまく育ってくれればな、ということを考えています。

 フジテレビさんも同じく「育てていかなければ」という点で同じ考えなんですよね。これから子供を参加……メジャーリーグもそうですけれど、家族、子供、女性を取り込んでいかないと。このシリーズを制作するにあたって、そういう意味でお互いに共通の目的を持って、いい関係でゲームを制作させてもらっていますね。中継を含めて、今年違う仕掛けをしていきましょうという話を進めています。選手と子供たちとの距離を縮めていこう、ということで我々はゲームでお手伝いをして、フジテレビさんは中継で……長島さんに安心して療養してもらうためにも、球界をグッと盛り上げていきたいですよね。

 やがて、「熱チュー!」で育った子供たちがプロになるところまでを見ていきたいな……と(笑)。小学生から配球を意識して、そこからプロに行って頂けると、イチロー選手なみの選手が出てくるかもしれないじゃないですか(笑)。僕らの時代は配球なんて考えがなかったですからね。とんでもない化け物が出てくるかもしれませんよ。野球を指導している方にも、教材としてうまく使っていってほしいな、と思います。


■ 試合の流れを表現した天秤(モメンタム)

試合の流れを表現するモメンタム
――話題をまいた「天秤(モメンタム)」に関してお伺いしたいのですが?

塩澤 発表以降、ユーザーさんの間で結構誤解を受けているようですので、まず言いますと、ON/OFFはできます。「天秤」で何が表現されているかというと、野球を見ていて、緊張感が切れて「もういいや」ってことになるシーンってあるじゃないですか。守備が緩慢になったり、球際に弱くなったり……そこを主に表現したかったんです。傾いているからガンガン打てたり、逆に持っていかれたからといって攻撃力が落ちたりすることはないです。野球を見ていて、「あ~切れちゃった」ってところですよ。棒球が来たりすることってよくありますよね。それを表現しているんです。

――それは天秤が何か影響を及ぼしていることを表示しているということではなくて、逆に試合の流れを分析して表現しているということに過ぎないということですか?

塩澤 例えば終盤にこんなミスをするとガクッといってしまうとか、そういうものを表現しているだけなんですよ。だから多少球際に弱くなるからうまく打つとサードが見送ってしまうとか、外野の返球がワンテンポ遅れたりするんですよ。攻撃力はないけれど、守備がしっかりしたチームなら、点を取られないようにかっちり守って、こつこつと塁を埋めていくような野球をして点を返していくとガタンといきます。そこで傾けてしまえば、多少貧打でもチャンスが広がる、という感じですよね。

 強力なチームなら、天秤の傾きは打力に影響があるわけではないので、傾いていてもひっくり返すのは簡単です。流れを作って有利に運んでいく、そんなチームが守りきって勝つ野球を再現していると。投手の継投にしても、相手が塁を埋めていく途中でワンテンポ早く交代させれば、流れを断ち切ることができる。それを再現してあるんです。これをゲームの内部だけでやっているとわかりにくいので、表に出してみた、というだけなんですけど(笑)。得点圏にランナーを進められたら、こまめに継投してチャンスの目を摘み取る。そこで乗り切れば、自分の攻撃時にはセーフティバントで足を活かしてみたり、という戦いが可能になっているわけです。

 特に、継投に関しては、今までは選手の体力がなくなってきたら代える、という単純な継投だったと思うんです。流れを切るために投手を変えたい、という……本当に勝負どころだったらストッパーを8回に投入するとか、先発候補をつぎ込んでみる、という監督の心境が理解できると思います。落とせない1戦に主力をつぎこむ意義というか。だから先発も3回なんかで下ろすっていうのもありなんですよね。

――継投をめぐる駆け引きは今までのゲームではわかりにくいところにあったのかもしれませんね。

塩澤 結構ガチンコでやっているので、巨人なんかは相当強いですよ。巨人相手にどうやって戦っていくか……ローテーションや継投は頭を使うと思います。そういうときにモメンタムを意識して戦っていけば、チャンスは広がっていくと思います。流れが向こうに傾きそうになったら、1度ゲームを中断して冷静になってからやり直してもらうとか。戦力的に不安があるチームは、工夫して選手をうまく入れ替える采配をしていくと、天秤はうまく傾いてくれると思うんですよ。

 実際にペナントの監督の采配をマネしてみるのもうまくいくかもしれません。一番いいのはこつこつ塁を埋めていって、点を返していくとダメージが大きいですから。ホームラン1発よりは傾きが大きいはずです。実際に野球中継を見てもらえると、試合の流れを意識することがあると思います。どこかで「そういえばそうだな」と思ってもらえるところがあると思います。形で見えるかどうか、試合が終わってわかることも多いと思うんですよ。そういうものを表面に出していった結果が天秤ということです。

――本日はありがとうございました。


(C)FUJI TELEVISION (C) BS FUJI (C)2002 2003 2004 NAMCO LTD.
(社)日本野球機構公認 フランチャイズ12球場公認 NPB BISプロ野球公式記録使用

□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□フジテレビジョンのホームページ
http://www.fujitv.co.jp/
□BS FUJIのホームページ
http://www.bsfuji.tv/top/
□ナムコチャンネルのページ
http://www.namco-ch.net/
□製品情報
http://www.namco-ch.net/nechu2004/
□関連情報
【1月23日】ナムコ、操作系もグラフィックもパワーアップ!
PS2「熱チュー! プロ野球2004」を3月25日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040123/netu.htm
【2月23日】ナムコ「熱チュー! プロ野球2004」、
CMに斉藤雅樹氏とデーブ大久保氏を起用
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040223/np.htm
【3月24日】ナムコ「熱チュー! プロ野球2004」
オリジナル動画を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040324/netu.htm

(2004年4月6日)

[Reported by 佐伯憲司]


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