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「Halo」の世界一を決める史上初の大会
「Halo for Windows Worldwide Championship」が米国ロサンゼルスで開催

2月17日開催

会場:INTERNET PC CAFE

 米Microsoft主催の「Halo」の世界大会「Halo for Windows Worldwide Championship」が、米国ロサンゼルスにおいて、現地時間の2月17日開催された。日本からは予選を勝ち抜いたSIGUMA選手が出場。順当に予選を勝ち抜いて見事8名のファイナリストのひとりに選ばれ、世界5位という日本人としては前人未踏の好成績を記録した。


■ 19カ国の代表選手が「Halo」世界一を競う大会

会場となったINTERNET PC CAFE。ガラスにはロサンゼルスの強い日差しを防ぐ遮光シートが貼られている
前日の夜に最終調整を行なうSIGUMA選手。左にいるのがコーチの長崎氏
 「Halo for Windows Worldwide Championship」は、もともと北米のみで行なう計画だった国内大会を、どうせならということでワールドワイドレベルに引き上げたという、珍しいタイプの世界大会。Xbox版も含めて「Halo」の世界大会は今回が初めてで、「Halo 2」開発の参考にするためなのか、開発元のBungie Studiosのスタッフも参加している。

 大会の起こりからも想像できるように、CPLやWorld Cyber Gamesといった長い歴史と伝統を誇る世界大会と比べると、規模は格段に小さく、大会の進行も決してスマートとは言い難いが、非常にアットホームな感じで、ファン還元イベント的な色合いが濃い。Microsoftらしい粋なイベントといえる。

 参加国は、オーストラリア、オーストリア、ブラジル、チリ、デンマーク、フィンランド、フランス、オランダ、インド、アイルランド、日本、韓国、メキシコ、ノルウェイ、シンガポール、スウェーデン、台湾、英国、米国の計19カ国。米国はカナダを含む北米大会の代表で、インドは12,000人の中から代表を選出しているなど、予選参加者の多さは必ずしも強さと比例しないものの、いずれも大会に対する注目度の高さが伺えるエピソードだ。

 さて、今回の大会会場となったのは、ロサンゼルス南部トランスにある北米版インターネットカフェ「INTERNET PC CAFE」。在米韓国人がオーナーを務める西海岸最大規模の店舗で、宇宙を意識したおしゃれな店内に60台のPCを常設し、さまざまなPCゲームのオンライン対戦を楽しむことができるようになっている。

 大会前日の16日は、夕食会のあと、設営の終わった会場で練習の時間が設けられた。わずか45分という短い時間だったが、選手の多くは持ち込みのハードウェア(マウス、マウスパッド、キーボード)を店のPCに手早くセットアップして、最終調整に努めていた。日本代表であるSIGUMA選手もハード持ち込み組のひとりだ。

 練習は本戦と同じLAN環境で行なわれたのだが、選手たちは試合前に自分の手の内を読まれないように偽名でゲームに参加していた。16日は通常営業で、地元のプレーヤーが多かったにも関わらず、選手たちは至って冷静に練習していたのが印象的だった。


■ 「Halo」の対戦は60分の孤独な戦い

試合前の注意事項を聞く選手一同
各自の国旗のある席でセットアップを行ない、最後の練習を行なっている様子
長崎氏がSIGUMA選手に服用させたサプリメント。神経の伝達速度を速める効果があるという
 17日は、朝会場に到着後、すぐQuater Final(準々決勝)が行なわれる予定だったが、いくつかの台がマシントラブルに見舞われ、当初の予定よりも1時間遅れでスタートした。

 Quater Finalは、19名を3つの組みにわけ、15分1セットのFree for All(FFA)を4回実施し、総得点の上位4名がSemi Finalに進出するという内容。FFAとは、全員敵というデスマッチゲーム。時間の続く限り敵を倒し、倒されることを繰り返していくという、気力と勝負の対戦モードだ。マップはGephyrophobia、Blood Beach、Hang 'Em High、Death Islandの4枚。Semi Final以降はこれにIce Fieldを加えた計5枚が使用される。

 基本的に日本予選とほぼ同じルールということになるが、試合の合間の休憩がわずか30秒(日本予選では10分)という、実質的に途中休憩抜きでの戦いとなった。この間、選手と関係者が会話を交わすことは許されず、60分間独りで戦い抜くことになる。また、当日は解説も付けられなかったため、FPSの大会としては異例ともいえる非常に静かな戦いとなった。

 日本代表のSIGUMA選手は予選2組に出場。オーストリア、デンマーク、フランス、日本、メキシコ、米国/カナダの6人で4人が勝ち抜けとなる。この場合、どの2カ国が落ちるかを予想する方が簡単だが、日本以外はいずれもPCゲーム大国であり、予想が付かない。

 今回SIGUMA選手のコーチを務めたAceGamer.netの長崎氏は「昨夜の調子ならいけるでしょう」と自信のコメントだったが、直前の練習風景を見ていると当然のことながら全員うまい。北米とメキシコは地元パワーでギャラリーも多く、客観的に見て日本のみが厳しい印象がある。主催のひとりとして応援に駆けつけたマイクロソフトの風間氏も「もうドキドキしてきました」と心配顔だ。それが伝染してきたのか、私もハラハラドキドキしてきた頃にようやく試合開始となった。試合時間はトータルで60分。繰り返すが長丁場の戦いだ。

 うまさが際だっていたのは、優勝候補の筆頭である米国/カナダ代表のChumpp選手で、緒戦こそ4位スタートだったが、2戦目以降はすべて1位を記録し、楽々の総合1位で予選を通過した。プレイスタイルは完全に漁夫の利型で、決して乱戦の場には近づかず、そこに射線の通る位置を常にキープしつつ、火力のある武器を使ってロングレンジでまとめてなぎ倒してポイントを荒稼ぎしていた。

 一方のSIGUMA選手は、まさに「Halo」プレーヤーのお手本となるようなオーソドックスなプレイスタイルだった。すなわち、集弾率が良く、ダメージ性能も良好なハンドガンで、確実にひとりずつしとめていくというスタイル。スナイパーライフルやロッドガンは、取ってもほとんど使用せず、ハンドガンとグレネードのみという初期装備のみで予選を戦い抜いた。

 結果は、3位、3位、5位、3位、総合3位というまずまずの成績で予選を通過した。結果だけ見ると楽に勝てたかのようだが、実際には各回の成績はいずれも僅差で、ぎりぎりのところで勝ち上がった印象がある。試合中は15分の間にめまぐるしく順位が入れ替わっており、わずか数秒間に2位が5位に、1位が4位になったりする。SIGUMA選手本人も「予想以上に苦戦しました」とのことで、後ろで絶えずカメラを回していた長崎氏も「序盤はともかく、後半はよくない。弾が当てられていない」と渋い顔だった。

【Quater Final】
Quater Finalを戦うSIGUMA選手。右の画面は試合終了後に長崎氏からいくつかアドバイスを受けているところ


■ Semi Finalで完全に復調、日本の強さを世界に見せつける

Finalに選ばれた8名の選手。この中に日本人がいるということ自体が偉業だ
Final第4試合目の結果。この試合でSIGUMA選手は2位に付けた。しかしこの僅差っぷりは見ているこちらのほうがハラハラする
Finalの全5試合が終了し、うなだれるSIGUMA選手。1ポイント差で入賞を逃したのはおしいが、世界5位は大健闘だ
 Quater Final終了後は短い昼食を挟み、引き続きSemi Final(準決勝)が行なわれた。Semi FinalもQuater Finalと同様に、12名を2組にわけ、上位4名がFinalに勝ち進むというルール。組み分けは1位と3位がPool1、2位と4位がPool2という不均衡な内容。SIGUMA選手は2位だったため、Pool2の組みとなった。

 Semi Finalの対戦相手はアイルランド、チリ、デンマーク、韓国、ブラジルの5カ国。米国/カナダや英国、スウェーデンといった優勝候補たちは全員Pool1で、Pool2は実質予選4位を倒せばFinalに勝ち進めるというイージーな内容になった。主催者のMicrosoftがなぜこういう不均衡な分け方を採用したのかは不明だが、いずれにしても今回の大会における最大の反省材料のひとつといっていい。

 さて、くじ運の良さに気をしたのかSIGUMA選手は「一位抜けをします」と試合前に早くも勝利宣言する余裕を見せた。実際に試合が始まってみると、予選2位と4位の差は歴然で、SIGUMA選手は3回連続1位を記録し、3戦終了時点でFinal進出を確定させた。

 復調したSIGUMA選手は、まさに世界レベルといっていい実力を発揮した。今回はハンドガンだけでなく、状況に応じてスナイパーライフルやショットガンを使い分け、稼げるシチュエーションできっちりポイントを稼いでいった。また、グレネードの使い方もまさに芸術的で、後ろから見ている限りでは、投げた場所に敵が吸い込まれているような印象すらある。

 のちに聞いた話では、日本では彼のような上級者は、オンライン対戦時にロッドガンやロケットランチャーなど火力たっぷりの銃器は“自粛する”傾向にあるという。俗に野良サーバーと呼ばれる一般ユーザーが誰でも参加できるサーバーでは、上級プレーヤーばかりが参加するとは限らない。当然、購入したばかりの初心者もいるわけで、彼らを力でねじ伏せては相手が興ざめし、せっかくの対戦相手がいなくなってしまうからだという。

 まさに上級プレーヤーの数が限られる悲しさを感じさせるエピソードだが、逆に言うとそれでは永遠にハンドガン以外の銃器の使い方が身に付かないということになる。彼の場合は、国内の上級プレーヤーと交流も深いため、使えないわけではなく、あくまで使わなかっただけだが、Semi Finalではようやく戦っている相手が手加減が必要な相手ではないということが理解できた様子だ。

 さて、続いて行なわれた決勝では、勝ち進んだ8名によるFFAで勝負が決められた。1試合15分を5回という75分の長期戦。今回、3時間15分の熱戦を観戦したが、見ているこちらも疲れてくるほどの長期戦だ。ある意味「Counter-Strike」のチーム戦以上にタフな戦いという印象を持った。

 60分もの長期戦にもなると、時にはどんなスタープレーヤーでも連続で倒されたり、再出現直後に倒されたりといった不運なケースに遭遇する。長期戦、ましてや個人戦では、そういう状況下でいかに平常心を保ち、常日頃の実力を維持できるかが問われてくる。今回の場合、米国/カナダ代表のChumpp選手がまさにその典型で、Quater FinalとSemi Finalともに総合1位という圧倒的な成績でFinalに勝ち進みながら、Finalでは日本や韓国といった伏兵に悩まされ、総合5位という地元代表としての期待を裏切る成績に終わった。

 さて、SIGUMA選手の最終結果は、米国/カナダ代表と同着の5位という成績に終わった。しかし、3位に入賞した韓国のBluemond選手との最終戦でのポイント差はわずか1ポイント。1ポイントを取ればSIGUMA選手が3位という僅差の勝負となった。入賞できなかったのはおしいが、世界5位という成績はお見事だ。

 今回優勝したのはQuater FinalとSemi Finalともに総合1位だった英国のBEAST選手。近距離、遠距離共に卓越した技術と状況判断力で、1位、1位、1位、5位、1位という文句なしの成績でぶっちぎりの優勝を飾った。2位以下は、オランダ、韓国、スウェーデン、日本、米国/カナダが団子状態で並んでおり、実力は拮抗していた。

 個人的に、個人戦は「Unreal Tournament」に代表される短期決戦のハイスピードバトルにこそその醍醐味があると思っていたが、今回「Halo」の大会を観戦してみて、長期戦には長期戦なりの醍醐味とドラマがあることを実感させられた。また来年も観戦したいと思わせる充実した大会内容だった。

【表彰式】
表彰式の様子。挨拶を行なっているのは米MicrosoftのPromotions and Events ManagerのChuck Blevens氏。全参加者にはATIのRADEON 9850が贈られ、入賞者にはAlienware systemのPCが贈られた

□Microsoftのホームページ
http://www.microsoft.com/games/
□「Halo for Windows Worldwide Championship」のホームページ
http://igames.org/tournaments/MiniNewsView.asp?MiniID=3&AssetID=24
□関連情報
【1月19日】「Halo World Wide Championship」日本予選決勝大会が開催
Windows対Xboxのエキシビジョンマッチが実現
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040119/halo.htm

(2004年2月18日)

[Reported by 中村聖司]


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