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★PS2ゲームレビュー★
本作はこれまで発売されてきた周辺機器、株式会社ソニーの「ヘッドマウントディスプレイ(PUD-J5A)」や、株式会社ロジクールの「フライトフォース」、株式会社HORIの「フライトスティック」にも対応しており、本作と同日発売された株式会社HORIの「フライトスティック2」に対応した最初のタイトルとなる。本レビューは、コントローラでプレイした感覚を中心にお届けするが、「フライトスティック2」でのプレイ感覚は別稿にて掲載する予定だ。そちらも参考にしていただければと思う。
■ 手足のように航空機を操って空を飛ぶ感覚が楽しい ゲームを開始するといきなり緊急事態の発生によって、ブリーフィング無しでチーム・デルタ第3小隊の「カズヤ・ササイ」の視点で物語が始まる。出撃したササイ達の目の前で、敵である「O.C.C.」軍のハイテク兵器が都市の一部を攻撃、消失させてしまいこの攻撃機を撃墜することが任務となる。この最初のスクランブルは、とまどいながらでも誰もが難なくミッションを達成できるだろう。それは、初心者でも簡単に戦闘機を操れて自滅しにくい工夫がされている「ノービス」タイプの操作でゲームが始まることと、相手がおとなしい地上攻撃機ということ。また、「カズヤ・ササイ」の初期装備、「F-5E Tiger II」はクセのない機体で、扱いやすい万能タイプだということに起因している。フェイズ1では、カズヤしか選択できないことで、初心者にとっては迷うことなく、いくつかの作戦で操作に慣れてからほかキャラの特異な性能の航空機の選択できるようになっている。 航空機の操作は、「ノービス」、「エキスパート」、「エース」の3つのコントロールタイプから選べて、それぞれコンフィグでボタン配置も細かく設定できる。デフォルト設定にもなっている「ノービス」は、初めて触る人でも楽に航空機を操作できる。操作は左アナログスティックによる機体の方向操作とボタンでのエンジン出力操作をメインに、ボタンで兵器の発射・切り替えを行ない、場合によってはミニマップを開いたり閉じたりするといった程度である。機体の制御にあれこれ気遣う必要がなく、攻撃に集中できるといった感じだ。フライトシミュレーションに慣れて操作に自信のある人は、いきなり「エース」でも問題ないかと思うが、あまり操作に自信のない人が直感的に操作できるという意味ではこのタイプに勝るものはない。 次の段階の「エキスパート」では、左右のヨーイング操作を任意に行なえ、より実機を操作する感覚に近づけてある。この操作は「ノービス」と比べて、機体の方向操作の感覚がガラリと変わるので、慣れるまでやや時間がかかるかもしれない。例えばアナログスティックを左方向に思い切り入れると、「ノービス」の場合は機体が左方向に移動して、スティックを離すと機体を水平にして止まる。しかし「エキスパート」では、スティックを左に入れると機体が左にロールし、入れ続けるとその場で回転してしまうため、左方向へ移動するには左ヨーボタンを押して方向舵を操作しつつ、アナログスティックで左に機体を傾け機首を進行したい方に向けるという操作になる。筆者の場合は慣れるまではすぐに機体が裏向きになってしまった。後でリプレイ画面を見ると、甚だ格好悪い挙動を示した挙げ句、とんでもない角度から地形にぶつかっていったりして、思った方向に進めるようになるまでにはちょっと時間がかかった。
しかし、操作に慣れれば「ノービス」よりも断然自由度の高い移動ができる。この操作の特長は、空中戦で画面外に逃げた敵機を追う際などに発揮され、縦横無尽に機首を巡らせて方向を変えることができるので、「ノービス」に比べて敵を追い詰めるのに圧倒的に有利だ。敵とのドッグファイトですごい“G”を脳内で感じ取りながら空を切り裂くのは至福の悦をもたらしてくれる。大空を翔る感覚を味わいたければ、そういった操作を可能としてくれる「エキスパート」がお勧め。初めて「ノービス」からこちらに切り替えていくときは、地形の入り組んでいない空中戦のステージから慣れていくといいだろう。
コンフィグのボタンセッティングで、ボタン配置のタイプを選べるほか、ボタン配置をカスタムで設定できるのもとても嬉しいところ。惜しむらくはその配置をプレイ中に確認できない点だ。特にコントロールタイプを変えた直後などは混乱しやすく、自在にボタン設定ができるだけにちらっとウィンドウを開いて現状の設定確認ができればありがたかった。
■ ストーリーの展開と共に多彩な任務をこなす 作戦は多彩なものが用意されていて、戦闘機対戦闘機のドッグファイトや砂漠での地上攻撃を主とした味方支援任務、夜間低空飛行で敵巨大要塞を破壊する任務など時間帯や舞台、状況も多彩で飽きさせない。大空を翔る感覚を堪能できる空中戦はとにかく楽しい。キャラクタウィンドウが画面の上部に表示され、敵味方の通信が入り乱れてひっきりなしに喋りまくる。特にシナリオに登場する敵サイドのキャラと相まみえる際は、戦闘画面での敵機にもキャラ名が表示されて、ロックオンした時の慌てた様子や撃墜されて捨てゼリフを残して脱出していく様子もウィンドウに流れ、NPCに変わりないのだが明らかに白熱度が違ってくる。 戦闘機の性能と腕前が勝負の要となる空中戦も楽しめるが、個人的には入り組んだ地形の中を抜けていく作戦が気に入っている。理由は2つあって、1つは単純に地形の隙間を抜けるのが3Dアクションを遊ぶ感覚で妙に楽しいということと、もう1つは地形に左右される作戦はブリーフィングで作戦の概要全てが判然としていないことが多く、現場へ行って状況を見てから敵兵器の弱点を探ったり、キャラクタウィンドウに流れる交信からヒントを得ながら作戦を進めていく中で、「あーっ、なるほどそんな仕掛けになっていたのか!」といった驚きが隠されていることが多い。これが楽しみに繋がるのだ。 序盤の方で、渓谷を通せんぼするように敵の巨大兵器がいくつも出てきて、その間をすり抜けていくという作戦がある。高度1,000mを越えると爆破されてしまうし左右は岩肌、当然地上に接触すれば墜落してしまうという制限された地形の中で、進路を覆うような巨大兵器をいくつもすり抜けなくてはならない。迫り来る架空のハイテク兵器は近くまで寄ると、とてつもない大きさで迫力に圧倒され、それらの作るスキマを抜けていくのはちょっとリアルとはかけ離れているが、手に汗握る緊張感をもたらしてくれる。本作には巨大兵器や巨大敵施設などがたくさん出てくるが、スケールの大きな架空兵器とリアリティのある戦闘機で渡り合う感覚が、何とも言えないドキドキ感を与えてくれる。 渓谷の作戦は、どうしたらクリアになるのか分からないまま渓谷の最終地点に至るのだが、キャラクタウィンドウに流れる交信にはヒントが流れている。交信は空戦の気分を盛り上げてくれるだけでなく、危険な状態を教えてくれたり、任務遂行に重要な情報が含まれていることが多い。なので、この音声を英語に切り替えていると映画さながらの格好いい雰囲気を味わえるのだが、重要な交信を聞き逃さないようにしたいところ。
また作戦を終えると成否に関わらずすぐにリプレイモードとなり、これをセーブすることも可能。リプレイは非常にありがたく、戦闘中に機体の操作に精一杯で、交信を目で追ったり耳に入れて理解する余裕が無くても、画面の状況と交信内容を照らし合わせて確認することで、意外な点に気付くこともできる。リプレイ画面は、画面下のコントロールウィンドウやキャラクタウィンドウを消し去って観賞用として見ることもできる。3つのカメラアングルが用意され、カメラアングルを任意で変て作戦の反省をしながら周囲の状況を確認できるほか、映画のように迫力をもたせたカメラアングルでも見ることができる。
いずれ舞台は宇宙へと広がるなど、現実には起こらないシチュエーションで戦ったり、戦闘機でこんなことやるの? といった任務もあるが、そこは正規軍がやらないこともこなすデルタ部隊。ハイテク兵器に対抗しうるのは、より高性能の航空機と腕前、度胸といったところだろう。
■ エアベースを拠点として任務を遂行 身近な目的は作戦単体の成功だが、本作の最終的な目的は「E.D.A.F.」軍を勝利に導いて戦争に勝つこと。そこでゲームの流れと共に、フェイズとターンについて知っておく必要がある。ゲームは基地を拠点として進み、基地内のブリーフィングルームへ行くと、その時選べる作戦を選択できる。作戦を選びブリーフィングを見て、目的に合わせてキャラ及び機体を選択し出撃を選択するとワールドマップ画面となる。ワールドマップ画面では、目的地がわかりやすく特殊なアイコンで示されているので、ここにカーソルを移動させて選択すれば作戦が始まる。1つの作戦が終われば基地へ戻って、ショップで新しい戦闘機や兵器を購入したり、ハンガーでの性能強化ができる。セーブをしたら再びブリーフィングルームへ行き、作戦を選ぶという流れを繰り返す。 ターンはワールドマップに出ると消費し、フェイズ内である程度のターン数以内に必須の作戦をクリアしなくてはならない。作戦に失敗しても同じ作戦に再度挑戦したり、その際前とは違うキャラや機体を選び直して事に当たることもできるが、あまりに失敗続きでフェイズが進まないと味方が敵に攻め込まれて戦争自体に負けてしまいゲームオーバーとなる。こうなるとデータをロードしてやり直すか、そのフェイズを1からやり直すしかない。 参謀の「リーリャ」に優先的な処理を求められた作戦は、放置しすぎると戦争自体に負けてしまうので、「E.D.A.F.」のマークが付いた選択肢を早めに選ぶと安全だ。このほか必ずしもクリアしなくてもいい作戦は、任務にあたる小隊を限定されることが多く、まれに単機出撃などもあって特殊で難度が高いものが多い印象だが、自分の気に入ったキャラクタや小隊限定の作戦を進めてそのストーリーを知ることができるのは楽しみの1つといえる。 また、必須任務以外の作戦をクリアすると敵兵器を破壊して得られる報奨金や、作戦そのものに報奨金が用意されていればその分も受け取れるので、戦力の強化につながっていく。航空機をたくさんコレクションしたい人は、毎ターンきっちり高報酬を稼いだ記録を保存していき、できる限りの作戦をクリアするといった遊び方もできる。 クリアしたミッションはフリーモードでいつでもプレイできるようになるという仕掛けもあるので、より多くの作戦をクリアしたいところ。だが、余計な遠回りをせずに駆け足で先のシナリオが知りたいという人は、無理に全ての作戦をクリアする必要はなく、基地で休息をとってさっさと戦局を進めていくというのもアリだ。 ただし、先を急ぐだけの進め方だと腕前だけでカバーできない局面も多くなってくるので、個人的には戦局に関わらない作戦もある程度こなして、順当に戦力強化を図っていくのがお勧め。ガチガチに航空機を揃えるということを考えすぎると、筆者のような腕前ではなかなか最後までたどり着けそうにないが、逆にある程度性能のいい戦闘機は購入していきたいところでもあるのだ。
1点だけ欲を言えば、マップの移動に関してはもうちょっと楽にしてもらいたかった。基地から目的地までカーソルを進めて移動するのだが、最初は基地周辺の身近なポイントへ移動するだけでいいが、フェイズが進むと行ける場所がどんどん広がる。拠点となる基地も増えていくのだが、目的地にたどり着くまで何度も方向選択とボタン決定を繰り返して到達するということが増えてくる。いきなり狭い地形が待ち受けているために失敗して何度も冒頭をやり直す必要のある作戦では、その都度移動を繰り返すことになるのでちょっとしたストレスに感じた。また、マップに出てすぐあわてて決定ボタンを押して基地に戻ってしまうとそれだけでターン数を消費する。これは失態続きのさなかに目的地へ急ぐ際に、非常にやりがちなミスだ。充分に練習を積んだと思ったら、無駄に進んだターン数をリセットする意味でデータをロードして、おちついてマップを移動して本番に取り組むのがよいと思う。
■ デルタ中隊のキャラクタと航空機 敵の兵器には、はちゃめちゃに未来のハイテク兵器が多いのだが対するプレーヤーのデルタ中隊が装備しているのは、現代戦闘機や試作機から、やや古い花形戦闘機、レシプロ機までといった多彩なラインナップ。デルタ中隊の構成は第1~3小隊から成り、各小隊ごとにキャラの個性を反映した特長がある。第1小隊はレシプロ好きの「ジェイミー」、速さを追求した機体を好む「リック」、V/STOL機を専門に乗りこなす「アレックス」と、かなり変わった隊員の集まった小隊。第2小隊は「ホルスト」を始め対地攻撃の専門家達3名で構成され、第3小隊は「カズヤ・ササイ」を含めたドッグファイトを得意とする3名で構成された小隊と、それぞれタイプが分かれる。基地のショップではキャラそれぞれの好みに合わせた航空機を用意してくれるので、作戦で得た報奨金で航空機や兵器を購入して強化していく。 各隊員の機体ラインナップも興味深い。V/STOL専門の「アレックス」の場合、V/STOLといえばハリアーといったお約束を外して、デフォルトの機体は「T-58VD」だ。プレイしているうちに出てくるだろうと思っていたら、ショップに出てきたのはフォージャーだのフリースタイルだので、なかなかハリアーが出て来ない! これは、別にフォージャーが“使えない機体だ”と言っているわけではない。“おそらく「F-15」は第3小隊の誰かのラインナップとして出てくるだろうな”、などと予想は付くのだが、メジャーな機体が出始めるまでに様々な特長ある機体が出てきて楽しませてくれるということだ。
あまり使っていない隊員のラインナップに欲しい機体が出てきても、報奨金が貯まっていないとすぐに購入できないので、自分の思い入れある航空機が誰のラインナップとして出てくるか予想しながらそのキャラを使っていくのもワクワクできる。個人的にはライトニング乗りの「ジェイミー」の機体を揃えていきたいのだが、まだ筆者にはライトニングの操作が難しいために報奨金がなかなか稼げず、機体が買い足せないという歯がゆい現状だ。
航空機を見る機会といえば本かテレビ、国内なら空港や自衛隊や米軍基地、海外まで足を伸ばせば大規模な航空ショーなどにもお目にかかれるが、重い腰を上げるのはなかなか難しい。見るだけなら自分の重い腰を軽くして、後は財布と相談すればいいだけの話だが、操作する機会の無さといったら、こればかりはいかんともし難い。本作では様々な国の様々な種類の航空機を見たり、操作の疑似体験ができる。また、オマケ要素だが専門家によるツボを押さえた詳細解説によって機体の製造の経緯や現状などについても見聞を広められる(ぐるぐる回して見られるほか、兵器を発射できたり塗装を変更できたり細かい)。航空機好きにもお勧めしたいし、本文で触れた内容によって3Dアクションというジャンルが好きな人にもお勧めしたい。
多彩な航空機で任務を遂行する中で、デルタ中隊の隊員それぞれの物語が展開し、「O.C.C.」の“皇帝”と呼ばれる撃墜王や、それを取り巻く不穏な部下の動きなど、王道の雰囲気を滲ませるキャラ達が架空戦記を織りなしていく。そのシナリオをどのようなエンディングに導くかは是非ご自分でプレイして頂いて、物語の結末を確かめて頂きたい。
Lockheed Martin Trademarks used under license to Konami Corporation. Produced under license from Boeing Management Company. Produced under a license from Northrop Grumman Systems Corporation Produced under licence from BAE SYSTEMS PLC. Certain Aircraft names and designs are protected by Trade Marks, copyright and other rights owned by BAE SYSTEMS PLC and its partners and are not to be reproduced except as permitted by the licence without the prior written consent of BAE SYSTEMS PLC. 協力 陸上自衛隊 海上自衛隊 航空自衛隊 Dolby, Pro Logic, and the double-D symbol are trademarks of Dolby Laboratories. Manufactured under license from Dolby Laboratories. Copyright 1999 The Learning Company, Inc., and its subsidiaries. All rights reserved. (C)2004 KONAMI & Konami Computer Entertainment Studios
□コナミのホームページ (2004年2月17日) [Reported by 河本真寿美]
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