「コルムオンライン」開発者/GMインタビュー
ギルド戦にテーマを絞った世界で展開するドラマとは?
1月26日~27日収録
韓国で「コルムオンライン」のサービスを提供しているeSofnet本社ビルにて、開発者インタビューを行なった。お話を伺ったのは本作のリードゲームデザイナーであるSeng
Taek Lee氏と、日本語へのローカライズプログラムを担当するIn-Ho Choi氏のおふたり。本作のコンセプトを中心にお答えいただいた。
■シンプルなゲーム性に込められた制作の意図は?
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In-Ho Choi氏と、Seng Taek Lee氏 |
Q. 「コルムオンライン」のゲームコンセプトについて教えてください。
A. 初心者への配慮と、強くなったキャラクタ達が繰り広げる「攻城戦」に絞った、シンプルなゲームとして制作しました。多くのプレーヤーがギルドを組み、ダンジョンを制圧していく。そしてギルドによる一大勢力を築き上げていくことが可能になる。この作品の醍醐味はここにあります。
この作品でプレーヤー達は、ダンジョンで戦い、村でプレーヤー間のコミュニケーションを育みます。コミュニケーションを楽しむ村と、戦うダンジョンという、非常にシンプルな要素で構成されているゲームです。
他のMMORPGでは、街の中、もしくは街から出てから、何をしていいかわからない、何をすればいいか迷ってしまうプレーヤーも多い。しかし、本作では、村で仲間を募ったりものの売買をしてから、ダンジョンで戦っていく。プレーヤーに「強いキャラクタに育て上げ、戦う」というゲームの目的を明確に提示したかったのです。
個々のプレーヤー達が戦うという目的は、さらにプレーヤー達が団結して、一大勢力を作り上げるという大きな目的につながっていきます。いかに勢力を拡大し、守っていくか。勢力拡大、維持のためには、各ギルド構成員に「責任」といったものも生まれてきます。こういったシングルプレイにはない楽しさと、緊張感を体験してもらいたいと思っています。
Q. 他の韓国産MMORPGと比べて、本作は、非常にスピーディーにレベルが上がり、かつキャラクタが死亡しても経験値減少などのペナルティーがないといった特徴があります。こういった特徴を導入した意図は?
A. 1~40レベルくらいまでは、女性や年齢の低い人にも楽しんでもらえるような、手軽にゲームが楽しめるようにデザインしました。キャラクタの育成は、あくまでその後に来るプレーヤー同士が団結して覇を争う戦いの前の準備期間です。プレーヤー同士が大陸世界での一大勢力を目指して争う。そのためにキャラクタ育成に対しては、ストレスの少ない手軽なものを目指したのです。
ゲームの展開のスピーディーさ、アクション要素に関しては、この「コルムオンライン」の前身となるRPGシリーズからの流れを受け継ぐもので、本作のプレイしやすさはユーザーからも評価されています。手軽なアクションゲームとしてキャラクタを強化し、ゲームに慣れたところでプレーヤー同士の戦いを楽しんでもらいたいですね。
また、今後キャラクタをより上級職に転職させたり、新しい世界を増やしたり、モンスターのペットを所有できるようになるなど、さまざまなアイデアを用意しています。より多彩なキャラクタを育成させていく楽しさを提供していくつもりです。
■激しいギルド間の戦いが描く本作の未来像
Q. ギルドで大勢力を作っていく、というのが大きな目的とのことですが、大勢力のギルドがひとつできてしまって、他が弱小になってしまう、ということにはならないでしょうか?
今後、世界はどんどん拡張していきます。3,000ものダンジョンがある、というのが本作のポイントのひとつですが、1月28日より正式サービスを開始する韓国でも、まだ半分ほどのダンジョンがオープンしているだけです。ギルドがいくら頑張っても、すべてのダンジョンを所有することは不可能です。
また、所有したダンジョンを維持すること自体も難しい。他のダンジョンを攻撃している場合、自分たちが守備しているダンジョンは手薄になってしまいます。逆転を狙う敵対ギルドは、この隙をつくでしょう。勢力が大きくなるほど、ダンジョンの維持は大変になっていきます。我々は隙をついたり、奪い合うことで生まれる“戦いのドラマ”を、楽しんで欲しいと考えています。
ギルドそのものの魅力も今後、もっとアップさせていきたいと思っています。たとえば、村周辺のダンジョンを制圧することで、村を支配し、中で商売をしているユーザーから税金を徴収できるとしたらどうなるでしょう? 村周辺のダンジョンは、多くのギルドにとって大変に有用になります。重要なダンジョンは、所有者が激しく移り変わっていくかもしれません。こういったことで、戦いを激しくしていければと思っています。
限られた場所を取り合いするだけではなく、どんどん大きくなる世界で、プレーヤーの所有ダンジョンを増やしていき、より楽しく戦いを繰り広げられるようにしていくつもりです。大陸同士の争いや、同盟など、壮大なドラマをユーザー達の手で実現させていくことを期待しています。
ひとつのギルドが大陸をまるまる所有し、完璧な防御を誇ることは不可能です。例えば襲撃時間をずらすなど、隙をつくことも可能だし、戦い方によって一大勢力を突き崩すことも可能なわけです。そういった工夫も楽しめますし、駆け引きも楽しめる。ダンジョンを所有することで今後、ギルドキャラクタの経験値がアップするなど、村以外にも魅力を多くしていくつもりです。
その魅力に突き動かされ、大きな勢力を夢見て、戦い続けていく。制作者である私たちも、その戦いをより面白くしていくために、バックアップしていくつもりですし、また、さまざまなアイデアを提案していきます。
Q. 最後に、日本のユーザーへのメッセージをお願いします。
A. もともと、本作はバトル好きな韓国ユーザーへ向けて企画されたタイトルですが、日本でも展開することになり、この作品がどのように受けいられていくことになるか、強い関心を持っています。さらに、日本独自の展開も企画が進行しています。私たちか情熱を込めて作っているこのゲームを、多くの日本のユーザーに、楽しくプレイをしてもらいたいと思います。ご意見などをお寄せください。
日本に向けて「コルムオンライン」を提供しているNetclue本社ビルでは、韓国から日本ユーザーをサポートするGame Managementチームにお話を伺った。お答えいただいたのはマネージャーであるYoun Seng Jun氏、GMである中野良太氏と、Kim Sung Wook氏。「コルムオンライン」におけるGMの役割と、韓国ユーザーと日本ユーザーの違いなどをお話ししていただいた。
■ユーザーが作っていくゲーム空間をサポート
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左からYoun Seng Jun氏、Kim Sung Wook氏、中野良太氏 |
Q. 本作でのGMの仕事とは、どういうものですか?
A. 「コルムオンライン」では、他のMMORPGのようなGMコールというものは存在しません。一応GMキャラクタもいますが、主にイベント用で、基本的にすべてメールのやりとりで対応しています。現在6人のGMが3交代制、24時間で対応を行なっています。
メールは1日に、20~30通ほど届くことがあります。中でも多い質問は、キャラクタ間の強さのバランスについて。クローズドβテストの時には、地形にキャラクタがはまってしまう、というようなこともありましたが、現在はほとんど解消されました。
現在報告が多いゲームの不具合としては、ギルドのレベルアップの問題があります。これは、サーバーダウンなどでせっかく貯めたギルド経験値がクリアされてしまうといった問題で、この障害には対応していく予定です。
他にも、ユーザーの質問や意見などにはすべて目を通しています。キャラクタのダメージを与える法則等について確認を取ってくるユーザーもいて、その場合はテストサーバーや、ログを確認できるGMツールを使って、確証を得た上で返答させていただいてます。現在は実現が難しいですが、リアルタイムでゲーム内でのサポートも将来的には実現したいです。そのために、より多くのGMの募集もしています。
また、ホームページの運営や、ユーザーとのコミュニケーションも大事な仕事です。ホームページのGM日記の方で紹介したのですが、社長を始め、GMである私たちも、1プレーヤーとしてこのゲームを楽しんでまして、プレーヤーの視点からも、問題点や、アピールしていくものを考えています。その提案を、開発側に行なうことで、よりユーザーと開発を近づけるように心がけています。
良いゲームは、開発チームでもサポートをする我々でもなく、ユーザー自身が作っていくものだと、私たちはとらえています。そのために、できる限りのサポートを心がけていくつもりです。
■スポーツのように戦いを楽しむ日本ユーザー
Q.日々、日韓のサーバーを観察していて、日本と韓国のプレーヤーの間で、プレイスタイルなどの違いは感じられますか?
A. 日本の場合、通常サーバーであるアルカディア、成人サーバーともに、180以上のギルドが結成されているようです。最高レベルでは、110に到達するプレーヤーも出始めています。職業ではファイターとサモナーが人気を集めていますね。
韓国では、150以上のレベルのキャラクタがいます。多いサーバーでは結成されたギルドは300を越えています。ファイターの人気が他より頭ひとつ多いという状況ですね。反面、プリーストの人気が低めです。
本作は中国でもサービスを予定していまして、私たちは中国、韓国、日本のプレーヤーを主に見てきたのですが、中国はPKの人気が非常に高いですね。3カ国の中でもっともPK行為が頻繁に起こります。韓国でもPKは激しいですが、バトルダンジョンへの関心も高い。一方、日本のユーザーは、ゲームシステムそのものの研究に非常に熱心です。
日本と韓国の違いを強く感じたのは、「攻城戦」においてです。プレーヤー達が所属ギルドに分かれて、ひとつのダンジョンを奪い合う。そこではプレーヤー同士の激しい戦いが繰り広げられるのですが、勝敗が決したとき、両国は明らかに違う反応を見せます。
韓国プレーヤーは、勝敗が決しても、自分を倒したキャラクタを許さず、再び戦いを挑んでいくのが常識です。とにかく、自分や仲間のかたきをとらなければ気が済まない。だから、終わった後も激しい戦いが続きます。
ところが、日本のユーザーは違う、勝敗が決した後、ぱっと戦いをやめてしまうんです。健闘をたたえ合ったり、その後仲良く他のダンジョンに狩りに行ったりする。全く韓国と状況が違って、呆気にとられたことがありました。「誰が勝ったのかな?」などというほのぼのした会話は、韓国ではまずあり得ないですよ。ゲームイベントのひとつとして割り切って、スポーツのように楽しんでいるという印象を受けましたね。
ダンジョンを取られたら、絶対仲間と共に取り返す。仲間意識が非常に強いのが韓国の特徴で、現在では、やはり韓国の方がギルド戦や、ギルドの勧誘も活発です。しかし、私たちは日本のユーザーに向けたアプローチも考えています
ダンジョンを「自分たちの場所」として、愛着を持ってもらえるようなアイデアを考えていきたいと思っているのです。まだ具体的にお話は出来ないのですが、自分たちの居場所であり、守っていきたい場所として、思い入れを持ってもらえるようにすることで、ギルドを活性化していければと考えています
また、日本はまだオープンβテストが始まって、1カ月しかたっていないという点が、韓国に比べてギルド戦が活性化していない、という原因になっている部分もあると思います。最近では敵ギルドの襲撃に備えて、必ず誰かが見張れるようにログインする時間を話し合ったり、襲撃のために深夜にプレイする時間を約束するといった動きが、日本でも生まれています。今後どういった反応が見えてくるかは、非常に楽しみです
Q.今後の予定をお聞かせください
A. 日本に向けた、韓国とは違う独自企画のアイデアも多数持っていますが、まずはじめたいのは「サポーターズ」の充実です。メールやBBS等でユーザーとGMの交流が活発なのは本作の特徴ですが、サポーターズによって、ユーザーからの質問や、ゲームのアドバイスをしてもらうようにしていきます。サポーターズはメーカーの公認であり、責任ある立場として助けを必要とするユーザーに対してヘルプをお願いしようと思っています
GM向けのメールでのやりとりだと、どうしても堅い返答になってしまいがちですが、サポーターズ専用掲示板を設置することで、もっと気軽に答えが得られる場所を提供できればと考えているのです。先輩として“経験者”としてのプレーヤーの助言がもらえる場所にしていきたいです。他にも、オフラインでのユーザーとの交流など、さまざまな企画をしていきたいですね
□Netclueのホームページ
http://www.netclue.co.kr/
□「コルムオンライン」のホームページ
http://www.corum.jp/
□関連情報
【2004年1月28日】Netclue、「コルムオンライン」体験ツアーを開催
バトルダンジョンやボスモンスターハンティングなどを体験
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040128/netcu01.htm
【2004年1月7日】本日到着! DEMO & PATCH 「コルムオンライン」オープンβクライアント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031222/corum.htm
【2003年12月22日】ネットクルー、「コルムオンライン」のオープンβテストを1月1日より実施 ダンジョンを獲り合う異色3DMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031222/corum.htm
【2003年11月23日】Korea Amuse World Game Expo 2003現地レポート
古代朝鮮をテーマにした「Kal Online」ほか、NetMarbleブースレポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031123/k_mb.htm
(2004年1月29日)
[Reported by 勝田哲也]
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