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★PS2ゲームレビュー★
■ オカルト好きのツボを直撃する除霊ADVシリーズ最新作 霊を倒すのではなく“霊の望みをかなえて成仏させる”という独自のテイストを持つアドベンチャーゲーム「エコーナイト」シリーズ。本シリーズは、全編に漂うオカルティズムにあふれた雰囲気にくわえて、死者たちの悲劇的なストーリーに触れることでプレーヤーにカタルシスが生まれるという特色がある。
この度リリースされたシリーズ最新作「ネビュラ -エコーナイト-」は、豪華客船や洋館といった「いかにも霊の出そうな場所」ではなく、2044年・近未来の月面という設定。未来世界での心霊体験という実に挑戦的な設定に胸を躍らせながら、「ネビュラ -エコーナイト-」の体験記を書いてみることにした。
■ 悪霊から逃げ回りつつ、立ち込める霧を除去
歩行や×ボタンを併用したダッシュは、キャラクタの歩幅に合わせて画面が上下に揺れる。FPSなどに見られる“3D酔い”しやすいプレーヤーは、オプションで歩行時の画面の揺れを無しにしておくといい。
プレーヤーキャラクタには“心拍数”というパラメーターがあり、平常時は80ぐらいに保たれている。だが、悪霊の接近などを許し恐怖を感じると心拍数は上昇。心拍数が300を超えると、ゲームオーバーとなってしまう。悪霊に接近されると心拍数は一気に上昇。悪霊を振り切らないと10秒たらずで300に達してしまうというシビアさだ。それだけに悪霊と対峙した時のプレッシャーは強烈。異常な緊張感からか、逃げ切れた時の安堵感もそのぶん非常に大きいものになっている。
プレーヤーが艦内を移動していくと、突如として霊が姿を現す。霊は灰色の肌と黒いアウトラインで描写される。鏡に映りこんだ霊や、背中におぶさってくる霊など、ショッキングな演出が満載。夜中にひとりで遊んでいると、背筋にゾクゾクとした悪寒をおぼえてしまうほどだ。
正気に戻った霊に話し掛けると、その霊が欲しているものを知ることができる。ただし、霊の話はあくまでヒントに過ぎないので、対象のアイテムを探し出すには根気を要する。霊との関連アイテムを探し出して霊に渡すことで霊は昇天し、そこからストーリーが進行するという仕組みだ。
■ 監視モニターを操作して、悪霊の動きをモニタリング 施設内には監視モニタールームがあり、モニターデッキの前でボタンを押すと監視モニターメニューに切り替わる。モニタールームはエリアごとに存在し、同一エリア内のみモニタリングすることが可能。カメラの稼動範囲は広く、かなり自由に動かせる。このカメラで霊の移動ルートをチェックしたり、謎解きのヒントを得ることができる。
モニターのマップ画面には、部屋の名前や立体マップが表示され、部屋名を指定することでモニターメイン操作画面へと移行する。モニターカメラは、方向キーでカメラ向きを調節し、ズームイン・アウトが行なえる。オブジェクトにピントを合わせれば、そのオブジェクトの情報も表示される。
なお、モニターカメラを操作している最中に「過去映像」と呼ばれるムービーが挿入されることがある。これは、過去にそこで起こった事柄の映像が見られるというもので、ゲームを攻略するうえで大きなヒントになる。画面にノイズが走った時は、過去映像が映し出される前兆。絶対に見逃さないよう注意しておきたい。
モニタリング作業には、正直かなりの根気がいる。人によっては面倒に感じてしまうかもしれないが、それでもカメラで室内を隅々まで調査していくうち、その過程で“月面施設のイメージ”がプレーヤーの脳内に少しずつ形作られていくことに気付くはずだ。モニタリングは地味な作業ではあるが、ゲームの臨場感を盛り上げるためのスパイスになっていることは間違いないといえよう。
■ 物悲しさが伝わるストーリーと、孤独を強調する世界観
本作には、既存のシリーズ作品と同様に、霊の悩みを聞きだしアイテムを渡すことで昇天させるという一連の流れが存在する。志半ばで霊となった者たちのドラマは切なく、グッと来るものがある。シナリオの美しさからか「すべての霊を成仏させてやろう」というモチベーションがわき上がってくるから不思議だ。
本作の難易度は、かなり高い部類に入る。だが、「どこまでプレーヤーにヒントを提示するか?」といったさじ加減は、適度なものに感じられる。助け舟を出されすぎると、それは単なる指示に従うだけのお使いに過ぎない。その点で「ネビュラ -エコーナイト-」は、自然な形でプレーヤーに謎解きのキッカケを与え、しっかりと頭を使わせてくれるアドベンチャーだと筆者は考える。 ただ、せっかく主観視点の3Dダンジョン風に作ってあるのだから、どうせならアクション性がもう少し欲しかった気がする。悪霊の数が少ないため、チェイスアクションのメリハリに関してはいま一歩。良い方向に解釈すれば、初心者でも簡単に遊べるということなのだが……。
結末はマルチエンディング形式。ラストには「あ、なるほど。それで未来世界なのか!」というどんでん返しが待っているので、ADV愛好者には、ぜひともプレイしていただきたい作品だ。
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□フロム・ソフトウェアのホームページ (2004年1月29日) [Reported by 福田柵太郎]
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