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★PS2ゲームレビュー★
昨年12月に発売され、アクションゲームファンの評価が高かった「Shinobi」。その基本システムをパワーアップし、より高度なアクションゲームを目指して開発された「Kunoichi -忍-(以下Kunoichi)」。基本的に前作のパワーアップ版といっていい内容になっているので、前作を知らない人は過去記事を参照していただくか、公式ページで確認してもらいたい。
■ 蹴りが大幅にパワーアップ! 「蹴り」と「分身攻撃」が攻略のキモ
今回の主人公“緋花(ひばな)”は、さらに蹴りが「蹴り崩し」となり、1ボタンで敵のガードを突破することができるようになったほか、最大3発まで繰り出せるようになり、新アクションとして「蹴り上げ/蹴り落とし」を追加。さらに空中でも蹴りを放つことができる(最大3発)。蹴りの効果には、ミサイルなどに反撃ができる「蹴り返し」、特殊な装甲を持つ敵に攻撃を可能とする「装甲破壊」といった役割もある。 まず、このゲームを攻略するにあたって非常に重要なのはこの蹴り、そして「手裏剣」であろう。今作の敵は、こちらがロックオンし、一定距離内に近づいた場合、かなりの確率で攻撃をガードしてくる。ましてや、空中に位置する敵でさえ、今回はこちらの攻撃をガードしてくる。前作ではガードを解く方法として、この蹴りと、ステルスダッシュで背後へ移動、そこから攻撃することと、手裏剣の使用が推奨されていたが、今作では攻撃をガードする敵が複数同時に出現することが多く、いちいち背後に回っていては時間のムダになってしまう。
そこで蹴りを使うことになるのだが、主軸となるのはジャンプからの「空中蹴り」だろう。「空中蹴り」は、ロックオン対象に向けて追尾する性能があり、例え高低差が生じていても、この蹴りならば到達は容易になっている。ジャンプ>「空中蹴り」>「空中斬り」という流れをまずは体に覚えこませること、これがこのゲームの最も基本的な行動パターンといえるだろう。さらに距離が足りなければそこにステルスダッシュを加え、タイミングを取るためや高低差の補正のためにはジャンプを利用することになる。 緋花の場合、空中での斬り、蹴り、ダッシュ、ジャンプは、各1回が可能となっている。空中で斬りや蹴りを出した場合、それが相手にヒットした場合、さらに斬り、蹴り、ダッシュ、ジャンプが可能となる。このことを覚えておくようにしよう。
「手裏剣」は前作同様に遠距離の敵が攻撃できるうえ、ヒットすれば一定時間相手をしびれさせる(空中の敵をダウンさせることも可能)効果があり、使える。2段ジャンプ(八双飛び)からの「八双手裏剣」も同様に周囲の敵を一斉にしびれさせることができるので効果が高い。
また、「蹴り上げ/蹴り落とし」は、蹴り落とした敵の周囲に衝撃波が発生、まとめて敵をダウンさせることができるのが大きな魅力。複数の敵に囲まれそうになったとき、これで敵をダウンさせ、起き上がりを攻めていく(起き上がる途中の敵も攻撃可能)ことが重要だ。
蹴りにももちろん弱点がある。地上での蹴り崩しはリーチに乏しく、また斬りと異なり攻撃を放つ際にほとんど踏み込まない。さらに敵の体制を崩すだけで、ダメージを与えることができない。このことを踏まえての使用がもちろん大切ではあるが、この蹴りなしでは今作初心者はまず、クリアは無理といってもいいほどの能力を持っている。 反面、大幅にパワーアップした蹴りに対し、斬撃の1発の攻撃力は大幅にダウンしている。秀真なら4~5匹の敵を切り刻めば、そのままボスを殺陣でしとめる(一定時間内に連続して敵を斬り倒す)ことが可能だったが、緋花ではそうはいかない。「殺陣」可能な時間は敵を倒せば増えていく(右のゲージに注目しよう)が、体力の高い敵を途中で倒すことになると切れてしまいがち。倒す順番を見極めつつ、適切に斬っていく計画性が必要だ。
双翅による攻撃はヒット数が多く、敵を連続で斬る=連撃数を稼ぐことで「チャクラゲージ」の蓄積に便利。連撃数が多ければ多いほどゲージの蓄積量も増えていくので、ところどころで連撃数を稼ぎ、ボスキャラ戦の前にはチャクラゲージをフルに溜め込んでおくべきだろう。 ポイントは、「殺陣」と「連撃」をごちゃ混ぜにしないこと。両者は「一定時間内に敵を連続で攻撃すること」こそ共通しているのだが、「連撃」は敵に攻撃をヒットさせれば持続するが、「殺陣」はそうではない。一定時間内に敵を倒さねば続かないのだ。
以上の点から、ただ斬るだけの力技でプレイするとすぐに先に進めず詰まってしまうことがお解りいただけるだろうか? 単発の斬りに関しては、ジャンプ斬りが一番攻撃力があるため、敵の位置を問わず、前述の「ジャンプ>蹴り>斬り」という流れが最も効果が高い。
斬り攻撃の弱点についても少々触れておこう。ガードしている敵に切りかかると、「ガインッ」といった効果音とともに、一瞬緋花が操作不能に陥る。この状態は感触もよくないばかりか攻撃を一方的に食らってしまう(もともと緋花はガードできないが)隙を生むことになる。被弾率はステージクリア後のランクに大きく影響するので、なるべく動けない時間は作りたくない。結局、蹴りでガードを崩し、攻撃するというステップ、つまりは「Shinobi」に加えて1アクションが追加される、というのが基本行動になるわけだ。 もうひとつ、「忍術」に関しても触れておこう。L2ボタンを押すことで発動する「忍術」だが、火、雷、風の3つの効果(あらかじめセレクト可能)で一気に敵を殲滅できる。ただし、使用には巻物を取る(3つのストックが可能)必要があることと、使うことで評価が一気に下がってしまうので、ステージクリアの高ランクを狙うなら使う必要はあまりない。あくまで緊急用、シューティングゲームのボムと割り切ったほうがいい。 ■ グラフィックとサウンドは続編ならではの出来栄え プリレンダとリアルタイムを絶妙に組み合わせたムービーシーン、そして「和」を意識しながらも独特のゲームミュージックを作り上げているサウンドは前作と方向性はほぼ同じ。前作で培った土台をうまく使い、さらに安心感を与える出来栄えになっている。 B2ステルスの上で始まるステージ1は、高速のカメラアングル、そしてダイナミックな動きのムービーからスタートする。高低差を意識させる足元から地上をにらむカメラや、緊張感のあるBGMは思わずプレーヤーをグッとゲームの世界へとひきずりこんでくれるだろう。各ステージのスタートにはムービーが挿入され、その世界観を伝えるとともに、キャラクタの魅力を掘り起こしながらストーリーを展開させていく。
■ 爽快感はそのままだが操作が煩雑になった分難易度は高い
前作から継承した3Dフィールドを疾風のごとく移動、次々と敵を倒すアクションは前作ゆずりの「Kunoichi」の魅力。蹴りを主体にアクションも増え、ダッシュ斬りだけではない空中での複数の敵を渡り歩いて斬ることができたときの感激もひとしおだ。ジャンプからの蹴り、そしてミサイルを蹴り返すことができるようになっているなど、細かな変更が爽快感をさらに増していることは間違いない。 だが、斬りをガードされたときのよろけ時間が長いことと、複数の敵を相手にした際、ロックオンした敵以外に攻撃判定が重なると、腕に当たってガードされたことになってしまうことがあるのは非常に爽快感を削いでしまい、残念といわざるをえない。また、連続斬りが途中で連続にならず、相手の反撃を食らうことが多いことも残念。ボスキャラの場合、やられのリアクションがあまりなく、その傾向が顕著なので、ランダム要素の強い敵キャラアクションとあいまって、非常に厳しい戦いを強いられたのは事実だ。ガードしていない敵を蹴った場合も、やられが異なるためにすぐに相手が攻撃してくる。 連続斬りに反撃される理由としては、斬り攻撃が真の意味で連続ヒット扱いにはなっておらず、たとえ攻撃がヒットしても敵は通常状態に回復してしまうことや、斬りと蹴りのリーチのなさ、被ヒット判定と見た目の違い、ヒットバックの調整などからくる微妙なズレが原因だと思われる。連続斬りのモーションを見てもらえればわかるが、その攻撃判定の範囲や硬直時間は各振りごとにかなり異なるし、やられる敵の動作も硬直を含めてそれぞれ異なる。連続斬りの途中から別の敵にヒットすることも多いこのゲームにおいては、状況を確認しながらプレイすることが必要になる。 こういった点は前作からあまり改善が見られていない。ハードでストイックだから……といえばそれまでなのだが、爽快感と同時に納得感も向上させてほしかった。ほかにも、前作でもあった「溶岩の池に落ちるとダメージを食らうだけなのに、なぜ水に落ちると1ミスになってしまうのか」といった「シチュエーションに関する疑問点」は今回も解消されていない。
それから、ステージ6以降、難易度「NORMAL」でプレイすると、とたんに難しくなるという難易度調整もちょっと気になるところである。筆者の場合、ステージ4までは数時間(リトライもほとんどなかった)ところから、ステージ5で複数回、ステージ6にいたっては50回コンティニューしてやっと先が見えた、といった具合である。通常であれば、「BIGINNER」なら力技でなんとかクリアできるレベル、「NORMAL」はちょっと考えればクリアできるレベル、「HARD」はとにかく難しい、といった按配だと思うのだが、このゲームのボスは、基本的に雑魚キャラを切り刻んで攻撃力を上げ、「殺陣」でもってボスを斬る(もしくは『分身攻撃』を使用)することで初めてダメージらしいダメージを与えることができるうえ、耐久力が高いため、チャクラゲージフルでの「分身攻撃」が使えないと攻略は非常に厳しいものになっている。また、ボスが高速に移動することでそのチャンスはかなり限られている。 あくまで「NORMAL」を対象とした話だが、我慢を続けて雑魚キャラの出現を待ち、「殺陣」狙いで敵を攻撃、見失ったらやり直しという繰り返しの間に、敵のパターンを見抜けないとほとんどといっていいほど先に進めないのは、ちょいと突き放しすぎではなかろうか? という気がする。「蹴り崩し」や「装甲破壊」の必要性が出てきたため、操作が煩雑になってしまったこともこの感触の一因なのだが……。まあ、筆者のような、つい余計なダッシュをしてしまったり、狙いすぎて蹴りが届かなくて落下したりといった「おっちょこちょい」には不向きなゲームなのかもしれない(一撃落下死がこのゲームの常識だし)のだが。こういった抑圧と、「殺陣」の成功時の報酬=ボスキャラの一撃死というリターンを「当然」と捉えるか、「厳しい」と捉えるか、その境界線は人それぞれだと思うが、もう少し調節してほしいというのは欲張りな要求なのだろうか? その答えは、プレイした人にぜひ問うてみたいものだ。結局は「BEGINNER」をプレイしてコツをつかんでから「NORMAL」を遊んで欲しいということなのだろうが……。 反面、難易度が高い分、「正確なパターン作り」が「美しいプレイ」を生むことになるわけで、その実現による高揚感ははかりしれない。「EXTRA」での追加ミッションなど、長く遊べそうな作品である。
■ プロモーションムービーを公開! 公式ホームページでも公開されている「Kunoichi -忍-」のプロモーションムービーを2タイプ公開する。1つ目はプリレンダムービーを中心とした美麗なビジュアルが満載のもの。もうひとつは、ゲームプレイを中心としたデモムービーとなっている。プレイの参考になるのでぜひご覧いただきたい。
■ 体験版、手裏剣コースターをプレゼント
体験版のみを5名様、手裏剣コースターと体験版のセットを5名様にプレゼントします。どちらか当たるかは到着してのお楽しみ。
応募締切 :12月12日 12:00(正午)まで
※ 応募フォームの送信はSSL対応ブラウザをご利用ください。SSL非対応のブラウザではご応募できません。
(C) SEGA WOW / SEGA,2003
□セガのホームページ (2003年12月5日) [Reported by 佐伯憲司] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
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