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スクウェア・エニックス「FF新作制作発表会」を開催 |
「ファイナルファンタジーXI」
2004年 夏 発売予定
価格:未定
会場には、株式会社スクウェア代表取締役社長である和田洋一氏、副社長の本多氏をはじめ、橋本氏ら首脳陣が集結。そして、「ファイナルファンタジー」シリーズの生みの親である坂口博信氏も来場。
「FF XII」のロゴ |
まず、和田社長のあいさつから発表会はスタート。「『FF』は、常に“チャレンジ”。そのときの最高のテクノロジをもって、常にスクラッチから作られている。今回も松野(氏)をトップに最高のメンバーが制作している」と、社長自らファンだという「FF」シリーズの経営者としての定義を語った。
続いて、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの社長兼CEOである久夛良木 健氏がビデオレターで登場。「『FF』シリーズの歴史は、プレイステーションの革新の歴史でもある。最新作がどんな作品になるのか予想もつかない。スタッフの皆さんがんばってください」と期待のほどを語っていた。
さらに、ビデオコメントとしてスクウェア・エニックス第1開発部部長であり、「FF X」、「FF X-2」でプロデューサーを務めた北瀬佳範氏が登場。「『FF X』では、圧倒的パワーをぎゅっと凝縮する作り方を採った。私から見る第4開発部は、想像を絶するこだわりを持った作品作りをする。今回、松野氏をはじめとした作りこみの力に『FF』シリーズの壮大な世界が加わることで、矛盾した2つの力が高いレベルで融合するのではないか」とし、「開発部はお互いにライバル意識を持ってい」ながらも、自らが手がけた「FF」とは違った新しい「FF」への期待を言葉にこめていた。
さらに、同シリーズ制作総指揮を務める坂口博信氏が登壇。マスコミの前に2年ぶり(本人談)に姿を見せた。坂口氏は松野氏の「『伝説のオウガバトル』(クエスト)を初めて見、衝撃を受けて」以来の松野ファンという。松野氏、そして「FF」という、坂口氏が愛してやまないものが融合することで「本当にすばらしい作品を生み出すことと思います」と締めくくった。
■ イヴァリースで「FFTA」ともつながる「FF XII」の世界
その後、「FF XII」の最新映像を上映。その世界観、主人公「ヴァン」とヒロイン「アーシェ」をはじめ、戦闘シーンなど、ゲームの概略を松野氏、そして第4開発部の主要メンバーが実際に語った。登場したのは、同社アートディレクター・皆葉英夫氏、背景アートを担当した上国料勇氏、グラフィックキャラクタモデルの統括を手がけた皆川裕史氏。キャラクタデザインと3Dマップのディレクションを担当した吉田明彦氏。
「トルコまでロケハンに行った(上国料氏)」というその独特の舞台は、「中世の建築様式で高層ビルを建てたらどうなるか」といったユニークな発想で描かれている(イメージイラスト参照)。そこには、さまざまな人種が生活している混沌とした世界。主人公であるヴァンは、帝国の支配下におかれた旧ダルマスカ王国で暮らす明るく前向きな少年で、「空賊」にあこがれる冒険者。ヒロイン「アーシェ」はラルマスカ王国の王の一人娘にして王位継承者だったが、帝国に国を占領された後、レジスタンスのリーダーとして立ち上がる。松野氏が「ファイナルファンタジータクティクスアドバンス(FFTA)」でやり残したという「種族の階級」といったものも取り入れられているという。
今回、キャラクタモデルはリアルタイムムービーを意識して制作されているという。また、「“ある戦闘システム”を組み込む(どうやらこれが「FF XII」の重要なポイントになりそうだ)ために、メモリを節約する必要がある」ことから、「『FF X』シリーズと比較してモデルのポリゴン使用量は約1/2になっている(吉田氏)」という。しかし、「ポリゴンの量は減らしても、クオリティは落とさないようにいろいろ工夫している最中(吉田氏)」ということで、これからの作りこみに期待がかかる。スカートなどのセカンダリモーションを必要としたいわゆる「揺れモノ」は苦手なため極力小型化するなど、いろいろな工夫がすでに行なわれているようだが、アーシェのスカートの短さは「吉田氏の趣味?(笑)」という楽しいエピソードもあるようだ。
また、イメージイラストにあった巨大な飛空艇だが、「これは300mクラス。これより更に大きいものも登場します(上国料氏)」というネタが公開されると「俺聞いてないよ」と松野氏が意外な反応を。「あとで会議しましょう(上国料氏)」とフォローが入ったものの、それぞれのパートでの作りこみは真っ最中であることを感じさせてくれる。
また、ロゴに登場する騎士は「FFTA」に登場したジャッジ。警察を裁判官の権力を併せ持ったような位置づけで、「FFTA」では正義の存在だったが、「FF XI」においては恐怖の騎士団になっているという。「FFTA」と「FF XII」の関係だが、「FFTA」で主人公達がゲームの中に迷い込んだ世界と同じイヴァリースを舞台としている。「FFTA」でジャッジたちがプレイしていたゲームが「FF XII」という設定だという。ロゴをデザインしたのは、「FF」シリーズを初代から手がける天野喜孝氏が担当。ビデオコメントで登場した天野氏は、「最初にカチッとしたロゴを作ったが、そのロゴの納品待ちの間に作った、筆でさらっと書いた」ロゴが採用されたという。
「FF XII」と「FFTA」のつながりに関しては、詳細こそ明らかにはされなかったが、ほかにもあるようだ。ただ、「『XII』も、『FFTA』もどちらもプレイしないといけないということではない。「FFTA」をプレイしていれば、“おっ?”と思っていただけるような仕掛けを用意する(松野氏)」ということらしい。また、「FF」シリーズでおなじみの「チョコボ」や「シド」、「モーグリ」は登場するという。「モーグリはいくつかのバリエーションが登場する(松野氏)」とか。
また、戦闘に関してはあまり言及されなかったが、「背景まですべて3Dポリゴンで処理しているので、プレーヤーが自由に視点を選ぶことができる(松野氏)」ということで、初のフル3D化といえるだろう。
イメージイラスト(ダルマスカ王国?) | イメージイラストその2。飛空艇が多数飛んでいる | ヒロインであるアーシェ(左)と主人公・ヴァン(右) |
■ 「歌」で新たな仕掛けが?
都合によりビデオで登場となった「FF」のサウンドの生みの親である植松伸夫氏は、「どこかはいえないが、歌を中心にして曲を作っている」と現況を報告。この「歌」に関しては、松野氏が「“エンドテロップで流れるだけ”といった使い方はしない」と「歌」の効果と、その役割の重要さに関してのこだわりを見せた点からも、「FF X」以上の「何か」を期待したいところだ。
また、「今回は才能のある崎元仁氏と一緒にやっているので、期待してほしい」と崎元氏を紹介した。崎元氏は植松氏のコメントに「さらに緊張してきた(笑)」としながらも、「自分がプレイしていたゲームの音楽を担当するのは不思議」と、「FF」シリーズに対する感想を述べた。
スペシャルゲストとして、ヴァンのモーションアクターと、キャラクタボイスを務める武田航平氏が登場。「モーションキャプチャのマーカーをつけての演技は難しい。画面を見るともう1人の自分がいるようだ」と感慨深げに感想を語っていた。
メインスタッフによるトーク。みなさんなかなか話し慣れていて話題も豊富 | 天野氏はビデオで登場。「XII」のロゴについて語った | 植松氏は歌をメインに手がけているという。崎元氏を絶賛 |
崎元氏は植松氏のコメントに「プレッシャー」といいながらも笑顔だった | ヴァンのモーションアクターとCVを務める武田航平氏 |
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□製品情報
http://www.ff12.com/
□関連情報
【7月30日】PlayStation Meeting 2003詳報
タイトル収穫期に入り出荷本数の好調な伸びの反面に課題も
期待の新作を5本紹介。「戦国無双」と「FF XII」はタイトルのみ公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030730/psm.htm
(2003年11月19日)
[Reported by 佐伯憲司]
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