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★PS2ゲームレビュー★
時代劇において、悪徳商人たちと結託して私腹を肥やす悪代官。そんな悪代官をフィーチャーした独特の世界観を持つゲームが、この「悪代官2~妄想伝~」だ。プレーヤーは悪代官「羽流内匠頭助平(わるだくみのかみ・すけべえ)」となり、屋敷内に罠を設置し、侵入者を撃退することがゲームの目的だ。
ゲーム内容に触れる前に、筆者が思わず絶句したオープニングムービーを紹介したい。実写の脂ぎったオヤジたちが夢芝居を繰り広げるビジュアルは問答無用の疾走感に溢れ、後にも先にも「悪代官2~妄想伝~」でしか拝むことはできないだろう。誉め言葉なのだが、類稀なるオバカムービーとして最高クラスの出来といえる。
■ 屋敷内の隅まで罠を配置せよ! ~準備編
準備編の前には、雰囲気を盛り上げるための悪巧みイベントムービーが入る。いわゆる「そちも悪よのう」的なお約束ムービーで、悪代官の名に恥じない完成度だ。本作品の醍醐味といえるパートなので、極力スキップは控えたい。ムービー終了後はメニュー画面となり、ここでプレーヤーが操作する悪代官に作用するアイテムを購入し、装備させることができる。
準備編は、制限時間内に屋敷内マップに罠を配置することが目的。マップはマスで構成されていて、マスごとに罠を設置していく。罠の中には起動スイッチが必要な物や、方向を指定する物があるので、適当に配置していたのでは有効に作動しないこともままある。返り討ち編で登場する正義の味方の特徴やアルゴリズムを把握し、それに応じた罠を仕掛けなければステージのクリアは難しいだろう。そのために、一度準備編をスキップし、返り討ち編をプレイして探りを入れるという作戦が有効だ。
■ 正義の味方を撃退すべし~返り討ち編 準備編が終了すると、正義の味方が登場する返り討ち編に移行する。プレーヤーが操る悪代官でも正義の味方に攻撃は可能(なぜかライトセイバー……)なのだが、基本的に非力でぜい弱なので計画も無しに近づくのは危険。家臣や用心棒を「斬れ、斬り捨てい!」とけしかけながら、正義の味方を罠に誘導するのがメインスタイルになる。 システム上仕方のないことなのだが、デフォルトで家臣が複数人配置されているせいで、画面内は非常に雑然としている。そのため、落ち着いて正義の味方を罠へ誘導できないのはマイナスに感じた。
家臣を使い捨ての材料としてけしかける非道さ、正義の味方を上手く罠にはめた時の爽快感は、まさしく“悪”の感情そのもの。トラップアクションというシステムにマッチした悪の世界を骨の髄まで楽しむことができる。なお、ステージ紹介や罠の解説のテキストには細かい笑いが散りばめられており、“悪”以外の部分にもプレイの楽しみが見出せる。
■ 男のロマンを反映したミニゲームの数々
帯回しの他にも、日本史や時代劇に関するクイズのミニゲームや、一揆鎮圧シューティングゲームなど、ギャグ満載のミニゲームが、本作品には多数用意されている。なかには、ゲーム本編よりも熱中できてしまうのでは? と思うゲームもあり、ただがミニゲームといえど侮ることはできない。
■ ゲームパート以外の部分のこだわりに注目 トラップアクション・シミュレーションゲームとしては、実に無難な完成度で、難易度も中程度。最初は罠の仕掛け方や、手下の使い方に戸惑うかもしれないが、繰り返し“返り討ち編”をプレイし、敵のアルゴリズムを読み解いていくことで、必ず解決の糸口が見えてくる調整がなされている。また、ステージごとに「易しい」、「普通」、「難しい」のランクが用意されており、そのやり応えは充分と言えるだろう。
もちろん、シミュレーションパートも楽しいのだが、筆者はやはり「悪代官2~妄想伝~」のデモやゲームオーバー画面のような、遊び心の演出に注目したい。本筋のゲームには確かに関係ないが、役者たちの迷演技、そしてナンセンスなジョークについ口元が緩んでしまうのだ。悪代官と聞くと残酷なイメージが付きまとうが、このゲームに登場するお間抜けで少し可愛げのある悪人たちは、そんなブラックなイメージが微塵もないのが救い。もちろん、本人たちは一生懸命悪事を働いているつもりなのだが……。
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□グローバル・A・エンタテインメントのホームページ (2003年9月5日) [Reported by 福田柵太郎]
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