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★GCゲームレビュー★
独自の攻撃システム「VFXパワー」により、プレーヤーに強大な優位性を与えた横スクロールジャンプアクションゲーム、それが「ビューティフル ジョー」である。アイテムを揃え、「スロー」、「マックスピード」、「ズーム」といったVFXシステムを理解すれば、近年まれに見る爽快感が体験できる。 知らなければ回避が困難な敵の攻撃や、ステージの仕掛けも多いが、ヒーローとは苦難にめげず何度も立ち上がるもの。セーブした地点からだが、何度でもチャレンジして、最後には勝利する。「ビューティフル ジョー」は、純正ヒーローストーリーを能動的に紡ぎ出していくゲーム。映画や小説ではなかなか体感できない“作品との一体感”が味わえるのだ。 恋人のシルヴィアと映画館にデートに来ていた青年ジョー。だが突然、シルヴィアが映画の中の悪者にさらわれてしまった! ジョーはすぐに彼女を追いかけ、自分も映画の中に飛び込んでいく。そこで彼は、美しきヒーロー「ビューティフル ジョー」に変身し、驚異のパワーを手に入れるのだった!
通常のバトルはもちろん、ステージの幕間や、ボス戦におけるジョーの口上シーンなど、随所に「美しさ」が散りばめられた演出が「ビューティフル ジョー」の特徴。アクションのテンポを損なうことなく、ビジュアルやサウンドの演出が濃厚にゲームに絡む。VFXパワーを強制的に使わされるシーンが多いので、否でも応でもヒロイズムの持つ美学を堪能できる仕様になっている。
キーレスポンスは良好で、違和感なく自在にジョーを操作することができる。使用するボタンの組み合わせは多いが、敵の出現数が少ないので冷静に対処すれば問題はない。なお、スタート時に難易度が選択可能。「ADULTS(通常モード)」にもチュートリアルはあるが、独自の秀麗な操作方法を理解するためにも、最初は「KIDS」を選択したほうがいい。
■ “マックスピード”の疾走感! VFXアクションについてこれるか!? 単に敵を排除するためではなく、魅せることを重視した超優位性特殊攻撃、それがVFXアクションだ。以下に説明する3種のVFXパワーは、VFXゲージを消費して使用する。消費したVFXゲージの自動回復スピードは意外と早く、VFXパワーは回数制限をそれほど気にかけず乱発が可能。美技を尽くして敵を倒す。例えるなら、仮面ライダーが雑魚の戦闘員すべてに必殺技のライダーキックをかますかのようだ。
【スロー】
Lボタンを押し続けている間、画面全体の動きをすべてスローにすることができる。所見では、映画「マトリックス」で話題となった「バレットタイム(人物や物体の動きが超スローモーションになる)」エフェクトにオマージュを捧げたテクニック、という印象だったが、単に似たシステムではなく、ゲームとして機能するよう昇華されている。X-ボーナスを繋げる基本テクニックであり、パズルを解くためのヒントにも応用できる。
【マックスピード】 Rボタンを押し続けている間、ジョーのアクションがすべて超高速になる。高速移動として使うほかに、マッハの連打を繰り出して大ダメージが与えられる痛快なパワーだ。このパワーも、スロー同様にパズルを解くきっかけとなる。
【ズーム】 Cスティックを上に入力することでジョーにズームインし、さまざまな特殊攻撃を駆使する。安定感のないゲームキューブコントローラーのCスティックに慣れないと、ここ一番で入力に失敗しがちなのが辛い。
■ ポイントを貯めてアイテムGETS! ジョーの強さは天井知らず このゲームには、残念ながらスコアがない。だが、スコアに代わるシステムとして、V-ポイントと呼ばれる物が存在する。V-ポイントは、コンティニュー時も継続して加算されてしまうので、スコアを競うという楽しみ方はできない。V-ポイントはステージクリア後のパワーアップ画面でアイテム購入に使用する。どうしてもクリアできないステージは、何度もコンティニューしてV-ポイントを貯め、強力なアイテムを入手してから挑戦するといいだろう。
ビューティフルに闘うことがこのゲームの鉄則であるが、時にはアイテム大量消費によるゴリ押しで状況を打開することも考えなければならない。個人的には、ブーメランとスライディングが安くてオススメの技だ。ブーメランは使用回数こそ制限されるものの、自動的に敵を追尾する強力な飛び道具。スライディングは「これぞアクションゲームの醍醐味!」とプレーヤーを唸らせてくれるパワーアップだ。
難易度の高めな本作だが、その半分はパズル要素の謎解きが関係していると思う。オブジェクトからの連想ゲームというか、優れた観察眼で対象のオブジェクトを発見し、VFXパワーを応用できる柔軟な思考がないと、このゲームのクリアは遠い。ジョーの美技のみがクローズアップされがちな本作だが、購入するならパズル要素もふまえて検討したほうがいい。パズルアクションが好きなプレーヤーなら、迷わずプレイすることをオススメする。 やり込み要素は一見希薄なように思えるが、この作品のコンセプトである「美しく闘うこと」を想定してプレイすると、また話は違ってくる。コンボを繋ぎ、ノーダメージでクリアするという目的意識が生まれ、ステージを何度もプレイさせようという気にさせる。そして、思い通りの“美優亭風流プレイ”が出来たとき、脊髄に何ともいえない快感が走るのだ。これで自分のプレイが記録・鑑賞できるリプレイモードがあれば完璧なのだが、そこは望み過ぎと言う物だろうか。
もうひとつだけ贅沢を言わせてもらうなら、人間時とヒーロー時のコントラストをもっと強調してほしかった。例えば「ウルトラマン」であれば、人間時の無力さが番組開始から20分でじっくり描かれているからこそ、ヒーロー「ウルトラマン」時における3分間のバトルが山場となる。だが「ビューティフル ジョー」の場合、ヒーロー時のままのシーンが圧倒的に多く、常時クライマックスともいえるために「ヒーロー物特有のメリハリ」があまり効いていないという印象を受けた。次回作があるならば、筆者としてはそのあたりを是非とも改善していただきたいと思う。
□カプコンのホームページ (2003年7月16日) [Reported by 福田柵太郎]
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