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ハドソン、「天外魔境」復活!
豪華スタッフ、キャストを交えて「天外魔境覚醒祭」を開催

7月7日 発表

 株式会社ハドソンは、「天外魔境」のイベントをお台場の温泉「大江戸温泉物語」にて開催した。すでに6月6日に「天外魔境II MANJIMARU」のプレイステーション 2、ニンテンドーゲームキューブへの移植、「天外魔境III NAMIDA」の制作は発表済みだが、初めてユーザーの前でムービーなどゲームの概要が発表された。

 まず舞台に登場したのは、ハドソンの代表取締役社長を務める工藤 浩氏。工藤氏は「ハドソンはゲーム業界トップだったが、いつの間にか最後になっていた。飛行機の中で考えてみたのだが、ユーザーに『天外魔境III』を発売すると発表しておきながら発売していないからではないか。『買わなきゃハドソン』が『うそつきハドソン』になっていた」と語り「ハドソンも復活してきた。必ず『天外魔境』をユーザーが遊べるソフトに作り上げます。流通の皆様にも必ず儲けていただきます」とユーザーだけでなく流通関係者もいる客席に向かい力強く宣言した。

 ここで、企画・監修を行なっている広井王子氏が登場。いきなり用意された危ない質問……例えば「『天外魔境II』が50万本以上売れたら舞台化する?」といった質問から (ちなみに答えはYES) 、「これまで実現しなかったアイディアがついに実現する?」といったまじめな質問までキビキビと答えていった。ここで言う“これまで実現できなかったアイディア”とは、広井氏が「記念館システム」と呼ぶもので、細かなところまでは明らかにされなかったが、「簡単なようで、内部プログラム的には難しい。『こんな手があったのか』と思うようなシステムで、今回ハドソンは開発の手間暇を惜しまないと言ってくれたので、チャレンジする」とだけコメントした。

まずは挨拶を行なったハドソンの工藤社長。「これまで『天外魔境』を発売してこなかったことにより『買わなきゃハドソン』ではなく『うそつきハドソン』になっていた」とユーザーに謝った 舞台にスポットライトが当たったがそこには広井王子氏の姿はなし。なんと客席から登場。大漁旗をイメージした派手なスーツで、背中には「天外魔境」の文字が いつもの広井節が炸裂。会場を爆笑の渦に巻き込んでいった


 「天外魔境III」の発売日については、「来年発売する?」と問いつめられ、「それは俺の問題じゃない。ハドソンのプログラマの問題だろう」とかわしたが、客席にいた開発陣から力強い「発売できる」という声に押されて「YES」と答えていた。さらに細かく「1年後?」と聞かれると「7月ってこと? それは無理。あと2カ月は欲しい。この2カ月の調整がゲームを面白くする」と答えていた。現在進行状況としては「2/3シナリオが終了していたが、先週すべてひっくり返してしまった」……ということで、順調に開発は遅れ気味といった感じか。

【天外魔境III NAMIDA】
会場で公開された「天外魔境III NAMIDA」の映像。広井氏は「まだまだ」といい、現在執筆中の絵コンテではすでに変更されているところもあると言うが、色々なヒントが読みとれる。くのいちや、半獣人 (もしくは狼のマスクを被っているのか)のキャラクタに育てられたような主人公……などなど日高さんが「シリアスな物語」と言うように、ドラマチックな展開を予感させるスクリーンショットだ


 会場では「天外魔境II MANJIMARU」、「天外魔境III NAMIDA」の最新映像をはじめ、「天外魔境 JIRAIYA」のプロトタイプ映像といったお宝映像も公開。会場は大いに盛り上がった。特に「天外魔境II」の映像には、シーンごとにファンの声援が起こるだけでなく、ため息にも似た「すごーい」といった感嘆の声があがっていた。これに対して広井王子氏は「これでPCエンジンを諦められるでしょ?」とファンに向かって「マシンの買い換え宜しくね」と茶目っ気たっぷりに語りかけていた。

 このあと公開された「天外魔境III NAMIDA」の映像はCGと2Dアニメの合成が行なわれていた。広井氏は「これはまだプロトタイプ。CGとアニメが馴染んでない。だけど、予感のようなものは盛り込めたと思う」とコメント。門の前に捨てられた主人公の子供時代、それを拾い戦いの中で育てる半獣人 (もしくは狼のマスクを被っている)のキャラクタ、赤ん坊の涙が、“涙”の文字に変わる……など怒濤のドラマを感じる映像だった。

 確かに広井氏の言うようにCGが浮いた雰囲気だったが、あくまでも開発職段階における映像なので、広井氏の言う「ブラッシュアップ」に期待したい。

【天外魔境II MANJIMARU】
「天外魔境II MANJIMARU」についてはアニメーション部分はすべて描き下ろし。もちろんフィールドや街中は3Dで描かれており、すべて一新されている。基本的なシステム、ストーリーなどには手が加えられていない。その理由として広井氏は「ストーリーもシステムも完成している」ためだ


 ここで現在決まっているスタッフや出演者の一部を公開。音楽監督はこれまでにも公開されているとおり加藤和彦氏。フルオーケストラで収録される音楽の指揮を担当するのは佐渡裕氏。ヒロインを演じるのは声優の日高のり子さん。このほか主役のNAMIDAを演ずる櫻井孝宏さん、市川春猿さんなどが紹介された。櫻井孝宏はビデオレターで「11年前はプレーヤーだった。それがここで主役を演じることができるなんて嬉しい。すでにエネルギーが体の中に溜まってきている」と熱く語っていた。

 これらのスタッフの中で音楽監督を務める加藤和彦氏が登場。加藤氏は音楽について「主題歌はまだ諸般の事情で発表できないけど、外国の世界的に有名な歌手を起用する。こんな人使っちゃっていいのかと言うぐらいで、日本ゲーム業界にとって快挙となる」と明かした。すでに何度か打ち合わせ済みのようで、加藤氏は広井氏とは意気投合しており、これから作業に入っていくのだという。

 また、ラジオ番組の収録で訪れた「千と千尋の神隠し」で有名な声優の柊瑠美さんはその場で広井氏から声優のオファーを受けてビックリ。広井氏は「ねこの役があるのでお願いね」という問いかけに柊さんは「ハイ!」と元気よく返答。ちなみにこの“ねこ”「かわいくて、プレーヤーが連れて歩くことができる」という。

 このほか、会場に駆けつけたヒロイン演じる日高のり子さんは今回のストーリーを「シリアス」と表現。完成したら「自分でもプレイしたい」という。通常ゲームにおける音声の収録は一人で行なうことが多く、完成しなければどういった出来になっているかアニメよりわかりづらいためである。

 いまだに衰えない「天外魔境」のファンパワーに圧倒された発表会だったが、11年の時を経て、最新の技術で完結編が制作されることは嬉しいことでもある。色々とファンをアッと言わせるシステムも多数搭載されるようなので、“来年”まで楽しみにしたいところだ。

「天外魔境III NAMIDA」の音楽監督を担当する加藤和彦氏。広井王子氏いわく「ザ・フォーク・クルセダーズの頃からのファン。音楽は加藤氏しかいないと思い頼んだ」とか 加藤氏は広井氏について「変な人」とコメント。打ち合わせも8割方は雑談だそうだが、そこから面白いものが生まれてくる ヒロインを演じる日高のり子さん。「今から演じるのをワクワクしているし、ぜひともプレイしたい」とコメント
ラジオの取材で登場した柊瑠美さん。その場で広井氏から「ねこの役をやってね」との出演依頼に「はい」と快諾 最後に応援に駆けつけたタレントの松金洋子さん。今回は天外魔境応援店舗の店舗代表として登場。広井氏のファンで、握手を求めていた 「天外魔境III」の音楽でオーケストラの指揮を担当するのが、世界的にも有名な佐渡裕氏。ビデオメッセージで出演


(C)1992,2003 HUDSON SOFT
(C)1992,2003 RED

□ハドソンのホームページ
http://www.hudson.co.jp/
□「天外魔境」のページ
http://tengai.jp/pc/
□関連情報
【6月6日】ハドソン「天外魔境」プロジェクト正式始動。特設WEBページもオープン
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030606/tengai.htm
【6月17日】RED STORE、GCとPS2「天外魔境II」予約受付を開始。オリジナル特典付き
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030617/red.htm

(2003年7月7日)

[Reported by 船津稔]


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