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★ GCゲームレビュー ★
■ 新規カードが大量に追加されたアクションRPGの続編 カードを使用するアクションRPGとして注目を集めた「RUNE」の続編「RUNEII ~コルテンの鍵の秘密~(以下RUNEII)」 が発売された。 本作はアクションRPGと銘打たれているが、どちらかというとアクションゲームをベースに、異なるジャンルの要素をバランスよく配合した作品という印象を受けた。いわば、アクションゲームジャンルのリミックスであり、単なるアクションRPGに終わらない存在価値を生み出すことに成功している。
プレーヤーは前作同様、フィールド移動とカード使用以外の行動は一切できない。このため、戦闘はカードから召喚したクリーチャーが代理で行なう。武器や防具の代用ともいうべきカードは、前作の100枚前後から総数236枚に倍加した。カード追加によって、ゲームの戦略性が大きく増幅したといえる。
カード以外の新要素は、前作では見下ろしタイプだったカメラワークが「RUNEII」ではバックビューに仕様変更された事があげられる。これにより、一般的な3Dアクションゲームのようなスタイルでプレイできるようになった。 GC用コントローラのCスティックには、自由にカメラを回転させたり、特定の敵を視界に捕捉しておくためのロックオン機能が付いている。通常時はバックビューで問題ないが、敵に包囲された時や飛び道具を放つ敵が出現した時は、安全位置を確認するためCスティックで俯瞰からの視点にするといい。
ストーリーは、前作の舞台にもなったアーガイル大陸。アーガイル大陸に伝えられる魔道具<鍵>。その力は、異形の者はおろか神をも操るという。物語の主人公リズは<鍵>を操る異形使いの少女。幼い頃に親から捨てられ、盗賊団に身を置くリズは、いつしか<鍵>を巡る争いに巻き込まれていく。
■ 236種類以上の行動バリエーション -カードを使用したアクションバトル- 前述の通り、プレーヤーキャラはカードの使用とフィールドの移動しかできない。ステージに登場する敵クリーチャーを倒すため、ルーンストーン(ファンタジーRPGで言うところの魔力)を消費し、カードからクリーチャーを召喚する。
デッキ(カード30枚以内で構成された山札)の上から4枚が使用可能な手札で、対応したボタンを押すだけでカードの効果が発動する。カードのタイプは武器型、召喚型など計5種類。ここでは、カードタイプについて説明しよう。
バトルは、武器型クリーチャーカードの攻撃判定を把握したり、自律型クリーチャーを誘導させたりと、実にアクション性が高い。これが実に好印象で、大雑把な言い方になるが、プレーヤーの行動手段は236種類のカードの数だけ選択肢があるということになる。 カードを入れ替えるだけで、手軽に戦術スタイルをカスタマイズ可能だ。カードを使ったバトルに始めは戸惑うかも知れないが、カードの能力を理解すればすぐに慣れるだろう。 これらのカードを活用するテクニックとして、Z-エフェクトとZ-コンボがある。Z-エフェクトは、ルーンストーンの消費量を増すことでカードの効果を高めるテクニック。カードの節約にも繋がるので、攻略上でも必須のテクニックといえる。
Z-コンボは、複数枚のクリーチャーカードを同時に発動し、派手な必殺技を繰り出すテクニック。カード単体で使用するよりも与えるダメージは数段アップする。ただし、カード消費枚数もそのぶん増えるので、デッキのカード残量を考慮する必要がある。
上記のクリーチャータイプと、カード同士の相性を示す「属性」を踏まえつつカードを組み込むことで、デッキを強化していく。一般的なカードゲームでは、このデッキ編集作業が大きな魅力のひとつで、最も時間をかけるパートなのだが、残念ながら筆者は「RUNEII」のデッキ編集に没頭することができなかった。 理由のひとつに、デッキを組む目的に違いがあるためと考える。通常のカードゲームでは、最強のデッキを作り上げるためにカードの相性や枚数バランスを考慮し、何度も調整を繰り返す。 だが「RUNEII」のデッキは、ステージごとに登場する敵クリーチャーの属性に対応した使い切りデッキの作成が目的になっている。そのため、デッキの編集作業が単調になっている感は否めない。もっとも、これが対人戦のVSモードなら、相手のデッキとの駆け引きの要素がプラスされるため、デッキ編集作業にも熱が入る。
だが、デッキに関してはマイナスイメージばかりではない。「RUNEII」のデッキでは、手札に使いたいカードが無い場合は、捨て札にしてカードを引くことができる(捨て札はデッキの一番下に戻る)。目当てのカードを見つけるまで何度でもドロー可能というのは、カードゲームとしては異色のルール。デッキがシャッフルされることでプレイに運が絡むのが通常のカードゲームだが、そのランダム要素を廃した実力で勝負できるのが「RUNEII」のデッキの強みといえる。
■ 終盤まで利用価値の高いクリーチャーカード厳選レビュー 236種類の豊富なカードの中から、デッキの枚数制限30枚に組み込んでおきたい粒選りのカードをピックアップしてみた。なお、以下のクリーチャーはストーリーモードのクリアに役立つクリーチャーであり、VSモードにおける実力は未知数だ。
【エルフ】…… 自律型クリーチャー。敵クリーチャーの周囲を俊敏に走り抜け、弓矢で遠距離攻撃を仕掛ける。複数体召喚し、敵に集中砲火を浴びせるといい。また、クラスチェンジカードにダークエルフ、エルフロードという強力なカードが控えている。使用頻度を上げてクラスチェンジに必要なEXPを稼いでおきたい。 【レラージュ】…… 投石による超遠距離攻撃が可能な自律型クリーチャー。モンスターの攻撃範囲外に配置することで、一方的にダメージを与え続けることが可能。距離さえ取ることができればボスにも有効。攻撃範囲外から無抵抗の敵を倒す戦法は、同社のRPG(「キングスフィールド」など)の伝統ともいうべき常套手段だ。 【ヴァッサー】…… 召喚型クリーチャー。回転する電撃弾を連続で射出する「サイクロイドA」という技は、非常に攻撃力が高い。敵に密着した状態でサイクロイドAをヒットさせれば、ボスクリーチャーでさえ3回以内で倒すことができる。
■ クリアだけならイージー。カードコンプリートはベリーハード 筆者のオールクリアタイムは9時間9分3秒。オールクリアまで20時間以上かかるタイトルがザラのRPGというジャンルで、このクリアタイムには自分自身驚いた。とはいえ、シナリオのボリュームが薄い訳ではない。「RUNEII」の場合は、デッキ構成とアクションの腕前次第でサクサク進めるため、この短時間クリアが実現したのだろう。 一周目の入手カード達成率は、全236種類中109枚。カードコンプリートを目指すとなると、豊富に用意されたサブシナリオを踏破しなければならない。多岐にわたるカードの進化バリエーションなども含めると、カードコレクターの欲求を満たすには、通常のRPGあるいはそれ以上の時間を費やすはずだ。 最後に、純粋なアクションゲームとして「RUNEII」を評価してみたい。アクションゲームの良し悪しは、90%はプレーヤーキャラのキー入力のレスポンス、キャラの移動速度といった操作感覚で決まるというのが筆者の持論だ。正直な話、このゲームのプレーヤーキャラの移動速度は、プレイに影響はないものの、若干のストレスを感じる。そのデメリットをフォローする上でカードがあるのはわかるが、やはり直感的なマイナス要素があるのは惜しいと思う。
なお、「RUNEII」公式ページにおいて、「RUNEII」のプロデューサーである谷口氏が「公式大会を開催して欲しいという声が多く集まりましたら『RUNEII』公式対戦大会も企画します」とコメントしている。「RUNEII」の持つ真の奥深さ~デッキ構築やバトルの戦略性~は、対人戦でこそ最大限に引き出され、なおかつユーザーに浸透するかと思われる。ファンのひとりとして、是非とも「RUNEII」公式対戦大会の実現を熱望する次第だ。
□フロム・ソフトウェアのホームページ (2003年6月2日) [Reported by 福田柵太郎]
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