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【E3開幕直前・SCEブリーフィング現地レポート】これは21世紀のウォークマンだ! |
2004年第4四半期 発売予定
それは突然の発表である。この日、全米そして日本をはじめとする世界中からメディアと関係者を集めて行なわれたソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(以下SCEA)のE3 2003に向けたブリーフィングの最終セクションで、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCEI)社長兼CEOの久夛良木健氏がステージに姿をあらわした。
例年、E3直前のこのブリーフィングでは、最前列の関係者席にこそ毎回姿を見せている久夛良木氏だが、たいていは冒頭にSCEA社長のKAZU HIRAI氏の紹介で場内に会釈をする程度で、同氏が直接何かをプレゼンテーションするというケースは、これまでほとんどなかったことである。
“プレイステーションの父”こと、久夛良木健SCEI社長兼CEO。新携帯エンターテインメント・プラットホーム「PSP」を発表 |
プレイステーション、プレイステーション 2と“同じDNAを持つ”と表現され、久夛良木氏みずからが「そう、(PSPは)プレイステーション・ポータブルだ」と言うように、任天堂がゲームボーイアドバンスで事実上独占している携帯ゲーム市場へ参入する戦略的な製品になる。
「ガラス越しに見ていると、とても可愛い」とPSPのプロトタイプを表現した同氏だが、PSPの外観は公開せずキースペックのいくつかを紹介した。メディアは「Universal Media Disk(UMD)」と名付けられた新しい光学式メディア。DVDのちょうど半分の大きさとなる6cmのディスクにCD-ROMの約3倍、1.8GBの容量とセキュア機能を持つ。搭載される4.5インチの液晶パネルは16:9のワイドサイズで、480×272ドットの解像度。
CPUはMIPSベースの32bitで、詳細こそ公開されていないもののオリジナルのプレイステーションと同等以上のスペックを備えると見ていいだろう。これは90nmのプロセスルールで製造されるといい、4月21日にSCEIとソニーが共同で発表したFab(半導体製造工場)の新しいラインで製造されるものと予測される。その発表でのコメントにあった「約一カ月後に具体的な製品が一部話せるかも…」という製品が、このCPUにあたるはずだ。
グラフィックスは3DポリゴンとNURBSの両方に対応。2003年の秋から開発者向けにデベロッピングツールなどが提供されることになるが、基本的にはプレイステーションがベースになるということで、PSP向けのコンテンツクリエイターを新たに養成する必要はなく、容易にコンテンツ(ゲームタイトル)の開発が行なえるという点も強調された。
インターフェースにはUSB2.0を備え、PSP、プレイステーション 2はもちろん、PCや携帯電話への接続も可能としている。また、メモリースティックスロットの搭載はデータの記録だけでなく、PSPを(IEEE802.11a/b/gやBluetoothなどで)ワイヤレス端末化する可能性まで視野に入れているようだ。
久夛良木氏が“携帯ゲーム機”という表現を使わず「新携帯エンターテインメントプラットホーム」と言ったように、公表されているMPEG-4のVideo Codec搭載や、AACやATRACを使ったポータブル音楽プレイヤーとしての利用で、PSPはプレイステーション級のゲームタイトルが動作し、音楽や動画の録再が可能なポータブルデバイスという、まさに“21世紀のウォークマン”を目指したものといえる。
今回の発表と資料ではPSPの価格は公開されていないが、発売予定は2004年の第4四半期と記載されている。ちなみに、プレイステーション10周年にあたる2004年12月3日は、奇しくも金曜日。かなり気の早い予測になるが、伝説の1・2・3が再びやってくる可能性は十分にある。
インターフェースはUSB 2.0とメモリースティック。メモリースティックはゲームデータのセーブばかりでなく、ワイヤレス化やGPSとしての利用も視野に入っている | バッテリの仕様。リチウムイオンのリチャージャブルタイプが内蔵され予測される | PSPは“21世紀のWalkman”になるとして、プレゼンテーションはしめくくられた |
(2003年5月14日)
[Reported by 矢作晃/Photo by 平澤寿康/船津稔]
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