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「みんなのGOLFオンライン」インタビュー
~ 1年以上、楽しく遊んでもらうために ~

6月発売予定

価格:4,800円

 先日、1カ月強に及んだ公開βテストが終了した「みんなのGOLFオンライン」。国民的ゴルフゲームのキャッチフレーズでお馴染みのゲームは、間もなく開始されるPlayStation BB Unitの店頭販売とあわせて、PS2におけるオンラインゲーム戦略のキータイトルのひとつであることは間違いない。βテストを振り返るとともに、製品版の発売に向けた現在の状況を、ソニー・コンピュータエンタテインメントの制作3部、池尻大作プロデューサーにうかがった。

■ 約1万人が参加した1カ月強のβテストを振り返って……

SCEJ制作3部、池尻大作プロデューサー
Q:当初1万人のβテスターを募集されたわけですが、最終的に参加されたテスターの総数はどれくらいになりましたか?

池尻氏:PlayStation BB Unitを販売するプロバイダ経由のものを含めて、13,000枚強のβ版ソフトウェアを配布しました。実際に(“みんGOLオンライン”の)プレーヤーデータ登録数、約1万キャラ程度になっています。

Q:オンラインゲームでは気になる同時接続者数ですが、最大でどのぐらいになりましたか?

池尻氏:最大で約1,000人程度です。βテストはサーバーにかかる負荷の検証も目的でしたので、1サーバーしか稼働させていません。すべてのテスターが同じサーバーでプレイしています。2月4~6日あたりの23時ぐらいがひとつのピークで、このときに約1,000人の同時アクセスが行なわれていました。正直、1,500~2,000人の同時アクセスという状況も見てみたかったという気持ちはあります。

Q:βテスターからの問い合わせなどには、どんなものがありましたか?

池尻氏:インフォメーションセンター宛の問い合わせについては、想定していた件数よりも少なかったです。「BB Navigatorを持っていない」、「接続機器にどんなものが必要か?」というものが比較的多い質問でしたね。今回はPlayStation BB Unitを持っている方という前提でβテスターを募集しましたので、すでに接続については環境が整っているという方がほとんどだったと思います。

Q:βテスト期間の最初に、リアル大会への参加者が100名近くに達すると一斉にリタイアしてしまうというトラブルについてアナウンスがありましたが(※後日、修正された)、他に何か大きなトラブルは発生しなかったのでしょうか?

池尻氏:そのトラブルは、すべてのβテスターに影響を与えたという点からも、もっとも大きなものでした。それ以外では、特定のβテスターの環境で回線切断が頻発するというケースがありました。もちろん問題なくプレイできているテスターの方も多数いらっしゃいますので、機器の問題なのか、あるいは回線品質の問題なのか追えるところまでは追っています。使用されているルーターの機器などを特定したりして、こちら側で改善できる部分は改善中です。

Q:ゲームの内容やインターフェイスについて、βテスターからの要望や意見はどんなものがありましたか?

池尻氏:まず“フリー対戦”では、ラウンドを終えて即時解散してしまうのが寂しいという意見がありました。β期間中はパッチをあてて同じロビーに戻るようにすることで対応していたのですが、製品版では終了後もチャットが続けられるように変更中です。プレイを振り返ったりできるわけですね。僕らは反省部屋と呼んでますけど(笑)、これは正式な名前ではありません。

 あとは、昇段の仕組みについてです。β版ではある程度プレイ回数が増えると自動的に昇段していってしまったわけですが、腕前がついていっていないのに昇段してしまうという意見が多くありました。昇段してしまったおかげで、本来の実力に見合ったリアル大会に参加できなくなったりとか……。昇段のシステムと区分けについては非常に多くの要望というか見直ししてほしいとの声がありました。ですので、製品版ではこの昇段の仕組みをガラッと変えようと思います。

 細かい点ですが『ヤジ』についても修正があります。元々、簡単にヤジが飛ばせるようにボタンひとつで出せるようにしてあります。左側の十字ボタンに「けなし系のヤジ」、右側のボタンには「ほめ系のヤジ」がアサインしてあるのですが、慣れていないとつい触ってしまう。初めての相手とラウンドしているのに、意図せず「早くしろ~」なんてけなし系のヤジなんかを飛ばしてしまうとかなり気まずいと……(笑)。ヤジのオン・オフができないかということで、オプションで対応できるようにしてあります。

 あとは、ロビーキャラでラウンドしたいというのが多くありましたが、これは非常に難しいので今回は見送りました。その代わり、ロビーキャラのパーツを更に増やして、膨大な組み合わせパターンが生まれるようになっています。また、プレイ画面のプレーヤー表示部分が、これまでプレーヤーキャラクタのアイコンだったのを、ロビーキャラが入るようになりました。

Q:わたしが一番プレイしたのはリアル大会だったんですが、なかには70回以上も優勝しているβテスターの方を見かけました。期間中の最高優勝数はどれくらになったのでしょう?

池尻氏:いやー、100回を超えている方がいますよ(笑)

Q:ほかにβテスト期間中のトピックスは何かありますか?

池尻氏:僕は参加できなかったんですが、やはりβテストの最終日は盛り上がっていたそうです。みんながロビーに集まって来て、なにをするわけではないのですが「ありがとー」とか叫んだり、アクションを繰り返したりして(笑)。あとは、僕も相当ラウンドしていました。本名の「イケジリ」で入っているときもあるのですが、匿名で入っているときもあって「どう、面白い?」とか「製品版でたら買う?」とかダイレクトに聞いたりして、地道に草の根営業をしてましたよ(笑)。リアル大会もフリー対戦にも参加していましたが、フリー対戦のほうが多かったですね。あと、弊社の役員とかも参加していたらしいですよ。


■ 月間の利用料金はコイン感覚で支払えるように設定

Q:続いて、製品版についておうかがいします。まず、ユーザーが最も気になる月間の利用料金についてですが……

池尻氏:これは以前から申し上げているように「紙幣ではなく、コインで支払う」というのがコンセプトでした。基本的にはクレジットカードでの支払いになりますが、やはり“みんなの”ゴルフですから、まだクレジットカードを所持できないような年齢の方にも遊んで頂けるような支払い方法(※ウェブマネーのこと)が用意されます。

Q:獲得ユーザー数の目標と、採算ラインについて教えていただけますか?

池尻氏:我々は当初、10万人のユーザーを獲得することが目標とコメントしてきました。実際に採算ラインも、この10万人のユーザーのうち半数以上に継続的にプレイしてもらえるならクリアすることができます。ただ、世界一のオンラインゲームを作る勢いでやってますので(笑)、気持ちとしてはもっともっとユーザーが獲得できるものと思っています。ゲームを継続的にやっている方だけでなく、より幅広いユーザー層にプレイして貰えるのが「みんなのGOLF」ですから。

Q:発売はいつになりますか?

池尻氏:6月です。パッケージの販売価格は4,800円になります。やはりPlayStation BB Unitが必要と言うことで、遊べる人は限られてきます。それらの人だけを相手にビジネスをすればいいのであれば、多少高額でも販売は可能でしょうし、これを機にPlayStation BB Unitを大きく広げていくつもりなら思い切った低価格にするという方法もあったでしょう。でも、やはり「みんなのGOLF」らしい価格というのはあると思いますよ。

Q:確かにそのとおりですね。実際、MMORPGなどではクライアントは無料というケースもありますしが、実際のところ、オンラインゲーム全般として考えたとき、どういった方向性がいいのでしょう?

池尻氏:ソフトが無料というのは、PCゲームでは可能でも、コンシューマではそこまで割り切ることはできないでしょう。やはり現状では製造、流通に関するコストも必要になりますから。ただ、将来ダウンロード販売とかが一般的になるようであれば、ある程度の低価格化は実現できると思います。

Q:間もなく店頭販売が開始される予定のPlayStation BB Unitに、「みんなのGOLFオンライン」をバンドルして販売するようなことはないんでしょうか?

池尻氏:うーん、それはどうでしょうかね。もうそこは僕が裁量する範囲を超えているので会社がどう判断するかということになります。確かにBB Unitの店頭販売開始は、大がかりにプロモーションするタイミングになることは間違いありません。まぁ、最低限BB Unitがお店に並んでいる状況で、横に「みんなのGOLFオンライン」のコーナーがあればいいかな? と思います。特にバンドルという形を考えたり望んだりしているわけではありません。

Q:ソニー・コンピュータエンターテインメントさんとしては、最初に発売されるオンラインゲームになるわけですが、プレッシャーとかはありませんか?

池尻氏:いやもう、それは一年以上前からプレッシャーしかないですよ(笑)。ただ、あまり比較されるタイトルがないのは幸いですよね。例えば、MMORPGって数が多くて、比べられるものがあるじゃないですか。「みんなのGOLFオンライン」は、「○○と違って、これができないのは……」と言われてしまうようなプレッシャーはないですね。できる範囲で面白いことを詰め込んだものを提供しようというスタンスになっています。

 あまり大きくコメントすべき点ではないのかも知れませんが、コンセプトは共存できるオンラインゲームです。たとえばMMORPGなら、何タイトルも並行してプレイしていくのは正直、厳しいですよね。でも「みんなのGOLFオンライン」なら、短時間ずつでもプレイできる。例えばリアル大会への参加なら40分ぐらいで終わりますし、熱心に毎日2~3時間でもいいし、週末だけ1、2時間というプレイスタイルもとれる。だからこそ、あまり遊ぶ時間が取れない場合でも月々の負担に納得がいくような利用料金を設定しているつもりです。

Q:お言葉のとおり、やはりオンラインゲームは共存ということが厳しいジャンルだと思います。その点はどうお考えでしょうか。

池尻氏:でも、それはオンラインゲームだけではなくパッケージでも同じことなんですよ。多くのゲームが出て、そのなかからユーザーの方が選ぶわけですから。だからこそ、2~3年ぐらいはゴルフゲームのなかでは一番面白いと思ってもらえるタイトルを作るというのは、企画の段階からあるわけです。単純に「みんなのGOLF3」をオンラインにしましたというのであれば、フリー対戦だけ制作すればいいんです。でも、それだけだとユーザーの皆さんの想像の範疇ですから、それ以上のものをということで生まれたのがリアル大会ですし、コースも従来のままでも良かったわけですが、新コースを作ったり、あるいはラウンド中にプレーヤーキャラが自由に移動できたりと、技術的にできるものはどんどん入れていこうとしているわけです。


■ 「みんなのGOLF3」から進化した点は?

ベータ版のロビー画面
Q:「みんなのGOLF3」と比べ、ゲームシステム上の変更点とかはあるんでしょうか?

池尻氏:プレイの爽快感という点で、「みんなのGOLF3」のシステムは多くの方に支持されていると考えていますので、おおまかなところは変わっていません。細かいところではパワーバーの部分にグリーン以外でも旗が立つようになったりと、いくつか改良しているところもあります。ビジュアルロビーとかゼロから作っている部分がありますので、今回はそうしたところに力を入れています。

Q:テクスチャーとか環境マッピングの部分などかなり向上した印象もありますが。

池尻氏:それはプログラマが日々研究している成果ですね。わかりやすいのは水面の表現でしょう。「みんなのGOLF3」よりもかなりきれいになっていることがわかると思います。あとは、ギャラリーなどのオブジェクトも、より多く出せるようになりました。

 そして、一番大きいのはプレーヤーキャラクタです。だいたい3,000ポリゴンぐらいで構成されているんですが、「みんなのGOLF3」まではコースをひとつ、プレーヤーキャラクタを1人、そしてキャディを加えて使い切るような設計になっているんですね。ところが今回は、3人のプレーヤーキャラが画面に加わってさらに動くことになるわけです。1年以上前からいろいろと苦労が続いているんですよ(笑)。

Q:「みんなのGOLF3」やβテストでは登場しなかった新コース、新キャラクタは登場するんでしょうか?

池尻氏:キャラクタについては、誰々が出ますとはまだ言っていません。βテストでおわかりのように、まだプレーヤーキャラクタの部分が4スロット空いているわけですから、期待してください。特にこれまでの「みんなのGOLF」シリーズをプレイされてきた方は、いろいろと想像してもらえると楽しいと思います。ある程度想像できる範囲で期待を裏切らないと思いますので。

Q:昇段の仕組み、ギアやボール、アイテムの入手方法などはβ版とどう変わりますか?

池尻氏:β版は、あくまでもβテスト期間中の1カ月強があればギアやアイテムがすべて手にはいるような設定をしているわけです。製品版は1年2年と長く楽しんでもらうことを前提にしているので、1カ月でフルコンプリートされてしまうようではこちらとしては困っちゃいますしね (笑)。手軽に楽しんでもらえるのはもちろんですが、やりこみたい人向けにも、いろいろなハードルを設けているというか。

 昇段もこれはひとつの例ですが、β版のリアル大会ではどんな大会でも、優勝、入賞ポイントが一緒だったわけです。ここにグレード制を導入して、グレードごとに得られるメリットが変わるようになります。β期間中にもさまざまなリアル大会の種類がありましたが、製品版ではさらに増えていきます。

Q:元々「みんなのGOLF」シリーズは、ロングセールスの期待できるタイトルですが、今回もロングセールスになりそうですね。

池尻氏:ロングセールスをしているとは言っても、これまで僕らの仕事としてはタイトルが完成して店頭に並べば、それで終わりだったわけです。でも、今回はパッケージを発売してサービスインしてからも、継続的に遊んでもらうための仕掛けを次々に用意していかなければなりません。制作だけでなく、プロモーションや販売計画なども含めて、1年以上楽しく遊んでもらえるゲームにしていくため、いろいろな計画をしているところです。

 いつ初めても楽しく遊んでもらえて、いったんやめたとしても、またやりたくなったら再開できる、そんなゲームになっています。実はβテスト期間中は、「みんなのGOLF3」の売り上げも少し伸びていました(笑)。是非、「みんなのGOLF3」で練習をして、楽しみに待っていてください。


 インタビュー終了後、βテスト時よりさらに改良が加えられている現在の「みんなのGOLFオンライン」をプレイさせていただいた。短時間ではあったが、インタビューでも紹介されている数々の新しいフィーチャーに加えて、まだ明らかにすることはできない要素も多数加わっているのが見て取れたので、βテスターはもちろん、「みんなのGOLF」ファン、そして未体験のユーザーの期待も裏切らないことと思う。発売とサービスインを楽しみに待とう。

(C)Sony Computer Entertainment Inc., All Rights Reserved.

□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scej.jp/
□「みんなのGOLF」公式サイト
http://www.mingol.net/
□関連情報
【2月28日】PS2ゲームレビュー 「みんなのGOLF オンライン」β版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030228/ming.htm
【4月17日】SCEJ、PS2「みんなのGOLF オンライン」価格と利用料金が決定。6月発売予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030417/golf.htm

(2003年4月25日)

[Reported by 矢作晃]


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