Electronic Entertainment Expo 2002現地レポートXbox初の本格3Dアクションゲーム |
「Blinx The Time Sweeper」は、決められた時間内に画面内の敵を全て倒しゴールに向かうというオーソドックスな3Dアクションゲームだ。見た目やプレイ感は、「クラッシュバンディクー」や「スーパーマリオ」といった王道3Dアクションゲームシリーズのそれに近い。ネコをモチーフとし、「ねずみくす」でおなじみのファーシェーディングが施された主人公のブリンクスは、ややアメリカナイズされているものの、なかなかかわいいと感じられた。敵キャラクタもコミカル動きのカエルのようなものなど、親しみやすくてかわいらしいものが多い。
それもそのはず、このゲームの開発を担当しているのは「アートゥーン」という日本のメーカーなのである。日米同時発売が決定したワールドワイド市場をターゲットとするMicrosoftのファーストパーティタイトル(E3会場のデモ版でも、英語と日本語の表示を選択することが可能となっていた)ではあり、日本人の好みもしっかりと押さえられているわけだ。
ブリンクスの基本アクションは、移動、ジャンプ、背中に背負った掃除機のような武器を使ったアクションのみと、非常にシンプル。移動はアナログスティックで制御し、ボタンはジャンプ用と掃除機用の2個のみ。操作性も3Dアクションゲームのベーシックな部分が踏襲されており、違和感を感じることなくすんなりとプレイできた。
掃除機は、マップ内に落ちているドラム缶、ベンチ、植木鉢といったがらくたを吸い込み、敵に向かって投げつけることで攻撃する。攻撃用のアイテムは、がらくた以外にも時限爆弾などが用意されている。時限爆弾は、がらくた同様にマップ内に落ちているので、掃除機で吸い込み敵に投げつけられる。そして、面内の敵を全て倒して出口に到達すれば面クリアとなる。
背中の掃除機でがらくたを吸い込み、敵にぶつけて攻撃する | 基本操作は、移動、ジャンプ、掃除機のみ。操作性も一般的な3Dアクションとほぼ同じだ | 左上はプレイタイム。各面プレイ時間が決まっており、時間内にマップ内の敵を全て倒し、ゴールにたどり着くとクリア |
■ 時間を操ることで全く新しい攻略性を実現
これだけでは普遍的なアクションゲームと思われて終了となってしまうが、「Blinx The Time Sweeper」は、これまでの3Dアクションゲームになかった新要素を取り入れることで、全く新しい攻略性を実現している。
その新しい要素とは、ゲームのテーマである“時間”という概念をゲームに取り入れ、ゲーム中の時間の流れをコントロールできるというものだ。そのため会場では「Blinx The Time Sweeper」のことを「4Dアクションゲーム」と呼んでいた。
時間の流れをコントロールするシステムは「リアルタイム時間操作(タイムコントロール)」と呼ばれており、ビデオデッキのようにゲーム中で「録画再生」、「一時停止」、「巻き戻し」などの操作が行なえる。これだけを聞くと、多くのゲームに搭載されているセーブ機能のように、ゲーム後にプレイ内容を再生するだけのように思われるかもしれないが、そういったものとは全く異なる。この場合は、プレイ中に時間をさかのぼったり、時間の流れを止めるといったことを実現する機能なのだ。
例えば、坂道の上から樽が次々に転がってくるため、坂を上れないといった場合には、タイムコントロールを使ってゲーム中の時間を「一時停止」すればいい。すると、ブリンクス以外の“時間の流れ”が全て停止する。その間ならば樽も静止しているため邪魔されずに坂を上れるようになる。
また、橋が崩れてブリンクスが下に落ちてしまった場合でも、「巻き戻し」によって橋が崩れる前の状況まで戻ることができる。このときに重要なのは“プレーヤーが操作するブリンクス自身の時間はさかのぼれない”という点。単にビデオのように巻き戻しただけでは、その後ゲームを再開したとしても、また崩れる橋に巻き込まれて落ちてしまう。
しかし「Blinx The Time Sweeper」では、時間を巻き戻している間もブリンクスは自由に動ける。つまり、時間を巻き戻すことにより、崩れた橋が元に戻っている間にその橋を渡ることができるのだ。
「録画再生」という機能では、さらに高度なアクションが実現可能となる。録画再生とは、ブリンクスの動作も含めてゲームの進行状況を一定時間録画し、その後にブリンクスの動作も含めて、その進行状況を改めてそのまま再現するというもの。プレーヤーが操作するブリンクスは、録画した状況を再生している間も自由に操作できる。
つまり、録画再生によって“ブリンクスの分身”を作り、あたかも2人のブリンクスでプレイしているかのような状況を作り出せる。これによって、ひとりの敵を2人で同時に攻撃したり、ひとりでは解けない謎を解くことも可能となるのだ。
このタイムコントロールは、Xboxに標準でハードディスクが内蔵されていることによって初めて実現可能となったシステムだ。「Blinx The Time Sweeper」をプレイしている間、プレイの様子が全てハードディスクに保存されるようになっている。そのため、あたかもゲーム中の時間を操っているかのようなシステムが実現できるわけだ。
ただし、タイムコントロール機能は常に利用できるわけではない。マップ内に落ちている星型やハート型などのアイテムを3個以上ゲットすることで、アイテムに応じた機能が利用できるようになる。例えば、月を3個ゲットすれば「停止」が、星をゲットすれば「スロー」が利用できるようになる。ただし、アイテム3個ゲットした場合でも、各機能は1回のみが利用可能。4個ゲットしたら2回となる。
各機能とも利用回数はストックできるが、使用回数は有限だ。タイムコントロール機能を使う場所を見極めることも、ゲーム攻略の大きな要素となってくる。そして、これこそが「Blinx The Time Sweeper」の楽しさにつながっていると感じた。
こういった時間の要素を取り込むことによって「Blinx The Time Sweeper」はオーソドックスな3Dアクションゲームながら、新鮮な感覚でプレイできる。周囲でプレイしている来場者の多くも、好意的な印象を抱いた人がほとんどのように見受けられた。
ちなみに、タイムコントロールを利用したプレイ内容は、文章だけではなかなか伝わりづらいと思う。実際に筆者も実際に会場でプレイしてみるまで、タイムコントロールによって、何がどうなるのかよくわからなかった。そこで、実際にタイムコントロールを利用したプレイ中の映像を掲載するので、どういった内容なのかその目でチェックしていただきたい。これで「Blinx The Time Sweeper」の楽しさが、多少なりともわかってもらえると思う。
タイムコントロールのアイコンの左にあるのが、ゲットしたアイテムの一覧。同じアイテムを3個以上ゲットすると、タイムコントロールの機能が利用可能となる | やや見づらいが、ブリンクスの右上に見えるのがアイテム。月や星などの形をしたものがある。タイムコントロール獲得用以外のアイテムもある |
【タイムコントロールの実際】 ※画像をクリックすると映像(wmv形式)が流れます | |
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橋が崩れて下に落ちても、「巻き戻し」で時間を戻し、橋を渡ることが可能 (1.14MB/約19秒) |
「録画再生」を利用したブリンクス2人協力プレイ。シーソーを操作した状況を録画することで、ジャンプで越えられない扉の先に進める (1.94MB/約32秒) |
(2002年5月24日)
[Reported by 平澤 寿康]
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