★ PCゲームレビュー ★
日本ファルコムの新作アクションRPG「ツヴァイ!!」がついに発売された。基本的なゲーム内容については、以前ファーストインプレッションで詳しくお伝えしたとおりだが、今回は製品マスターを用いた最終的な評価を含め、もう一歩踏み込んだ内容をご紹介する。レビューを書くにあたり、出来るだけ内容の重複を避けたので、ファーストインプレッションと合わせて読み進めていただきたい。 ■ 食べ物を食べて成長! ユニークなレベルアップシステム
ふたりがプック村を出ると、アルジェス全景を映した全体マップに画面が切り替わる。ここで普通のアクションRPGなら、まず最初に行くべき地点を誰かが教えてくれるか、あるいはシステム的な誘導が行なわれるところだが、ツヴァイにはそういったストーリーを進展させるための情報が一切提示されない。ばかりか、まるで遊園地のような気楽さで好きなところから自由に足を踏み入れることができる。この初代「ゼルダの伝説」を想わせる自由度の高いゲームシステムが、ツヴァイ!!の魅力のひとつといえる。 もっとも、レベル1の段階ではダンジョンに入れても入り口付近までで、敵がわんさかいるフロアまで踏み込むためには、キャラのレベルが地面に置かれた石版のレベル制限を満たしておく必要がある。彼らのレベルアップの仕方については前回のファーストインプレッションで詳しく書いたように、倒した敵が残していく「食べ物」を食することによってレベルアップに必要な経験値を獲得していくというものだ。 食べ物は敵を倒しても必ずしも落としてくれるとは限らないが、経験値をアイテム化したことで、宝箱を始めとした多種多様なケースで入手できるため、ひとつめのダンジョンをクリアする頃には、アイテムバックは食べ物で満載状態になっている。「ヒーローのバックパックにおにぎりが20個入っているのはどうなのか」とも思ってしまうが、この本気なのか冗談なのかよくわからない仕様で全編覆ってしまったのがツヴァイというゲームである。 おそらくRPG史上に類を見ないこのレベルアップシステムのよく出来ているところは、食べ物がHP回復の役割も兼ねているところだ。食べ物は戦闘中でもすぐ食べられるように12個用意された装備グリッドに入れておくことができる。ショートカットキーはファンクションキーがそのまま対応しており、右手はマウス、左手はファンクションキーのそばといった具合に「DIABLO」シリーズにやや近いホームポジションになる。詳しくは後述するがツヴァイの戦闘は、見た目の可愛らしさとは裏腹に苛烈といっていいほどに激しく、DIABLO同様、回復のタイミングを誤ると、レベルにいくらか余裕があっても即死してしまう。
だから、ふたりが死なないように、戦闘中は彼らを操る右手よりむしろ左手に神経を集中させてプレイすることになる。当然、食べ物は食いまくりであって、その結果、戦闘中にレベルが上がることがしばしばあった。「あれ、いつのまに」というのが正直な印象で、ツヴァイはRPGを構築する上で常に根元的な問題となる経験値の処理を、実にスマートな形で解決している。大人にも子供にもお勧めできるということに関して、この経験値稼ぎをまったく意識させないゲームシステムという点がまず第一に挙げられると思う。
■ 複雑に分岐したダンジョンを一気に駆け抜けろ
たとえば、浮遊大陸の南西に位置する水で満たされたダンジョン「パーヴェル庭園」はレベル01、レベル13、レベル20、レベル30という4つの入り口が用意され、レベル01の到着地点でさらにレベル05が用意されている。といって“レベル01”でレベルを5つ上げて“レベル05”に行くというわけではない。レベル01は、キャラのレベルが1のときに、つまり最初に普通にクリアして、レベル05はレベル5に成長してから再び行くというわけである。 各ダンジョンともこういった具合であって、あまりにも分岐が多いため、メモを怠るとプレイしながら「あれ、次はどこだっけ?」ということに必ずなる、というか私はなった。こういった面倒を防ぐためにも初めてダンジョンに入ったら石版のレベルを必ずメモしておくといいだろう。感覚的にはレベルがひとつ上がるごとにどんどん別のダンジョンに移っていく(つまり、理屈ではキャラのレベルの数だけダンジョンが存在するわけである)といった感じで、この新ダンジョンを次々と駆け抜けていく感覚がプレイしていて非常に心地よい。
前述したように、油断するとあっさりゲームオーバーになることもある。が、その際のペナルティもわずかで、アイテムを使えば入り口まで簡単に戻ることができる。ここらあたりの面倒見の良さも特徴のひとつとしてあげられるだろう。
■ レベル、装備、アイテムすべて共有 ふたりでひとりのアクションRPG
すべてが共有であるため、特に装備品の選択が難しくなっている。装備品は、頭、手、体、足、魔石の5つがあり、それぞれ攻撃力、防御力、精神力、運のパラメータを変化させる効果がある。ただし、プラス補正ばかりではなく、剣のダメージを決める攻撃力を上げ、魔法のダメージを決める精神力を下げるといった困った装備品も多い。こういう場合は、両パターンを買っておいて、使用キャラに応じて切り替えるのがベストだ。 一方、戦闘中、操作しないキャラクタは常に後ろに控え、自動操作で作戦どおりの行動を取ってくれる。といっても、プレーヤー操作ほどの積極性はなく、はっきり言えば戦力として計算はできない。ただし、随伴状態のキャラは無敵状態となるため、プレーヤーは操作キャラだけを心配していればいい仕組みである。
今回、特にピピロを操作しながら思ったが、狭い通路で随伴者が邪魔になるケースがたびたびあった。隘路に隠れて魔法戦を行なっているようなケースでポックルに後ろから押されたり、時には壁と彼に挟まれて身動き不能になってしまうようなこともあり、この場合キャラを切り替えないとハマりから脱出できない。ふたりの距離が近すぎるのが原因のようで、この辺は「隊形」のようなコマンドで、ふたりの距離や位置を変えられるようすれば良かったと思う。
■ 進めば進むほどおもしろくなってくる戦闘シーン
前述したように、1つのダンジョンを何度も使い回しているが、マップや仕掛け、出現する敵などはそれぞれ異なっており、常に新鮮な気持ちで新しいダンジョンに挑戦できる。ワナや仕掛けなども、ドット単位の動きを要求するものは皆無といってよく、ダイナミックに走り回らせる性質のものがほとんどで、このハチャメチャ感がどうにもならないほど楽しい。 戦闘そのものも難しくなく、基本的に右クリック連打のみで済む。右クリックを押しっぱなしにすれば「ため撃ち」ができ、ゲームが進むにつれて、ひとりのため撃ちから、ふたり、ふたり+ペットという具合に派手になっていき、見た目、効果とも楽しませてくれる。 また、物語の途中で手に入る「魔石」。これを装備すると、ピピロが魔石に封じ込まれた属性効果の付いた属性魔法を使うことができるようになり、ポックルも魔法攻撃が可能になる。特に属性魔法は火や水といった属性効果が付くだけでなく、攻撃範囲も広がるなど、大きなメリットがある。この属性魔法が使えるようになると、敵をまとめてなぎ倒せるようになるため、いよいよおもしろくなってくる。もちろん、敵も属性があるため、そう簡単にはいかない。こちらも敵に応じて使用する魔石を素早く切り替えつつ、ずばずば倒していくわけである。
最後になるが、ツヴァイは老若男女を問わず、誰でも楽しめるアクションRPGに仕上がっている。難解なシナリオが存在しないため、見た目どおり子供でも迷わず楽しめるし、さまざまな仕掛けをたっぷりこしらえた膨大な量のダンジョンを用意しているため、アクションRPGファンも満足できるだろう。アクションファン、RPGファンに全力でお勧めしておきたい名作である。
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□日本ファルコムのホームページ http://www.falcom.co.jp/ □「ツヴァイ!!」の公式ページ http://www.falcom.co.jp/zwei/index.html □関連情報 【11月9日】PCゲームファーストインプレッション「ツヴァイ!!」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011109/zwei.htm 【10月16日】日本ファルコム、新作アクションRPG「Zwei!!」 3大特典付きで12月20日発売 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011016/zwei.htm (2001年12月20日)
[Reported by 中村聖司] |
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