ナムコ「ソウルキャリバーII」プロローグ【part2】

アイヴィー(イザベラ・バレンタイン)

プロローグ

『彼女は秘密を守る。』 … エルンスト「百頭女」

 「不老不死の鍵」と言われるソウルエッジを求めるあまり、錬金術師でもあったバレンタイン伯爵は狂気の中で他界した。彼がソウルエッジのために続けた出費はあまりにも多大だったため、ロンドンの名門バレンタイン家は一代にして没落してしまったのである。

 夫人もまた伯爵の後を追うように病に倒れ、バレンタイン家には一人娘であるアイヴィーだけが残った……。

 実は彼女はバレンタイン家の実子ではなかった。まだ赤子の頃に屋敷の前に捨てられていたのを在りし日の伯爵夫妻が引き取られて、養子として育てられたのだ。伯爵夫人の遺言で初めてそのことを知ったアイヴィーであったが、それでも彼女にとっての両親は伯爵夫妻しかいなかった。
 育ての父の遺志を継ぎ、ソウルエッジを求めて錬金術を学んだアイヴィーはその研究過程においてソウルエッジの正体が「魂を喰らう邪剣」である事実にたどり着く。邪剣の噂に惑わされて死んだ父親の無念を晴らすべく、ソウルエッジの破壊を誓った彼女はもてる知識の全てを使った。
 遂に妖しげな儀式をもって何者かを呼び寄せ、鞭へと変化する機械仕掛けの剣アイヴィーブレードに命を吹き込むことに成功する。

 自ら意思を持ち、主であるアイヴィーを護り、また彼女の敵を討ち果たすであろうその剣を手に、アイヴィーは邪剣探索の旅へと旅立ったのであった。、
 そしてアイヴィーブレードに命を吹き込んだ張本人-ナイトメアと出会った彼女はその恩を返すため、彼が行おうとしている「反魂術」の手助けをすることになる。
 ……全ては邪剣の計画とも知らずに。
 だがナイトメアが倒れ、ソウルエッジが砕かれたあの日。遂に彼女は、ナイトメアこそがソウルエッジの持ち主であったことを知る。それはソウルエッジを破壊するための愛剣が、他ならぬ邪剣の力で生命を持っていた事実を意味していた。そしてアイヴィーは、自身の出生の秘密をも知ることになる。
 彼女の実の父親……それはかつてソウルエッジを握り、邪剣に操られた男だったのである……!

 思わず逃げ出したくなるような事実に衝撃を受けたアイヴィーは故郷へ戻り、暗い実験室に閉じこもる……。今や憎悪と後悔の対象でしかないアイヴィーブレードを何度破壊しようとしただろうか。
 だが、その度手が止まる。
 私もこの剣と同じなのだ。……そう、私にも邪剣の血が流れているのだ。同じ血が……。
 アイヴィーブレードはただ静かに、主の命令を待っていた。

 数ヶ月にもわたる長考の末、暗い部屋から出てきた彼女は、「邪剣破壊」にかわる「邪剣の完全なる根絶」という新たな目的を得ていた。彼女は目的を達成するという誓いの証として、忌むべき愛剣アイヴィーブレードに「バレンタイン」の名を冠すと、すぐさま旅支度を整えたのである。

 数多に存在するであろうソウルエッジの欠片全て、邪剣の血筋を持つ者、そして邪気に犯されたと思われる人物全員を抹殺する。全ての禍根の芽を摘む為には、該当者の善悪すら問うてはならない。僅かな可能性も見逃さず、いかなる例外をも認めない。
 鬼とでも悪魔とでも呼ぶがいい……! 邪剣の芽を残さず刈り取るためならば、喜んでその名に甘んじよう。

 自らの分身とアイヴィー自身さえ消し去らねばならない、長く厳しい誓いの道。

 育ての親の姓「バレンタイン」の名は、邪剣の血筋を濃く引きながらも強い意志をもって「人間」として生きようとする彼女の象徴であった。


多喜(タキ)

プロローグ

『機会が二度、扉を叩くなどと考えるな』 …… シャンフォール「格言と考察」

 かつて愛刀・裂鬼丸と共鳴する邪剣ソウルエッジに興味を持ち、世界を旅したタキ。
 彼女は魔物退治を生業とする封魔の忍の一員である。封魔の腕に長けるばかりではなく自らの武具をも打つ彼女は、封魔の忍でも屈指の使い手だった。当時ソウルエッジを握り、邪剣に精神をのっとられた大海賊セルバンテスと対峙し、これを打ち破ったのも、ひとえに彼女の実力によるものだった。
 長い旅を終えた彼女は、入手した邪剣の破片を妖刀滅鬼丸に打ち込もうと試みる。だがその結果、滅鬼丸はさらに強い邪気を発しはじめ、最早タキにも扱いかねる程の妖刀と化してしまったのだ。
 恩師でもある封魔の首領トキが既に妖刀に魅入られている事実を見抜いたタキは、滅鬼丸をトキに渡すのは危険と判断した。こうして彼女は抜け忍となったのである。

 かつての仲間達から追われる身となったタキは、強力な邪気を持つソウルエッジと滅鬼丸をぶつけて相殺するべく再びソウルエッジを追いかけた。しかし彼女がソウルエッジにたどり着く直前に、邪剣の持ち主であったナイトメアは一組の男女の前に敗れ去っていた。

 滅鬼丸を手に再び思案するタキ。ソウルエッジ亡き今、いかにこの妖刀を破壊するべきか……。
 以前から密かに持っていた、滅鬼丸を使いこなしてみたいという思いが強くなっていく……。
 旅の間に多少なりとも滅鬼丸を扱う糸口をつかんでいた彼女は、滅鬼丸を完全に制御するべく精神を鍛える生活に入る。そして極めて短時間ならば滅鬼丸を使役することが可能になったある日、タキのもとに封魔の忍が現れた。彼らはそれまでの追手とは違い、問答無用で襲ってくるわけではなかった。なにやら策を張り、彼女を生け捕ろうとしているようである。しかしタキがそのような罠にかかるわけもなく、彼らは滅鬼丸の前に倒れた。
 「首領の命とはいえ、わざわざ異国までご苦労なことだ……。ん……?」
 追手の骸を調べていた彼女の手に、一つの金属片が当たる。弱々しいながらも、その金属片が発する邪気はソウルエッジのものに相違なかった。邪剣は完全に消滅したわけではなく、このような欠片に砕け、バラバラになって存在していたのだ。
 彼女は瞬時にして今回の追手が彼女の殺害ではなく、あくまで生け捕りをねらっていた理由に思い当たった。トキがソウルエッジの情報を収集しているのだ。おそらくこの欠片のように、いくつもの欠片が里へと運ばれているに違いない。

 ソウルエッジを握った人間がどうなるかを彼女は知っていた。もしもトキがソウルエッジを手にしたなら……!
 ただでさえ封魔の長として強力な力を持つトキである。ソウルエッジが彼に与える狂気は、トキをこれまでにないぐらい強力な妖怪と変貌させる恐れがあった。
 近い将来故郷で起こるであろう災いを見逃せるはずもなく、彼女は日本へと向かう。
 再び膨れ上がった邪剣の気配を彼女が察知したのは、その帰国の路の途中であった。手にした欠片の邪気がわずかに活性化したのが判る。彼女は咄嗟に欠片を封じると、少しだけ考えた。

 かつての恩師の手にあるであろう欠片を封じるのが先か、それとも復活したと思われる邪剣本体を封じるのが先か……!
 いずれにせよ、時間は限られていた。


御剣平四郎(ミツルギ・ヘイシロウ)

プロローグ

『肉食獣は決して肥満することは無い。』 …… サヴァラン

 戦乱の最中にあった日本に生まれ、農民の出身でありながら「戦国の用心棒」「孤狼剣士」、「鬼神」などの二つ名で呼ばれる程にまでなった男、御剣平四郎。彼は傭兵として数多の戦場を渡り歩き、常に勝ち残ってきた。戦場で出会う敵全てが、彼の豪快な剣技を恐れてきたのだ。
 だが、向かうところ敵無しの彼を脅かす新兵器が登場する。…種子島。織田信長によってその実用性が証明されつつあった、いわゆる鉄砲である。
 己の腕だけで生きてきた彼にとって、種子島は大きな脅威であった。この「筒」を持つだけで、ただの雑兵が恐るべき戦力となる…。御剣がそのような状況を認められるはずもなく、彼は彼なりに種子島を打ち破る方法を模索した。しかし有効な手立ては見つからないまま時は流れ、ついに彼は焦りから種子島との勝負に挑んだ。
 ……結果右肩を撃ち抜かれて敗北した彼は、以前にも増して「打倒種子島」を胸に腕を磨きつつ、鉄砲に勝る強力な武器を求める日々を送る。海を越えてソウルエッジの噂が届いたのは、そんな時のことだった。
 当時ナイトメアが持っていた異形の大剣。その凄まじさを遠い日本で伝え聞いた御剣は、何の躊躇もなく海を渡る!

 噂の剣を奪うべく世界へ出た御剣。ナイトメアがいると言うヨーロッパを目指して一路西へ向かう。
 しかし、ろくに言葉も通じぬ異国の旅は困難を極めた。しかし旅路において、路銀を得るため各地の戦に傭兵として参加した結果、御剣の剣の腕は鈍ることは無かったのである。
 だが時は無情であった。もたもたしていた御剣の元へやがて、ナイトメアが消えてしまったという噂が届き、それを最後にソウルエッジの消息はぷっつりと途絶えてしまった。それでも御剣は諦めきれず、ソウルエッジの手がかりを求めながら、世界の戦場を巡る生活を続けた。

 4年後、とある明の辺境に位置する城に立ち寄っていた御剣は、ふとした事から、遂にソウルエッジの手がかりをつかむ。それはソウルエッジの欠片と呼ばれる金属片で、ある男から譲り受けたものであった。その男は街の裏路地で数人の刺客に囲まれて瀕死の重傷を負っていた。偶然その現場を目撃してしまった御剣は、目撃者を消すべく襲い掛かってきた刺客を相手に大立ち回りを演じてこれを撃退、結果男の命を救ったのであった。
 瀕死の男は最早この傷では目的を果たせないと悟ったのか、御剣に金属片を託したのだ。
 こいつを手放さないでくれ、と。どうやら何者かの手に渡るのを恐れているようであったが、男はそれ以上は言わずに裏町の暗がりへと消えた。

 だが…「そうるえっじ」ってな、砕けちまうような脆いモンなのか?
 金属片をいじくりながら、御剣は自問自答していた。いまいち信憑性に欠ける気がするのである。
 しかし、あの男の目に偽りはなかった。そもそも死に瀕した人間が、見ず知らずの自分に嘘をついて何の得になる?

 折りしも明皇帝の遣いが御剣のいた城塞を訪れ、英雄の剣を差し出すよう執拗に迫った末、ついには「無いものは出せない」と城主に切り捨てられたという容易ならざる話が城内を駆け巡った。

 「戦か……」

 御剣はこれまでに幾多の戦場で感じてきたものと同じ空気があたりを包んでいくのを感じていた。


(C)NAMCO

□ナムコのホームページ
(10月26日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.namco.co.jp/
□関連情報
【10月12日】ナムコ「ソウルキャリバーII」
新キャラ「タリム」と「ナイトメア」推参!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011012/namco.htm
【9月28日】AC「ソウルキャリバー2」鋭意開発進行中!! スクリーンショットには旧キャラ4体と新キャラ1体が登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010928/sc2.htm

(2001年10月26日)

[Reported by 佐伯憲司]

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