次世代MMORPG「World of Warcraft」続報
10月12日 開催
続いては、先月のECTSで発表されたホットなタイトル「World of Warcraft(以下、WoW)」を紹介。Blizzardのタイトルは、通例発表から発売まで3年ぐらいかかり、今回も例によって発売時期はまったく見えない状況だ。また、かつて「Warcraft III:Reign of Chaos」がそうだったように、正式発表から仕様が二転三転するため、今回の続報もそのつもりで読んでいただければ幸いである。ECTSレポートと合わせてお楽しみ頂きたい。
■ 飛びきりの演出と光源処理で仮想世界にぐいぐい引き込む Massive Multiplay Online RPG「World of Warcraft」
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このメリハリの利いた光源処理を見よ! |
と、ちょっと厳しめなマクラから初めてみたのも激しい期待の裏返しであって、生WoWを見たのはこれで2度目だが、画面を見ているだけでこんなに幸せな気分になれるMMORPGはこれが初めてだ。WoWが他のMMORPGと比較してずば抜けているのは、自然な光源処理とファンタジー味溢れる演出。WoWは純粋に3Dグラフィックのクオリティで図れば、PS2やXboxタイトルが見せるフォトリアリスティックなレベルまでには至っていないが、それらはメモリ制限と開発工程の問題から、大抵画面視点が固定であり、インタラクティブ性に欠け、インターフェイス部分にも不自然さが残る。
その点、WoWは視界中の全オブジェクトに対する自然なライティング処理が施された世界を、360度自由に見渡すことができる。画面操作も右ドラッグとホイールのみと非常に直感的。臨場感もこちらが圧倒的に上で、MMORPGがオンライン上に存在するキャラクタになりかわって様々な体験を楽しむゲームである以上、この臨場感という要素は非常に重要だ。
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雪山をひた走る女戦士。この情景描写も素晴らしい |
演出面もずば抜けている。WoWでは時の移り変わりがリアルタイムで再現される。夕方から夜間に掛けて少しずつ暗くなり、やがてランプに火を灯さないと前が見えにくくなるぐらいまで暗くなる。1日の実時間は未定とのことだが、昼間は明るい日差しが燦々と差し、夜間は美しく輝く大きな月が中空をゆっくりと流れる様子が見られる。公開されたスクリーンショットやムービーには曇り空や夕暮れのシーンなどもあり、ファンタジー世界ならではのリアリティの追求に全力が注がれている模様だ。
加えて、フィールド上は滑らかにフォグ処理がなされ、近づいていくと光源処理を伴う形で自然に周囲の情景が明らかになっていく。場所によっては美しい水を湛えた小さな湖があり、湖面の上を蝶がひらひらと舞っている。現行のバージョンでは未実装とのことだったが、実際に水の中に飛び込み、泳ぐことも可能ということだ。余談だが、一度見せてもらった360度映像があまりに素晴らしいので、別の場所で見せてくれるよう頼んでみたところ「まだ実装していない部分もあるので、どこでもはダメだ」と断られた。WoWの世界観の造り込みのために、我々の想像を絶する努力が行なわれていることが容易に想像できるエピソードといえる。
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移ろいゆく時の流れがリアルに表現されている。特に右上の沼地にたたずむ女戦士の画面が見事。左下の夕闇に表現もいい。雲の表現が美しい |
■ 大規模なクエストがてんこ盛り! クエストの詳細に迫る
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これがインベントリー画面。ペーパードール上部の矢印をクリックするとキャラクタがまわる |
クエストの前に、前回から新しく気づいたことをいくつか紹介しておくと、村人からクエストをもらうと右上のミニマップに次に行くべき街の名前が表示されるようになる。クエストは村人に話しかけることで発生するタイプと、自然発生するタイプの2種類があり、後者の場合、定期的にリセットされ、誰もが同じクエストを獲得できるようになるという。あと、Humanは2刀流が可能で、各種族ごとにユニークアイテムや戦闘スタイルが用意される模様だ。
ちなみにデモに使っていたサンプルクエストは、実プレイで数時間は軽くかかりそうな内容だった。具体的には、
1、ゴブリン2人に襲われている人間の女性を助ける
2、女性の指示に従って新たな街へ向かう
3、街の人に特殊な武器で森の主を倒すよう依頼される
4、目的地で敵を倒し、クエストアイテム「剣の柄」を手に入れる
5、別の目的地で、敵を倒しクエストアイテム「剣の刀身部分」を手に入れる
6、街の鍛冶屋に柄と刀身を渡しクエストアイテム「Fire Star」を手に入れる
7、Fire Starを使って森の主を倒す
8、街に戻って報酬を受け取る(未確認)
となっている。デモでは、ゾーン名が書かれた巻物を使ってところどころワープしながら、要点だけを見せてくれたが、実際には新しい街やダンジョンには歩いて行かざるを得ないわけで、移動時間だけでも数十分は軽く掛かりそうな印象だった。扱いとしてはこれで1本のクエストで、製品版ではこの規模のクエストを「(前回)1000本以上」「(今回)とにかくたくさん」用意するという。
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もっともWoWらしい種族Tauren |
実際のプレイでは、常時複数のクエストを獲得した状態で、クエストの規模やパーティー人数、キャラクタの能力、プレイ可能な時間といった諸要素によって、プレーヤーがクエストを取捨選択して、可能なものからこなしていく、というスタイルになるのではないかと思われる。とにかく、WoWの最大のウリとなる異種族間闘争の扱いが不明のまま(前回のレポートで、異種族に対して無条件で攻撃可能ということは判明した)なので、全体の姿まではまだ見通せない状況だ。
なお、これ以外のクエストは現段階では実装していないようで、見せてもらえなかった。ちなみに前回と違っていたのは、クエストボスを倒すために「Ritual Gate Spell」を使用したことで、これは複数のキャラクタが同じ魔法を唱えることで初めて効果を発揮する特殊魔法。効果はウルティマオンラインのゲートを同じで複数のキャラクタが瞬時に移動できるワープフィールドを現出するというものだ。残念ながら、キャラクタのスキルやステータス、武器や防具の細かい詳細などはすべて「検討中」ということで不明のままだった。
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戦闘シーンの数々。個人戦はオートバトルということが判明したが、集団戦ではどうなるのか、気になる部分だ |
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□Blizzard Entertainmentのホームページ
http://www.blizzard.com/
□関連情報
【9月4日】「World of Warcraft」2001 ECTS Gameplay Preview(ムービー)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010904/demo0904.htm
【9月4日】次世代MMORPG「World of Warcraft」スペシャルレポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010904/warcraft.htm
【9月3日】ECTSレポート Blizzard、多人数参加型オンラインRPG「World of Warcraft」を正式発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010903/wow01.htm
(2001年10月14日)
[Reported by 中村聖司]
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