「グランツーリスモ3 A-spec」発売記念
通信対戦レポート

4月28日 発売

価格:6,800円



 ついに発売され、早速100万本の出荷を記録した株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーション 2用レース&ドライビングシミュレータ「グランツーリスモ3 A-spec」。もうメチャクチャ遊びこんでいる方々も多いと思われるが、記者が個人的に注目していたのは、やはりi.LINKを使った通信対戦とマルチモニタプレイだった。発売日当日、編集部に集められたPS2は3台。そしてソフトも3枚。「通信させるしかないでしょう!」ということでレポートをお届けすることとあいなった。



用意したもの

  • プレイステーション 2

     最終的に用意したPS2は、「SCPH-30000」を1台、「SCPH-18000」を2台、「SCPH-10000」を3台である。初日はそれぞれ1台づつであったが、最終的にはこうなった。これは機種間の違いが何かに影響を与えないか、というチェックを兼ねてのもの。

  • i.LINKケーブル

     まず、PS2同士を接続する対戦ケーブル(i.LINK4pin=4pin)は、SCEIから正式に発売されているものは現在存在しない。そこで、株式会社カラットの「PS2用リンクケーブル」を使用した。この製品はSCEIのライセンス製品ではないが、現状入手できるi.LINK対戦ケーブルとして選択した。
     また、3台以上のPS2同士を接続するためにはi.LINK用のHUBが必要となり、HUBに接続するためにi.LINK(6pin=4pin)のケーブルが必要となる。ここでは、ロアス株式会社の「ZE15-640BK」、そして株式会社トライコーポレーションの「GECE-02L」をそれぞれ3本ずつ用意した。

  • i.LINK用HUB

     i.LINK用のHUBは、2種類を用意。いずれもパソコン(WindowsおよびMacOS)用として販売されているIEEE1394用のリピーターHUBである。ひとつはヒッツ コミュニケーションズ株式会社の「06 Hit'S CRAFT(バイオレット)」、そしてもうひとつは株式会社アクロスの「AIE-4」である。いずれも6ポートのIEEE1394ポート(6pin)を備え、バスパワーおよび外部電源に対応。ACアダプタも付属した製品。

  • 「グランツーリスモ3 A-spec」およびTV

     「まずは3台から」という目標で始めた企画なので、ソフト3本と、プレイ用のTVは3台用意した。



【初日に購入したもの】
「PS2用リンクケーブル」。金メッキ処理されているi.LINK4pin=4pinのケーブル 「06 Hit'S CRAFT(バイオレット)」は、背面に6つのi.LINKポートを持つ。フロントに緑と赤の発光ダイオードがあり、電源とコネクションの状態を表示 i.LINK用6pin=4pinケーブル「ZE15-640BK」



1対1の通信はスムーズに成功

 まずは、PS2を2台、そして4pinのi.LINKケーブルを使用した1対1の通信対戦にチャレンジ。ここでは株式会社カラットの「karatPS2用リンクケーブル」を使用。4pin=4pinのケーブルを使ってPS2同士を接続し、ソフトを起動させると、あっさりリンクに成功。フロム・ソフトウェアの「ARMORED CORE2」に対応とうたっているだけに、スムーズに対戦ができた。ちなみに、「GT3」のiLINKによる対戦モードは、「ARCADE MODE」の「i.LINK Battle」でのみ可能となっている。



そして期待の3人以上の通信対戦! しかし……

 さて、3人以上の対戦には、i.LINK用のHUBと、6pin=4pinのケーブルを使用しなくてはならない。初日に入手したトライコーポレーションの「GECE-02L」と、ロアスの「ZE15-640BK」を使って、通信対戦にトライしてみた。

 だが、「i.LINKだし、まあ簡単だろう」と高をくくって始めてはみたものの、2台目までは認識するのだが、どうしても3台で通信がうまくいかない。通信がうまくいっているかどうかは、「i.LINK Battle」の「i.LINK 対戦設定」画面で確認できる。この画面で、左下に「Machine ID」が表示されるが、これが「1、2、3」と3つ割り振られてなければならないのだが、どうしても「1、1、2」となってしまう(順不同)のだ。

 ここでまず考えたのは、「原因は何か?」ということ。考えられるポイントはいくつかある。

  • PS2の問題

     製造年月の異なるPS2が混在しているため、ひょっとすると通信関係に相性があって、エラーが起こる可能性があった。しかも用意されたPS2はi.LINKを使用したプレイは一度も経験がないものばかりであったから、本体に対しての疑いも考えられなくはない。

     実際、SCEIのサポートにも連絡してみたが、「初期の『SCPH-10000』に関して初期不良の疑いがある」と言われただけだった。いろいろな機種の組み合わせを変えてトライしてみたが、結果は変わらずであった。
     

  • i.LINK用HUB、およびケーブルの問題

     これは純正品が出ていない以上、避けられない問題だが、通信系機器の場合、ケーブル、HUBの相性があるということはよく言われることである。そこで、初日はここであきらめ、別のHUBとケーブルを購入することにした。



事態は急変、一気に解決へ

 ところが、「i.LINK」や「IEEE1394」のキーワードでWEB上で検索をかけてみたところ、意外なことがわかった。ラトックシステム株式会社の「IEEE1394 Products FAQ」を見ていたところ、市販のIEEE1394ケーブル(6pin=4pin)には、3タイプの結線の違いがあることがわかったのだ。

 PC Watchの“鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」” によると、IEEE1394という規格には、「IEEE1394」と、「IEEE1394a-2000」という2つの規格があり、規格自体はもともと6pinのものからスタートし、DVなどに接続する際に用いられる4pinのものは、「IEEE1394a-2000」から正式に規格に盛り込まれたとある。

 実際、「ZE15-640BK」のパッケージ横には、結線図が明記されている。6pin=4pinの違いは「グランド(6pin側の2番)が4ピンコネクタのどこに配線されているか(「ZE15-640BK」の場合は、6pin側の2番とFrameが4pin側のFrameに結線されている)」だけなので、その違いが生んだ問題なのかもしれないということがわかった。

 そこで、グランドの接続方法の違う「GECE-02L(FrameとFrame同士のみが結線されている)」と、HUBとケーブルの相性問題も捨て切れなかったため、「AIE-4」を購入。さっそく「SCPH-10000」3台で通信を試みた。

 まず、前日の構成からHUBを交換した「ZE15-640BK」と「AIE-4」の組み合わせでは、やはり通信に失敗。前日と同じ「1、1、2」というIDになってしまった。

 次に、「GECE-02L」と「AIE-4」の組み合わせを試したところ、あっさりと通信に成功。やはりi.LINKケーブルの結線方法の違いがポイントだったようだ。

 念のため、「GECE-02L」と「06 Hit'S CRAFT」の組み合わせも試したが、こちらもバッチリ。ケーブルの問題であったことが証明された。「SCPH-10000」を「SCPH-18000」や「SCPH-30000」に交換しても通信ができたため、今回はケーブルがポイントであったことが改めて証明された。

 結論としては、3台以上のPS2でi.lINKによる通信対戦を行なう場合、必ず、「6pin側のFrameと4pin側のFrameのみが接続されている」i.LINK接続ケーブルを使用することが重要ということだ。

【追加購入したもの】
もう1つのi.LINK用HUB「AIE-4」。こちらは本体左右に3つづつの6pinのi.LINK用ポートを持つ 「GECE-02L」は「ZE15-640BK」とは多少結線の違うi.LINK用ケーブル
「ZE15-640BK」パッケージサイドに記された配線図。6pin側の2番とFrameが、4pin側Frameに結線されている 「GECE-02L」の配線図。6pinと4pinのFrameのみが接続されている



「Machine ID」の不思議

「i.LINK Battle」を選択すると、このように「Machine ID」が表示される。わかりにくいかもしれないが左から「2、1、3」の順
 通信できるようになると、次に気になったのは「Machine ID」のこと。このIDを設定するメニューはゲーム内には見当たらなかったため、いろいろ実験してみた。「メインスイッチを投入した順」、「正面の電源ボタンを押し、ソフトを起動させた順」、「i.LINK Battle」を選択し、モードに入った順」、「i.LINKコネクタを接続した順」などを予想して試してみたが、いずれのIDも変わらず固定されたまま。

 どうやら、PS2の組み合わせによって、IDは固定されているようだ。もし、順番を変えたければ、映像ケーブルを差し替えて対処するしかないだろう。



マルチモニタプレイに挑戦

2台でも、3台でもマルチモニタプレイはできた。最大6台までリニアに可能となっているが、実際は3画面ぐらいまでが一般で実現できるレベルか?
 「Machine ID」になぜ注目したかといえば、6つの画面、ソフト、本体を使用したマルチモニタプレイが気になったから。完成記念レセプションなどでマルチモニタプレイを体感した記者としては、ぜひあの環境を実現させてみたい。また、6つは無理でも、3画面ならなんとか個人でも実現できるレベルであることだし、というわけでマルチプレイを試してみた。

 マルチプレイのやり方だが、すべての「GT3」の「i.LINK Battle」モードにおいて、「ライブ中継」を選択するのみ。実際には、IDが1番の「GT3」のみ決定すればよく、他の「GT3」は1番の「GT3」で「ライブ中継」を決定する前に、「ライブ中継」のところにカーソルを合わせておくだけでOK。

 このマルチプレイのときに、IDが重要となってくる。画面に表示される拡大されたゲーム画面の並び順は、下段から「2、1、3」、上段は「5、4、6」のID順となっている。この並び順になるように、映像ケーブルを差し直して並べ替えるのである。

 さて、3台でのマルチプレイだが、実際に試したところあっさりと実現できた。上3画面がないのは寂しいが、十分ワイド画面を堪能できる。古くはタツミのAC用「TX-1」、変則的だがタイトーの「ダライアス」、最近ではナムコの「500GP」やセガの「F355 Challenge」など、ACでしか体感できなかったマルチモニタプレイが家庭でも楽しめるのである。

 もしTV、PS2、ソフトを3つづつ揃えることができるなら、一度は試してみよう。

■■ 注意 ■■

  • この記事の情報は編集部が検証した個体のものであり、すべての製品に共通するものではありません。また、通信対戦に関しての保証を行なうものでもありません。
    また、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントによる公式の見解でもありません。
  • この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
  • GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□製品情報(グランツーリスモ3 A-spec)
http://www.scei.co.jp/sd2/gt3a/
□製品情報(PS2用リンクケーブル)
http://karat-jp.com/products/ps2/ps2_linkc/ps2_linkc.html
□製品情報(06 Hit'S CRAFT)
http://www.hits-com.co.jp/products/06craft/06craft.html
□製品情報(AIE-4)
http://www.acrosjp.com/1394hub.html
□製品情報(GECE-02L)
http://www.justy.co.jp/search.asp?num=GECE-02L
□「IEEE1394 Products FAQ」
http://web2.rexpccard.co.jp/services/faq/fw1/
□鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」(IEEE1394a)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000928/key137.htm#IEEE1394a
□関連情報
【5月1日】SCEI、PS2「グランツーリスモ3 A-spec」生産出荷累計100万枚を突破!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010501/gt3.htm
【4月28日】「グランツーリスモ3 A-spec」遂に発売、売切店続出
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010428/gran3.htm
【4月26日】発売目前!!「GRAN TURISMO 3 A-spec Reception」レポート。山内氏、「GT」のこれからの構想について触れる
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010417/scei.htm

(2001年5月7日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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