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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人150台湾ドル(約450円)
今回のインタビューのトピックについては、SCEグループというくくりでは新ハードの到来を匂わせる発言が飛び出したこと。SCE Asia単体としては、主戦場として位置づけていた中国市場について、その取り組みについて大きな方向転換を匂わす踏み込んだ発言を行なったことだろう。特に中国展開については、2005年以降宿願とも言える最重要課題として位置づけられてきたが、そして今回新たにインドネシアへ展開していく方針が語られ、大きな転換期の到来を予感させてくれた。
もちろん、それら以外にもアジアのコンシューマゲームビジネスについてじっくり話を伺っている。台湾レポートの締めくくりとしてたっぷりお楽しみいただきたい。 ■ 2008年のSCE AsiaとSCE Taiwanのビジネスについて
安田哲彦氏: 金額的なところはさておき、計画的にはほぼバジェット通りに達成できました。金額にして円換算にしてしまうとドルが105円と90円の15円分の差が多く出てしまいました。上半期よりも旧正月に向けて売り上げのウェイトをおいていますが、若干痛かったところがあります。販売する目標する台数や枚数についてはほぼ目標通りです。 編: アジアで流通するハードは、日本や欧米と同様に、PS3、PSPの3000番台がメインになってきたと考えてよいのでしょうか。 安田氏: それからPS2も順調です。価格がこなれているのが1つの理由ですし、所得を考えますと購買層に合っていると思います。 編: ソフトウェアの装着率はいかがですか。 安田氏: 2008年末の報告の中で、専門店さんの中にはPSPでは1対5くらいまで伸びているところも出てきています。PS3については色々とバンドルをして1対7を超えている店もあります。ただ、優良な専門店のところに限られますね。やはりセルフサービスでどうぞというところでは装着率は少なくなってしまう。店の親父さんがツバを飛ばしながら説明してくれるようなところでは、やっぱり装着率は高い。 編: 以前、光華商場がまだガード下にあった頃は、手裏剣のようにコピーソフトを配るので装着率がぜんぜん高くならないが、ゲームそのものは遊ばれている証拠に、メモリーカードだけは売れるのだというお話をされていました。その状況はまったくなくなったのでしょうか。 安田氏: 残念ながらまったくなくなったとは言い切れないのですが、改善はされてきましたよね。 編: SCE Asiaのリージョンの中でエリア別に伸びや落ちはありましたか。 安田氏: SCEでは各国の数字を見て、一般的には120%くらいのバジェットをつけてやってきています。そのバジェットに対してさらに我々は独自に20%の目標をつけてやってきています。先ほど申し上げたバジェットは対前年で考えれば120%の目標という最初の目標は達成していますが、自分たちの目標まではちょっときつかったかなと。 編: SCET(SCE Taiwan)の業績はいかがでしたか? 安田氏: 良いのですが、時々在庫が読みにくいところがあります。台湾は輸出需要が少なく、国内だけの数字になってきますので、ウケると思ったと思ったソフトがウケなかったとか、ウケないと思っていたソフトがウケたりということがあったり、ハードも我々が予想した時期に売れなかったり、逆に売れてしまったりすることがありました。 編: 日本や欧米とは違った動き方をするということですか。 安田氏: そうです。日本や欧米との違いは香港でも台湾でもそうだと思いますが、本当にゲーマーの方は中文化していなくてもどんどんやってしまうのですが、人数的にはそれほど多くないのでピラミッドの裾野を広げるために中文化を一生懸命進めています。やはり中文化していると一般のお客さんにもお求めいただけます。 編: 現在のSCETさんのローカライズのポリシーはどのようになっていますか。現状ですと日英から中文まで混在していますよね。 安田氏: 数量によります。ある程度の数量が見込めるのであればローカライズしても良いので、そこらへんは川内さんが詳しいです。 川内史郎氏: 本当は全部をローカライズしたいのですが、チームの中でローカライズをする人数は決まっているので、タイトルを絞って販売枚数の見込みのあるものから取り掛かっています。日本で先に出るものや欧米で先に出るものについては、まずは日本語や英語で出します。数カ月遅れる可能性もありますが、その後にローカライズをして、中文で出していくという2段構えで考えています。全部が全部出しているのではなく、ある程度販売数が見込めそうなものからプライオリティをつけてやっています。 編: 今回、セレモニーが行なわれた「PlayStation Network」は、現在アジアではどのようなサービスを行なっているのですか。 川内史郎氏: 一部、ゲームタイトルのローカライズと、ネットワーク関連のサービスを行なっています。「PlayStation Home」のベータサービスが始まっていますが、ローカライズがゲームだけではなくネットワークにも必要になってきているので大変です。思いっきり人数を増やすわけにはいきませんから、もちろん外注もやってはいるのですが、今までゲームのローカライズをやっていた人が、オンラインもやるとなるとゲームのローカライズをやっていた人が減っていってしまう。その部分を外注や人を少しずつ増やしていって補っています。以前、安田と私と2、3人でいた頃から比べると人数は確かに増えているのですが、必ずしもゲームタイトルのローカライズが増えていっているわけではないのです。 編: 「PlayStation Home」や「みんニャのパターGOLF」などはローカライズされていましたが、あまりセールスが見込めないタイトルは日本語版、英語版のまま出すこともあるだろうということですね。 川内氏: そうなりますね。 安田氏: ワンパターンではなくて、そのときの人数を減らしたり増やしたりして臨機応変にやれるものはどんどんやりたいです。 編: 台湾では、任天堂さんが昨年正規流通によるWiiの出荷を開始しました。ゲームショップでもよく見かけましたが、SCE Asiaさんは影響は何かありましたか。 本間和彦氏: Wiiで非常に好調なセールスを出されているようです。ただ、ご存じだと思いますが、コピーが横行しています。Microsoft TaiwanさんのXbox 360でもコピーがたくさん存在しています。コピーがあるということは正規のソフトが売れませんから、流通の方もあまり面白くないという話は聞きます。ハードはすごく売れているのは確かなようですが。
■ 消費券対策、新色先行販売、年齢制限コーナーなど。PS3のカラバリは“小型化”以降?
安田氏: 消費券を頒布する前から、PSPを買いましょうといったPOPを用意していました。本間さんからPSPを「くれくれ」言ってくるので、「どうなってんだよ?」と聞いたら「いやぁ倍くらいになっていますよ」というお答えで、びっくりして「倍かよ」といったら、「正確には1.5倍ぐらいでした」という話でした(笑)。SCE AsiaではちょうどPSPの赤と青を旧正月前のタイミングで世界先行発売を行ないました。限定色と消費券と旧正月という3つの要因が絡み合って思った以上にセールスを伸ばすことができましたね。 編: 遊技産業振興会のセレモニーでは、初代会長の王さんが消費券について「プリペイドカードは消費券が使えなかったので、オンラインゲームにはまったく影響がなかった」と発言されていましたが、コンシューマゲームには大きな恩恵があったわけですね。 本間氏: PSP本体が5,980台湾ドルで販売していますが、消費券は3,600台湾ドルですよね。消費券を使うと2,380台湾ドルの差額を払うだけで良いのです。そこに低価格のソフトを用意して、それと一緒に買うと少し得をするという仕組みでアピールしています。それが学生さん向けに非常に好調で、学生さんのお小遣いは少ないのでこうした機会は非常に狙い目でした。 編: 今回に限らず台湾の販売現場では本体に対して実に様々なものがバンドルされています。これは誰の判断で行なっているのですか? 安田氏: 現場で彼らが代理店さんとおでこをつき合わせてああでもないこうでもないとやっているのです。 本間氏: 一般的にそういうものは好きですよね。たとえば食べ物でもセットが非常に充実していて、単品でやっているものはなかなかありません。 編: しかし、カラーバリエーションの先行発売は、昨年の赤のPS2に続いて2年連続で、お家芸になりつつありますよね。 安田氏: これは外様に向けて言うことではないのですが、カラーバリエーションに関しては、ここ数年かなり努力しています。製造部門とのパイプを一生懸命作っていて、約束をしたらちゃんとそれを守ることをこれまでずっとやってきているので、製造部門が信用してくれるようになってきたのです。10年前はまったく相手にされなかったセクションが、コツコツやってきたところを、だんだん信用してくれるようになった。そこでこのタイミングでお願いしますと彼らがお願いにあがると「じゃあやりましょうか」というところまで社内的には出来上がってきました。 編: カラーバリエーションを重視する理由は何ですか。 川内氏: 色だけが重要だとは思っていないのですが、新しいユーザー層を開拓していくために、楽しい色を出すというのは消費を喚起するために非常に良い手段なのです。いずれカラーバリエーションが出るということもありますし、ご存知のように、中華圏に向けた企画として、PS2の赤はアジアの発案で実現しました。今回のPSPの新色は本社の方で提案してくれたカラーをいち早くださせていただきました。前回の赤とは少し由来が違います。今回のカーニバルというネーミングがまさにそうですが、楽しい気持ちを喚起するという点で新しいユーザーさんに向かっています。 安田氏: 手前味噌で申し訳ないのですが、新しい色をやっているのを電車の中で見たりすると見ているだけで楽しいではないですか。ああいうコンセプトというのはタイミングを見てださせていただくのは気持ち的にも明るくなりますよね。「いいだろうこんな色もあるんだぜ」みたいなね。 編: そういえば、PS3の160Gモデルも「リトル・ビッグ・プラネット」とバンドルの形ですでに発売されていますよね。日本よりも展開が早いですよね。 川内氏: PS3 160GBは企画段階でバンドルしかやらないと決めていたので、決して展開が早いというわけではないのです。やりだすタイミングは決めていて、ためていってドンと出したイメージです。 編: 昨年がPS2の赤でしたから、今年のサプライズはてっきりPS3の赤なのかなと思っていました(笑)。 安田氏: 将来的にはやりたいですね(笑)。 川内氏: PS3が今の大きさではなく、もうちょっと小さくなれば(カラーバリエーション展開も)考えていきたいところですね。 編: ブースで印象的だったのは年齢制限コーナーが新設されていたことです。その理由を教えてください。 本間氏: ここ2、3年で台湾でもレーティングについていろいろと言われ始めていて、しかし具体的なルールはまだないのです。出展されている他社さんでも同じようなことをやられていました。他社さんのコンテンツはかなり激しい内容のゲームなのでそういった要請が入ったらしいのです。そういうこともあるので、まずは自主的にやってみようということで、年齢制限のコーナーを設けました。 現在、逆に政府の管理する部門から問い合わせがあって、ミーティングをしたいので時間をとってくれないかというご相談も受けています。今後そうした取り組みが始まるとすれば、私たちも参考となる意見を申し上げてうまく反映していければと考えています。 編: Microsoftさんの「Gears of War 2」のテレビCMの内容があまり激しいのが問題になったと伺いました。 本間氏: そうです。 編: 現在台湾では日本や欧米にあるようなレーティング機構はまったくないのでしょうか。 本間氏: 映画やテレビ番組にはあるのですが、ゲームにはないのです。ただ、コンソールゲームにはなく、PCゲームやPCオンラインゲームにはあります。 編: コンシューマゲームには、現状、どのようなゲームを売っても、どのような内容のテレビCMで流しても、規制するものが何もないという状況にあるのでしょうか。 本間氏: そういうことになっています。 安田氏: 正規商品をそれなりに売っているからそういう規制を作ろうという動きが出てきたわけで、「まんざらコピーばかりではなくなってきたな」という印象を同時に持ちました。 編: それはつまり、実際の社会と経済にそれなりの影響が出てきたということの裏返しでもあるというわけですね。 安田氏: そう思いたいですけれども、あまりいきがらないで粛々とやっていきたいです(笑)。
■ トロが台湾デビュー。SCE Asiaのオンラインサービスについて
安田氏: お店からは「実際にこんなに売れてしまうわけ?」ということも言われ始めています。廉価版も合わせてたくさんソフトが販売されていて、正規版、廉価版、2つ合わせて相当な枚数になるというケースが増えてきています。 編: PS3にコピーがないというのは有名な話ですが、PSPについて3000番台になって変化が生まれてきているということですか。 川内氏: PS3は元々コピーがありませんので、アジアのユーザーさんも日米欧と変わらないくらい装着率が良いです。平均で1対4近くまでいっています。PSPについても一時違法ダウンロードができる状態が続いていましたが、我々が穴を埋めていって今はできない状態です。PSPで違法なことをやってはダメだということをお客さんが理解して、普通に正規品を買っていくという流れができてきたかなと思います。 編: 今回いろいろな発表がありました。除幕式まで行なって大々的にアピールしていた「PlayStation Store」は、アジアでこれから本格展開していくという意思表示だと理解してよろしいですか。 本間氏: 特にPS3になってから、ネットワークを使った動きが増えてきている。特にこれから本格的に始まる「PlayStation Home」であったり、「PlayStation Store」はすでにアジアでも利用できる状態なのですが、もっとアピールすべきポイントだと考えています。 編: それはつまり日本や欧米に比べて、アジアはまだまだ利用率が低いからということですか? 本間氏: そういうことですが、ただ極端に低いわけではないのです。むしろ母数は少ないので、ネットワークに繋がっているユニークコンソールのうち、「PlayStation Home」に繋がっている率は相当高いのです。 安田氏: オンラインでお買い上げいただく客単価がちょっと低いのは確かです。購買力の違いなのか、魅力のあるコンテンツが少ないから低いのか、このあたりはしばらく工夫をしながら続けていきたいなと思います。 編: また、新たなマスコットとして「トロ」がデビューしていましたが、実はトロはこれまでアジア進出していなかったのですか? 川内氏: してなかったのです(笑)。理由は簡単で、オフィシャルでゲームが出ていなかったからです。ただ、タイでカルピスの宣伝に出演したりと、単体で出展する機会はあったのです。あとはグッズもありました。我々がゲームにかかわるところでトロと直接の接点を持つことは初めてなのです。ですから大々的にクローズアップしました。 編: 「トロ」のアジアデビュータイトルが「みんニャのパターGOLF」になったのはなぜですか。 川内氏: 「トロ」は基本的にお話ゲームなので、それを中国語で作るのはプログラム的に問題がありました。今回は言葉に依存しないパターゴルフということで中国語にローカライズされました。 編: 日本ではトロといえば、「まいにちいっしょ」のイメージが日々強くなりつつありますが、「まいいつ」中文版の予定はありますか。 川内氏: ローカライズがネックなのですよね。「まいにちいっしょ」は、毎日のニュースの話題を取ってきて、スクリプトで面白くしたりするのですが、それを中国語で対応するようにするのはものすごく難しいので、現時点では現実的ではないという判断です。 編: アジアでのトロの名前が「多樂」になったということですが、これは当て字なのでしょうか。発音で似せたものなのでしょうか。 本間氏: 今回の北京語の名前というのはいくつか候補を作って、ユーザーの方からネットを通じて投票してもらったり、ゲーム誌の読者から投票していただいて決めました。北京語の場合は、意味で捉える場合と、発音で捉える場合の2通りあって、今回は音で候補を選びました。発音すると「トーロゥ」というものです。こちらの方が中国語で「トロ」という発音に近く、「楽しさがいっぱい」という意味です。 編: トロといえばSCEさんの主要なキャラクタの1つですが、今後どのような展開を考えていますか。 川内氏: 言葉の多いものはやりにくいですが、キャラクタを使った言葉の壁が低いものであればどんどん出していきたいですし、今回、“生トロ”を出してみなさんの関心の高さが分かりました。 編: 「PlayStation Store」と並んで大きく取り上げられていたのが、「PlayStation Home」ですが、こちらについてはどのような展開をお考えですか。 川内氏: 「PlayStation Home」はアジアでもオープンベータの状態です。有料のアイテムもすでに販売が始まっています。アジアの「PlayStation Home」の特徴は、コミュニティがどんどんできていることです。外部のBBSでユーザー同士が交流をして、「PlayStation Home」に集まって遊んでいる。その様子をカメラで撮って「Youtube」にアップしたりとかして遊んでいます。そうした遊び方は他のリージョンにはない遊び方でして、「PlayStation Home」はSCEだけのプラットフォームになりますのでそうしたご意見を聞きながらアジアでの展開を考えています。 編: 北米ではEAさん、日本ではカプコンさんといった大手メーカーが独自のラウンジを作り、それが各リージョンの個性になりつつあります。アジアでは独自のラウンジは何か企画されていますか。 川内氏: 今はSCE Asiaの「PlayStation Home」はすべてが借り物という状況でして、中に置くアイテムやイベントが行なわれるものは地域の季節やイベントに合わせて行なっている程度です。たとえば旧正月の時には旧正月アイテムを入れたり、100人くらい並んでいただいて、お正月アイテムを先着で配ったりするといったことです。 安田氏: 平たく言えばアジア独自でリードしていくところまで力があるわけではないので、日本の運営セクションと密に連携をしてそれに味付けをして、カルチャライズをしていく手法です。 編: SCE Asiaとして、「PlayStation Home」の将来性をどのように考えていますか。 安田氏: まだなんともいえないけれども前向きに取り組んでいます。絶対大丈夫とかこれがメインのビジネスになるという話ではなくて、いろいろなサービスがあってお客さんが興味を示してくれるのが一番です。飽きられても困るのでいろいろなアイデアをみんなで出し合っているところです。
■ “ああだこうだ考える前に持ってきてしまった”「3D立体視システム」
安田氏: 3カ月に1回、SCEのみんなで集まってやるミーティングで参考出展されていたのです。サングラスをかけて見ると「わー、すげえ」ということで、Taipei Game Showに出展するついでに、無理矢理持ってきちゃったんです(笑)。 ソニーの方が開発していろいろなエンターテインメントができるように工夫をしているのだけど、我々もこんなことができるのではないか、あんなことができるのではないかという1つの例としてお持ちしただけなのです。あれを半年後や1年後に発売しますという話ではないのです。ソニーとしても「BRAVIA」は、ただ映像が綺麗というばかりでなく、いろいろな工夫で他との差別化を図る努力をしていますよという意味での参考出品です。 編: エンターテインメントを提供するメーカーの1社員として、あの立体視システムのゲームへ転用の可能性についてどのように考えていますか。 安田氏: みんながああだこうだ考える前に持ってきてしまったので、とにかく完璧な参考出品です(笑)。 川内氏: 本当にお客さんの反応が良いですね。でも持っていくことが決まったのが展示会の1週間前、社内で初めて公開された時でした(笑)。3Dを実際に見て、私も安田もすごいなと思いました。「グランツーリスモ」を、3Dメガネで見たら凄かったんですよね。 安田氏: えらい凄かったですね。だけど3分くらい見てたら気持ち悪くなっちゃった(笑)。 本間氏: 今日会場で見てたら台湾のユーザーさんがメガネの後ろにカメラを置いて撮ろうとしていたのですが、「ちがうんだよなー」と(笑)。 編: なんか気持ちは分かる気がしますね(笑)。逆に言うと、それくらい縁がない代物ですよね。 安田氏: 本当にエンターテインメントって、そういう風に無駄なことをいっぱいやったなかの1つが流行するものだと思いますので、まずは試してみていろいろな人に見せてというところから始まると思います。あれをそのまま商品化するといってもクリアしなければいけないことはいくらでもあると思います。そんなに簡単ではないので。今後もいろいろな方法で提案していきたいと思います。 編: 11月に韓国のSCEKの取材では、MegaTVさんとの提携など独自の企画を見せていただきました。台湾では独自の施策は行なっていないのでしょうか。 本間氏: ワンセグはやってみたいと思いますね。台湾では地デジが始まっていますが、放送方式が日本とも韓国とも異なります。そのため独自で開発しなければ映らないのです。もう少し研究が必要です。 編: 台湾はケーブルテレビが非常に普及していますが、デジタルハイビジョン放送に切り替わりつつあるのでしょうか。 本間氏: まだですね。HDTVがたくさん売れたというような良い話もあまり聞かないですね。 編: 「BRAVIA」のほかにBenQやチーメイなども様々なメーカーのHDTVが販売されていますが、日本ほど売れているわけではないということでしょうか。 本間氏: そう思います。発売されている液晶テレビを大きい画面で見たいために、買い換えられた。そして、買い換えたが良いけれどもHDの放送もやっていない。HDを見るためにはどうしたら良いかなというところで、皆さんがPS3をお買いになっています。 編: つまり台湾ではPS3の存在そのものがHDTVの買換え需要になっているわけでしょうか。 安田氏: はい。もちろん、PS3でBlu-Rayを見たいというようなことも含んでいると思います。前のテレビでは映画館で見るくらいの解像度しかないから分からない。オープニングなどで暗いところの映像を映画館で見たときになんだったんだろうなと。Blu-Rayになったら暗いところの場面がはっきりと見えますからね。 編: 昨年1年間の台湾での大きなムーブメントはネットブックだと思っています。1月にはソニーさんも、ネットブックのカテゴリに含まれるTypePを発売されました。こうしたネットブックの一連のムーブメントは、SCE Asiaのビジネスにおいて何か影響はありましたか? たとえばPSPではなく、ネットブックに手を出すような動きはなかったのでしょうか。 本間氏: 台湾の中で台数でいえば去年よりは伸びています。それほど関係はないと思います。 安田氏: 何かしらカスってはいるのだろうけど顕著な影響はないと思います。 本間氏: ユーザーさんを喫茶店で見ていると、ネットブックを立ち上げてチャットやったりネット見たりしていますが、その横でPSPを遊んでいる。それぞれ別の機器として利用されていると感じています。 編: 日本では携帯電話にコンテンツを提供したりしていますが、SCE Asiaでは他のプラットフォームへの働きかけは行なっていないのでしょうか。 川内氏: アジアとしてやっていることは今のところないですね。 編: たとえば台湾で「太鼓の達人」のモバイル版がヒットしていますが、そのあたりはSCE Asiaさんではまだまだと。 安田氏: まだですね。 編: その理由は、単純に余力がないのか、それともビジネスとして魅力を感じていないからでしょうか。 川内氏: 携帯はかつてはやっていました。弊社のマーチャンダイジング部門でネット配信ゲームを独自でやっていたのですが、そのときは余力がなくてお手伝いするくらいでした。その後の動きは現在のところはありません。アジアとして動いていることはないです。 安田氏: アジアはサードパーティーさんから自然に入ってくるライセンス料欧米に日本と比べると非常に少ないのです。お金の面でも結構カツカツなところがあって今までもがんばってきているので、先頭切ってやってしまうとすごい投資が必要だけれどもどちらかというと日本でやっているのを少しアレンジしてやらせていただくところから脱しないところもあります。
■ 次のターゲットはインドネシア。中国は見直しの時期到来か!?
安田氏: 原点回帰です。たとえば宣伝であれば宣伝で、どうあるべきかということをもう一度考え直すということですね。私が考えるのは漫然と広告代理店を4、5件呼んでプレゼン聞いて偉そうにして、実際やってみたら売れずに「お前らが悪い」みたいなことを言っているようなそういう横着なやり方ではなくて、自分たちでいろいろなことをやってみるとかかる値段がわかるわけではないですか。どのくらいの時間がかかるであったり、どのくらいの金額がかかるといったことを把握した上で広告代理店を使えば、「ちょっとこれは高すぎるのではないか」ということがいえるわけです。その次の段階では代理店を使うのではなくて、同じような考え方ができる人を増やす。そうやってどんどん増やしていきたいです。 また、正式にやる地域も増やしていきたいです。インドネシアで正式展開を考えています。拠点はジャカルタです。正式に宣伝をしながら粛々とやっていきます。 編: 関税の問題はクリアできたのでしょうか。 安田氏: 関税はそのまま払ってやります。全部にばらまいてやるようなやり方ではなくて、ちゃんとしたお店を数件狙ってそこで粛々とやっていきます。それ以外の場所では平行やコピーの山だと思います。当初は認知しているお店として、家電のルートで10店舗くらい、ゲームルートで40~50店というところを考えています。 編: アジアという膨大な選択肢がある中でインドネシアを選択した理由は何でしょうか。 安田氏: 人口が2億数千万人いますよね。2億人いるうちの5%の2割くらいというのが我々の商品をお買い上げいただけるターゲットになるのです。そういうものが首都圏のジャカルタに住む人が集まるようなところで釣り糸を垂らしてみようかという寸法です。 編: ここ10年でインドネシアの購買力も上がってきているのでしょうか。 安田氏: 5%のうちの2割くらいの人というのはそうですね。PS3も買える層です。若干ソニーのビジネスとオーバーラップしてしまいますが、今ようやく「DVDも見れよ」、「え、本当なの?」という人たちが出てきつつある状況です。今の段階は並行輸入でインドネシアでモノを売っている人たちがいるので、そういう連中との意見交換やオフレコで話をしてみるとそういう売り方は効果があったという言い方をしていました。 編: 昨年何度かシンガポールに行く機会があったのですが、東南アジアの勢いを肌で感じました。特にシンガポールは東南アジア全体のハブになっているところがあって、いろいろな国から人やモノが集まっている。そうした勢いをSCE Asiaさんのほうでも感じられたということですか。 安田氏: 南アジアの方はそうですね。おっしゃるような関税の問題がありますので、シンガポールにいくものが、ある人を介して正規のルートではないところでインドネシアに入っていくことがあるわけです。そういうものを扱っている人を毛嫌いするのではなくて、どんな感じなのということを聞きながらちょっとずつ駒を進めたいです。 編: ローカライズはいかがですか。 安田氏: ローカライズはまだ難しいでしょうね。たとえばインドネシア語にローカライズしようにも無理だもん。ですから英語でしょうね。 編: インドネシアに続く新地域は検討されていますか。 安田氏: フィリピンやベトナムやカンボジアといった地域は徐々にやっていきたいです。最初のスタートはソニーの販売会社さんから声をかけていただくことが多いのです。「BRAVIA」とPS3というところになるのです。台湾でも昔そうだったのですが、関税を払ってやっているのでは商売にはならないのです。並行輸入品は入ってくるは、こっちは3割高いわでどうにもならない。 ですから、「BRAVIA」を売るときだとかそういうときのアクセサリーとして扱ってくださいと。逆にこちらはそれで宣伝されたら、何も宣伝されないよりは世の中の人はPS3のことを覚えてくれるわけだから我々にもメリットがあってお互いにWin-Winなのではないかと。一気にそこから突っ走るのではなく、皆さんにインフォメーションを流す機会を得たいなと。 編: まずは間接的な支援、間接的な取り組みに力を入れていくわけですね。次に中国市場についてですが、ここ数年力を入れていた時期がありましたが、昨年あたりから多少クールダウンした印象がありますね。 安田氏: 法律があってできないというのですが、何年待っても変わらないのです。ゲームショウに出展したりお付き合いをしているのですが、いかんせん変わらない。 我々が意図するところが何にも汲まれていないのです。6年間もお付き合いして何も1歩も進んでいない。北京でもゲームショウがありますが、昨年は出展を見合わせました。今年の上海もどうなるかわからない。動きがあるのであれば、ウチからいろいろなものをご提供するのですが、こちらに実入りが何もないわけですから、ちょっとおかしいのではないのと。 編: そうした意味では、東南アジアに立ち返るという点でも原点回帰と言えそうですね。 安田氏: そうですよ。原点回帰というのは私の持論ですが、ゲームって化粧品でいうと、百貨店で売られている高級品に該当する商品だと思っています。それ以外に訪問販売もあれば、薬屋で売っている化粧品もあれば、スーパーで吊るしてある化粧品もあります。スーパーで売っているような口紅は安いけどが悪いから1回使って捨ててしまうような人たちもいるのだけど、デパートに売っているような高額商品は、しっかり説明をして売らないとだめなのです。 大手量販店だけでハンドリングしている場合、どうやってキャンペーンしているわけ、送ったポスターどうなっているわけ、ノベルティどこにいってしまったわけとなってしまう。そういうのが意外と日本は多くなってしまった。アジアは説明販売をしてくれるところということで、ある面強みがある。彼らも大変なのだけど、月に1度SCE Asiaの社員が日本に情報を仕入れに行って自分たちで消化をして、代理店さんを呼んで小売店さんを呼んでそれを導入している。これは大事な作業だと思います。それがなければコンテンツをこれがすごいのだよねって説明したり、遊んでみたりという作業がなくなったらどうやってコンテンツが良いか悪いか言えるようになるのでしょうか。それだけは基本としてしつこくやっていきたいです。 韓国あたりでもまだまだ百貨店が花盛りで、まだ百貨店の袋を下げていると優越感にひたれるようなそんな感じがあります。10年前か15年前くらいの日本みたいというのがあるのです。そこで起こっていることをよく見ながら行く末を考えていかなければいけない。 編: SCETで今後の取り組みについて考えていることがあれば教えてください。 本間氏: 同じです(笑)。正規品のソフトをもっともっと売っていきたい。今安田が申した販売における基本的なことです。うちにいる営業の担当の者に、僕がソフトを売るときに一番大事なものは何かと聞くと、即答で「在庫チェックです」と答えが返ってくる。ただいろいろなプロセスがあって在庫チェックですと言うところまで時間がかかってしまうのです。とにかくそれを体で覚えて浸透するように基本動作として通じることがあります。 編: 個人的には「Railfan 台湾高鉄」に続く、新たな台湾コンテンツの誕生に期待したいところですが。 本間氏: 近いうちにそういう発表ができればよいなと思います。それは常に考えています。
■ 台湾クリエイター育成プログラムや映像配信ビジネスの今後について
本間氏: プレ講座と申しまして、実験的にやった授業が3回ありました。正式開講は2009年9月の新学期から始まります。 編: 予定より結構遅れている印象がありますね。 川内氏: 綺麗に言えば、台湾の方は慎重です。香港やシンガポールでも同じような育成プログラムをやっていて、香港では最初のフェーズは終わっているのです。それを我々の方で評価して、今後どういう風に生かせるかというところまで、国や地域によって異なるのですがスタートしているところは同じなのです。台湾は違うやり方で進んでいるものと、他の地域ではいわゆる講座として進んでいくところと。いずれにしろ当面は香港や台湾、シンガポールでそれぞれ最適化された方法で展開していきます。 本間氏: 台湾はこれまで3回実験的に開いた講座では、参加した学生さんが、大学で単位として認定してもらえるような講座にしてほしいという要望が非常に多く、社会人の場合、資格として取れるようなプログラムにしたいと。後はこちらのいわゆる文部省ですとか、学校のスケジュールに合わせたカリキュラム展開を考えなければいけません。 安田氏: 何回も言うのだけど、子供も生まれてから歩くまで時間はかかるし、しゃべるまで時間がかかるし、1人前の子供になるまでに何年もかかるわけではないですか。そのプロセスを我慢できないところがあるのですよね。利益はどうなっているのだ、儲かっているのかいないのかといった話になるとなかなかね。学生さんたちもピュアなのだから、私たちもピュアにやっている。かたや金のことしか考えない大人たちが群がってくるみたいな構図という感じで、ちょっと難しいところがあります。 我々は販売会社だから、あんまりどろどろに巻き込まれていくと何をやっているかわからなくなってしまうのですよ。時間をかけてやるしかないですよね。割って入って話をまとめてかかろうとあるわけではないですか。でもそれってうちの仕事ではないのではないのと言いながらやっているので、若干時間的には思ったよりかかっていますが、しょうがないことだと考えています。 編: 香港やシンガポールでもすでに協力の実績があるのですか。 安田氏: まだモノを作って売りましたということはやっていないですが、教育を受けた人たちが動くゲームを作ったものを昨日一昨日あたりに見たところです。 編: 3地域目ということになるのでしょうか。 安田氏: 香港、台湾、シンガポールと来ているのでそういうことになりますね。韓国あたりもやろうと思えばね。まだ具体的な話はどこの大学ともしていないのだけれども。2009年9月からスタートというところで、まずはスタートを切ったというところですね。まだ成果については国によってもずいぶん違いますからね。 編: 映像配信についてはいかがでしょうか。日本や欧米でも「PlayStation Store」を介して本格展開がスタートしましたよね。アジアではいかがでしょうか。 川内氏: 検討している段階です。 安田氏: まだ鋭意検討中の段階です。どういう形で具体的に動くかを揉んでいる最中です。やらなければいけない仕事はたくさんあって、それで時間と金を使ってしまうと他に回らなくて、タイミングを見計らってということになります。 編: アジアで配信されるコンテンツはSCE Asia独自のものになるのでしょうか。 川内氏: SCE Asia独自のものもあります。日米で提供しているコンテンツについても検討しているものはあります。それにプラスしてSCE Asia独自のコンテンツも盛り込むつもりです。それがいつ配信できるかはまだです。いろいろと仕組みづくりもありますし。 安田氏: この前フィリピンのホテルでテレビで見ていたら、「冬のソナタ」がタガログ語で放送されていました。でもすごくスポンサーが付いているのです。最近パキオさんというボクサーがいて、その試合はとにかく凄い数のコマーシャルなんです。いつボクサーが打ち合っているのかわからないくらいコマーシャルが多い。「冬のソナタ」にしたっていつ次のストーリーが始まるのかわかったものではない。それだけ映像の人気が高いんですね。1つの国の言葉に転換してやっているわけですから、それが正しく転換しているかは分かりませんよ。両方とも言葉がわからないからね。でもそういうことは多いですよ。何を配信したら一番受けるのかなということを考えないと、日本で配信したものをそのまま配信したら受けませんでしたといった形ではまずいですからね。 編: 日本の動画配信サービスはアニメに比重が置かれていますが、アジアではどうなりそうですか。 川内氏: アニメはもちろん考えていますが、具体的に何からという話にはなっていないです。またいつからという話も同様です。やりたいから調べていますという表現が妥当だと思います。 編: シンガポールでは、いまだに膨大な量のビデオCDが販売されていますよね。ビデオCD屋というものが商売になってて、そこには大量の正規品が置かれ、値段も安いのですが、個人的に驚かされるのは「その画質で良い」という価値観です。これはアジアでの動画配信ビジネスは一筋縄ではいかないなと思いました。 川内氏: まずは十分な量のコンテンツを集めることですよね。我々がサービスを開始したとしても、コンテンツがあふれかえっているところに少ないままリリースしてもあまり意味が無い。次に価格をどうするか。価格は違法でやられているビデオCDやDVDに対抗するのと同じく大変なことです。我々は正規で配信しようとすると最低の配信ダウンロード数やギャランティーが発生するしないに関わらず考慮しなければいけない。その辺の兼ね合いが難しくなっています。 我々がスタートするときにそれらの要素をすべて揃えなければ勝負にならないのかもしれませんが、とりあえずは始めてみようかというスタンスもありではないでしょうか。そうすると結局見向きもされないようになってしまうと最初から躓いてしまうとつまらないし。ジレンマがあります。
■ 今年の目標は社内シェア10%。「シンプルな流通体制の構築をこつこつと続けていく」
安田氏: 現段階では10%を目指しています。昨年もだいたいそれくらいを目指していたのだけど為替で目減りしちゃったんだよね。ちょっと届かなかったのだけど、来期は行こうと思っています。 川内氏: アジア通貨が他のリージョンに比べて弱いので、円換算するとかなり目減りしてしまうのです。 安田氏: 台数・枚数は行っているのだけど金額にしてしまうとアレみたいな感じになってしまうのです。今回もバジェットの段階からするときつめの為替レートにしながら、やっていって「アレっ?」とならないようにしないと。 編: SCEという会社はリージョンごとに独自の取り組みをされていますが、2009年度のSCE Asiaの目標は何でしょうか。 安田氏: アジア地域とは、要するに平行業者によって供給されていた地域なのです。日本からモノが香港に流れたり、アメリカから流れたり、ヨーロッパから流れたり、香港から中国にいったり他のアジアの国にいく。シンガポールは昔からハブだったわけです。そういうようなところがトレーダー地域と呼ばれていて、ここをちゃんとしたオペレーションで見るか見ないかで会社全体の利益に関わってくると思うのです。無為な値段競争に入らないような方向性というのが私が取り組もうかなとしていることなのです。具体的にどういうことなのかということは来年にでもお話しさせてください(笑) 編: アジア地域に正規ビジネスの普及に努めていくことが基本的なストラテジーということになるのでしょうか。 安田氏: 我々は100円のものを105円で売って5円儲けましたといった商売しか基本的にはないのです。最初はどうしていたかといえば、ハードで儲からなくてもソフトで儲ければ良いやというビジネスモデルでした。そんなことをやられたらSCE Asiaなんてひとたまりもありません。ソフト1枚作ればいくら儲かるという地域もある中で、アジアはソフトが儲からないわけだから。その中でなんとか四苦八苦して生き残ってきたので、それをもうちょっと続けたいと思います。ハードでも利益が取れるようなビジネスモデルに作り変えていきたいです。 編: ハードウェア方面で、今年何か面白い試みはあるでしょうか。 安田氏: いろいろあると思いますよ。これは会社として発表しなければいけないことなので、私の口からはなんとも(笑)。 編: SCEさんのハードは、近年特に様々なうわさが世界中を飛びまわっていますが、最近その数が増えてきましたよね。 安田氏: 何度かこういう風にお話をさせていただければ、様々な計画を、ある程度ニュアンスとしてお伝えできるかなと思います。いろいろなことをやっていきますよ。 編: PS3はどういう風に変化していくのでしょうか。 安田氏: 変化と言っても、PS3は値下げすればもうちょっと売れるようになるとは思うのですが、販路というものがありますからね。うちはとしてはあまりウェルカムではないのです。 編: PSPに関してはUMDが無くなるのではないか言われ続けていますが。 安田氏: 誰かそんなこと言ってましたか?(笑) いろいろな可能性があって、それぞれ担当者が付いて必死で検討していますので、形になれば発表できることになります。世の中、暗い話ばかりなので会社としてもそういう発表はしたくてしょうがないでしょうし。遠からずいろいろと発表が出てくると思います。 編: 最後にアジアの皆さんにメッセージをお願いします。 安田氏: 家電の商売と我々の商売はまったく別だと考えています。家電では同じようなテレビ、同じようなクオリティ、同じような金額の競合商品はいくらでもありますが、我々はそういうものではなくて、我々からしか買っていただけないような商品を売っていると考えています。一生懸命取り組んでいるのはソフトメーカーさんに見ていただいて、我々に商品を預けていただいて、それを販売しながらシンプルな流通をしていきたいなと。 なぜシンプルな流通作りをしたいかといえば、縛るわけではないのだけど、勝手にやたら安くしてみたり中古をやってみたりということがないようにしていきたいし、ソフトメーカーさんにもう少し利益を上げるような体質にしていかないと良いソフトが出ないと我々の商品も売りづらい。そうしたことをコツコツとやっていくだけです。かなり皆さん努力してくれて、欧米のソフトメーカーさんもかなり契約していただいて、ソフトもどんどん出ているのです。 今までウチがパブリッシュしていないメーカーさんのものをパブリッシュしているケースも増えてきています。これをもっともっと進めていきたい。少ない人数の中でやっているので家に帰れない人が増えていて討ち死にするやつが以前よりも増えてきていますが(笑)、SCE Asiaで安心して正規品を買っていただけるような土壌を広げていくことを現場でやっています。そしてアジア市場では欧米の商品もウチ経由で買えますよということを実現させていきたいです。そうすると買う方も安心して買えるような形になると思います。 仮に新品が5,000円だとしたら、何カ月か経ったあと2,000円にして改めて出せば買いやすいわけです。そういうことを一生懸命やっていきたいです。昔からやっている基本をやっていきたい。とっぴなことは言いませんが、安定感を持ってやっていきたいです。安定というのは後退の安定ではなくて、安定して前進していきたいです。やることはいっぱいありますので、アジアの皆さん期待していてください。 編: ありがとうございました。
(2009年3月11日) [Reported by 中村聖司]
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