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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人150台湾ドル(約450円) 日本で「WEBゲーム」というと、古くは「箱庭諸島」のようなCGIゲームや、Hangameで遊べる無数のFlashゲーム、あるいはJava、Shockwaveベースのブラウザゲームをイメージする方が多いと思われるが、ここで言う「WEBゲーム」とは「WEBブラウザを介してプレイするオンラインゲーム」のことを指す。原則として無料のサービスであり、ゲームクライアントのダウンロードやインストールが不要といった部分が強みとして挙げられるが、そうした条件を満たさなくてもWEBブラウザで動くオンラインゲームはすべてWEBゲームに含まれる。
日本でも「アルテイル」や「リヴリーアイランド」など、いくつかのWEBゲームが確認できるが、WEBゲームのノウハウはモバイルゲームでの適用が主流になりつつあり、CEDECやOGCでのディスカッションもほとんど行なわれていない。今回の台湾取材ではことあるたびにWEBゲームについて話を向けてみたが、重要な事業戦略のひとつとして捉えるメーカーもいれば、歯牙にも掛けないメーカーもいるなど、実に様々な意見を聞くことができた。そこで今回は、WEBゲームの実態を把握するため、WEBゲームですでに成功経験を持つメーカーの取材を敢行した。
■ Gameflierの自社開発タイトル第1弾はWEBゲーム「WEB三国」
「WEB三国」は、2007年8月にβテスト、2007年12月に正式サービスを開始し、現在までに累計会員数25万人を記録するヒット作となっている。最高同時接続者数は19,000人、アクティブユーザーは30,000人と、クライアント型のMMORPGと比較しても遜色のない数字をたたき出している。 ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金を採用。黎明期に作られたゲームらしく、公式サイト上でアイテムを購入するとシリアルコードが発行され、それを入力することでアイテムが手に入るという手間がかかる仕様になっているため、客単価については伸び悩みの傾向にあるという。ちなみに、この反省を受けて、今後開発していくWEBゲームは、インゲームでアイテムが購入可能なシステムに改良していく方針だという。 「WEB三国」の基本的なゲームデザインは、CGIゲームを彷彿とさせるターンベースのシミュレーションゲームで、MMORPGのように張り付いてプレイするタイプのゲームではない。リアル時間で進むゲーム世界の変化を予測して、1日数回コマンドを入力するだけで遊ぶことができる。コーエーの「三國志」ライクに、都市を発展させ、兵士を訓練し、他のユーザーが守る隣接の領地に戦いを仕掛け、領土を広げていく。台湾では人気のWEBゲームとなっており、一般的なオンラインゲームと同じように2カ月に1度アップデートを実施して、絶えずゲームの拡張を行なっているという。 「WEB三国」開発ディレクターの羅志達氏にWEBゲームのメリットを聞いたところ、複数のゲームと同時に遊べるために他のゲームと競合関係になりにくいこと、WEBブラウザを使用することによる他業種とのコラボレーションの容易さ、フルスケールのMMORPGと比較してサーバーコストが安く済むこと、そしてバグのチェックやアップデートの容易さなどを挙げてくれた。デメリットとしては、グラフィックスや演出面で、ブラウザ上の制限を受けてしまうことだという。
現在把握しているWEBゲームの数は、台湾だけで30タイトル以上。中国の200タイトル以上と比較すると少ないが、2009年はもっと増える見込みだという。WEBゲーム単独の売り上げやシェア、ユーザー数などを集計したデータは存在しないため、その全体像は誰もわからないということだが、現時点でGameflierがそれなりのシェアを確保しているのは間違いないようだ。 ■ 開発パイプラインを3本に増強し、2009年は3本以上のWEBゲームを投入
まず、動線については、Softworldグループのブログサービス「GLOG CITY(蒟蒻市)」からログインする形とし、WEBゲームのウィークポイントであるコミュニティサービスの不備を補っている。 次に開発体制については、初期の1本から一気に3本の開発パイプラインに拡充された。ひとつは「WEB三国」のようなストラテジーゲームを手がけるライン。こちらは現在「WEB水滸伝(仮)」を開発中だという。次にスポーツをテーマにしたライン。こちらは野球をテーマにしたWEBゲーム「WEB棒球」と、サッカーをテーマにしたWEBゲームの2タイトルを開発中だという。3つ目がRPGを担当するライン。羅氏は「『ドラゴンクエスト』のようなRPG」という形容の仕方で説明してくれたが、こちらについてはまだ詳細を話せる段階ではないということだ。 最後にラインナップについては、自社開発のみにこだわらずパブリッシングタイトルも展開する方針に転換。現在準備を進めているのは中国で大ヒットを記録し、数々の賞を受賞したという中国盛大の「縦横天下」。中国では2007年12月よりサービスを開始し、中国国内のWEBゲームでトップ3を占める人気を獲得。200タイトル以上がひしめくWEBゲームの最激戦区となっている中国市場におけるシンボル的な存在になっているという。 台湾では2008年12月にクローズドβテストを実施し、2009年1月からオープンβテストを開始したばかりだという。同時接続者は4,000人から5,000人の間で推移しており、反応は上々のようだ。 ゲームの内容は、「WEB三国」と同じ三国志をモチーフにした2Dのストラテジーゲームで、ゲーム画面は「WEB三国」よりさらに一回りシンプルな印象だが、Gameflierとしては、「縦横天下」の商業的な成功はあまり重要ではなく、中国で成功したタイトルから、中国成功へのヒントを掴むのが狙いだということだ。 自社開発タイトルとしては、先述した「WEB棒球」のサービスが予定されている。ゲームの内容は、プレーヤーは球団のマネージャーとなって、架空のプロ野球チームを率いていくということで、話だけ聞くとセガの「プロ野球チームをつくろう!」のようなイメージだが、実際は「WEB三国」のように、市街が描かれたフィールド画面があって、プロ野球選手のための各種施設を建ててレベルアップしていくようなギミックもあり、ゲーム画面はコンストラクションゲームのようだ。
「WEB棒球」は3月にクローズドβテスト、4月にオープンβテストの実施を予定。また年内にもう1本程度の新規WEBゲームの投入を計画しているという。同社のタイトルは、パブリッシャーが見つからないことから日本では未進出だが、「WEB三国」についてはすでに日本語による無料サービスも行なっており、進出の意志は強い。興味を覚えた方は一度プレイしてみるといいだろう。
□Taipei Game Showのホームページ (2009年2月15日) [Reported by 中村聖司]
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