|
会場:台北世界貿易中心
入場料:大人150台湾ドル(約450円) アーケードゲームに関しては、弊誌でも過去に何度かレポートしてきているが、陳水扁前総統が台北市長時代に実施したアーケードゲームの締め出し策が尾を引き、未だに台北市ではアーケードゲームが規制されている。 正確に言うと部分的に解放されつつあるのだが、台北では学校などの公共の施設から一定の距離離れなくてはならなかったり、設置するマシンひとつひとつに許認可が必要となるなど、多くの規制がある。その上、営業許可が下りる店舗数に制限があり、一定以上は増えない仕組みになっている。ここ数年は開放化の傾向に向かっているというが、それでも日本水準のゲームセンターは、台湾を代表する繁華街の西門町などのごく一部のエリアに片手で数えられるほどしかない。 そうした環境下で、バンダイナムコゲームスは、昨年より一回り大きいブースで、アーケードゲームに特化した出展を行なっていた。アーケードゲームとしては過去最大規模の出展を果たした同社の意図はどこにあるのか取材した。
■ 「太鼓」1タイトルから、バリエーション豊かな4タイトルに拡大したバンナムブース
順番に紹介すると、まず、唯一2年連続の出展となる「太鼓之達人 亜州版」は、予定通り2008年4月が台湾、香港、中国等のアジア圏で出荷が開始され、「太鼓の達人 12」の並行輸入品がガンガン入る中で、数百台単位の販売を記録し、当初の目標を達成することができたという。 成功の要因は、外装やポップはもちろん、インゲームのテキストからシステムボイスまですべて中文化したことと、もともと並行輸入品で親しみのある「太鼓の達人」を、馴染みのC-POP(Chinese POP)で遊べるように現地のレコード会社と提携したことだ。 出荷台数については、そもそもの店舗数が限られていることもあり、平行輸入も含めて、台湾と香港で500台程度が設置されているという。現在、「太鼓の達人 12」をベースにした「亜州版 2(仮)」を企画中ということで、「亜州版」で培った経験を活かし、前作以上のC-POPを収録し、ポップなどもアジア仕様に変えていくという。リリース時期は2009年中を予定し、2009年9月に開催される台湾最大規模のアーケードゲームの展示会「GAME TIME INTERNATIONAL EXPOSITION」への出展を目指しているという。 さながらゲームセンターのような活況を呈していたのは「鉄拳 6」出展コーナー。2台による対戦台仕様になっており、入れ替わり立ち替わり、経験者たちがプレイする姿が見られた。中にはどこから入手したのかIDカードを持ち込む猛者もいて、台湾にも熱心なファンが多いことを伺わせてくれた。 「鉄拳 6」は台湾では、2008年末に申請が降り、2009年1月から出荷がスタートしている。言語は英語で1プレイ30台湾ドル(約90円)。IDカードは使用できないため、個人データを蓄積してのプレイはできない。筐体は日本と同じように販売のみとなる。 それから、大型筐体のガンシューティングという物珍しさもあって黒山の人だかりだったのが「Razing Storm」だ。マシンガン型のコントローラが特徴的なハイデフクオリティのガンシューティングで、兵役のある台湾ではガンシューティングは親和性が高いのか、手慣れた手つきでプレイする来場者の姿が見られた。こちらもすでに申請が下り、3月の稼働開始を予定しているという。言語は英語で、1プレイ30台湾ドル(約90円)を予定。
■ トレーディングカードゲーム「アニマルカイザー」で、ポスト「ムシキング」を狙う
この分野ではセガが先行しており、同社を代表するトレーディングカードゲームである「甲虫王者ムシキング」は実に5年前の2004年から台湾で展開を開始している。「アニマルカイザー」は、いわばこの後追いということになる。 2004年といえば、アーケードゲームに対する規制がもっとも厳しかった時期であり、それにも関わらず、台湾でも販売できたのはなぜか。実は「甲虫王者ムシキング」は、ゲーム機ではなく、クレーンゲームやガチャガチャなどと同等のノンゲーム機で申請していたため、アーケードゲームの規制を受けることなく、ゲームショップやデパートの一角などに自由に設置することができた。 実際、セガのカードゲームは、一時のブームはすでに去り、どの店舗のコーナーも閑散としているものの、現在も街中の至る所で見ることができる。このセガの成功の方程式を活かして参入を果たすのが「アニマルカイザー」というわけだ。 ローカライズに関しては、現時点、筐体のテキストのみ中文化し、ゲーム内のテキストやカードのテキストは日本語のままとなっている。これは今後予定されているロケテストで人気や好みをリサーチして最終的にどうするかを決定するという。 最後にアジア向けのアーケード事業の今後の計画について聞いたところ、「まずは今回お見せした現在進めているプロジェクトをしっかり成功させたい。次にオンライン対応。本音を言えば『戦場の絆』のような大型筐体もどんどん展開していきたいが、ある程度の台数が揃わない状態で始めてもすぐに飽きられてしまうので、そこは慎重に行きたい。アジア展開は今後も引き続き力を入れていくのでどうぞご期待ください」と抱負を述べてくれた。
同社の海外アーケードビジネスがどの程度の規模に成長するかは現段階では未知数だが、アジア市場は台湾、香港で終わりではなく、中国、東南アジアと肥沃な市場が眠るところに大きな魅力があり、期待度は高い。同社の取り組みに引き続き注目していきたいところだ。
□Taipei Game Showのホームページ (2009年2月13日) [Reported by 中村聖司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|