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会場:ITS市ヶ谷健保会館
観客席などは設けず、出場選手とメーカー、メディアのみという小規模のイベントだったが日韓のユーザーの温かな交流が見られた。また、メディア向けに「WYD」の今後のアップデート計画が語られた。「WYD」はHUEが2005年から、韓国では2002年からサービスしている古参のタイトルであるが、ユーザーの熱意を感じさせるイベントだった。
■ 日韓戦の結果は1勝2敗、試合に対しての意気込みの違いや、運営の経験不足も浮き彫りに
日本チームは2008年11~12月に行なわれた最強ギルド決定戦、「天上大戦」において優勝したチーム「CRESCENT」の4人のメンバーの内3人と、準優勝チームのリーダーを加えた4人が出場した。韓国チームも奇しくも同じように、最強のギルドから3人、ライバルである2位のチームから1人という構成だった。 「WYD」はHUEが2005年からサービスしているMMORPG。北欧神話をテーマにした作品で、開発は韓国HanbitsoftのハウススタジオJOYIMPACT。韓国では2002年からサービスされており、古参プレーヤーを中心に根強い人気を持っている。日本では2つのサーバーが1つに統合されるなどサービスのシュリンク傾向は否めないものの、PvP、チャンネル規模でのRvRも体験でき対戦は盛んだ。日本では、最強ギルドができては、その他のギルドが結束しそこに立ち向かう、というコアプレーヤー達の戦いが繰り広げられているという。 「WYD」はこれまでに、2007年に日本のユーザーを韓国に招いた日韓戦、2008年はオンラインによる「WORLD CHAMPIONSHIP LEAGUE」を開催している。今回の戦いは、韓国のメンバーを日本に招くという形で行なわれた。韓国チームは、空港から直接会場へ向かうというスケジュールだったが、前日はネットカフェでチームメンバーが集まり、徹夜でチーム内の連携を練習するという気合いで試合に臨んだ。 試合は3つのルールで戦う、という形式で行なわれた。第1試合は4層ある塔のモンスターを全滅させ最上階までの時間を競う「タイムアタック」。第2試合は闘技場で激しくぶつかり合う「ギルド戦」。第3試合はモンスターが次々沸く中で習得経験値を競う「経験値争奪戦」だ。キャラクタはイベントのための特別キャラクタで、第1・第2試合用のキャラクタ、第3試合用のキャラクタと、2つのキャラクタを設定する。 今回使用するのは日本語クライアントだが、バージョンは韓国に準じており、スキルのバランスなどが異なっているという。試合用のキャラクタを作り、セッティングするという形式に日本チームは慣れていないようで、セッティングにとまどう場面も見られた。 第1試合の「タイムアタック」は韓国側の圧倒的なスピードが印象的だった。それぞれのキャラクタがスキルの効果範囲を正確に把握していて、効率的に狩りを進めていく中、日本チームは遅れてしまっていた。追い上げるものの届かず、韓国チームの勝利となった。 第2試合の「ギルド戦」では韓国チームが、1試合目と同じキャラクタを使うことを把握していないためメンバーが動揺するという場面もあった。日本チームは善戦し、一進一退の攻防を繰り広げるもののターゲットの絞り込みで韓国側が上手であり、必死に回復して踏ん張るものの、一人、また一人と倒されて敗北してしまった。 第3戦「経験値争奪戦」は日本チームの役割分担が印象に残った。韓国チームは積極的に日本プレーヤーを攻撃し、狩りの邪魔をするという作戦に出たが、日本チームは攻撃されているメンバーを回復しつつ、現われる敵を倒し経験値を獲得していく。韓国チームの猛攻に最後はメンバーが一人倒されてしまうものの、得点で勝利した。結果として日本チームの1勝2敗となった。 出場した選手は全体的に年齢が高めで、20代後半から30代後半といったところ、外国での試合ということもあるが、韓国チームは試合前、「負けたら韓国に帰れません」という冗談の中に本気が混じっているコメントをしていた。対する日本チームは、試合中、「強え!」、「やっぱり違う」といった声も挙がり、“強い相手と戦う楽しさ”を感じているように思えた。緊張感というところで両者は大きく違うな、という印象を受けた。 試合後選手達に話を聞いてみたが、キャラクタ選択での韓国側の戸惑いだけでなく、タイムアタックでは「日本の仕様ではボスが沸くはずで、それを待っていたら沸かなかった」といった仕様の違い、また日本側ではまだ実装されていないアイテムが使えたりと、両国の選手にとって戸惑いが大きかったようだ。試合の進行も含め、全体的に試合に関しての運営側の経験と配慮の不足を感じた。 この試合に限らず国際大会でいつも感じることだが、本当の真剣勝負を演出したいならチームをフォローし、メンバーが連携強化のための時間をつくるといった配慮をしなくては勝てないだろう。韓国チームは自主的に集まり徹夜で練習をしたという。日本はチームも、運営も含めて「イベント」として試合を楽しんでいたが、韓国チームは勝つことを“義務”として強く思っていた。 ゲーム大会のためにどこまで力を傾けられるかは、運営・選手両方に問われる課題であるだろう。チームを勝たせるために運営がどんな働きかけができるのか? こういった国際大会ではいつも考えさせられる部分だ。 試合後は選手、運営を交えた形での立食パーティーとなった。日本選手は日頃思うことを運営側に色々な意見を出していた。ユーザーは韓国側の情報を集めているが、実装される要素、されない要素で不満があるという。また、PK禁止チャンネルがあるが、RvRやPvPが重視される「WYD」では、禁止チャンネルを逃げ道として使うユーザーがいて、モチベーションが下がってしまう問題があるという。 日本のメンバーの1人は企画書を作成し運営に届けたとのこと。パーティーでは選手の意見にGMがノートを手にして選手達の意見をメモするといった場面も見られ、ユーザー・運営の「ゲームを良くしていきたい」という強い想いを感じた。パーティーで日本選手が韓国選手に語りかけたのは、「韓国の仕様によるゲームのルールの変化」について。アイテムや用語が乱れ飛ぶ非常に濃い話が展開していた。
今回の日韓戦は規模は小さかったものの、プレーヤー達のタイトルに対する熱い想いを強く感じた。特に日本選手達のメンバー同士の繋がりや、運営に届けたい意見、これからの期待など、コアプレーヤーならではの思い入れが運営側に直接届くという機会は有意義だと感じた。
■ 名声の高いユーザーのみが使えるドラゴンや武器を追加、今後の目標はサーバー間などより大規模な戦いを
これに加え現在キャラクタが到達できる最高レベル“戦職”のキャラクタが着用できる新アイテムも追加される。こちらはレイドボスのドロップ品など貴重品を材料として作ることができる。3月からは名声に応じて使用できる武器が追加される。こちらの武器はキャラクタの名前が付く、専用武器となるという。 今後の要素としては、これまで大きなアイテムがインベントリを占有していた問題が解決されすべてのアイテムが1マスに、カバンや倉庫の拡張もできるようになった。合わせて合成や装備、取引などのUIも変更されるという。 これ以外にも、ギルドメンバーが接続しているかわかるといったようなギルドシステムの改良、委託販売により狩りと露店販売が同時にできるシステム、プレーヤーを補佐するペットや新規課金アイテムなど様々な要素が追加される予定だという。 開発元のJOYIMPACTで「WYD」の企画を担当するパク・ゲホ氏は「『WYD』は様々な国でプレイされているゲームで、今後はもっと広がっていって欲しいと思っています。『WYD』の魅力はRvRにあり、サーバー間や国家間の垣根を越えた戦いができるようなシステムも考えています」と語った。2008年にはオンラインでの世界戦を可能にしている「WYD」だけに、今後定期的に世界戦が行なわれるとなれば非常に楽しみだ。 今後は新アイテム追加、UIの改善ということで、発表された要素はユーザーが望んでいるものであるのは確実だが、MMORPGを俯瞰的に見ると革新的な要素というのは見えにくい。RvRをテーマにした作品としてどのように進化していくのか、また日本のユーザーの熱意をHUEがどう橋渡ししていくかに注目したい。
JOYIMPACTは最新作として「AIKA」というMMORPGを開発し、韓国では年末にサービスし、好評を博している。こちらの日本展開などは残念ながら聞くことができなかった。RvRをテーマに「WYD」から発展させたエンジンで制作されているMMORPGということで、こちらも今後が気になるところだ。
□ハンビットユビキタスエンターテインメントのホームページ (2009年2月9日) [Reported by 勝田哲也]
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