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G★2006レポート

Hanbit Soft、「ネオスチーム」、「WYD」開発者が語る今後のプラン
日韓双方の意見を取り入れて進化を続ける2つのMMORPG

11月9日~12日 開催

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(約650円)
子供3,000ウォン(約390円)



 韓国のゲームメーカーが一堂に会し、最新作の展示、発表を行なう韓国のゲームショウ「G★2006」。今回はこのイベントに先がけて、Hanbit Softの開発スタジオを訪問し、さまざまなタイトルのお話を伺った。本稿では「ネオスチーム」と「WYD」の今後の展開をお伝えしたい。

 Hanbit Softの開発スタジオは、本社から少し離れたソウル北西部の新村(シンチョン)にある。ここでは「ネオスチーム」や「TANTRA」などが開発されており、「WYD」や「AIKA」を開発するJOYIMPACTもこのビル内で開発を行なっている。部屋ではモニターと向かい合っているゲーム制作者が、息抜きにテラスで談笑していたりと、開発スタジオならではの独特の雰囲気があった。

ソウル北西部、新村(シンチョン)にある開発スタジオ。新村は多くの大学がある学生街。本社はここから車で30分ほどの麻浦(マポ)にある。


■ 「ネオスチーム」は、高レベル向け要素と、拠点を奪い合うRvRに注力

「ネオ・スチーム」プロデューサー ホン・チャンファ氏。今後のゲーム展開についてさまざまなポイントを紹介してくれた
「ネオ・スチーム」開発チームのソン・ホジェイ氏。新要素のイメージや細かいルールに関して説明を行なった
「ネオ・スチーム」では、プロデューサー ホン・チャンファ氏と、開発チームのソン・ホジェイ氏に話を伺った。韓国での「ネオスチーム」はアイテム課金制の正式サービスを開始して1年近く経過している。登録ユーザーは累計で30万人を突破したが、現在のアクティブユーザーは明らかにしていない。

今回具体的なアップデートプランとして提示されたのは、「高レベルユーザー向けの新しいフィールド」、「拠点を奪い合うRvR要素」の2点である。この他、第3の国家のこれからや、日本向けの要素なども明らかになった。実装予定としては、高レベルフィールドが韓国では年末、RvR要素が来年の1月の予定だ。日本ではそれから1カ月ほどのタイムラグで実装されるという。

 現在の「ネオスチーム」はレベル84までのモンスターしか実装されておらず、高レベル向けユーザーは経験値を稼ぐ場所がないというのが現状だった。今回、レベル50以上のキャラクタが入ることができる、「ロフアイル」地帯に高レベルプレーヤー向けの地域が追加される。より上位のレベルを目指すプレーヤーへ向けて85~99レベルまでのモンスターを配置し、現在のキャラクタのレベル上限である99までキャラクタを育てることを可能とするという。

 場所のイメージとしては「廃墟」となるようで、さらにボスキャラクタが出現する場所はマグマが流れる溶岩地域になる。この高レベル地域は、来るべきRvRへ向けてさらなる強さを求めるプレーヤーの力を蓄えさせる役割も担う。もちろん、RvRに興味がなく、ただひたすらキャラクタを育てたい、という人にもぴったりの場所となるだろう。ストーリー性の高いクエストなどを盛り込む事は今は考えておらず、純粋にキャラクタの能力をアップするために戦う場所になるという。

 そしてそれからおよそ1カ月語に、RvR要素が実装される。こちらもロフアイル地帯に、3つの基地が設置される。基地は初期状態では1つが技術国家、1つが魔術国家に所属しており、真ん中にある基地は中立になっている。この拠点をめぐってプレーヤー達が激しく争うこととなる。

 それぞれの基地には「スチームコア」が設置されている。最初は1週間に一回、攻撃期間が設定されており、防御側はこれを一定時間、守り続けなくてはならない。防御側は、小、中、大の3種類ある「ブロック兵器」をうまく配置し、攻撃側を阻むことが出来る。攻撃側はRvRに合わせて実装される攻城用のスチームマシンを使って、防御ブロックを破壊していく。

 基地を奪い、どちらかの支配下におくことで、国家はその領土を広げることができる。支配下に置かれた地域では、所属プレーヤー達は防御力が増すなどの特典が受けられる他、制限時間が設定されたインスタンスダンジョンに入ることもできる。そこではさまざまなアイテムが入手できるという。

 拠点を奪い合う攻防ではプレーヤーはその活躍で「国家寄与度」というポイントを入手できる。このポイントをためていくことで国家内で高い地位を得ることも可能になる。高い地位を得たキャラクタはこの世界のエネルギーである「ネオスチーム」を多くゲットできるようになる。地位が上がれば特別な「スチームライダー」を利用できるという。

 ネオスチームは、現在、主に生産や乗り物の利用に使われているが、拠点争奪のRvRが行なわれるようになるとより一層エネルギーの価値が重要となるという。地位を高めることでより多くの配給を得ることも重要なことになりそうだ。ただ、話を聞いていると国家でバランスが崩れた場合どうバランスを取っていくか、戦闘で活躍する者よりもネオスチームが必要になるであろう生産職のプレーヤーにどのようにエネルギーを回すかなど、考えなくてはいけない問題が多く感じた。

 この拠点の争いは、当初は1週間に1回、プレーヤーの反応を見ながら週に2回、3回、と増やしていきたいという考えだという。また、基地の数も増やしていく予定だ。細かい仕様やバランスも考えて現在調整を行なっていると言うことで、より具体的なシステムや、攻城兵器の詳細、ブロック兵器を使った攻防などの具体的なイメージが提示されるのはもう少し後になりそうである。

攻撃側が使用する攻城兵器。一番右の機械は水上から攻め込むのだろうか
こちらは防御側の兵器。設置して敵を待ち受けるものから、遠距離攻撃行なうものなど多彩なものがあるようだ。今回のものはすべて中型のものだ


■ 第3国の存在、日本のユーザーの声を活かしたアイデアなど、今後の方向性

「ネオ・スチーム」開発室。25人ほどのメンバーが開発を行なっている
こちらも攻城兵器。メカのデザインは、本作の大きな魅力だ
 今回は、この2つの具体的な要素だけでなく、更に先の展開を見越したイメージなども聞くことができた。1つ目は、「さらなる敵」の存在である。「ネオスチーム」の世界はもともと大きな国家であったのだが、ある大きな災厄により破滅し、人々は、機械の力、魔法の力、そして自然との調和という方法を使って復興してきた。今後はこの前文明を破滅に導いた悪の存在がキーワードになっていくという。

 「もしこの存在が明らかになれば、争っている2つの国は手を結んでこれに立ち向かうことになるのだろうか?」という質問に対してホン氏は、「それも考えられる」とのこと。しかし当面は、2つの国家の戦い、という本作のテーマに正面から向き合い、こちらの要素に注力していくという。新たなる敵は、まだ提示しておくだけにとどめていくようだ。

 2つの国家に注力していく、という答えに対して気になるのは、3つ目の国家の存在である。当初開発プランでは3つの国家での3つどもえの戦いが行なわれるというプランだったが、ゲームが進行していく上で、開発チームは3つ目の国家に対しての扱いを少し変化させていったという。具体的には、新たなるプレーヤー国家ではなく、NPC達が治める小国家の集団、というイメージになる。

 自然国家の存在は、今後クエストなどでその存在が提示されていく。自然国家のNPC達がストーリーの上で大きな役割を果たすことも考えられるとのこと。開発していた自然国家ならではのキャラクタや職業などはデザインでは上がっていたが、まずは2つの国家の戦いにフォーカスを当て、スケジュールを組み立てていく。ユーザーの反応次第では、第3の国家としてプレーヤーが参加できる可能性も出てくるかもしれないという。

 現在あるキャラクタ達の進化は、レベル99以降のキャラクタの将来像として、更に細かく分化していく2次転職か、もしくは新しいスキルを提示させて行くかもしれないという。キャラクタがさらなる進化を遂げる場合にも、国家寄与度が大事な要素になる。

 また、日本にむけた展開も現在進行中だ。ホン氏は日本のユーザーの細かさと優しさに感心させられた。韓国のユーザーはバグを見つけたとしてもそれを自分の有利な方向に使いたがるが、日本のユーザーは何でもすぐに報告してくる。1年近くも先行してサービスをしているが、日本の指摘で初めて気がついたバグもあった。

 日本で本作を運営しているハンビットユビキタスエンターテインメントも「あなたのつまらないを教えて」というキャンペーンを行なっていて、積極的にユーザーの声を開発側に届けている。ホン氏はその意見を見て、キャラクタへの装備品の要望の多さに驚かされた。韓国ユーザーとはまったく違う注文のベクトルだったという。日本版のイラストを担当している李KPA(すもも けい ぴーえい)氏からも強い影響を受けた。今後は、日本市場を意識したコスチュームや新しい武器の追加なども行なっていく予定だ。

 最後にソン氏は日本のユーザーへ「『ネオスチーム』をご愛顧いただきありがとうございます。これから武器の追加や、目玉となるRvRv要素を盛り込んでいきますので、よろしくお願いします」と、メッセージをくれた。

新しいフィールドにいるモンスター。メカ的なモンスターがメインとなるようだ
こちらはボスモンスター。高レベルのプレーヤーを待ち受ける、強力な敵となるだろう


■ 傭兵システムを実装、さらなる進化を遂げる「WYD」

JOYIMPACTの「WYD」開発チーム、企画を担当するアン・ソンジュ氏
グラフィックス担当のチャン・ソンホウ氏
クライアントプログラマーのチェウ・ソキ氏
 韓国ではすでに5年という長い期間でサービスが行なわれている「WYD」の今後を語ってくれたのは、韓国JOYIMPACTの「WYD」開発チーム、企画を担当するアン・ソンジュ氏、グラフィックス担当のチャン・ソンホウ氏、クライアントプログラマーのチェウ・ソキ氏である。韓国での「WYD」の最大の特徴は、5年間の間で形成された、非常に強いコミュニティだという。

 登録ユーザーは累積で40万人、現在でも課金ユーザーは4万人を超える。高レベルユーザー達に合わせて、最高レベルのプレーヤー達を対象にしたフィールドや、より強力にキャラクタを育て上げる伝神システムなども用意されている。パーティープレイが必要となる歯ごたえのあるクエストが用意されていて、強力な敵との歯ごたえのある戦いを楽しめる。本作の最高レベルは400だが、ここに到達したプレーヤーも多く、プレーヤー達は攻城戦などPvPにも熱心だ。

 韓国では多くのプレーヤーが最高レベルに到達しているが、日本ではまだサービスを開始して1年なためにプレーヤーの全体的なキャラクタレベルは高くない。このため、200~300のキャラクタを対象にしたフィールドの実装なども行なわれている。日本のユーザーはまだ高レベルといっても300を超えたあたりの人が多く、今後も中間層へのアップデートは行なわれていくという。

 今後のアップデート計画としては、ギルド機能のパワーアップに重点が置かれる。ギルドのマークをキャラクタの頭上に提示できるようになったり、ギルド名簿の実装する。さらに攻城戦フィールドの追加も行なっていく。「WYD」の攻城戦は、以前は全チャンネルで同時に行なわれていたが、今後はこれをチャンネルごとに個別に設定することで、サーバー内のプレーヤーを一カ所に集めていくという。「より大人数のプレーヤーによる戦いを提示することで、プレーヤーの『WYD』の戦いの認識を変えていきたいです」とアン氏は語る。

 これからの「WYD」の目玉となる要素に、「傭兵システム」がある。この傭兵は外見は人間型だが、アイテムとして入手でき、この傭兵を育てていくことによってプレーヤーの強力なパートナーとなっていく。ソロプレイでも傭兵のバックアップを受けることでより強力な敵とも戦うことが可能になるという。実はこの要素は日本のプレーヤーからの意見がきっかけとなって制作されているシステムで、日本市場を意識し、忍者のような特性を持っていて、4タイプが制作されている。傭兵の性能などは今後詰めていくというところで、現在の実装時期は未定だ。

 今後、「WYD」は今後発売される新しいタイトルどう戦っていくか、という質問に対しては、「ゲームがスタートしてから5年という月日がたち、当時珍しかった3DのMMORPGというジャンルも一般的なものになってきました。『WYD』は古参プレーヤー達によるとても強いコミュニティを形成しましたが、一方で他の最新のゲームはどうだろう、という不安感を持っています。開発としては、プレーヤーの不安感を払拭するためにも常にやる気を見せているんです」とのこと。

 最後にチャン氏は、「日本のユーザーは現在はソロプレイ中心の傾向があるようです。『WYD』はパーティーでプレイすることで、もっともっと面白さが広がるゲームだと私達は思っています。是非コミュニティーを強くして、たくさんの仲間と共に冒険を楽しんでください」とメッセージをくれた。日韓のユーザーの意見を取り入れて進化していく「WYD」の今後に期待したい。

新要素となる傭兵。忍者的要素も取り入れられるという。様々な地域の雰囲気が取り入れられているのがユニークだ

新しい攻城戦マップ。より激しい戦いを体験できそうだ
ボスモンスターの全身像。ゲーム内ではどれほどの強さを持っているのだろうか

(C) 2004-2006 Hanbitsoft Inc. Studio Mars All Rights Reserved. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.
(c)2000-2006 JOYIMPACT Co.,Ltd

□G★2006のホームページ
http://www.gstar.or.kr/jap2/index.html
□Hanbitのページ(韓国)
http://www.hanbitsoft.co.kr/about/index.asp
□ネオスチームのホームページ(韓国)
http://ns.hanbiton.com/
□WYDのホームページ(韓国)
http://wyd2.hanbiton.com/index.asp

(2006年11月13日)

[Reported by 勝田哲也/中村聖司]



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