★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
美しく再現されたロスの街でストリートバトル
最強の走り屋を目指して無数のレースに挑め
「Midnight Club: Los Angeles」 |
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本作は「Midnight Club」シリーズの最新作。公道上の非合法レースをテーマとする作品だ |
ここロサンゼルスは走り屋のパラダイス。ツーリングカーからマッスルカー、スーパースポーツカーに至るまで乗りこなし、一般車をかわしながらの非合法レースでスタイルとスピードを追求する。抜け道の知識とドライビングテクニック、そして度胸でライバルを抜き去る。
株式会社スパイクが2月5日に発売したストリートレーシングゲーム「Midnight Club: Los Angeles」は、大都市ロサンゼルスを舞台に、ひとりの走り屋となって無数のライバルに挑戦するというレースゲームだ。対応プラットフォームはプレイステーション 3およびXbox 360で、緻密に美しく再現されたロサンゼルスの風景の中、公道上の危険なレースバトルを楽しむことができる。
本作の開発元は、大ヒットゲーム「Grand Theft Auto(GTA) IV」を開発したRockStar Gamesの傘下、RockStar Games Sandiegoスタジオ。広大な都市景観を緻密に再現するゲームエンジンは「GTA IV」譲りのハイクオリティで、さらに本作では車両に対して最大限の作り込みが成され、パーツの構成から細かい質感に至るまで、非常に緻密に表現されている。
本稿では、レースゲームファンならずとも思わず気になってしまうであろう本作の魅力をお伝えしたい。
■ ロスの観光名所をぎゅっと凝縮した街で、数々の実車を乗りこなして壮絶バトルに挑む
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ロスの街を緻密に再現。公道の雰囲気が良く出ている |
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夜になればヘッドライトの光が行き来し、雰囲気が一変する |
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雨が降ることも。ただし、路面が滑りやすくなるなど挙動に影響を与えるわけではないのでご安心を |
プレーヤーはアメリカ東海岸からロサンゼルスに移り住んできたひとりのドライバー。危険なストリートレースが横行するこの街でバトルを繰り返し、走り屋としてのキャリアを積んでいくというのがメインのゲームモードだ。
その舞台となるロサンゼルスの街は、ハリウッドから、サンタモニカ、ダウンタウンまで、実在の観光名所がひとつのギッシリと詰め込まれている。マップの切り替えなどはなく、すべてがシームレスにつながっている。都市景観は建物の形から看板に至るまで緻密に再現されており雰囲気は抜群だ。時間の経過も表現され、朝、昼、夜で全く違う風景を楽しめる。また、タイトルを「Midnight Club」というだけあって、昼よりも夜のほうが長めになっており、夜間レースになることが多い。
マップ全体のサイズは現実に比べてかなり小さく、ハリウッドから直接ダウンタウンの高層ビル街がはっきりと眺められるほどに縮められている。このため道路の繋がり方などは大胆に変更されており、現実の地図はあまり参考にならない。この点では、オアフ島をリアルスケールで再現することを目指した「Test Drive United」とは基本的な哲学が違うゲームと言っていい。
プレーヤーはこの町で様々な形のレースに挑むことになるが、プレイ開始時点では、街の新参者として、まずは一番グレードの低い車で実績を上げなければならない。レースに挑戦する方法としては、街中をクルーズしながらレースアイコンのついたライバルカーを見つけ、ヘッドライトを点滅させてシグナルを送るか、レーサーのたまり場となっている施設を訪れるなど、いくつかのやり方がある。基本的には、ロスの町中を流しつつ気が向いたらバトルに参戦、というドライバーとしての生活感を強調した作りになっている。
プレーヤーの成長を示すバロメータは2つあり、ひとつは稼いだお金、もうひとつは他のレーサーからの評判を意味する「REP(Reputation)ポイント」だ。はじめは乗れる車が少なく、挑戦できるレーサーも少ないのだが、レースに勝ちREPポイントを高めていくことで、その両方に新たなグレードが出現するようになっている。
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本作のレースはすべて公道上で展開!一般車とのクラッシュが命運を分ける |
レースは、そのすべてがロスの公道が舞台となる。道路交通法は完全に無視して、沢山の一般車をかわしながら激しい競争が展開する。ライバルにシグナルを送った時点、その場所から即座にバトルが開始されるタイプのレースもあるので、一般車が増える朝夕のラッシュタイムにレースを挑もうものなら、クラッシュの連続で完走すらままならないということもあるほどだ。
車両の挙動はかなりアーケードゲーム寄りといえるバランスで、直角コーナーくらいならばほとんど減速の必要もなく、大胆なハンドリングでドリフト気味に曲がっていける。ヘアピンに近い急激なコーナーでは減速の必要もあるが、少々壁にぶつかってもほとんどダメージはないので、むしろ高速で突っ込んでぶつかりながら強引に曲がるくらいの感覚でも問題ない。
そして何しろ公道上のレースなので、都市の地形を利用して強引にショートカットしてしまえるのが面白いところだ。ロスの街にはいろんなところに抜け道がある。駐車場や公園のど真ん中を突っ切ってチェックポイントに直進してもいいし、ショッピングモールに突っ込んで反対側に抜けてしまってもいい。その意味ではコースすら曖昧であり、いかに早くゴールに達するかだけが重要だ。
レースに勝てば賞金とREPポイントを獲得し、新たなライバルに挑戦することが可能となる。こうして公道上のバトルを繰り返し、やがてはロスの走り屋キングを目指すというのが基本的なゲームの流れだ。
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ロス市街をクルージング。警察車両に無謀運転を見つかると追われるので注意! |
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サンタモニカの海岸を疾走 |
ハリウッドの丘には有名な看板がそっくりそのまま再現されている |
E3の開催会場であるコンベンションセンターもばっちり |
■ 車好きのツボを刺激するカスタマイズ機能
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登場車種は40種類以上。日本車もふんだんに登場する |
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チューニング画面では各パーツを3段階に強化できる |
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外装・内装のカスタムは本作で最も力を入れて作られている |
そんな激しいレースに挑むクルマたちは、すべて実在の車両だ。チューニングカー、マッスルカー、ラグジュアリーカー、スーパースポーツカー、スポーツバイクといった各種のカテゴリに、有名メーカーの個性的な車両が揃えられている。日本メーカーからはマツダRX7、ニッサンSKYLINE GT-R V-SPEC、三菱LANCER EVOLUTION IX、カワサキNINJA ZX14といったハイパフォーマンスの車両が9車種登場する。
クルマファンにとって、本作最大のアピールポイントなのが、車のカスタマイズ機能だ。具体的には車両のチューニングと外観のドレスアップである。まず車の性能を上げるチューニングでは、吸排気システム周りから足回りまで13項目にわたるポイントが用意され、それぞれ3段階のアップグレードを施すことができる。
チューニングでは装着パーツのブランドを選ぶことも可能となっており、思う存分こだわることができる。ただし、ブランドの種類は各パーツの性能に全く関係せず、組み合わせの内容によって挙動に影響を与えることもない。純粋に性能を追究するだけなら、全パーツを最高レベルに設定するだけなので、その意味では実車におけるチューニングの楽しさを再現するところまでは至っていない。
一方、外観のドレスアップは十分なこだわりを感じる。車の外観を構成する、フロント、ボディ、リア、ホイール、内装、塗装に至るまで、実に細かい変更が可能なのだ。装着できるパーツはRockStarオリジナルのものと実在のカスタムパーツメーカーのものが含まれており、ホイールのリムだけでも15ブランド、50種類以上の形状が用意されているという徹底ぶりだ。内装を含め、全パーツをカスタムすればオリジナルとは全く違う車にしてしまえるほどである。
塗装機能も充実しており、車両全体の色や質感を細かく設定できるだけでなく、レイヤー方式の模様貼り付け機能を使ってオリジナルの意匠を車体に描くこともできる。「Forza Motorsport 2」のように事実上無制限のエディットが可能……というほどではないが、模様の色、形、大きさ、角度を変え、複数のレイヤーで重ね合わせることで、かなり自由度の高い編集が可能となっている。
作成した車は公開して他のユーザーに販売することも可能だ。人気が集まれば何十台と販売して大もうけすることもできる。クリエイティビティのあるプレーヤーはそこでセンスの勝負をしてみても面白いだろう。
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チューニングカー、マッスルカー、スーパースポーツカーなど、様々なカテゴリの車両でレースを楽しめる |
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オンラインに公開された中で人気のある車両をピックアップ。塗装機能を使ってキャラクタイラストを制作したケースもあるようで、これから日本でどのような遊ばれ方をするかが楽しみだ |
■ 無名のドライバーから走り屋のキングになるために必要なのは「技術」と「忍耐」
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ラッシュタイムにはクラッシュの危険性が高まる。若干減速してでも慎重に進んでいく方が確実だ |
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ライバルカーの後ろに付けばスリップストリーム効果で加速できる。タイミングを合わせてかわせ! |
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赤いチェックポイントがゴールだ。ここまでトップを維持できれば勝利は堅い。ミスをしないよう慎重に、なおかつ全速力で駆け抜ける |
さて、メインモードとなるシングルプレーヤーモードは、ロスで最強の走り屋になることを目指すというものだが、ゲームバランスとしては非常に難しく設定されている。何しろ公道レースゆえ、一般車にクラッシュしてしまうこともあるし、チェックポイントの確認が遅れて道を間違えてしまうこともある。どんなに優れた車に乗っていても、運が悪ければレースには勝てない。そして、大きなミスは即敗北に繋がるのだ。
そして、ミスを避けられないプレーヤーに比べ、コンピューター操作のライバルカーはなぜかほとんどミスをしないというのがクセモノだ。シングルプレイではプレーヤーが一般車にぶつかって転げ回っている脇をライバルカーが華麗に抜いていくシーンに何度も遭遇することになるだろう。
それではお金を貯めてハイグレードな車に乗り換えて、性能でぶっちぎれば簡単に勝てるかというとそうでもない。本作におけるライバルカーは、プレーヤーの車に合わせて速度を変えてくるという特性がある。プレーヤーが遅い車ならば遅く走り、速い車なら速く走り、いかなるレースでもデッドヒートが展開される仕組みになっている。
従って高性能な車、豊富な経験で挑んだとしてもライバルをぶっちぎることはなかなか難しく、その上、一定の確率で追突事故を起こし、敗北することになる。少々ぶつけてよろけるくらいならば問題ないことも多いが、一般車にかすって一瞬のコントロールが乱れた結果、連鎖的なクラッシュに巻き込まれることもある。道順を間違えて大幅なタイムロスをしてしまうこともあるだろう。こればかりは技術でどうにかなるものではなく、かなりの程度運次第という面もあるため、本作のレースで常勝はほとんど不可能だ。
そのため、本作で用意された数々のレースチャレンジに打ち勝っていくためには、ドライビングテクニックだけでなく、何度もリトライする忍耐も必要となる。ゴール寸前までぶっちぎりの1位で快走しているところに、ちょっとしたミスで一般車にかすり、スピンして連鎖衝突、大破して結局はビリという状況にもひたすら我慢の子だ。
また、そういった厳しいレースの中には「負けたら掛け金没収」とか、「負けたら“車”没収」といった条件のものもある。この手のレースはリトライが不可能で是が非でも勝たなければならないが、やはりクラッシュひとつで負けてしまうというハードコアぶりだ。
筆者はプレイ中、車を賭けたレースに連続で負けてしまい、その時点で保有していた車とお金を根こそぎ失ってしまった。なにしろコースを覚えるまではなかなか勝てず、何度もチャレンジするうちに保有する高性能な車から順番に無くなっていくのだ。こういう事が続くとイライラするどころかムカムカしてくるほどだが、これを耐えられるかどうか、楽しめるかどうかが、本作とつきあっていくポイントになるだろう。
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大抵のレースでは途中でやり直しが利くが、2位以下でもゴールすれば一定のREPポイントと賞金をもらえるため、最後まで走ってから再チャレンジしたほうがいい |
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高難易度のトーナメントレースは、連続3戦して少なくとも2回は1位を取る必要がある。レース単体のやり直しは利かないので、満足行く結果を得るまで大変な時間が掛かってしまうことも。根気強くトライしよう |
■ より確実に勝つためにはハンドリング性能重視。加えて「特殊機能」を使え
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機敏な車を使えば一般車をかわしやすくなる |
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重量のある車はクラッシュに強い。各車両の特性をうまく勝負に生かそう |
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「ROAR」を発動。前方の車両がクラッシュし、こちらは順位上昇 |
というわけで、かなり厳しめのゲームである本作とつきあっていく上では、勝率を上げるための知識と技を習得することが重要だ。ひとつは車の選択。ライバルカーがこちらの性能に合わせて走行する以上、最高速度の高さはあまりメリットにならない。レースで最大の脅威となるのは一般車との衝突なので、それをかわしやすい車、もしくはすぐにリカバリーできる車が、より理想的となる。
まず一般車をうまくかわすためには、車両のハンドリング性能が何よりも重要だ。コーナリング中でも走行ラインを即座にずらせるくらいの敏捷性があれば、潜在的なクラッシュの可能性をかなり低くできる。その面で優れているのが、日本メーカーのチューニングカーだ。最高速や加速は平均的なものの、ハンドリング性能が高く機敏で、とても扱いやすい。
もうひとつのポイント、クラッシュからのリカバリーの早さではマッスルカーが優れている。操縦性は劣るものの、重量とパワーがあり、一般車とぶつかっても少々減速するくらいで済む。テクニックに自信のないプレーヤーは、フォード、シボレー、ポンティアックといった各メーカーのマッスルカーをメインに選択するといいだろう。とはいえ足回りが万全といえずコーナーリングに弱点があるところは否めないので、なるべくハンドリング性能の優れた車種がお勧めだ。
そうして得たチャンスをさらに確実なものにするには、本作における固有の要素である「特殊機能」を有効に活用したい。「特殊機能」は車に装着できる特別な能力で、時間経過を遅くする「ZONE」、ぶつけた車に大ダメージを与える「AGRO」、前方の車両を左右に押しのける「ROAR」、近くの車両の制御を一時的に停止させる「EMP」の4種類がある。
「特殊機能」を使うためには、一定時間以上接触することなく高速で走り、ゲージを溜める必要があるが、その効果は使い方次第で絶大だ。筆者のお気に入りは「ROAR」だ。ライバルのすぐ後ろにつき、コーナリング中や対向車の多いタイミングを見計らって発動すると、ライバルカーがコントロールを失ってクラッシュする。その脇を悠々と走り抜け、一気に大差をつけるわけだ。
それでも勝率が芳しくないならば、「ライバルカーがプレーヤーの車両性能に合わせて走る」という特性を最大限に生かすしかない。具体的には、性能の低い安価な車で同じレースに挑戦すれば、相手もそれだけ遅くなり、しかも速度が遅いことで操縦しやすくなるので、勝てる可能性がぐっと上がるのだ。実際、17万ドルのランボルギーニ Gallardoでどうしても勝てなかったレースを、4,500ドルのニッサン240SXでトライしたところ、1発で勝利できた。これは本作の非常に特異な面と言える。
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コンピュータ操作のライバルカーは、こちらの車両性能に合わせた走りを展開する。高性能の車でどうしても勝てない場合は、安くて低性能な車に乗り換えてみよう。すると案外簡単に勝てるものだ |
■ マルチプレーヤーモードはシームレスに結合。最大16人でクルージングやレースを楽しめる
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オンラインモードへはゲーム中すぐに移行できる。非常にスムーズだ |
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マルチプレイレースでは、まずコースを良く知っていることが勝利条件 |
ソロプレイで有る程度の経験を積んだらマルチプレーヤーモードをプレイしてみるのもいいだろう。本作ではソロプレイモードで街をクルージング中にオンラインモードへの移行を選択すれば、そのままの位置でマルチプレイゲームに移行するという、シームレスなモード移行が実現されている。
マルチプレイクルージングやレースは最大16人までの同時参加をサポート。通信あるいは描画の問題からか、参加人数が8人を越えるゲームセッションでは一般車が居なくなるという制限がある。
クルージングそのものはゲーム的なルールは一切設定されておらず、単に他のプレーヤーと同じ空間を共有するというものだ。それが言わばゲームロビーのようなものになっており、その状態からいつでもレースやバトルを提案して、対戦を始めることができるという仕組みになっている。
対戦ルールとしては、一般的なチェックポイントレースや周回レースをはじめ、名所から名所へ自由なルートで競争する「ランドマークレース」、旗を奪い合ってスコアを競う「CAPTURE THE FLAG」、鬼ごっこ的なルールの「キープ・アウェイ」など、単純に速さを競うだけではない、幅広いモードが用意されている。
そしてマルチプレイレースでは車の性能がそのままプレーヤーの速さに直結するので、ソロプレイ時とは全く違うレース展開が楽しめる。同クラスの車両であれば完全にテクニックと知識の勝負だ。抜け道をうまく使えるプレーヤーなら、多少性能的なビハインドがあっても上位を狙える。
レースゲームではついつい最高性能の車で競いたくなるものだが、本作のマルチプレイでは低性能の車に限定したレースが意外と面白い。というのも、本作では抜け道の活用や、一般車を避ける技術など、低速だからこそかけひきが濃密になる要素が色濃いためだ。逆に最高クラスのカテゴリ車で競う場合、クラッシュばかりで大味になることもある。遊び方にプレーヤーの個性が強く出るところだ。
マルチプレイレースに勝利すればソロプレイと同じく賞金を獲得できるので、腕に自身があればマルチプレイモードを中心にプレイして新車を揃えることもできそうだ。また同時8名を越える多人数レースでは街に一般車が登場しなくなるので、「走り」に集中したいプレーヤーはそういった多人数セッションを中心にプレイするといいだろう。
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マルチプレイレースでは他車の走りを観戦することもできる。上手なプレーヤーをみて、コースの選択やアクセルワークを参考にしよう |
■ 全体的に厳しいゲームバランスのため、評価がハッキリ分かれそう
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レースゲームに何を求めるかによって、本作の評価は大きく分かれるだろう |
全体的に言うと、本作は本当に厳しいゲームだ。大量の一般車が行き交う公道を疾走するというと、一見迫力があって楽しそうだが、ゲームデザイン的に運の要素の介在を防げないため、星回りが悪いとクラッシュの連続で全く勝てず、ストレスばかりを溜めてしまうことになる。
中でも厳しい評価を下さざるを得ないのが「ライバルカーがプレーヤーの車両性能に合わせて走る」という点だ。遅い車では勝てなかったライバルを相手に、「新車を手に入れてぶっちぎる」というレースゲームにおける定番的なカタルシスが永久に得られず、逆に「クラッシュしたら負ける」ことから逃れられない。これを「常に白熱のレースが楽しめる」と評するのは簡単だが、実際のところそれは「遅い車で走る方が良い」といういびつな状態をもたらしている。遅い車の方が、一般車を避けやすく、車を没収されてもダメージが小さいからだ。結果として、本作は、世間一般のレースゲームファンが求めるゲーム性とは明らかなズレが生じている。
また公道レースの宿命として、専用サーキットでアクセルワークやライン取りを追求するような楽しみも薄い。ドライビングモデルがアーケード寄りに調整されていることもあって、「走りそのもの」よりも、派手なカーアクションとスリルに面白さのバイアスが置かれている。このため、純粋にドライビングテクニックの追求を旨とするコアなレースゲームファンは却って楽しめない可能性がある点も注意が必要だ。
しかしながら、本作が提供するカーアクションのスリルと興奮は本物だ。外観を細かく調整できるカスタマイズ機能の充実も素晴らしい。作中に再現されたロスの風景は、他に真似のできないほどの密度とクオリティだ。その他、様々な特徴を含めて、本作は「雰囲気を楽しむゲーム」というRockstarらしい強烈な個性を持つレースゲームに仕上がっている。良きにつけ悪しきにつけユーザーを選ぶゲームだが、「GTA IV」に続く、RockStar Gamesタイトル独自の味わいをたっぷり楽しんでほしい。
【スクリーンショット】
(c) 2006-2008 Rockstar Games, Inc. Rockstar Games, the R* logo, Midnight Club, and the Midnight Club Los Angeles logo are trademarks and/or registered trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc.
□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□「Midnight Club: Los Angeles」の公式サイト
http://www.midnightclubla.jp/
□関連情報
【2月2日】スパイク、「Spike-Xbox 360 New Year Party 2009」を開催
櫻井氏「今年もXbox 360を応援」、「Midnight Club」はDLCもサポート、新洋ゲーブランド「スパイク ワールド メジャーセレクション」も発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090202/spike.htm
【1月29日】スパイク、「Midnight Club: Los Angeles」試遊パーティーを開催
危険なシティレースで名を挙げていく走り屋人生の魅力を堪能せよ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090129/mcla.htm
【1月7日】PS3ゲームレビュー「侍道3」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090107/sam.htm
(2009年2月5日)
[Reported by 佐藤カフジ]
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