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★PCゲーミングデバイスレビュー★

多目的LCD搭載のゲーム用「左手デバイス」が登場
ボタン数の多さと独自の表示機能で差を付けるか?

「ロジクール G13
アドバンス ゲームボード」

  • ジャンル:ゲームコントローラ
  • 開発元:Logitech
  • 発売元:Logicool
  • 対応OS:Windows XP/Vista、 Mac OS X 10.4以降
  • 価格:オープン(ロジクールオンラインストアにて9,980円)
  • 発売日:1月30日(発売中)



「G13」はロジクールとしては初の「左手デバイス」だ
 ロジクールはPC用ゲームコントローラー「ロジクール G13 アドバンスゲームボード」を1月30日に発売した。この製品は左手専用のゲーム用キーボードと言うべきもので、ゲームプレイ時、フルキーボードの代わりに使用するものだ。

 同様のカテゴリの製品については、弊誌連載「PCゲーミングデバイス道場」の第3回にて紹介したことがある。その中で特に目立った製品は「Saitek Cyborg Command Unit」と「Razer n52te Speedpad」の2つで、いずれも「多数のボタン+親指部分にスティック」という構成だった。本製品「ロジクール G13 アドバンスゲームボード」も同様の構成を取っているので、競合製品と目していいだろう。

 ロジクールが既に競合の存在する「左手デバイス」の市場に打って出るにあたり、何らかの差別化を計ろうとすることは当然のことだ。そこで本製品には、多目的のLCDパネル「GamePanel LCD」をはじめ、ユニークな仕様が盛り込まれている。その中身をご紹介したい。


■ カスタマイズ可能なボタン数は総計29個! 「キーボードの代替」を強く意識する基本スペック

パッケージ。ロジクールオンラインストアでの価格は9,980円と、この手のデバイスとしては高めの価格設定
中央がくびれ、上部にLCDを搭載する個性的な外観
側面から。中央部を頂点になだらかな傾斜がつけられている
 まずは本製品の外観からご紹介していこう。「ロジクール G13 アドバンスゲームボード(以下『G13』と表記)」は、左手デバイスとしてはやや大型で、本体サイズは171×243×41mm(幅×奥行き×高さ)と、一般的なフルキーボードの半分くらいの大きさだ。そこにパームレスト、多数のボタン、そしてLCDパネルが搭載されている。PCへの接続はUSBケーブルで行なう。

 人差し指から小指までの4本の指で操作するメインボタン部には、「G1」〜「G22」と刻印された計22個のボタンが用意されている。フルキーボードに対応させるとすれば、CTRL、SHIFT、CAPSLOCK、TABのある左端から、ほぼ中央部のT、G、V、SPACEあたりまでを丸ごとカバーするボタン数だ。

 「Cyborg Command Unit」や「n52te」の1.5倍に相当するメインボタンの数は、本製品が「キーボードの代替」としてスムーズに使えるよう考慮されたかのようだ。またボタンのタッチも、メンブレン式の一般的なキーボードに似ており、配置が正方のマトリクスに沿っている点を除けば、フルキーボードを「WSAD」配置で使う感覚に近い。

 次に親指部分を見てみよう。こちらにはいかにもゲームコントローラー的な2つのボタンと1本のミニスティックが配置されている。ボタンはストローク浅く「カチカチ」という、ジョイスティックのトリガーに似た感触だ。スティックはアナログ的な遊びのある設計となっているが、入力そのものはデジタル方式で、4方向の指示が可能。またスティックは押し込むことでボタンとしても使える。

 スティック部を使うにあたって少々気になるのがその配置だ。普通にパームレスト部に手のひらを起き、メインボタン部に4本の指を配置すると、親指をかなり開かない限りスティックをうまく操作することができない。筆者の場合、上方向と左右は問題なく入力できるが、下方向にスティックを入れようとすると、メインボタン部から若干指をずらす必要があって、少し使いづらさを感じた。だが、手の大きな人なら問題ないだろう。

 そして本製品の目玉であるLCDパネルについて見てみよう。これは「GamePanel LCD」と呼ばれる装置で、160×43ピクセルの解像度を持つ。これはロジクールの他の製品、例えば「ロジクール G15 ゲーミングキーボード」にも搭載されているものと機能的には同じだ。対応ゲームのプレイ時に、文字もしくは画像による付加的な情報を表示するのがメインの役割である。

 LCDパネルの下部に配置されている6個のボタンは、表示内容を制御するためのスイッチだ。左から順に、表示モードの切り替えスイッチ、汎用スイッチ×4、バックライトのON/OFF制御スイッチとなっている。ゲームをプレイしないときには、これらのスイッチを使って「パフォーマンスモニタ」、「カウントダウンタイマ」、「LCDクロック」といった、ゲーム以外の表示を呼び出せる。

 また、LCDパネルを制御するスイッチのさらに下部には、3つのモード切替ボタンと、クイックマクロ記録ボタンが配置されている。モード切替は、各ボタンに割り当てたキーやマクロのバンクを切り替えるもので、これにより本製品ではボタン数×3、都合87種類のキー及びマクロを割り当て可能となっている。また、クイックマクロ記録ボタンを押せば、任意のボタンに対してその場でマクロ記録を行なうことが可能だ。

メインのボタンは22個あり、使用感はキーボードに近い 親指部分には2個のボタンとスティック風のデジタル方向入力装置 背面には大きな「G13」ロゴが見える

LCD周りには、表示を制御するためのスイッチ類がある。ゲーム外ではパフォーマンスメーターや時計といった汎用的な表示ができる


■ スティックの使いづらさはボタン数の多さでカバー

キープロファイラ。各ボタンの動作設定はこの画面で行なう
LCD Manager。「GamePanel LCD」の表示を制御するプログラムだ
 「G13」を使用するためには、付属ドライバのインストールと同時にインストールされる2種類の制御アプリケーション「ロジクール Gシリーズ キープロファイラ」、「ロジクール LCD Manager」の常駐が必須となっている。前者は「G13」からの入力を実際のキーストロークやマクロに展開するアプリケーションで、これを起動していない状態では本製品から一切の操作ができない。また後者は多目的LCDを制御するプログラムだ。

 「G13」を使用する限りこの2つのアプリケーションが約40〜50MBのメモリと、タスクバーの通知領域でアイコン2個分を占有する。これは、デバイスひとつを利用するための負担としては明らかに大きく感じられ、スペックの低いPCでの使用に抵抗を感じるユーザーも多いかもしれない。

 とはいえ、まずはそれ以上のメリットを得られれば問題ないとも言える。まず、本製品のマクロ機能について見てみると、他の同系統のデバイスと同じく、各ボタンにあらゆるキーストローク、特殊コマンド、それらを組み合わせたマクロの登録が可能となっている。またオンラインゲームでの利用を意図しているようで、任意のテキストブロックを割り当てることもできる。例えば「こんにちは」とか「ありがとう」をワンボタンで出せるという感じだ。

 ボタン設定は、デフォルトでは「WSAD」キーを中心とする、FPS系操作の定番に即したものになっており、とりあえずデフォルト設定のままほとんどのFPS系ゲームをプレイすることが可能だ。ただ、フルキーボードに比してキーの列数が足りないため、数字キーの配置がやや特殊になっている。この点さえ気をつければ、全面的な再設定をすることなく多くのゲームで利用できる。

形状から、親指スティックが遠く感じられる
 実際にゲームをプレイしてみて感じるのは、親指部分のスティックについて、やや使いづらさがあるということだ。「WSAD」スタイルのホームポジションで親指スティックを操作しようとする場合、かなり意識して親指を伸ばす必要があって、即座に反応しにくく、ボタン操作に影響が出てしまう。したがって筆者の場合、スティックは滅多に使わない特殊なコマンドに使うこととして、通常は「G1」〜「G22」までのメインボタンだけを使用せざるを得なかった。

 とはいえ、メインボタンにはほとんどのゲームをプレイする上で充分な数のボタン数が用意されているので、明確な不便を感じるシーンは少なかった。操作の比較的単純なFPS系ゲームはもちろん、「Crysis」などの現世代のFPSや、ショートカットキーを多用するストラテジーゲームでも、ほぼ違和感なく使うことができた。

付属ソフトウェアのインストール後には動画デモが始まり、本製品の使い方を学ぶことができる

キープロファイラではゲーム毎の設定を別々に保存できる。マクロ機能はキーストロークのあらゆる組み合わせを利用可能だ


■ 多機能LCDパネル「GamePanel LCD」は「気分を盛り上げてくれるガジェット」

メディアプレーヤー使用時の表示
LCDに表示する内容は自動・手動のどちらでも切り替えが可能となっている
 次に多機能LCD「Game Panel LCD」について見てみよう。これは常駐アプリケーション「ロジクール LCD Manager」によって表示が制御されるもので、ゲームをプレイしていないときには、デフォルトで装備されているプログラム機能が駆動する。最も基本的なものは、CPUとメモリの使用率を表示する「パフォーマンスモニタ」、ストップウォッチ代わりになる「カウントダウンタイマ」、日付と時間を表示する「LCDクロック」だ。

 他にも、Windowsメディアプレーヤーなどの使用時にアクティブになる「メディア ディスプレイ」では、再生中の楽曲の情報や、再生時間の表示が行なわれるほか、メーラーと組み合わせて駆動する「LCD POP3モニタ」では未読のメール数を表示する機能が備えられている。

 これらの汎用機能にゲーマーの人々が魅力を感じるかどうかはわからないが、少なくとも筆者は全くありがたみを感じなかった。いずれもPCの画面を見ていれば得られる情報だからだ。では、ゲームではどうだろうか。

 「GamePanel LCD」の仕様としては、ゲーム側で表示を自由に制御でき、文字や画像を使ってどのような表示も可能だ。その反面、対応したゲームでしか利用することができない。現在のところ対応しているゲームの種類は、ロジクールの公式サイト上にて確認できる。そのすべてが海外ゲームだ。

「Crysis WARS」でのステータス表示。選択中のスーツモード、武器の種類、体力などがグラフィカルに表示される
「Crysis WARS」のもう1つの表示モードでは、サーバIP、ゲームの進行状況などが表示された
 ゲーム側が表示内容を完全に制御するため、LCDに映し出される情報はタイトルによって全く異なる。試みにプレイしてみた「Crysis WARS」では、プレーヤーの武器、弾薬、体力などを表示するモードと、接続先のサーバーやゲームモードの情報を表示する2つのモードが利用できた。

 また、同じく対応ゲームの「Red Orchestra: Ostfront 41-45 」では、プレーヤーの武器弾薬といった基本情報のほか、死亡時には次の出撃までのカウントダウンが行なわれるなど、かなり細かい表示がされていた。

 だが、根本的な疑問として、これらは基本的にプレイ画面を見ればすぐわかる情報であり、わざわざ左手付近のモニタを見るという行為に実利的なメリットがほとんど見いだせない。

 ストラテジーゲームの「Civilization IV」に至っては、LCDに「CivIV」というロゴが表示されるのみ。ゲーム中で色々な操作を行なってみたものの、何ら意味のある表示が出ることはなかった。LCDに何を表示するかはゲームデベロッパーに完全にゆだねられており、ロゴを表示するだけでも「対応」を謳えてしまうようだ。外交状況などがグラフィカルに表示されれば面白くて便利そうなのだが……。

 というわけで、「G13」を使用してみて1週間ほど、筆者がLCDパネルのありがたみを感じたシーンはほとんどなかった。主にプレイするゲームジャンルにもよると思うが、LCDに関しては「気分を盛り上げてくれるガジェット」程度に考えておくのが無難だろう。

 その理由をゲームの基本に立ち返って考えてみよう。そもそも非標準の表示装置のみに「ゲームを進める上で重要な情報」を出すというのは非現実的だ。重要な情報ならプレイ画面に表示すべきであり、ゲーム開発者は当然そうすると思われるからだ。

 また、LCDに重要な情報が表示されるとしても、それはプレイ中に画面から目を離すことを強制することを意味するため、プレイの役に立つというより、むしろ邪魔になる可能性すらある。入力デバイスの理想のひとつは「存在を感じさせない」ことだと思うが、その点だけを評するならば、存在を主張する「G13」のLCDは、ゲーミングデバイスとしての基本思想に若干無理があるように思える。

「Red Orchestra」での基本表示。テキストでキャラクタの状況が出ている 死亡時には再出撃までのカウントダウンタイマーが表示された 「Civilization IV」では、ロゴが表示されるのみで具体的な機能は無し


■ LCDのメリットが感じられない以上、評価の基準は「ボタンの多さ」か……

キーボード的に使う場合はこのようなホームポジションになる。ボタン数が多いので大抵のゲームは問題なくプレイできた
 前節で述べた通り、「G13」のLCDパネルはゲームをプレイする上であまり役に立つ存在ではない。このため、本製品の持つ明確なメリットは、他の左手デバイスに比べて「ボタン数が多い」ということに集約される。メインとなる22個のボタンとマクロ機能を縦横無尽に操れるプレーヤーならば、本製品の能力を引き出せることだろう。

 LCD以外の難点としては、本稿で度々述べている通り、親指でコントロールするスティックの使いづらさが挙げられる。左手デバイスの共通する特色というのは、いつもはスペースバーくらいしか担当することのない親指に、多様な表現力を持たせうるということだ。それをスポイルしかねない本製品の形状は、残念ながらこの手のカテゴリの製品としては大きなマイナス評価に繋がる。個人的にはもう少しスティックが中央寄り、かつ低い位置に配置されていれば、この問題は軽減されていたかと思う。

 というわけで、ロジクールが左手デバイスの市場に打って出た「ロジクール G13 アドバンス ゲームボード」は、競合製品「Saitek Cyborg Command Unit」や、「Razer n52te SpeedPad」を凌駕しうる内容には至っていない。ボタン数が多く、キーボードに近い感覚で使用できるという点を価格相応に感じるかどうかが、購入判断の鍵になりそうだ。


□ロジクールのホームページ
http://www.jcg.co.jp/
□「ロジクール G13 アドバンス ゲームボード」の製品情報
http://www.logitech.com/index.cfm/gaming/pc_gaming/mice_keyboards/devices/5123

(2009年2月3日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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