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会場:米カルフォルニア・Insomniac Games
【レジスタンス2】 価格:6,980円
CEROレーティング:D (17歳以上推奨)
あれから2年。遂にシリーズ2作目となる「レジスタンス2」が日本でも11月13日に発売された。今回は、開発を担当した米Insomniac Gamesに取材することができたので、制作過程などについてお伝えする。 「レジスタンス」シリーズは、突如発生し侵略を始めた“キメラウイルス”と人類の戦いを描いた1人称視点のアクションシューティングシリーズ。人間がキメラウイルスに感染すると異形の者と変異し凶暴化してしまう。ウイルスはロシアから発生し欧州を席巻、ついには英国もその手に落ちてしまう。米軍が英国東岸から仕掛けた上陸作戦をネイサン・ヘイルの視点から描いたのが1作目で、その戦いに勝利した後の米国での戦い、そしてキメラウイルスの謎に迫るさらなる戦いを描いたのが2作目となる。 米Insomniac Gamesは、「ラチェット&クランク」シリーズで知られるカルフォルニア州Burbankに居を構える実力派スタジオ。「Spyro the Dragone」も同スタジオの作品。今回の取材にはCEOのテッド・プライス氏を筆頭に制作陣が参加し、制作過程について話を聞くことができた。 1作目の制作を終えテッド氏はユーザーの反応を見ながら、FPSにおいて他社が実現していない要素を盛り込んだ「より大胆なステップを経た新作を作ろうと思った」という。そうして実現したのが8人による協力プレイであり最大60人まで参加できるオンラインプレイだ。 もちろんシングルプレイのキャンペーンモードでも様々な要素を盛り込んだとしている。1つめはよりスケールの大きな世界観の元に登場する様々な敵キャラクタ、敵の数など。そして2つめは“多様性 (バラエティ)”だという。これは前述の敵の種類だけではなく、武器、各種設定など多岐にわたる。テッド氏は「FPSでは1種類の敵と戦うことが多い」とし、「多様な種類のキメラを用意することで目的や戦闘時の戦術や戦略に違いが生まれる」ことを実現したという。 1作目の反省点も2作目に反映させなければならなかったのだという。プレーヤーからのフィードバックによれば、1作目は常に派手な演出が続くため気が休まることが無く緊張状態が続いたという評価が多かったのだという。このためペース配分を考え、興奮させるシーンの後には落ち着いた体験を用意しメリハリをつけるようにしたのだという。 ここでテッド氏はPS3のコントローラを握り実際にプレイしてみせた。選択したシーンはカルフォルニア北部のOrick。ここは森を舞台としておりグラフィックスの進化をより感じられるシーンだ。氏は水の表現方法やグラフィックスエンジンの進化により木々や葉などをより詳細に描写できるようになったと説明。光を分散して表現できるところから木々の葉から光が漏れるような表現が実現されている。また、“多様性”というキーワードについては「敵に爆弾を仕掛けることができるようになった」事を挙げた。例えば敵1体だけを倒すことも可能だが、仕掛けたまま大群に戻すことで一網打尽にすることができるなど戦略的な幅が広がっていると語った。
そして「レジスタンス2」ではネットワークを使った協力プレイ、そして対戦プレイも重要な要素と言える。オンラインゲームにおいては、どのようにコミュニティを育てていくかは重要な要素だが、この点についてはコミュニティの横の繋がりを強化しクランやパーティを作って楽しんでもらえるようSNS (ソーシャルネットワークサービス) 機能も持ったコミュニティサイトが存在する。データなどの情報を開示し、まとめて見ることができるようになっているという。
協力プレイはシングルプレイとは別にコンテンツが用意されている。それだけInsomniac Gamesとしても力を込めて作っているということだ。マップは6つだが、ミッションは動的に生成され同じミッションを2度遊ぶと言うことはないように作られているという。また、パーティの規模や構成などによっても登場する敵の種類や数が変わってくる。
協力プレイにおいて語られるストーリーもあり、より「レジスタンス」の世界観を知ることができるようになっているのだという。そういった意味でもこのモードをぜひプレイして楽しんで欲しいとしている。
もちろんそれに対する答えも用意されており、大きな組織の中に非常に多くの分隊を設けることで、その小さな組織の中で役割を自己認識することで、どう行動していくべきかを実感できるようにしたという。プレーヤーは各モードにおいて目標を完遂することでポイントを得ることができ、チームに貢献できるようなっているという。 さらに「バーサーク」と呼ばれるポイントの存在がある。敵を倒したり味方に弾薬を補給するといった形で貢献することにより加算されるのだが、このバーサークを使用することでキャラクタを強化し新たな能力を追加できるのだという。例えばより早く動けたり (スーパースピード)、よりダメージを与えることできたり、周りの仲間を全て回復させることができるといった能力がある。さらには透明になることもできるのだという。
また様々な武器を組み合わせて工夫次第でさらなる攻撃力を得ることも可能だという。そうやってゲームをプレイすることで経験値が溜まりさらなるアイテムのアンロックに繋がり、新たなコスチュームやバーサークの能力の解除が行なわれ、プレイの幅がより広がっていく仕組みになっているのだという。
さらに言えば現実世界ではあり得ないキメラの存在というものがある。1950年代の情景に“エイリアンの技術 (キメラウイルス=宇宙からのウイルス)”という未知のものを溶け込ませるようしたということで、世界観を大切にしながら如何に現実とリンクさせリアリティを出していくのかといった制作上の苦労は超大作映画の制作と何ら変わりはない。
カメラワークに関しても手持ちカメラのような臨場感を出すようにしたと言い、ダイナミックなカメラワークで戦場の状況やその場にいるかのような迫力を感じられるようにしたのだとか。 ここで再度テッド氏が「レジスタンス2」の制作について解説を行なった。PS3のローンチにあたり「SFのようなFPSを作りたい」と考えたが、当時はタイムトラベルを題材にしたストーリーで「レジスタンス」とはまったくの別物だったという。社内で協議を始めたが「良くないのではないか?」といった意見も出るなど、あまり芳しくはなかったようだ。しかしここで地球を舞台に第1次世界大戦を背景にした作品にしたらどうかという意見が出たのだという。軌道に乗るかと思われた開発は、しかしコンセプト画などを仕上げていく中で、武器の技術的なレベルなどの点で第1次世界大戦を背景にした物語だとリアリティの面で厳しいことが判明した。 しかしここでくじけずに「第1次世界大戦ではなく、第2次世界大戦を舞台にすればいいのでは?」という意見が出された。さらにもう一工夫し、「エイリアンが開戦を妨げたらどうなるだろうか? 歴史の中にキメラの存在が入ると欧州の歴史が変わるのではないだろうか?」とどんどんと構想は膨らんでいった。こういったことからテッド氏は「バックグラウンドとなる世界観については、他にはない独自のものが提供できたのではないか」と自信を持って語った。 一方でキメラについては「正体不明のウイルスが感染するというだけでなく、実は何百年も前に地球上に存在しタワーを作り上げており、新しいキメラが登場したことで地下にあるそのタワーを掘り起こすというバックグラウンドを思いついた」のだという。 そしてキメラの視覚的な効果としてホラーなものを目指す一方で、デザイン的には制限を設けなかった。そのことが幸いして猫くらいのキメラが登場する一方で、シカゴに登場するLeviathanといったビルよりも大きなキメラも作り上げることができた。多様性を出すことに貢献したと同時に、「レジスタンス2」ではヒューマノイドではないキメラまで登場している。 1作目のフィードバックを2作目の制作に活かすという点については若干触れたが、このほかにも様々なユーザーの意見が反映されているという。例えばオープニングについて。「ゲーム開始当初から引き込まれるようなオープニングが欲しい」という意見からゲームスタート直後から見上げるほどの巨大なキャラクタが登場し、いきなり戦うこととなる。一方で1作目は「いきなり難しい」といった意見もあったということで、巨大な敵と対峙しながらも、チュートリアル的な側面を持つステージ作りとなっている。 また、「もっともっと追加して欲しい」といった要求からLeviathanといったボス敵に匹敵するキメラの登場が検討された。ストーリー的にもネイサン・ヘイルという人物に焦点を当てたストーリーが望まれる傾向があったことから、彼の視点から見たストーリーが語られることとなる。ネイサン・ヘイルはキメラウイルスに冒されていることからゲームが進むにつれキメラ化していく様が描かれている。
そしてリリース後もチューニングが行なわれ、パッチを当てていくのだという。ちなみにPLAYSTATION Networkを使った追加配信データについては「サプライズにしたい」と否定はしなかった。今回の取材ではシリーズの今後の展開が語られることはなかったが、Web上でバックストーリーが掲載されたり、本が出版されるなど多様な展開が計画されているという。そういった点では今後もさらなる広がりを見せることは間違いなさそうだ。
RESISTANCE is a registered trademark of Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Insomniac Games. (C)2008 Sony Computer Entertainment America Inc.
□プレイステーションのホームページ (2008年12月26日) [Reported by 船津稔]
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